神谷浩史さんを中心とした多数のキャストが登場した『夏目友人帳』音楽朗読劇「SOUND THEATRE x 夏目友人帳 ~集い音劇の章~」レポート
2013年9月28日(土)、東京・千代田区の東京国際フォーラムにおいて、音楽朗読劇「SOUND THEATRE x 夏目友人帳~集い音劇の章~」が実施された。
「SOUND THEATRE」とは、劇作家の藤沢文翁さんが立ち上げた演劇プロジェクトだ。朗読に“音楽”や“香”などの新たな要素を組み込んだ、五感を刺激する独特な演出が特徴となっている。今回のイベントは、そんな「SOUND THEATRE」と『夏目友人帳』とのコラボによって実現した音楽朗読劇である。
劇中には、主人公の「夏目貴志」を演じる神谷浩史さんや、主人公と行動を共にする妖怪「ニャンコ先生/斑」役の井上和彦さんをはじめとした、テレビシリーズのキャスト陣が出演し、『夏目友人帳』の物語を作り上げていた。イベントは昼公演と夜公演の2回に分けて行われたが、本稿ではその中で夜公演の様子をお届けしていく。
・夏目貴志役:神谷浩史
・ニャンコ先生/斑役:井上和彦
・西村 悟役:木村良平
・北本篤史役:菅沼久義
・牛顔の中級妖怪役:下崎紘史
・杉野章史/犬/崇徳院役:浜田賢二
・少女/サヨ役:寺崎裕香
●アニメ版とも原作版とも違う『夏目友人帳』の新しいかたち
会場として使用されたのは、東京国際フォーラムのホールA。5000人以上を収容可能なイベント会場は、見事に満員。アニメのイベントとしては、比較的来場者の年齢層も高い様子で、開場前のざわつきも少ないように感じられた。
来場時のステージは雨音に包まれており、まだ“開幕前”であることを示していた。その様子は、なんだか厳か……というと少し言い過ぎかもしれないが、静かで落ち着いた様子であった。まだ開幕前だというのに、洒落た演出である。
今回の演劇は、昼・夜ともに二幕構成で行われた。その第一幕として披露されたのは、アニメ第一期でも放送されたエピソード「儚い光」をベースにした、音劇版「儚い光 ~きずな~」。夏目が、とある沼で出会ったホタルの妖と、かつて妖を見ることができ、ホタルと親交が深かった杉野章史という人間のエピソードだ。人気が高いストーリーだけあって、覚えているファンも少なくないだろう。
先に「SOUND THEATRE」の特徴は“音や香りによる演出”であると紹介していたが、今回はそれに加えて、会場である東京国際フォーラムの特色も最大限活かされていた。舞台の背後には巨大なLEDモニターが用意されており、背景や蛍の光、花火のイメージを映し出すことで、視覚的にも充実した演出が加えられていたのだ。様々な意味で、アニメとも原作とも違った、新たな表現方法の『夏目友人帳』を垣間見ることができた。
第一部に続いては、20分ほどの休憩を置いた後に、松山鷹志さんと下崎紘史さん演じる、一つ目の中級妖怪&牛顔の中級妖怪がグッズを会場にばらまく、散餅の儀ならぬ“散グッズの儀”が行われた。来場者全員がグッズを受け取らんと手を伸ばし、劇中とは一転して会場はお祭りのような雰囲気に。
そんな賑やかな幕間を終えると、続けては音劇版オリジナルのストーリーである「偽り神」が披露された。こちらは、古物商に眠る掛け軸のツクモ神である「崇徳院」と、店の一人娘「サヨ」のエピソードだ。
オリジナルストーリーとは言いつつも、その空気感はまさに『夏目友人帳』そのもの。他メディアでの展開によくある、オリジナル独特の違和感は無く、しかし「SOUND THEATRE」らしい舞台に仕上がっていた。
終始『夏目友人帳』という作品の空気感を崩すこと無く。それでありながら、多彩な演出で朗読を彩ってくれていたこのステージは、来場したファンにとっては忘れられない体験となったことだろう。
「SOUND THEATRE」と『夏目友人帳』の共演は、来年2月に発売されるOVAに収録される予定だ。実際に観劇することができなかった人は、まずはこちらの発売を待つこととしよう。
◆BD&DVD『いつかゆきのひに』&『SOUND THEATRE x 夏目友人帳~集い 音劇の章~』
発売日:2014年2月5日(水)
価格:完全生産限定版Blu-ray 7,560円(税込) / 完全生産限定版DVD 6,510円(税込)
【収録内容】
Disc.01:新作OVA「いつかゆきのひに」
Disc.02:SOUND THEATRE×夏目友人帳~集い 音劇の章~
★特典映像「ニャンコ先生とはじめてのおつかい」(Disc.01)
【完全生産限定版特典】
●描き下ろし三方背ケース
●ニャンコ先生デジタルコンテンツCD-ROM
●カラーブックレット
>>『夏目友人帳』パッケージ情報サイト
>>『』公式サイト
撮影:藤田政明・野田孝(藤田写真事務所)