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佐倉綾音さんが見た世界とは?アニメ『チェンクロ』声優インタビュー

石田彰さんと山下大輝さんの背中を見守る佐倉綾音さんが見た世界とは?『チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃~』声優インタビュー

 2013年に配信がスタートし、今年で3周年を迎える『チェインクロニクル~絆の新大陸~』(以下、チェンクロ)がついにアニメ『チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃~』として、新たな物語を刻み始めます。キャストはお馴染みの石田彰さん(ユーリ役)をはじめ、佐倉綾音さん(フィーナ役)、緑川光さん(シュザ役)らを起用。さらに、アニメオリジナルキャラクターとして山下大輝さん(アラム役)らも出演しています。

 そして義勇軍とユーリを支える少女・フィーナも忘れてはならない存在です。『チェンクロ』のヒロインかつ、クロニクルを持つキーパーソンであるフィーナ。演じるのは佐倉綾音さんです。戦いを一歩引いたところで見ているフィーナ、佐倉さんからはどんな世界が見えているのでしょうか。インタビューを通して、その答えを聞いてみました。

アラムとユーリの背中を見守るアフレコ
──まずは、ゲームから引き続きアニメの出演が決まった時の心境をお願いします。

佐倉綾音さん(以下、佐倉):実は、アニメ化することを知ったのがニュースだったんです(笑)。その時は「フィーナの出番がないのかもしれない…」と不安がよぎったんですけど、スタッフさんにお会いした時に「出ますか?」と聞いたら「もちろんです」とお返事をいただいて。どんなことになるんだろうと、ワクワクしながらアフレコを待ってました。


──今回演じてみたら割と重めの作品で。

佐倉:スタッフさんに別の作品でお会いした時に、「アニメで何をやるんですか?」と聞いたとき、「しっかりと戦記ものをやりたいです。絶対面白いものにします」とおっしゃっていたのが印象的で。そんな物語にフィーナはどんな風に関わっていくんだろうと、私も楽しみだったのですが、収録が始まってみたら知らない人(アニメオリジナルキャラクター)がいたのでビックリしました。新キャラクターが登場することは聞いていたんですけど、まさかここまで主人公然としているとは思わなかったですね。『チェンクロ』はどんどん大きくなり続けているけれど、変化を恐れないコンテンツなのだなと思いながら関わっています。

そういえば、主人公を「ユーリ」とちゃんとした名前で呼べる日が来るとは思っていませんでした。ゲームの収録では、顔の見えない誰かに向かってセリフをしゃべり続けていたので、ちゃんとマイクの隣に人がいて、呼びかけられる名前があるっていいなと思いましたね。


──今までのフィーナとアニメのフィーナで演じ方の違いはありましたか?

佐倉:まだフィーナのゲーム版のイラストが上がっていない段階から『チェンクロ』には関わらせていただいてるのですが、アニメスタッフさんの新しい視点が加わったアニメ版のキャラクターデザインを初めて拝見したとき、意外とお姉さんだな、というか…あぁ、なんだか成長したのかもしれない、と思ったんですよ。

足掛け3年、ゲームの中で皆さんと旅をしてきた、ユーリと一緒に過ごしてきた時間で、少し大人になったのかなと勝手に解釈しています。大人といっても、達観しているということではなく、周りときちんとコミュニケーションが取れる人というのは意識していますね。

平面だったものが立体に、フィーナの認識が変わる
──みなさんとのアフレコだったと思いますが、収録はいかがでしたか?

佐倉:まず、日常生活が想像つかないキャラクターばかり出てくるんですよ。その中でも本当にささやかで一瞬なんですけど、ちょっと日常的なパートを描いたシーンがあって。「この人たちは普段こんな風に生きているんだ」と、そこでようやく実感できました。そのあともすぐに動乱に巻き込まれてしまうので、本当に刹那的なシーンではあったんですけど、なんだか重みを感じましたね。

あとは…今まで自分がゲームで演じていたキャラクターがどんどん他の人の声にゆだねられていくことに対して、率直に言うと寂しさもあるんですけど…役者の皆様のおかげで、ひとりひとり丁寧に生かしてもらえてるな、と嬉しくも思いながら眺めています。


──その中で気になったキャラクターはいますか?

佐倉:アラムとユーリの…山下さんと石田さんの声とお芝居はもちろんなんですけど、収録中の背中がすごく対照的で好きなんですよね。石田さんは足をそろえて凛として立っていらっしゃって、山下さんはいつも握りこぶしで足を開いて地を踏みしめながら台詞を発しているんです。背中合わせのようで、どこか向かい合っている感じが私は好きですね。噛み合ってないようで、根底では噛み合っている雰囲気というか。それはアニメのアフレコで初めて感じたものだなと思います。

私は、フィーナとしても自身としても中立の立場にいるような感覚です。山下さんより年下だけど私の方が少しだけ先にお仕事をしていて、石田さんはもっと手の届かない場所にいて、2人でその背中を追いかけて…と、彼らの旅に似たような関係性をアフレコ現場でも感じられるのは、なんだか素敵だなと。

──フィーナは今回どんなディレクションがあったんでしょうか?

