『ヨルムンガンド』EDテーマ担当・やなぎなぎさんの素顔に迫る

『ヨルムンガンド』EDテーマ担当・やなぎなぎさんの素顔に迫る

 ネット発の本格派シンガーソングライター・やなぎなぎさんのメジャー第2弾シングル『Ambivalentidea』が2012年6月6日(水)にリリースされる。

 今年2月にシングル『ビードロ模様』(テレビアニメ『あの夏で待ってる』エンディング・テーマ)でメジャー・ソロデビュー。4月に麻枝 准さんとのコラボレーションアルバム『終わりの惑星のLove Song』を発表――と精力的な活動を続けている彼女の新作は、テレビアニメ『ヨルムンガンド』のエンディング・テーマ。幻想的な世界観と崇高な歌声が印象的な、前作とは違ったアプローチの作品となっている。

 今回、アニメイトTVでは 新作の話に併せて「これまでの歩み」についても振り返ってもらい、やなぎなぎという音楽家の素顔に迫った。

やなぎなぎさん

やなぎなぎさん

●もともと音楽を仕事にするつもりはなかったんです、でも「音楽を作ってなきゃやっていけないかも」って

――アニメイトTVでは初のインタビューなので、新作の話に加えてこれまでのお話も聞いていきたいんですが、まず、やなぎなぎさんが音楽に目覚めたきっかけは?

やなぎなぎさん(以下、やなぎなぎ):小学生のころ、近所の人が捨てる予定のオルガンを母がもらってきて、それを弾き始めたのがきっかけで楽器に興味を持つようになりました。で、中学2、3年のころに兄がDTMのソフトを買ってきて、私も一緒になって遊んでいるうちに作曲もするようになって……。

――へぇ! そのときにすぐ曲を作れたんですか?

やなぎなぎ:一応作れました。なかなか作れない時期もあったんですけど……適当に鍵盤を弾いているうちに曲が出来てたりして。

――すごいですね。ちなみに当時はどんな音楽を聴かれていたんですか。

やなぎなぎ:中学のとき、ラジオで新居昭乃さんの曲を聴いてすごく衝撃を受けて。周りのひとたちはJ-POPを聴いていたんですが、私は「自分の知らない世界観を持った音楽」に惹かれたんだと思います。

――聞くところによると、やなぎなぎさんはムーム(アイスランドのエレクトロ・ユニット)も好きだとか。

やなぎなぎ:そうなんです。もともとエレクトロニカがルーツだったりもするんですよ。今はポップス、アンビエント、インスト、アルゼンチン音響派(エレクトロニカ、ポスト・ロックなどのアルゼンチンの音楽家)などを聴いていて……。いろいろなところから影響を受けて今の音楽になっていったんじゃないかなと。

――アルゼンチン音響派まで! 幅広いですね。やなぎなぎさん自身、どういう音楽性を標榜にしたいと思っていたんですか?

やなぎなぎ:私がやりたいのは童話みたいな音楽で、それは昔から変わらないんです。そのなかにも景色、色、におい、温度が分かるような曲を作りたいなと思っています。

――なるほど。では話を戻して、曲を作るようになってからどのように活動してきたのか、改めて教えてください。

やなぎなぎ:高校生になって「自分の曲をどうやったら発表できるのかな」と思いはじめたんです。で、身近にあったのはネットで、今はもうないんですけどヤマハの「プレイヤーズ王国」(音楽コミュニティサイト)というサイトに坂本真綾さんのカヴァーをあげてみたんです。そしたらリスナーの方からメッセージをいただいて「私の音楽を聴いてくれるかたがいるんだな」って。「じゃあオリジナル曲も出してみようかな」と思って、オリジナル曲もアップするようになって……。で、そのあとも曲をずっと投稿してたんですけど、いつの間にか就職の時期になってたんですね。でも、就職のことを考えているとストレスがたまってくるので(苦笑)、息抜きに動画投稿サイトに曲をあげたりして。

――そんな中、やなぎなぎさんの人生の転機はいつ訪れたんですか?

