
好きだったアニメは『戦闘メカ ザブングル』でした―― 8月15日公開『吸血少女 対 少女フランケン』西村喜廣監督にインタビュー!(前編)
8月15日(土)から、シアターN渋谷、シネマート新宿他、全国で順次公開される映画『吸血少女 対 少女フランケン』。原作は内田春菊氏のコミック。そのエッセンスをベースにしつつ大胆にアレンジ。アクションあり、スプラッタ要素もありながら笑いも満載の、日本のホラー映画史の新地平を切り開く意欲あふれる一作に仕上がっている。
ヒロインの吸血鬼・有角もなみを演じるのはグラビアアイドルとしても活躍している川村ゆきえさん。もなみに彼女の血液入りチョコをもらって、“半吸血鬼”になってしまうイケメン男子高生・水島樹権に斎藤工さん。水島に恋心を抱き、彼に近づくもなみに嫉妬するクラスメートの富良野けい子役には乙黒えりさんと、キャスティングも魅力的だ。
今回アニメイトTVでは、友松直之氏とともに、共同監督を務めた西村喜廣氏にインタビュー。アニメにも大きな影響を受けたという西村氏に、子供の頃好きだったアニメの話から、実写の監督の視点から見た“アニメ観”などをうかがった。
<物語>
都立東京高校にひっそりと転校してきたもなみが、バレンタインデーに、樹権に自らの血で作ったチョコをプレゼント。知らずに食べた樹権は半分吸血鬼の体になってしまう。一方、樹権のことが好きで、半ば強引に彼女の座を射止めたけい子はそれが気に入らない。もなみは樹権に吸血鬼になってほしいと迫るが、ふんぎりのつかない樹権。けい子はもなみの正体を探るべく行動するうちに、彼女の正体、自分の父であり教頭の富良野ケン児(津田寛治さん)の秘密などを知って……。“ガングロ部”“リスカ部”など個性的なクラスメート。強烈な個性の先生たち。そして驚きの展開の果てに訪れる終盤、“少女フランケン”となったけい子ともなみの、樹権をめぐる恋を賭けた死闘。笑&衝撃の見どころ満載ホラームービー!
●好きだったアニメは『ザブングル』 劇場版『ガンダム』は徹夜組でした
──いきなりですが監督が一番最初にご覧になったアニメは?
西村監督:なんだろ。『デビルマン』とか。『ガンダム』が小学校の頃で、映画は徹夜組でしたね。最近のはそんなに観ないですね。
──その頃すでに映画監督になりたいという気持ちは抱いてたんですか?
西村監督:中2で初めて映画を撮って、1分ぐらいのものなんだけど、モデルアニメーションで、骸骨と戦うっていうのを撮ったんですよ。
── 一番最初の作品がモデルアニメーションなんですね。
西村監督:そうですね。その頃は8mmで1コマづつ。その頃はそれしかなかったから、うちにあった8mmで撮りました。
──『ガンダム』を観たときはどんな感想を抱きましたか?
西村監督:『ガンダム』より『ザブングル』(『戦闘メカ ザブングル』)の方が好きなんですよ。埃まみれの部分など、リアリティがあるじゃないですか?『ガンダム』だと現実味があまりなくて。「そういうこともあるのかな、どうなのかな?」みたいな。
──そういえば『ザブングル』は西部劇ですが、今回の映画でも冒頭で、西部劇っぽいシチュエーションが出てきます。西部劇が好きなんですか?
西村監督:西部劇っていうか『マッドマックス2』が好きだってことがあるんじゃないですか?
──実写で思い出に残る作品とか、影響を受けた作品は……?
西村監督:たくさんあるからなぁ……。『テキサス・チェーンソー』(ここでは1975年公開のオリジナル『悪魔のいけにえ』)は小学校の頃観ているし、『ブレインデッド』とか……。
『ガンダム』『ヤマト』の少し後に、『スターウォーズ』『ブレードランナー』とかの流れがあって、特殊メイクや特撮の転換期の影響をモロにうけている部分があるかもしれませんね。
●『ヤッターマン』のドロンジョの服が破けるシーンは実写だと生々しすぎる
──小学校、中学校を経て、その後もアニメもチェックされ続けていたんですか?
