声優
山寺宏一さん花江夏樹さんの師弟コンビへロングインタビュー【前編】

事務所で師弟関係を結ぶ熱い絆!! 『おはスタ』のMCを受け渡した山寺宏一さん、花江夏樹さんロングインタビュー!【前編】

 山寺宏一さんが所属するアクロスエンタテインメントが今年創業8周年を迎え、7月23~24日にイベント「ACROSS FESTA!!」を開催となります。

 このイベントに出演する山寺宏一さんと花江夏樹さんに、「師弟関係の絆」をテーマにインタビューを行いました。約3ヵ月前、山寺さんが18年半続けてきた朝の番組『おはスタ』のMCを花江さんに受け渡した心境や、MC交代までの経緯など、感動たっぷりのお話を聞かせていただきました。お二人のファンはもちろん、声優を目指している読者にとってもためになるお話です!

▲左より、山寺宏一さん、花江夏樹さん

▲左より、山寺宏一さん、花江夏樹さん

目次

『おはスタ』のバトンを渡した感想と、受け取った感想

――山寺さんから、『おはスタ』という大きな仕事を終えた感想と、花江さんにバトンを渡したときの感想をお聞かせください。

花江夏樹さん(以下、花江):面と向かって山寺さんに言われるのは恥ずかしいです(笑)。

山寺宏一さん(以下、山寺):ふたりでインタビューを受ける機会って、ほんとにないよね?

花江:はい。ありません。

山寺:こういう取材は初めてですね。そうそう、バトンね! 「バトン渡した」って聞かれましたが、『おはスタ』のバトンは渡しましたけど、他は一切渡してないです。僕もねぇ、別に声優業を引退するわけじゃないですから!

一同:(笑)

――もちろんそうです!

山寺:これからバリバリがんばらなきゃいけないんですよ。住宅ローンも残ってるしね(笑)。冗談はさておき、『おはスタ』に関してだけ言うと、18年半もやらせて頂いて、あれだけ華々しくというか、身に余るような素晴らしい花道を用意して頂きました。あのときは本当に「幸せ過ぎて死んじゃうんじゃないか」と思うくらいでした。花江にも週一でレギュラー出演してもらっていましたし。

花江:はい! 一年間ご一緒させていただきました。

山寺:なので僕の『おはスタ』の卒業を間近でずっと見ててもらったわけですけど、ほんと幸せでしたね。「こんなにすごいことをオレがやってきたのかな?」って思いました。『おはスタ』っていうすごい番組があって、僕はただ「そこにいた」というだけなんです。卒業することになって、「寂しい」という気持ちもあるけれども、「もう十分過ぎるほどやった」という気持ちが強かったかな? 18年半も番組に出演させていただいて、いろいろな人と出会えたのと、いろいろな経験ができたというのが嬉しかったですね。

――18年半はとても長い期間だと思います。

山寺:以前スタッフから「山ちゃんが辞めるときが番組の終わるときだ」なんて言われてたんです。本気かどうかわかりませんが(笑)。でも僕としては『おはスタ』という番組は他にはない貴重な番組だと思うので、続けて欲しかったんです。

――番組を作ってきた山寺さんならではの想いですね。

山寺:そしていざ辞めることになりました。僕は「これだけ長くやったんだからちょっとはニュースになるだろう」と思い、そのことを起爆剤にして、さらに『おはスタ』が注目されたり、最近見てなかった人にも「あ、まだやってたんだ」と気付いてもらったりするいいチャンスだと思いました。さらに僕の後を、同じ事務所の後輩の花江が継いでくれるということは、本当に嬉しいし、ぶっちゃけ事務所としても大助かり!(笑)

一同:(笑)

山寺:番組はおのちゃん(小野友樹さん)とはなちゃん(花江夏樹さん)のふたりが引っ張っていくのですが、僕にとっても番組にとっても理想の幕引きができたと思います。まぁ、僕が言うのもなんですけど、花江のプレッシャーも大変だったと思いますよ。だってまだ若いんだもん。いまいくつ?

花江:25才になります。

山寺:ということは、引き継いだのは24才だね? 僕が『おはスタ』を始めたのは36ですよ。いまの花江はそのときの僕よりよっぽど忙しいだろうし。

――山寺さんも当時相当忙しかったと思いますけど!

山寺:あ、そうですね(笑)。でもね、思うんですけど、僕のときの声優人口といまの声優人口って一桁くらい違うんですよ。そのなかで、花江は若手としてがんばってるわけですから大したもんですよ。僕は24才のころ、まだアルバイトしてましたよ。

花江:あの「うなぎ屋さん」ですか?

