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『吉田尚記がアニメで企んでる』第3回レポート・ゲスト長濵博史監督

『吉田尚記がアニメで企んでる』、第3回放送のゲストは話題沸騰『惡の華』や『蟲師』の長濵博史監督

 アニメクリエイターをゲストに招き、制作現場の裏側を紹介するバラエティートーク番組「吉田尚記がアニメで企んでる」。司会はアニメ好きとして知られるニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さん。NOTTVで毎週火曜20:00~20:58に生放送中(再放送は日曜12:00~12:58)。ニッポン放送では毎週日曜25:30~26:00でダイジェストを放送している。

 4月30日の放送第3回目の番組は、現在放送中のアニメ『惡の華』や『蟲師』、『デトロイト・メタル・シティ』などを手がけている長濵博史監督。実は長濵監督は吉田アナと親交が深く、プライベートでも定期的に会っている仲だそうだ。

■完成度が異常に高い『蟲師』の制作現場

 オープニングトークが終わり、いよいよゲストの長濵監督がスタジオに登場。吉田アナは長濵監督と旧知の仲ということもあり、「トークの内容がキケン」という素顔を紹介した。

 トークのテーマは漆原友紀氏のマンガをアニメ化した『蟲師』について。長濵監督はアニメ制作に入る前に漆原氏と何度も打ち合わせをし、原作のすべてを知り尽くしてから作業に入ったそうだ。番組中に紹介された一例は、マンガのコマとコマの間の経過時間について。普通にマンガを読んでいたらさほど気にしない時間の概念も、映像化するときには重要。長濵監督は徹底的に調べ抜いてからアニメを制作したのだ。

 このような『蟲師』の完成度の高さについて吉田アナは絶賛しつつ、ひとつのエピソードを紹介した。それはアニメ制作の大詰めの「撮影工程」の話だった。とある森のシーンで、背景が斜めに1度だけ傾いていたそうだ。たった1度なので、普通に見ていたら気づかない。しかし、それを発見した長濵監督はスタッフに指摘し、修正を依頼した。スタッフは「1度の傾きは誰も気づかない」と妥協するように促すが、長濵監督は「直しても誰も気づかないなら直してくれ」と主張を曲げずに指示を出したそうだ。
 この話について吉田アナは、「『蟲師』の異常な精度のヒミツが理解できた」と感想を述べていた。

■採算度外視でロトスコープを採用した『惡の華』

 続いては現在放送中のアニメ『惡の華』について。この作品は実写映像からアニメを作る手法「ロトスコープ」で作られている。ディズニー映画などでは昔から使われている手段だが、テレビアニメでは初めての試みだと言われている。アニメを作る前に実写映像を撮影しなければいけないため予算がかかる手法だが、長濵監督は採用した。その理由は、『惡の華』をアニメ化するのにベストな表現方法だったと語っていた。これは原作者の押見修造氏も同意している。

 そんなロトスコープが話題となった『惡の華』だが、放送直後は視聴者から否定的な意見も多かった。長濵監督は「気持ち悪いと言われるのは予想していました。でも、忘れられるよりも、なんか気持ち悪いのやってると、記憶に残る作品を作りたかった」と心境を語った。さらに長濵監督は、「気持ち悪い・嫌いと言ってくれるのは、それだけちゃんと見てくれていることだ」と付け加え、視聴者に感謝していた。

■用意されたVTRを2本も残してタイムオーバー!

 長濵監督と吉田アナの話が盛り上がりすぎたせいで、1時間の生放送は終盤に……。予定では放送中に4本のVTRを紹介するハズだったが、たった2本しか紹介されなかった。放送終了間際、吉田アナは「時間がなくなっちゃったので、近いうちにまたゲストに来てください!」と、まだまだ話し足りない様子。突然出演依頼された長濵監督も、困ることなく「いいですよ」と快諾していた。今回見られなかった2本のVTRは、再びゲストに登場するときに見られるのか? 期待したい!


■放送終了直前に「佐伯奈々子(!?)」が登場

 なお、放送最後のコーナーでは、ニッポン放送で放送されている当番組の再編集番組の告知。今回の放送のまとめをホワイトボードに貼り付け、ディレクターの石川氏が登場したのだが、なんと『惡の華』の佐伯奈々子の体操服コスプレをして登場。お世辞にもかわいい……とは言いがたいその姿を見た吉田アナは爆笑しつつも、ラジオ番組の告知を行なった。なお、ニッポン放送の『吉田尚記がアニメで企んでる』は、毎週日曜日、25:30~26:00だ。こちらも要チェックだ。

■放送終了後、ゲストの長濵博史監督にインタビュー!

──生放送に出演した感想をお聞かせください。

長濵博史監督:吉田さんとはプライベートでもお話をさせていただくことがあるのですが、ここまで人に見られるのを意識して話すことはなかったので新鮮でしたね。

──普段はどのようなお話をされるのですか?

長濵博史監督:もっとグダグダしてますね。飲み屋トークなので、普段は言っちゃいけないようなことをいっぱい話してます。特に吉田さんが(笑)。

──今日の番組について伺います。事前にVTRが4本用意されていたのですが、番組中はトークが盛り上がってしまったので、2本しか見られませんでした。

長濵博史監督:本当にすみません!