やなぎなぎ:一度就職をしたんです。それで東京に出てきたんですけど……今思うとそれが大きな転機でした。今までは関西で活動していたんですけど、東京に来てネットの向こうでやり取りをしていたひとと実際に会って音楽をできるようになったり、supercell(『君の知らない物語』などの曲にゲストボーカル参加)の音楽に出会ったりとか……一気にいろいろなことが起きていったんです。……もともと音楽を仕事にするつもりはなかったんですけど、仕事する傍ら音楽を作っていたら「私、音楽を作ってなきゃやっていけないかもしれない」みたいな思いが芽生えるようになって……。

――それで本格的に活動するようになったんですね。プロとしてデビューしたことで、意識的なモノにも変化はありました?

やなぎなぎ:ありました。今までは好きな歌を好きなように歌ってきましたけど、すごい人数のかたが私の作品に関わってくれるようになって、聴いてくださるかたも一気に増えて……自分の伝えたい音楽をやるのは当然なんですけど、ちゃんと伝わるように歌いたいなっていうか……自分を客観的に見るようになりましたね。

――実際メジャー・デビューのお話がきたときの心境っていうのは?

やなぎなぎ:嬉しかったんですけど、実感が沸かなくてフワフワしてましたね(笑)。でもデビュー曲『ビードロ模様』をリリースして、たくさんの反響をいただいて10代のかたにも知ってもらえるようになったりして……すごく嬉しかったです。



●「温かさや冷たさが入り混じっていて面白い曲だなと」

――では今回のタイトル曲『Ambivalentidea』(作詞:やなぎなぎ/作・編曲:bermei.inazawa)はどういう気持ちで書いた曲なんですか?

やなぎなぎ:自分の持つ音楽性と作品の持っているテーマをうまく融合させたいなと漠然と思ってたんですが、今回は原作の漫画(『ヨルムンガンド』)で「矛盾」っていうひとつの大きなテーマがあったので、そこを私の歌詞で表現したいなと。……とは言え、なかなか難しいテーマなのですぐには書けませんでした(苦笑)。文学的というか……神話っぽい雰囲気にしたかったので、比喩や抽象的な言葉を多く取り入れました。辞書を片手にちょっとずつ言葉を繋げていって。

──確かに神秘的な雰囲気がありますよね。曲をもらったときはどんなイメージでした?

やなぎなぎ:前作とは全然違う、とにかく複雑な曲だなと(笑)。でもそのなかに温かさや冷たさが入り混じっていて面白い曲だなと思いました。冒頭は教会のなかで女の子がひとりでポツポツ歌っているようなイメージで、後半は神様にたてつく様な激しさがあって……。

──後半はかなりダイナミックに展開していきますよね。そんなドラマティックな流れがある中で凛としたメロディーが際立っていて。

やなぎなぎ:そうですね。本当に美しいメロディーで、人間的じゃないというか……ある意味楽器的な働きをしているメロディーだな、と。

――不思議な響きのタイトルですが、どういう意味なんですか?

やなぎなぎ: 「Ambivalent」と「idea」という2つの単語を組み合わせた言葉なんです。 「Ambivalent」は二律背反、矛盾って意味で、「idea」は哲学用語で「姿・形」って意味を持っていて……視覚化した矛盾っていう意味でこのタイトルにしました。

――この楽曲は『ヨルムンガンド』のエンディング・テーマとなっていますが、やなぎなぎさんから見た『ヨルムンガンド』の魅力はどんなところだと思いますか?