山寺:そう! よく知ってるね。

――花江さんは、いまの山寺さんのお話を聞いて、どう思いましたか?

花江:僕は最初に『おはスタ』のお話を伺ったとき、「うわーっ!」って言っちゃいました(笑)。顔出しの仕事はほとんどやってない上に、生放送です。ちゃんとできるかどうかわからないから、ものすごく悩みました。

――生放送のお仕事は簡単には受けられないですか?

花江:まぁでも、「やってみないとわからない」というのと、せっかく頂いたお仕事なので真剣に考えました。だって『おはスタ』のお仕事なんて、声優をやっていて一生に一度できるかどうかわからない仕事です。もちろん僕も『おはスタ』を見て育ってきました。そういう気持ちがあったなかで一年間やってみたら、すごい楽しくて(笑)。

――勇気を出して依頼を受けてよかったですね!

花江:僕がやっていけたのは、いつも番組の中心に山寺さんがいて、いろいろ仕切って下さっていたからです。とても楽しかったです。それが……今度は僕がそのポジションに行くわけじゃないですか。

山寺:そうだよね。おいしいでしょ?

花江:そ、それはもちろん思いました(笑)。でもそれ以上に「とんでもないことだ!」と思いました。いままでは楽しめてたけど、「果たして自分で上手く回せるのか?」と不安にもなりました。やっぱり子供たちに楽しい情報を伝える番組なので、自分が楽しまなきゃダメだって思ったんです。そこがプレッシャーでした。そして山寺さんをはじめ、いろいろな先輩方に相談をして、たくさんのアドバイスをいただきました。

――そのとき山寺さんは、花江さんにどのようなアドバイスをしたのでしょうか?

山寺:僕も18年前に『おはスタ』に出させてもらうというタイミングでは、顔を出す仕事はほとんどやってなかったです。なので花江と同じような不安は抱えていたはずです。僕は「やらないで後悔するより、やって後悔しよう」と思って受けました。花江からアドバイスを受けたときは、そういうことを話したと思います。

――花江さんと同じような葛藤があったのですね。

山寺:しかも僕は36才で『おはスタ』を始めました。花江が始めたのは24才ですから、そんなに完璧にする必要はないんです。しかも花江は実績もなく選ばれた僕のと違って、一年間「はなまる」というキャラクターで出演し続けてきてお墨付きをもらっているんです。いわば「お試し期間」に合格してるんですよ。まあ、花江はそう思わなかったと思うけど、周りはそう思ってたわけです。だから「もういいじゃん」て(笑)。

花江:いやぁ~(照)。

山寺:僕のときなんて「一体オレのなにを知ってオファーしてきたんだ?」って思ってたからね。そういうことを話しながら、「嫌だったらすぐに辞めればいいよ。オレがすぐに戻るから」って伝えました(笑)。もし『おはスタ』で失敗したとしても、それで声優の仕事がなくなるわけじゃない。また声優だけをやればいいんです。

花江:「ホームがふたつになるから、どっちの刺激にもなるよ」ってアドバイスしてもらいました。

山寺:あー、そんなことも言ったね。

花江:言い方は悪いですけど、自分の本業ではないので、「ダメだったらまた自分の声優業に戻ってくればいい」って言葉をかけてくださいました。さらに「そういう気持ちでやってみると気持ちも楽だ。お前の声優業は途切れないから大丈夫だ」とも。

山寺:最初は僕もいろいろな人に相談していて、声優業に戻れないと思っていました。だって業界の人から「戻ってきたくても、声優はそう簡単に戻れるような仕事じゃない」と言われたんですよ。アニメの仕事は『おはスタ』が終わったあとでもできるけど、吹き替えとか長尺の仕事は1日かかります。だから月~金で『おはスタ』をやっているとスケジュールの管理が難しくなってきます。

――それでも山寺さんは声優業を続けてきました。

山寺:そう、周りの人たちから脅かされたけど、声優業を辞めることもなく、結果として逆にますます忙しくなったよ!

一同:(笑)

山寺:だって基本的に10時の収録に間に合うんだもん。『おはスタ』の現場は朝の9時には解放されるので、声優の仕事にきっちり間に合います。

花江:声優業の収録は基本的に10時からが多いんです。なので余裕で間に合います。

山寺:ただ、体力的にも時間的にも忙しいんだよね。実際、花江がアニメのレギュラーをたくさんやってるなかで、『おはスタ』の週3日はたいへんだよね? 週3日って言っても、ほぼ毎日みたいなものですからね。

次ページ:山寺さんに憧れて声優業界に飛び込んだ花江さんの方法とは?
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