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『テイルズ オブ リンク』ディレクター直井さんインタビュー前編

オリジナルキャラクターのキャスティングの裏には意外な作品の影響が……? スマートフォンアプリ『テイルズ オブ リンク』ディレクター直井啓訓さんインタビュー!

 ユーリ・ローウェル(CV:鳥海浩輔さん)、ルーク・フォン・ファブレ(CV:鈴木千尋さん)などの『テイルズ オブ』シリーズの歴代キャラクターが総登場するスマートフォンアプリ『テイルズ オブ リンク』(以下、リンク)。株式会社バンダイナムコエンターテインメント配信の当アプリがスタートして3年目を迎え、3月末にはVer.3.0となる大型アップデートも行われ、大きな盛り上がりを見せています。

 そんな『リンク』といえば、アプリとしては異例とも言える、読み応え抜群のシナリオも見所の1つ。メインストーリーの最新章となる第4部が配信されたばかりの中、本作のシナリオ全般を担当するバンダイナムコスタジオの直井啓訓さんを直撃! 気になるアレやコレを聞いてみたインタビューの前編をお届けします。

 前編では、シナリオへの取り組みや、『リンク』オリジナルキャラクターのキャスティング秘話、そして直井さんの『テイルズ オブ』への愛に直撃した模様をお楽しみください。


■ 『リンク』では「皆が見たい」と思う流れを優先する

──まずは、簡単な自己紹介からお願いします。

直井啓訓さん(以下、直井):元々はナムコに入社して、パックマンなどのタイトルや乙女ゲームの『今日からマ王!』などにも関わったりしていました。『テイルズ オブ』に関わり始めたのは6年ほど前からで、オンラインの『テイルズ オブ 大富豪』が最初です。その後は、『テイルズ オブ ザ ヒーローズ ツインブレイヴ』『テイルズ オブ ハーツR』などの作品にディレクターとして参加し、『リンク』では立ち上げから1年間はディレクター、現在はメインシナリオの作成とシナリオ演出、併せてリンクオリジナルキャラが中心となるイベントシナリオの作成、その他の部分にはアドバイザー的な立ち位置で関わっています。


──『テイルズ オブ リンク』では具体的にどのような仕事を?

直井:『リンク』は、株式会社アカツキさんと共同で開発しているタイトルで、それぞれに運営ディレクターがいるのですが、僕はそのバンダイナムコスタジオ側として、『テイルズ オブ』としてのツボやお客さんへの届け方などを提案せていただいています。その途中で制作プロデューサーから「シナリオにもっと力を入れた方がいいんじゃないか」という話が出たので、「なら自分に挑戦させて欲しい」と(笑)。


──それはシナリオのプロットとかではなく……?

直井:はい、ほぼシナリオライターのような感じで、実際にゲームに表示されるテキストを書いています。先ほどお話した「今日からマ王!」の一部のサブイベントや、「テイルズ オブ ハーツR」の特典スキット等も一部書いていた事と、会社に入る前、演劇の台本を書いたりもしていたので、その時の経験が生きていますね。

──サービス開始から2年が経過した『リンク』ですが、何か印象深い思い出などはありますか?

直井:最初はチビキャラ達がテンポよく戦う、独特なゲーム性を楽しんでもらおうというところからスタートしたんですが、『テイルズ オブ』ですし、シナリオの部分でも楽しんでもらいたいと思い、「楽しませたら勝ち」だとばかりに、色々とシナリオに色をつけるようになったんです。そうしてはじけたギャグをやったり次は逆に超シリアスに、とやっていったら、プレイヤーの皆さんがストーリーを結構読んでくれるなということに気付いて。

2年前というと、まだまだアプリゲームのシナリオはあってないものが多かったのですが、やっぱりストーリーというのは『テイルズ オブ』の大きな魅力ですから、真剣にスマホに向き合いたくなるような物語を作りたいと考えるようになったんです。プレイ時間を割いていただく以上、思い出としてしっかりと心に残るものを提供したいというこだわりで作ったのが第3部だったので、多くのお客さんに受け入れていただけたのは嬉しかったですね。

──アプリとコンシューマゲームでは、シナリオの作り方が違うのでしょうか?

