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『刀語』放送開始記念 西尾維新氏インタビュー[前編]

大ヒットアニメ『化物語』に続く、『西尾維新アニメプロジェクト』第2弾の『刀語』が2010年1月から放送開始! 西尾維新さんインタビュー 前編

 小説家として活躍する、作家・西尾維新さん。西尾さんの描く独特の世界観は多くのファンを獲得しているが、西尾さんの作品性や精神性をアニメで表現していこうとする画期的な企画が『西尾維新アニメプロジェクト』。
 2009年7月にその第一弾の『化物語』がテレビオンエアされ、DVDやBlu-rayの売り上げで空前の大ヒットを記録した。そして第二弾となる『刀語』が2010年1月から放送が始まる。西尾さん初の時代小説であり、毎月1巻ずつ発表され、全12巻に及ぶ作品だが、今回のアニメ化では毎月1話、全12回に渡り、1時間番組として放送される、これまでに例を見ない画期的な試みだ。
 アニメ『化物語』の大ヒットと、『刀語』の放送開始を記念して、原作の西尾維新さんにインタビューを行った。その模様を2回に渡り、お届けする。
 前編となる今回は、西尾維新アニメプロジェクトが始まった感想や、第一弾作品の『化物語』について語っていただいた。


●『化物語』のアニメの大ヒットは想像以上だった

――ではまず、本年、西尾維新アニメプロジェクトが始動しましたが、その感想をお聞かせいただけますか?

西尾さん:素直に嬉しいですね。アニメで育った世代ですから。ただ、『化物語』のアニメ化に関しては「どうやって?」という気持ちもありました。映像化するのが難しいタイプの小説だと言われていたし、そもそも作風的に、自作が一生映像化されない事を覚悟してやってきたので。
ですが、こちらから「アニメ化は難しいですよ」と言ったら「じゃあ、やめます」という話になるかもしれないので、気付かないフリをして、黙ってました(笑)。でもそれはまったくの杞憂で、アニメ『化物語』は非常に良い評判をいただき、DVDもBlu-rayも好調ということで。
実際、DVDやBlu-rayという形においてもこんなに受け入れてもらえたことは予想外でした。皆さんのおかげで『化物語』が文字通りの化け物作品になったと。
いろいろな人がいろいろなところで言っているだろうけど(笑)。


●西尾維新アニメプロジェクトのスタートは好対照な2作品のアニメ化

――単に各作品をアニメ化するのではなく、西尾先生の世界観を様々な作品の映像化によって表現していくという壮大なプロジェクトは、手塚治虫アニメ劇場のようですね。

西尾さん:そう聞くとすごいですね。ですが『化物語』の放送前に『刀語』のアニメ化発表があったので、全てウソなんじゃないかと思った方もいるそうです。ウソばっかついてやってきたので、これは仕方がない(笑)。
ただ、最初のアニメ化が『化物語』と『刀語』だったのは良かったと思います。私の小説の中では両極端みたいなところがあるので、この2本を見れば西尾維新のことは大体わかると思います。ですが、この2作を同じテンションで見るとひどい目に遭いますよ。まったく違うお話ですから。『化物語』と同じように学園ラブコメだと思ってみたら、『刀語』では殺し合いが始まりますからね(笑)。
『デビルマン』と『ハレンチ学園』くらい違う物語だと思ってください(笑)。


――『化物語』のテレビアニメを実際にご覧になった感想は?

西尾さん:私もアニメを見てハマった1人で、たぶんアニメの『化物語』を世界一見た人間だと思ってます。たぶんのべ千回は見たんじゃないかな。役者さんの声があてられて、しゃべって動くという現象は活字では起こらないので、アニメを最初に見た時の衝撃は大きかったです。「このキャラクターがこんな風にしゃべるんだ」と。そして元からそうだったようにしか思えないのがすごいですね。


――新房昭之監督とシャフトが手がける作品はカット割やスピード感などに定評がありますが、『化物語』でもその特長や良さが十分に表現されていました。

西尾さん: シャフトさんの作品作りが独特だったのかもしれませんが、原作のセリフをそのままアニメ化してくれたところも驚きました。普通はアニメにしやすいように変えると思うんですが、ほぼ一字一句違わずに使っていただいて。こんなしゃべり方をする人は現実にはいないと思うし。やはり普通のアニメよりもセリフが多いアニメになりましたね。


――先生の作品はテンポの良い会話や掛け合いが魅力の一つなので忠実に再現することを心がけたんでしょうね。

西尾さん:私もそれは感じました。『化物語』をアニメ化できるのはシャフトさんだけだったんだと確信します。普通は失敗すると思うんですよね。どこを削っていいのかわからないような小説ですし、キャラクターに動きもないという、まったく映像化に向いていないのに。とにかくシャフトさんは素晴らしいなと。


