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池田秀一さん『THE ORIGIN』で新たなシャア像に出会う?

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 声優・池田秀一さんが30年以上の時を経て出会った、新たなシャア像とは?

 2016年11月19日(土)からイベント上映される『機動戦士ガンダム THE ORIGIN(ジ・オリジン) IV 運命の前夜』。シャアとセイラの過去を描く4部作もついに最終章。物語では、シャアとララァとの出会い、アムロの父親であるテム・レイのモビルスーツ設計者としての葛藤。そして、シャアのパイロットとしてのデビューなどを描く。

 その4部作の最後を迎えるにあたり、シャアを演じる声優・池田秀一さんに、お話を伺った。幼少期から青年へと切り替わる。キャスバル、エドワウ、そしてシャアへと続く「青い瞳が赤い彗星へと変わる道程」を、池田さんがどう受け止めて、キャラクターに命を吹き込んだのか。ぜひ注目してください!

目次

・ 演じるのであれば、『ファーストガンダム』のシャアへとつなげたい
・ ゼロからのスタートとなった、新しいシャア
・ まだ続く『THE ORIGIN』、池田さんはどう演じるのか?

▲シャア役・・池田秀一さん

▲シャア役・・池田秀一さん

 

演じるのであれば、『ファーストガンダム』のシャアへとつなげたい

――まずは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(以下『THE ORIGIN』)の第一印象を教えてください

池田:『THE ORIGIN』の漫画原作を最初に拝読した時は「これはリメイクなの?」と感じた部分もありました。今読むとリメイクではないんですけどね、そこから『シャア・セイラ編』が始まって「なんだこれ、俺(シャア)のことを描いているぞ。これは読まなきゃ」と(笑)。

 

――最初にオファーが来た時のお話を伺えますか。

池田:漫画原作を最初に読んだ時はまさかアニメになるとは思っていなかったので、具対的に「アニメ化します」とお話を伺った時には驚きました。そして「やるならやらせてもらいたい、演じたい」と。

でも、『THE ORIGIN』は安彦さん(※1)のガンダムなんです。ストーリーとしては『ファーストガンダム』(※2)を踏襲していますけど、シャア・セイラ編は本当にオリジナルだし。読むと、全体に流れているのは安彦さんの世界観なんです。ということは「もしかしたら、声も変わった方がいいかもしれない」という気持ちがありました。その方が安彦さんはやりやすいのかもしれないし。もし「全とっかえしたい」という話があれば「どうぞ」と。そう思っていました。

それが「池田でいくよ」となったんです。それではと言うことで、「14歳からやりたい」と言いました(笑)。僕のシャアで良いなら「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを」(※2)に、青い時から繋げたいと思ったですよね。

もちろん、僕が「何歳からやりたい」と言って決まるわけではないので、オーディションを受けさせて頂きました。聞いて貰った結果、もしかしたら「20歳からで」ということになるかもしれませんし……。もちろん、気持ち的にはやれるなら0歳からやりたいんです。だって「シャアは、俺」なんだもん(笑)。

※『THE ORIGIN』で、幼少期のキャスバル(シャア)が、田中真弓さんに決まった理由はこちらを参照

(※1)安彦さん:本名は、安彦良和。原作漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の作者であり、本作の総監督。また、『機動戦士ガンダム』では、作画監督・キャラクターデザインを担当。
(※2)『ファーストガンダム』:1979年にテレビ放送された第一作目の『機動戦士ガンダム』のこと。他の《ガンダムシリーズ》と区別するため『ファーストガンダム』とした。
(※3)『機動戦士ガンダム』の第1話で、シャアが語る代表的なセリフ。シャアというキャラクターを色濃く出ているセリフでもある。

 

――そして今回、そんなシャア・セイラ編が一段落するわけですが、これまでのガンダムとは違い、シャアが主役でした。初主役ですね。

池田:僕は『ファーストガンダム』の頃から自分が主役だと思ってやっていましたので(笑)。……じつは、今言われて「ああそうか、主役なんだと」気づきました。そうか、ガルマへ言う「これがキミの宮殿だ」も、主役が言うセリフですよね。意識していなくて良かった(笑)。主役だと意識していたら、言い方が臭くなっていたかもしれませんね。

  

ゼロからのスタートとなった、新しいシャア

――今回の『THE ORIGIN』を経て、池田さんからみたシャア像に変化はありましたか?