佐倉:それがですね、何もなかったんですよ! ほとんどこちらに任せていただいていて、作品と関わった3年という年月を信頼してくれているのかも?と前向きにとらえているんですけど、広く私たちのお芝居をOKしてくれた感じはありました。それは、ゲームとは違って一人一?二役だけを演じている分、声を使える幅が広がっているからなのかな、とも。

ゲームの収録の時は毎回、「このキャラクターの声はこの範囲まで」「こっちのキャラクターに被ってきてしまうから少し狭めておこう」という感じに、お芝居にとってはある意味邪魔な感覚がどうしても伴ってきてしまうんですけど、アニメに関しては気にしすぎず、目いっぱい幅を取ってもらっている気がしてありがたいですね。


──そして、キャラクターたちが動き出していくわけですね。

佐倉:一枚の絵だったものが喋り出して、壮大な世界を走り回る…みんなで旅をしていると、不思議な気持ちになります。ゲームの収録では、キャラクターたちが一緒にいるところを見たことがなかったので。こんな風に各々日々を過ごしてたんだなって思いますね。


──お馴染みのまずい料理を作るシーンは印象的でしたね。

佐倉:人間味を感じますよね。平面だったものがどんどん立体になっていくことが嬉しくて。今までは、ちょっと人ごとのようだったんですよ。『チェンクロ』っていう作品があって、みんな遊んでて、売れてるんだなぁって(笑)。駅に広告が張ってあったりするのを見て、すごく客観的に大人気だなぁって思ってたんですけど、アフレコが始まって、少しずつ関わっているという認識が強くなっていく。それは、動くキャラクター、喋るキャラクター達がいてこそなのかなと思います。


──フィーナのオススメシーンはありますか?

佐倉:基本的にフィーナは誰かの背中を追いかけていることが多くて、戦力にはならないんですよね。守られながら、いったい彼女の中の心境にどういう変化があるのか、というのが、セリフにはあまりなっていないんです。そこは画面に頼るところが大きいですね。心配する表情が多くてあまり満面の笑顔を見せるシーンがないんですけど、だからこそ、フィーナがみんなのために頑張る姿は見てもらいたいですね。

前に出たいんだね。ついていくよ
──こういった暗めの作品に挑む時は、どんな心境で臨んでいるのでしょうか?

佐倉:『チェンクロ』の舞台は、基本的には戦いが日常的に存在する世界ですよね。私たちは物理的に戦うことが普段あまりない世界で生きているので、真逆の世界に身を置いて過ごしている人たちの感覚ってどういうものなんだろう?と想像するのですが、日常的に剣を持ち歩いている人たちは、相当な覚悟と相当な重みを背負っていると思うんですよね。

でもそれが彼らにとっての普通で、その普通は私にとっての普通とは大差ないのかなと思ったり。ただ、きっと緊張感だったり、戦いに臨むときのスイッチの入り方は、私たちが普段味わえない、持ちえないものだと思うので、そのあたりのスイッチングはできるようにしています。


──フィーナは前線に立って戦うキャラクターではないと思いますが、どういう人物だと思いますか?

佐倉:私は戦いにおいて女性というものは基本的に邪魔な存在だと思うんです。男性と張り合えるくらい能力の飛び抜けている人でないなら、できるだけ前線には出ない方がいいんじゃない?と。それは仲間のためにという意味でもそう思うんですけど、戦闘能力の高くないフィーナがたまに関わっていこうとするのを見ると、たまにひやひやしますね。「そこは行くな!」って思いながらアフレコしています(笑)。ただ、クロニクルを持っているという彼女の背負った運命と覚悟は私には計り知れないところなので、「前に出たいんだね。ついていくよ」と暖かく見守っていたりもします。


──アフレコしながら応援しているような。

佐倉:そうですね。でも、「行かなきゃダメ?」って思うことがあれば、時には「あ!そこはその立ち振る舞いできっと正解!」なんて共感したりして、やきもきしながら見守っています。

キャッチコピーに隠されたメッセージを探る
──今回の収録に当たって、アプリで収録した音声を久しぶりに聞いたと思いますが、どうでしたか?

