順!! 大好きだよ!!――映画『ここさけ』水瀬いのりさんら声優陣の“今、心が叫びたがっていること”

　映画『心が叫びたがってるんだ。』(以下、『ここさけ』)公開初日を迎えた9月15日(土)、東京・新宿バルト9にて初日舞台挨拶が行われました。メインスタッフとして監督の長井龍雪さん、脚本の岡田麿里さん、キャラクターデザイン・総作画監督の田中将賀さん、キャストより水瀬いのりさん、内山昂輝さん、雨宮天さん、細谷佳正さん、そして劇中で母親役を演じた女優の吉田羊さんが登壇。

　本作は監督、脚本、キャラクターデザインの3人からなる“超平和バスターズ”が、TVアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』に続いて再びタッグを組んだ、埼玉県・秩父を舞台とした新作劇場アニメーションです。劇中では『Over the Rainbow』『Around The World』などの映画やミュージカルの名曲をはさみながら、高校生たちの葛藤や心の傷を描いています。

■ 内山昂輝さんとの競演に、嬉しさのあまり細谷佳正さんがフライング!?

　登壇したみなさんは、まず観客に向けて、朝早くから劇場に足を運んでくれたことに感謝の気持ちを述べました。ヒロインの成瀬順を演じた水瀬いのりさんは、「今回はオーディションを受けて合格した役でした。声を出すことのできないヒロインで、自分の思ったままの順を演じたけれど、受けたときは自信がなかったんです。でも、合格できて、今この作品で順という女の子を演じられて本当に幸せです」と喜びの声を伝えました。

　坂上拓実役の内山昂輝さんは「オーディションの結果を、別の作品の収録をしているときに細谷さんから聞いたんです(笑)。ウソだったら立ち直れなかったけど、本当でよかった」と小さなハプニングを告白。これには田崎大樹を演じた細谷佳正さんは「内山さんとはいつか一緒に演じたいと思っていたので、その気持ちのあまりにフライングしてしまいました」と返していました。

　仁藤菜月役の雨宮天さんからは「私はもともとオーディションで順を受けて、そのための練習を家でもしていたんですが、当日に『菜月も受けて』という話になって……その場で急いで台本をチェックして、まさか決まるとは思っていなかったので驚きました」と、オーディションの裏側を垣間見せるエピソードも。

　本作が初のアニメーション・アフレコ作品となったのが、順の母親である成瀬泉を演じた吉田羊さん。「普段やっているお芝居は感情を積み上げる『足し算のお芝居』でしたが、今回は逆の『引き算のお芝居』。観ている人に『泉の声』としてだけ届けるのが違うところでした。キャストの皆さんの声を聞くと、キャラクターの姿がふわっと浮かぶじゃないですか。尊いお仕事だなと思いましたね」と感想を述べました。

■ 登壇者たちの“今、心が叫びたがっていること”

　また、トークセッションでは登壇者の「今、心が叫びたがっていること」も発表。監督の長井龍雪さんは「時間が欲しい」と切実な叫び。「今、まさに欲しいですよね。これから全国の劇場を舞台挨拶でまわる水瀬さんについていきたいくらいなんですけど……」

　水瀬いのりさんは、ここでもヒロインの順への愛情を爆発させます。「『順!!大好きだよ!!』ですね。今まで叫ぶのを封じていたけれど、公開初日を迎えて誰よりもこれを叫びたいです。期待作のヒロインでプレッシャーも多かったのですが、今ここにいる景色は順が連れてきてくれた証です」

　一方で、雨宮天さんは「『新しいマットレスが欲しい!!』……知人からダブルベッドを2年ほど前に譲り受けたのですが、マットレスは以前使っていたシングルサイズのままなんです。そろそろ寒くなってきたのでダブルのマットレスが欲しいな……」とマイペースに日頃の悩みを打ち明けます。これには登壇者からもツッコミが入りつつ、「じゃあ、監督！」と振られると、長井龍雪さんは「作品がウルトラ大ヒットしたら2枚でも3枚でも！」と返し、会場は笑いに包まれました。

［文＝松本塩梅］

■作品情報
映画『心が叫びたがってるんだ。』
公開：2015年9月19日

【STAFF】
原作：超平和バスターズ
監督：長井龍雪
脚本：岡田麿里
キャラクターデザイン・総作画監督：田中将賀
音楽：ミト（クラムボン）
演出：吉岡忍
美術監督：中村隆
プロップデザイン：岡真里子
色彩設計：中島和子
撮影・ＣＧ監督：森山博幸
編集：西山茂
音響監督：明田川仁
企画・プロデュース：清水博之・岩田幹宏
プロデューサー：斎藤俊輔
アニメーションプロデューサー：賀部匠美
製作代表：夏目公一朗・植田益朗・清水賢治・中村理一郎・久保雅一・落越友則・坂本健
製作：「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会
（アニプレックス／フジテレビジョン／電通／小学館／A-1 Pictures／ローソン／ローソンHMVエンタテイメント）
制作：A-1 Pictures
配給：アニプレックス
宣伝：KICCORIT

【CAST】
成瀬順：水瀬いのり
坂上拓実：内山昂輝
仁藤菜月：雨宮天
田崎大樹：細谷佳正
城嶋一基：藤原啓治
成瀬泉：吉田羊

【STORY】
心の殻に閉じ込めてしまった素直な気持ち、本当は叫びたいんだ。

幼い頃、何気なく発した言葉によって、家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。そして突然現れた“玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないようお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。それ以来トラウマを抱え、心も閉ざし、唯一のコミュニケーション手段は、携帯メールのみとなってしまった。

高校2年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは、全く接点のない3人のクラスメイト。本音を言わない、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を持っていた。

担任の思惑によって、交流会の出し物はミュージカルに決定するが、クラスの誰も乗り気ではない様子。しかし拓実だけは、「もしかして歌いたかったりする？」と順の気持ちに気づいていたが、順は言い出せずにいた。そして、だんまり女にミュージカルなんて出来るはずがないと、揉める仲間たち。自分のせいで揉めてしまう姿を見て順は思わず「わたしは歌うよ！」と声に出していた。

しかし、発表会当日、心に閉じ込めた“伝えたかった本当の気持ち”を歌うと決めたはずの順だったが…。

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