池田:シャアのセリフではないですが、僕は「流れに乗ればいい」と思いました。というのも、本作のアニメは、漫画原作とは多少違っていますが、よりわかりやすくなっているので、僕自身が格別変る必要はなかったです。

ただ、今回アニメ化された『シャア・セイラ編』では、キャスバルからエドワウ(※4)、そしてシャアになっていく時代が描かれます。第1話のサブタイトル『青い瞳のキャスバル』の青い瞳が赤い彗星になっていくわけです(笑)。その青から赤になっていくというのがこの4本の『シャア・セイラ編』のテーマです。安彦さんにそう言われたわけではなく、僕が持っている理解の仕方ですけどね。赤い彗星にどう繋がっていくのかそれを描くのであれば、僕の中では(『ファーストガンダム』に)繋げたいという意識を持ってやらせていただきました。

(※4)エドワウ:正式名は、「エドワウ・マス」。ザビ家から身を隠すために、テアボロ・マスの養子となった。キャスバル・レム・ダイクンの養子名。妹である、アルテイシア・ソア・ダイクンもマス家の養子となり「セイラ」と名乗る。

 

――青といえば、「シャア・セイラ編」ではエドワウと名乗っている時、まさに思春期を演じていますが、その青さを出す難しさというのはありましたか?

池田:そうですね、まだ青かったですね。やってみて面白かったですよ(笑)。若さを出すために、収録の2週間前からお酒を飲まないようにしたり、色々努力はしました。禁煙にもチャレンジしたんですが、タバコの方は失敗しましたね(笑)。

――『ファーストガンダム』と比べ、シャアを演じる上での演技プランに変化は?

池田:『THE ORIGIN』は、まさにオリジナルなので、僕にとってはまた新たな挑戦という意味合いになります。昔のシャアのセリフのほとんどは僕の身体の中に染み込んでいますが、シャア・セイラ編は全て初めて言うセリフ、言い慣れないセリフですから全てにおいて新鮮です。16年ほど前に『ファーストガンダム』の劇場版を録り直した『5.1ch 特別版』がありますが、同じ台本で収録したあの作品と比べると逆の感じですね。

――シャアという人物を改めて知っていくことになるんですね。

池田:シリーズ前半はまだシャア・アズナブルではなく、キャスバルですからね。キャスバルという名前だった時代をこれまで僕は、演じたことはないわけです。今回は初めてその後のエドワウ・マスという時代を演じました。(※5)

(※5)『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、第1話で幼少時代の「キャスバル・レム・ダイクン(CV:田中真弓)」を、第2話で青年になり「エドワウ・マス」を、第3話と第4話では兵士となる「シャア・アズナブル」を描く。池田さんは、第2話のエドワウ・マスより出演。

 

――演じるに当たって、新たに気づいたことなどありましたか?

池田:キャスバルは、純粋というのか……何も起きなければ王子さまのような立場ですから、その育ちの良さというのを持っているわけです。それに、貴賓(きひん)、プライドというものが青の時代にはあったはずなんです。

それが、特に母親が死んだという知らせを聞いてセイラに伝えにいくシーン、本物のシャア・アズナブルを陥れようと決めてセイラと別かれるシーン……第2話のラストですよね。そこから徐々に赤へと変貌していく。キャスバルからエドワウになって、シャアになりすますという道程なわけですが、それをどやってキャスバルからシャアという人物に繋げるのか。僕にとっても初めてのことですから、まさにゼロからのスタートでした。

――ということは、今作で演じられているシャアは『THE ORIGIN』で作られたシャアなんですね。

池田:『ファーストガンダム』で僕が得ていたシャアの情報というのは、台本にある「かつてキャスバル・レム・ダイクンと呼ばれていた」「お父さんがザビ家に抹殺された」ということだけでした。それを僕はお話の中で体現できていないわけです。それを今回は体現できた。『THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』(第2話)の舞台挨拶で「これでシャアになれた」と言ったのは、体現できたことでどこか安心できたんでしょうね。変な言い方になるけど「得意なシャアに戻ってきたぞ」と(笑)。それまではどこか暗中模索していたんでしょう。

 

まだ続く『THE ORIGIN』、池田さんはどう演じるのか?