やなぎなぎ:扱っているテーマは重いんですけど、難しく感じさせないというか。キャラクターひとりひとりの個性が立っていますし、表情も豊かなので、すごく入りやすいんですよね。普段の私だったら読まないようなジャンルなんですけど、そんな私でものめりこんじゃうくらい面白いお話です。

――続くM-2の『白くやわらかな花』(作詞:やなぎなぎ/作・編曲:bermei.inazawa)も『ヨルムンガンド』4話のエンディングを飾っていて。『Ambivalentidea』と繋がってるような、幻想的で透明感のある曲ですよね。

やなぎなぎ:そうですね。この曲はinazawaさんに「思うように書いてください」ってお願いして。私はいただいた曲からインスピレーションを受けて歌詞を書いていったんですけど……女の子が雨に打たれながら空を見上げてるようなイメージで……その女の子の人生をテーマにした曲です。

――この「白くやわらかな花」って言葉はその女の子のことをたとえるんでしょうか?

やなぎなぎ:そうですね。お花を女の子にたとえてずっと詞曲を書いています。

――3曲目の『halo effect』(作詞:やなぎなぎ/作・編曲:飛内将大)は一転してエネルギッシュでポップな曲ですよね。でも、歌詞では深いところに切り込んでいて。

やなぎなぎ:そうですね。一気にカラーが変わるんですけど(笑)。これは本来私がやっている曲に近い曲というか。 「halo effect」は光背効果って意味で──ちょっと言葉にしにくいんですけど、例えば有名大学を出ている人に対して「じゃあ性格も良くてスポーツもできるのかな?」って歪んだ評価をする傾向のことです。ポジティヴな効果もあるんですけど、逆に「この女優さんがCMに出てるならこの化粧品は買わない」みたいなネガティブなこともあって……。そういう人間の心理をテーマにしたいと思っていたので、今回書いてみました。

――着眼点が面白いですね。人間のそういうドロドロした部分にやなぎなぎさん自身が惹かれるところがあるんですか? 例えばさっき話に上がったムームもけっして明るい音楽だけではないですし。

やなぎなぎ:そうかもしれません。人間の心理って面白いなって思うんですよ。自分もかげりのあるモノが好きなのでそういったモノに自然と惹かれるんだと思います。

──今後もいろいろな曲が出てきそうですね。では今回のシングルを通して聴かれたときの感想は?

やなぎなぎ:シングルとは思えないボリュームになったので、1本の映画を観たときのような脱力感があるというか(笑)。「こういう音楽もやるんだ!」って知ってもらえるんじゃないかなって思います。

──最後に今後の展望を教えてください。

やなぎなぎ:自分の曲だけを作っているとどうしても沈みがちなんですけど、今回の『ヨルムンガンド』にしかり、前回の『あの夏で待ってる』にしかり……外からの刺激をもらうことで自分の世界を広げられるんですよね。だから自分の知らない世界にもっと触れていきたいですね。それでインプットしたものをアウトプットできるようになっていきたいです。

――ありがとうございました!


◆『Ambivalentidea』/やなぎなぎ
発売日:2012年6月6日(水)
価格:1,260円(税込)
初回限定購入者特典:「Ambivalentidea」オリジナルポストカード(サイン入り)
※一部販売店、通販サイトではお取り扱いがない場合もございますのでご予約、ご購入、詳細については事前にご確認ください。

【収録曲】
1: Ambivalentidea
作詞:やなぎなぎ作・編曲:bermei.inazawa

2:白くやわらかな花
作詞:やなぎなぎ/作・編曲:bermei.inazawa

3: halo effect
作詞:やなぎなぎ/作・編曲:飛内将大

4: Ambivalentidea (instrumental)

5:白くやわらかな花(instrumental)

6: halo effect(instrumental)


[インタビュー&文・ 逆井マリ]

>>やなぎなぎ Official Website
>>テレビアニメ『ヨルムンガンド』公式サイト

<b>『Ambivalentidea』/やなぎなぎ</b><br>発売日:2012年6月6日(水)<br>価格:1260円(税込)

『Ambivalentidea』/やなぎなぎ
発売日:2012年6月6日(水)
価格:1260円(税込)

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