直井:最初の頃はタップ数がなるべく少なく済むような軽いシナリオがいいかなと思っていたのですが、長くても読もうと思う人は読んでくれることがわかったんです。途中から次第に普通のアドベンチャーゲームとほとんど変わらないやり方になっていきましたね。ただアプリの場合、プレイヤーさんが電車などでプレイしていて、内容を読み飛ばしてしまっている場合などもあるので、忘れてしまいそうなことを直前で言い直したり、頭の一行だけでも状況を理解できるように心がけてます。あとは、長すぎる台詞を入れてプレイのテンポ感を損なわないことですね。


──シナリオの中でこだわったポイントなどはどこでしょうか?

直井:忘れられないキャラにしよう、という部分ですかね。僕の中で、『テイルズ オブ』シリーズのキャラクターはこうあるべきだ、というこだわりがあります。もちろん僕も『テイルズ オブ』のファンなので、ファンのみなさんがオリジナルキャラクターでも受け入れられるようなシナリオにすることを常に意識しています。そういう意味では、オリジナルキャラクターも僕が好きな『テイルズ オブ』のキャラクターを目指していた部分はあるかもしれません。

──なるほど。特に直井さんの思い入れが強いシリーズ作品はありますか?

直井:『デスティニー2』です。あのカイルの青臭さを親のような視点から「若いなぁ」と見守るのがいいんですよ!(笑)

──となると、好きなキャラクターも……。

直井:カイルとリアラになりますね。3部では、リアラにシナリオ上重要な役を背負ってもらったのですが、あの2人はセットでこそ伝えられる事があると思ったので、2人揃って『リンク』のメインストーリーにも出しました(笑)。最初のプロットでは3部の序盤で一度別れさせる予定だったのを、そのまま同行させています。同じように、話の都合よりも「皆が見たいだろう」と思う流れを優先するということは『リンク』ではよくありますね。そういったユーザーとの距離感を大事にしながら、要望にスピーディに対応したシナリオができるというのもアプリの良さなのかなと思います。


──ユーザーとの距離感を図るための試みなどもしているのでしょうか?

直井:うーん、こればっかりは肌感としか言いようがないですね。一応、2つほど意識しているポイントはあって、1つは単純に自分が好きかどうかということ、もう1つが「これがもし自分が好きな『テイルズ オブ』だったら、その展開はあってもいいのか」ということを見直すようにしています。


──常にファンとしての目線を忘れないようにしながら、自分自身も楽しむと。

直井:そうですね。楽しみであり、同時に苦しみもありますが(笑)。考えた末に、失敗する事もありますので……常に学びつつ! と、思っています。


■ 願いが叶ったキャスティング!?

──メインストーリーがほぼフルボイスというのも豪華ですよね。

直井:声優さんの演技があると物語の細かいニュアンスの伝わり方も違いますし、ユーザーさんも期待しているところだと思うので……。かなり労力は掛かっているのですが、大きなウリの1つですね。


──本作で登場するオリジナルキャラクターにも豪華声優陣が配役されています。このキャスティングについてもお話願えますか?

直井:まずヒロインのサラ。『テイルズ オブ』のキャラクター達にはいろいろなカップリングの人気がありますが、その根底は男女の仄かな青春的な、ボーイ・ミーツ・ガールがしっかりしているからこそだと個人的には思っています。サラも主人公の隣にいる女の子らしい女の子として設定しました。デザインは「冒険をする女の子」から活発なスポーツ系というイメージを膨らませていたので、ヒロインとして可愛らしく、かつ明るくて元気そうな声ということを考えていって、三上枝織さんにお願いしました。