――ヒロインごとに章が構成され、物語が展開されるスタイルも斬新でした。オンエアもそうでしたが、パッケージになった時も見やすくて、それぞれのキャラの個性がしっかり前面に出ているのがいいですね。

西尾さん:確かに1人ずつパッケージングされていて、1本ごとに主役的な感じで描かれているのが原作者としても視聴者としても嬉しいところですね。


●あとがたりやキャラクターコメンタリーもパッケージの魅力

――先生の原作を忠実に表現しつつ、個性的なキャラクター達の魅力をあますところなく、見られたのがDVDやBlu-rayのヒットの一因かなと思います。

西尾さん:ありがとうございます。パッケージではあとがたりが好きなんです。役者の皆さんが放送後に感想を語ってくれて、真剣な気持ちが伝わってくるので感動さえしますね。


――そして、ご自身が書き下ろされたキャラクターコメンタリーが大好評ですね。

西尾さん:ありがとうございます。アニメや映画のオーディオコメンタリーはさして珍しくないんですが、演じている人としてではなく、キャラクターがしゃべったらおもしろいなとずっと思っていまして。アニメ化の話をいただいた時にそれとなく打診したら、やらせていただけることになりました。私自身、楽しく書かせていただいています。


●アニメから小説の執筆にも影響を受けた

――ドラマCDの脚本もご自身で書かれたり、原作者の方がそこまでアニメに参加されているということはアニメに関わる皆さんも嬉しいと思います。

西尾さん:いえいえ、参加というには微々たる貢献ですし、基本的には出過ぎた真似です。自重しないといけません。やっぱり『化物語』はすべての意味でいい形に仕上がったことが嬉しいですね。また、アニメを見たことで私自身も影響を受けました。今、『化物語』の最新作である『猫物語』の小説を執筆中なんですが、阿良々木君はもう神谷さんの声ですし、神谷さんにやっていただいたキャラに変なことをさせられないという気持ちが働いてしまいます。なぜか彼が変態だというイメージが広がってしまっているきらいがあるので、『猫物語』でそのイメージを払拭しようと頑張っています(笑)。

⇒後編へとつづく


【第一話「絶刀・鉋」放送予定日】
フジテレビ:1月25日(月) 25時10分~
毎日放送 :1月27日(水) 26時30分~
BSフジ  :1月30日(土) 26時30分~

【第二話「斬刀・鈍」放送予定日】
フジテレビ:2月 8日(月) 深夜
毎日放送 :2月10日(水) 深夜
BSフジ  :2月27日(土) 深夜

【第三話「千刀・ツルギ(※機種依存文字のため仮名表記)」放送予定日】
フジテレビ:3月 8日(月) 深夜
毎日放送 :3月10日(水) 深夜
BSフジ  :3月27日(土) 深夜

<STAFF>
原作:西尾維新「刀語」全十二巻(講談社BOX)
キャラクター原案:竹

監督:元永慶太郎
シリーズ構成:上江洲誠
キャラクターデザイン・総作画監督:川田 剛
美術監督:工藤ただし
色彩設計:手嶋明美
特効監修:谷口久美子
撮影監督:中村圭介
編集:たぐまじゅん
音響監督:えびなやすのり
音楽:岩崎琢
アニメーション制作:WHITE FOX

<CAST>
鑢七花:細谷佳正
とがめ:田村ゆかり
鑢七実:中原麻衣
真庭蝙蝠:鈴木千尋
ナレーション:池田昌子



<あらすじ>
第一話 絶刀・鉋

刀を使わない剣術・虚刀流の七代目当主・鑢七花と、その姉・鑢七実は、地図にも載らない無人島・不承島で平和に暮らしていた。
そこへ、奇策士を自称する、とがめという女性が訪ねてくる。
幕府の役職者であるという彼女の目的は、伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が、その人生をかけて完成させたという十二本の完成形変体刀の蒐集を、虚刀流の当主に依頼する事だった。
長い間来訪者の無かった島への突然の来客と意外な依頼に戸惑う七花と七実。
そして、そんな彼らに、暗殺専門の忍者集団「真庭忍軍」十二頭領の一人・真庭蝙蝠の影が忍び寄る…。


>>『刀語』公式サイト


(C)西尾維新・講談社 /「刀語」製作委員会

鑢七花

鑢七花

とがめ

とがめ

鑢七実

鑢七実

真庭蝙蝠

真庭蝙蝠

(C)西尾維新・講談社 /「刀語」製作委員会
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