西村監督:最近はそうでもないけど、最近のアニメって、リアルはリアルなんだけど“実写で出来るんじゃない?”っていう部分もあったりして。昔の作品のほうが“味”みたいな部分があったりした気がして。
──実写の監督の視点で、過去から現在に至るまでのアニメの変遷や進歩について、どう思われますか?
西村監督:僕の世代は、最初にマンガがあって、トキワ荘の人たちのマンガが大好きで、小学校の頃、トキワ荘に行ったりしてたんですよ。その頃まだ残ってたんで「あっ、ここが跡地だ!」みたいな。手塚治虫や石森章太郎や永井豪は読みまくったし。今のマンガは絵柄が似てきて、線も細くなってきて、そういう感じがアニメでもあって、“味がないな”というのがすごくあって。今だと“線”が変わらない気がしてならないんですよ。同じ絵に見えちゃう。
――今回の『吸血少女 対 少女フランケン』でもCGが使われていて、かつてはアニメならではだった表現が実写でも出来るようになりましたが、「アニメはいらないんじゃないか」って部分もあるのでは……?
西村監督:いらなくはないと思うんですよ。押井さんのアニメの“風景”って、アニメならではですよね。実写であれをやるとしたら、すごくすごく緻密にやっていかないと、あの風景や心情は出ない。押井作品はアニメではそれを表現できている。
「実写で撮ればいいのに」って思っている部分が、実は実写では撮れなかったりとか、アニメ風に撮影したら実写はダメよ、という部分もあったり。僕も参考になったりするんですけど。『うる星やつら』みたいな表現が、実写で出来るようになってきていて、でも実写でやって失敗する例もたくさんあるじゃないですか?“アニメを実写化してダメだった”みたいな。
こないだの実写版『ヤッターマン』はすごく好きだったんですよ。でも、ドロンジョの服がボロボロになっちゃうシーンとか、深キョン(深田恭子さん)がやると結構生々しいですよね(笑)。「あっ、ここら辺は結構生々しくなるな」って。“これはアニメならではだよね”っていう。でもやってることは全部一緒ですけどね。
――今回の作品でも生々しい表現が出てきますが、残酷さが音楽や演出で軽減されている部分があります。実写でもこれから新しい演出家が出てきて、技術も進歩すれば、そういった部分もクリアしていけるんじゃないかと思うんですが?
西村監督:そこはやりようですね。今、アニメっぽいなと思うのは『エリートヤンキー三郎』っていう山口(雄大)さんが監督した映画なんですけど、ヤンキーものなんだけど、全然ヤンキーじゃなくて、完全にアニメっぽさを意識して演出していて。
今後出てくると思いますよ。僕たちはアニメで育ってきていて“実写で出来ないかな~”ということが最近出来てきているから。アニメにどっぷりつかっているわけでなく、実写ともバランスをとりながら生きてきているから、その配分がわかってるんじゃないかなって思います。“アニメではこうやってたけど、実写でこれやっちゃダメなんじゃない?”みたいなとことか、だいぶわかっているはずなんですけどね。(続く)
西村喜廣監督プロフィール
1967年生まれ、東京都出身。
中学生の頃から自主映画で造形をはじめ、撮影、照明、美術、特殊メイク、などすべて独学で学ぶ。
95年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門で自主制作作品『限界人口係数』が審査員特別賞を受賞。その後も多くの作品に参加。
劇場映画初監督作品は「TOKYO SHOCK」シリーズの第二弾『東京残酷警察』(2008年)。
>>『吸血少女 対 少女フランケン』公式サイト
『吸血少女 対 少女フランケン』は、8月15日(土)より、シアターN渋谷、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー

















