一同:(笑)

長濵博史監督:いつも番組やイベント、取材などでお話をさせていただくときは、事前に話す内容は決めて行かないようにしてるんです。話す内容を考えると、「こういうことを言ったら誰かが喜ぶんじゃないか」とか、本当に話したい内容とは違うことを言ってしまいます。やはりトークは、ありのままじゃないと信用してもらえませんから、その場で思いついたことを話すのがいいです。

──番組の最後に吉田アナが、「近いうちにまたゲストに呼ぶ」と言っていましたが、本当にまた来てくださいますか?

長濵博史監督:もちろんオーケーです! 次回も話す内容はまったく考えないで来ます。

──今日のトークで「自分の作品を嫌いでもいいから、とにかく見てほしい」とおっしゃってましたが、アニメファンに、どのような感情を持ってほしいですか?

長濵博史監督:「おもしろかった」、「好きです」と言ってくださるのはすごくありたがいです。でも、見た後に「アニメの見方が変わった」とか「生活が変わった」とか、そう言ってもらえるのが一番嬉しいです。生きている誰かの人生に、僕の作品が少しでも関われたような気がしますから。

──アニメを作るときに、一番気をつけるところは?

長濵博史監督:「自分が妥協しないこと」ですね。妥協しちゃえばラクになる場面はいくらでもあるんです。でも、「これくらいでいいんじゃないですかね?」と言われたとき、それに乗ってしまったら誰の心にも残らない作品になってしまいます。

──妥協しないでお仕事をされているとストレスが溜まりそうですね。息抜きはしていますか?

長濵博史監督:息抜きはしてますよ。映画『アイアンマン』を観に行ったり(笑)。アメコミが大好きなので、アメリカのイベントに行けばアメリカのおもちゃをいっぱい買ってきます。

──番組中、「実写も好き」とおっしゃってましたね。

長濵博史監督:大好きなんですよ。昔はそれほど多くありませんでしたが、ここ最近は自分の仕事の責任が重くなるのに比例して、アメコミの映画がすごく増えてきてるんです。だからぜんぜんストレスは溜まりません(洗)。『アイアンマン』だけじゃなくて『アベンジャーズ』も『スポーン』も『ダークナイト』も、全部好きです。

──本当にお好きなんですね。そういったアメコミヒーローの実写映画作品を見て、お仕事に役に立つ要素はありますか?

長濵博史監督:たくさんありますね。ハリウッドで作られた映画の『アイアンマン』や『X-MEN』などは、原作をちゃんと理解した上で、もう一回新たに構築しているんです。原作とは違うんだけど、原作よりもおもしろい。そういった意味では、愛が感じられれば原作の改変もファンには認められると思います。僕がアメコミファンで、映画も見てますからね。

──それだけアメコミヒーローがお好きだったら、アメコミのお仕事をしてみたくなりませんか?

長濵博史監督:ものすごくしてみたいです。ですが、チャレンジしてみたい反面、アニメには向いてないかもしれないとも思います。作るとしたら、実写作品に関わりたいですね。キャラクターの設定を考えたり、とても楽しそうです。

──では、アニメ監督として、やってみたい作品はありますか?

長濵博史監督:やりたい作品はいくつもあるのですが、特に『寄生獣』と『デビルマン』をやってみたいです。それと、小山ゆう先生のマンガ『愛がゆく』も作ってみたいです。この作品は超能力のマンガなんですけど、昔からやってみたいなと思ってるんです。

──間違いなく書かせていただきます! もし関係者の方が読んでいてアニメ化に興味があったら、連絡していただきましょう。『寄生獣』のアニメ化は難しそうですね。

長濵博史監督:『寄生獣』はすばらしい作品です。本当に作ってみたいです。あの作品のアニメ化はとても難しいですけど、やったらゼッタイに上手くいきますよ!

──すごい自信ですね。なにかアイデアでも?

長濵博史監督:まぁね(笑)。ゼ~~ッタイにおもしろいアニメができますよ!!

一同:(爆笑)

──では、近い将来、またゲストにいらっしゃったとき、放送中にも語ってください。期待しています! ありがとうございました。

【番組概要】
「吉田尚記がアニメで企んでる」
NOTTV 毎週火曜 20:00~20:58 生放送 (再放送:毎週日曜 12:00~12:58)
ニッポン放送 毎週日曜 25:30~26:00 

今後のゲスト
6月4日(火)「言の葉の庭」新海誠監督
6月11日(火) 「009 RE:CYBORG」 神山健治監督

<放送内容>
“今、自分がいちばん見たい番組を作る”というコンセプトのもとに吉田尚記が話題のアニメに仕掛けます!
 
アニメ界にその名を轟かすカリスマアナウンサー、ニッポン放送の吉田尚記(よしだひさのり)が“今、自分がいちばん見たい番組を作る”というコンセプトのもとに、ラジオだけではできない、テレビだけでもできない、NOTTVだからできる「企み」を話題のアニメ作品に仕掛けていきます。
作品作りにこだわりぬいたクリエイターの核心に迫るアニメファンのためのアニメ新番組。
 
<出演者>
吉田尚記
 
<ツイッターハッシュタグ>
#よアニ

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(C)押見修造・講談社/「惡の華」製作委員会
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