佐倉:すごく無責任なことを言ってしまうんですけど……若いな、と(笑)。アニメだと、少し周りの雰囲気に合わせたりとか、声の幅を広げたりしているので、それをもう少し狭めて収録したゲームの音声は使っている幅が狭いんです。先ほどお話した通り、他のキャラクターと声が被らないように、という前提もあったので。その分アニメでは、新鮮な気持ちになりましたね。


──ボイス数が少ない中で、アニメの設定がばっと公開されて、そこから演じると「どうしようかな」となってしまうのかなと思ったのですが。

佐倉:あまり気にしすぎないようにしようとも思っていました。スタッフさんたちがここまで設定や物語を1からガラっと変化させたということは、もしかしたら私たちもキャラクターを見つめ直すチャンスをもらったのかもしれない、と思ったんです。

この3年間で『チェンクロ』の追加収録を経たり、新しい設定を知ったり、そういうところで私たちの中で少しずつ変わっていった『チェンクロ』の意識みたいなものをさらに踏まえた上で、もう一度フィーナという人物を壊すことなく、″調整″出来たらなと思いました。

これは挑戦でもあるので、吉と出るか凶と出るかはみなさんの目にかかっているような気がします。私たちはひたすら、自分たちが信じているものや、みんなが目指している一点に向かって収録を続けるだけなので、そこは見失わないようにと思っています。

──『チェンクロ』は絆の物語でもあります。佐倉さんにとって絆とはどういうイメージがありますか?

佐倉:えー、なんだろう。絆って辞書で調べるとなんて出てくるんですかね?(ネットで調べる)「人と人との絶つことのできない繋がり」「離れがたい結びつき」か……。


──もとは「しがらみ、呪縛、束縛」の意味で使われていたという説もありました。

佐倉:その本来の意味を含めると深いですね、このキャッチコピーって(キャッチコピーは「キズナの物語、始まる――。」)。しがらみという意味での絆を考えると、その人を構築する上で、結局なくてはならないものなんだろうなと。自分の主観や感情だけではなく、他人と自分を比べてみることで、自分という存在をどんどん認識していくものだと思うので。

「人格は繰り返す行動の総計である」(※1)という好きな言葉があって、絆とその人の人格は密接していると思います。「類は友を呼ぶ」とも言いますよね。そういう意味では、自分を形成する大切な何かなんだろうなって思いますね。

※1:正確には「人格は繰り返す行動の総計である。それゆえに優秀さは単発的な行動にあらず、習慣である」。古代ギリシアの哲学者・アリストテレスの言葉。


──確かにその人の友達を見たら、その人の人となりがわかるとかありますね。

佐倉:ありますよね! 私、友達の親や友達の友達を知るのがとても好きなんですよ。それは両親の影響が大きいと思います。両親は私が友達の話をすると「家に連れておいで」といつも言うんです。私がこの先も、それこそ絆として続けていきたいなって思うような友達は大体家に呼びますね。そうすると、たまに「この子はちょっと違うんじゃない?」と両親が言ったりして…特にその言葉を意識したわけではないものの、確かに疎遠になった友達もいたりしました。そこでむしろ、私と両親の絆みたいなものを再確認したりしますね。

そういう意味では、できるだけポジティブにとらえていたいものだなと思います。絆という言葉は。しがらみより、つながりがいい。アニメは少しネガティヴな話が続きますが、最後には光を掴んでほしいです!


──確かに! 本日はありがとうございました。

[インタビュー/石橋悠]


【上映スケジュール】
第1章 2016/12/3~
第2章 2017/1/14~
第3章 2017/2/11~
※それぞれ2週間限定上映!

■解説
伝説は、終わらない―。
2013年7月26日にスマホRPG「チェインクロニクル」のサービスがスタートした。総ダウンロード数500万を超える大人気RPGとして3年経った今なお伝説のRPGとして君臨し続けている。
そして2016年、「BLEACH」の工藤昌史×「ルパン三世」のテレコム・アニメーションフィルム×「楽園追放」のグラフィニカによりアニメシリーズ化が決定。“キズナの物語”の第2幕が始まる―。

■物語
舞台は、最果ての大陸“ユグド”。
住人達は自分たちの住むその大陸が、世界の広さのすべてだと思っていた。
大陸はいくつかの領地に分かれ、それぞれの地に王が存在していた。
各勢力によって、小規模戦闘が起きる事はあっても
諸王たちの円卓会議により選ばれた“盟王”によって、バランスが保たれていた。
暗黒の魔物“黒の軍勢”が現れるまでは―。

<STAFF>
原作:セガ
監督・キャラクターデザイン:工藤 昌史
副監督:花井 宏和
シリーズ構成:待田 堂子
美術監督:陳場 大輔
色彩設計:大塚 眞純
撮影監督:荻原 猛夫
CG監督:篠原 章郎
編集:齋藤 朱里
音響監督:はた しょう二
音楽:甲田 雅人
音響制作:サウンドチーム・ドンファン
アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム×グラフィニカ
配給:ショウゲート 
宣伝:パジー・エンタテインメント/スロウカーブ 
パブリシティ:ブラウニー

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