――ここからは、少々気が早い質問をさせてください。今後『THE ORIGIN』のアニメが続いていくと『ファーストガンダム』と同じシーンが出てくるわけですが、そこで演じるシャアは、我々にとって懐かしい『ファーストガンダム』のシャアなんでしょうか。それとも、先程伺った『THE ORIGIN』で作られたシャアなんでしょうか?

池田:これは難しいですね。自分なりに『シャア・セイラ編』の4作で構築してきたつもりなんですが、これから先まだあるとすれば、それは分からないですね。分からないというのは『THE ORIGIN』ってそういう作品だと思うんです。漫画原作を読むと、この後『ファーストガンダム』で描かれたお話と同じ部分へ入っていくわけですが、まるで同じではないので微妙に修正をしていかなくてはいけない部分が出てくると思います。今は何も計算していませんが、演じる機会があるとしたら考えないといけないと思います。


  ――セリフは染み込んでいるとおっしゃっていましたが……。

池田:それを出すだけじゃダメだと思います。

――ということは、我々にとっても「以前観たからいいや」にはならない?

池田:と思います。逆にそうじゃないと、作る意味がありませんしね。もし『THE ORIGIN』で同じ台詞が出てくればですが……。例えば「坊やだからさ」(※6)というセリフは、あのテレビシリーズの「坊やだからさ」ではない可能性があります。極端に変わるわけじゃないですけど、それは僕に入っている情報の違い。「これが君の宮殿だ」というセリフ、暁の蜂起を焚き付けた部分もそうですが、ガルマとの色々な絡みが情報として入っているんです。『ファーストガンダム』では、当然ですがそういう情報は全然なかったわけですから、ただのどうしようもないお坊ちゃん育ちで甘い「坊や」だと思っていたんです。髪の毛ばかり触っているね(笑)。そういう情報しかなかった上での「坊やだからさ」で、あの言い方で良かったと思うんです。でも、もし『THE ORIGIN』で同じセリフを言うなら、ちょっと違うかな?と思います。

(※6)ガルマの国葬で長兄・ギレン・ザビが「私の弟、諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。なぜだ?」と演説するシーンでシャアが呟いたひと言。これもシャアを代表する名セリフのひとつ。ファーストガンダムの第12話。

――どう違うかは?

池田:やってみないとわかりませんね。

――さて、まもなく上映される『 THE ORIGIN IV 運命の前夜』(第4話)では、ララァ(CV:早見沙織)との過去も描かれていますが、ララァについての印象は変わられましたか?

池田:それは『ファーストガンダム』と繋がっていると思います。そんなに多くを語っているわけではありませんが、映像もショットもカット割りも良くできていて、船着き場みたいな場所で二人で話をするシーンがあるんです。シャアは、横に座ってちょっと寄るんだけど、「何よこの人」という感じでララァはちょっと下がって……でも、どこかで心を許して家族の写真を見せる。

後々ララァはアムロに「あなたには守るべき人も、守るべきものもないというのに」(※7)と言いますが、何故ララァがシャアを守ろうとするのか。それがちょっとこの出会いのシーンから出ている感じがします。ちょっと手前味噌かな(笑)。

(※7)ファーストガンダム第41話のシーン。この後、ララァがいうひと言は、「私は救ってくれた人の為に戦っているわ」。
 
 

――最後に、これから『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜』を観られる方にメッセージをお願いします。

池田:おかげさまで『シャア・セイラ編』はこの第4話で一段落となりますが、ここまで続けられたのはこれまで支持してくださったみなさまのおかげです。今作『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 運命の前夜』もみなさんの期待に負けないような作品となっています。是非ご覧ください。

――ありがとうございました。

(2016年10月4日収録)

[取材・文:小林治]

(C)創通・サンライズ
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