ゼファー役の中村悠一さんに関しては、ゼファーを書いていて、強さと弱さを兼ね備えたキャラクターイメージを固めていく内に、このキャラクターは、中村さんしかいない、と思っていたんです。色々な作品で、そういう素晴らしい演技をされているのを見ていたので。ただ、シナリオのギミック的な部分があるので、最初は声を入れるつもりはなかったから、自分の頭の中でだけ中村さんの声で再生していたんです(笑)。プレイしてくれた皆さんがすごくゼファーのことを好きになってくれたので、その感謝の気持ちとして声をつけようという話になって、その時には他の方もいろいろ考えたんですが、どうしても中村さん以外に考えられず、打診してOKという連絡が来た時にはリアルにガッツポーズしましたね(笑)。

──ガッツポーズまで出ましたか(笑) 。

直井:リッピの野中藍さんは、マスコットキャラとして「かわいく、愛されて、かつ面白い」というキャラクターを目指して、それには女の子の声の方がいいだろうなと思ってお願いしました。一方で大事なご主人様のためなら悪は断たねばならないと冷徹な判断をする一面もあって、格好良さと可愛らしさのバランスを考えた時、野中さんが凄くイメージにぴったりでした。

カナ役の瀬戸麻沙美さんは、『ちはやふる』『TARI TARI』といった作品で真っ直ぐなキャラクターを演じていたイメージからキャスティングさせていただきました。瀬戸さん自身の気持ちが乗っているからだと思うのですが、凄く印象に残っていて。カナはとにかく真っ直ぐなキャラクターというのがテーマだったので、瀬戸さんに引き受けていただけた時は嬉しかったです。

シーザとレオーネは、後半にいくにつれ重要な役所になっていくので、重要な部分の感情を表現していただけるように森田成一さんと遠藤綾さんにお願いしました。遠藤さんは母性に溢れた女神的な役所に定評がありますし、森田さんは声の張りや演技のパワーが凄いので。2人にはこの先それぞれ、2人にしか出来ない役割をしてもらうので、そこで、凄いことをしてくれるんじゃないかなと思います。

──希望したキャスティングが、ほとんど叶ってしまったと。

直井:そうなります。今回は全部叶ってしまったようなものなので、決まった時はどれもガッツポーズしていましたね(笑)。


 といったところで前半は終了です。インタビュー後編では、『リンク』ならではの苦労や4部への展望などをお伺いしました。後編もお楽しみに!


◆「テイルズ オブ リンク」とは

・シリーズ歴代キャラが絡み合う完全新作シナリオとスピーディで爽快な新感覚戦略バトルが融合したRPG!
新たな世界観の中で、主人公達がテイルズキャラクター達と織り成す、天界より落ちた災厄の種との闘いを描いた物語をいつでもどこでも味わえる、新しい形の『テイルズ オブ』シリーズ。ストーリーに沿ったメインクエストを進行し、戦闘を行ってキャラクターを育成。メインクエストを進行させる事でストーリーイベントが発生!ストーリーイベントではボイスが再生されるものもあるから要チェック!

・新感覚“タッチリンクバトルシステム”を採用!
シリーズ初の合計12人パーティ(同時バトルは9人)を実現。キャラクターの足元にあるブレイブリンカーを指で繋ぎ、敵に攻撃を仕掛る。従来の『テイルズ オブ』シリーズさながらのキャラクターが入り乱れての乱戦感と、戦況にあわせたチームを作る戦略性により、新感覚の戦闘を体感する事ができる!

タイトル名:テイルズ オブ リンク
ジャンル名:RPG
販売価格:ダウンロード無料(一部アイテム課金)
配信先:App Store、Google Play
対応機種:iPhone 4s/iPhone 5/iPhone 5s/iPhone 5c/iPhone 6/iPhone 6 Plus/ iPad (第3、4世代)/ iPad mini
※iOS 6.0以上推奨※Android4.1以上※一部非対応機種あり
開発:株式会社アカツキ / 株式会社バンダイナムコスタジオ
配信:株式会社バンダイナムコエンターテインメント

タイアップ:株式会社バンダイナムコエンターテインメント

>>『テイルズ オブ リンク』公式サイト
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(C)いのまたむつみ
(C)藤島康介
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc. Developed by Akatsuki/BANDAI NAMCO Studios Inc.
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