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柿原徹也さんが本気で挑んだ最終章『劇場版フェアリーテイル』を語る

「漫画に負けたくない」──柿原徹也さんがテストから本気で挑んだ、最終章『劇場版 FAIRY TAIL -DRAGON CRY-』を語る

 2017年5月6日から全国ロードショーされる『FAIRY TAIL』の劇場版作品『劇場版 FAIRY TAIL -DRAGON CRY-』。2012年に公開された『劇場版 FAIRY TAIL 鳳凰の巫女』以来、約5年ぶりの劇場版となった本作では、最終章へと続く物語が描かれ、メインビジュアルにもなっているナツの衝撃的なビジュアルも話題を呼んでいます。

 今回、主人公であるナツ・ドラグニルを演じる柿原徹也さんにインタビューを実施。映画の見どころをはじめ、劇場版のお話はもちろん、TVアニメの放送開始から数えて約8年間演じてきたナツや、声優として役を演じる事への熱い思いなどもお話していただきました。

漫画家に「負けた!」って思わせたいじゃないですか
──まず、劇場版の製作発表から2年ほど経っていますが当時の心境はいかがでしたか?

柿原徹也さん(以下、柿原):劇場版になるのは役者として、すごく嬉しいですね。基本的には、ドラマCDやゲーム化の展開の次に臨むものがTVアニメ化で、TVアニメの先に臨むものが劇場版なんです。なので、我々役者にとっても劇場版は特別なもので、やっぱり嬉しいですね。

劇場版はTVアニメと違ってお客さんがお金を払って観に来てくれるので、そこに向けての熱い思いはあります。本来ならどの作品も「全て同じくらいの熱量」って言わなきゃいけないと思うんですけど、実際は劇場版って聞くと肩に力が入っちゃいますし、特別なものを残さなきゃっていう思いはありますね。


──柿原さんでも肩に力が入ることがあるんですね。

柿原:やっぱりスタッフさんも違いますし、スタッフさんも「劇場版を作るぞ」っていう気持ちで来るので、「こっちが食ってやる」くらいの気持ちで肩に力が入りますね。


──公開が発表されたのは2年前でしたが、柿原さんが劇場公開を知ったのはもっと前だったりするのでしょうか?

柿原:僕、何故かいつも情報を聞くのが1番遅いんです。他のキャストが噂好きで、みんなの方が情報量が多いんですよ。


──みなさんの噂話として耳に入ったのでしょうか?

柿原:「なんか劇場になるらしいよ」って言うのを平野さん(ルーシィ・ハートフィリア役・平野綾)や、ゆうきゃん(グレイ・フルバスター役・中村悠一)から聞きましたね。僕はあまり噂話はしないので、正式に「劇場版になる」って聞いた時は気合が入りました。


──本作は物語も最終章に突入するということで、終わりが見える寂しさなどはありましたか?

柿原:始まったものはいつか終わるので、寂しさはあまりありませんでした。「いつ終わるか」ではなく、「最高の終わらせ方」をして欲しいという思いが強いです。最高の終わらせ方が8年目なのか、10年目なのかは、スタッフさんが作っているので、そこはおまかせです。何も文句は無いし、僕は来るものを全力で演じるだけです。

僕は『FAIRY TAIL』は、漫画対アニメだと思っていて。原作の真島ヒロ先生が良いストーリーを描いて下さって、最高に面白いからお客さんも漫画を読んで応援してくれますけど、アニメが漫画に負けるのは悔しいじゃないですか。

──そういう想いで演じられているんですね。

柿原:だったら俺たちは漫画家に「負けた!」って思わせたくて。アニメの熱量は俺たちにしか出せないものだと思うので、そこに向けてエネルギーを蓄えています。


──漫画に負けたくないとおっしゃいましたが、真島ヒロ先生にそういう熱い想いを伝えたのでしょうか?

柿原:これは僕の勝ちだなと思っていることがあって。『FAIRY TAIL』のオーディションの時にナツを受けたんですけど、「男性の方は他の役も受けて下さい」って言われて、他のキャラの原稿も貰っていたんです。でも、受ける前に漫画を読んだら、ナツの声が全然思い浮かばなかったんですよ。それで「まぁいいや! グレイとかも受けられるし、グレイを狙っていこう」と思ってオーディション会場に行って、地声で「おはようございまーす!」って言ったら監督たちが「ナツだ」と思ったらしいんです。

そんなことをもちろん僕は知らずに、そのまま地声でナツを演じたんですが、それで笑いが起きているから「落ちたな」と思って、その後に「グレイやらせて下さい」って言ったら、「結構です」って言われちゃって(笑)。気持ち的にモヤモヤしながら「ナツもグレイも無しか」と思っていたら事務所からナツの合格の連絡が来たんです。

役者としてのいつもの柿原がナツにマッチしたというのは嬉しかったですね。ナツと僕はつり上がった目が似ているんですけど、単行本の最初の方だとナツはこんな目をしてないんですよ。というのも、先生もTVアニメを観てナツの声を聞くと僕の顔が出て来るらしくて、どんどんナツの目がつり上がっちゃったんですって。これは俺の勝ちですよね。是非、先生には頑張って貰って、熱いナツを描いていただきたいなと思います(笑)。


──今回の劇場版は、真島ヒロ先生が総合プロデュースされてあり、シナリオも約200ページにも及ぶネームで描き下ろされています。ネームを読んだ感想はいかがでしたか?

柿原:劇場のアフレコが終わってみなさんと一緒に飲みに行ったんですけど、その時に講談社の編集の方からネームを読ませてもらったんです。「映画は本当に先生のコンテ通りだ」と思いながら読んでいたんですけど、「漫画になったらこういう描写になるのか」と思う部分もありましたね。劇場版は色んな人のアイデアが入っているので見せ方が違う部分があって、コミカライズを見せてもらった様な気がしました。


──ストーリーはいかがでしたか?

柿原:ストーリーの伝えたいことは先生の絵コンテから大きく変わっていませんでした。敵の最終的なトドメの刺し方とか、ナツからの視点なのかルーシィ側からの視点なのか、という画角の違いはありましたね。あと先生のプロットが長くてカットされたりとか(笑)。劇場版のスタッフは「子どもたちがこれ以上長いと飽きるかな」と考えながら作っていますが、僕は真島先生の劇場版にかける想いをすべて読ませていただけたので、特権ですよね。

ナツに出会ったことで役者としての幅が広がった
──本作の見どころを挙げるとすればどんなところでしょうか?

柿原:PVにもなっているナツがルーシィに「俺は何に見える」と言うシーンは特別な思いを込めましたね。どんな感情か、というのは言葉では説明できないですが、8年間のギルドの仲間やルーシィに向けての思いはあの言葉に詰まっているんだと思いますね。色々な感情があそこには詰まっていて、多分ナツにしか分からないんだろうなあの感情は。


──今まで作品をご覧になって無い方におすすめポイントを挙げるとすればどんなところでしょうか?

柿原:劇場はファンの方々が見てくれるイメージがありますが、ぜひ家族で観て欲しいですね。『FAIRY TAIL』はギルドなので、すべての行動が仲間を守るために突き動かされる情熱を描いています。キャラクターの立ち位置などは一切考えずに、どんな方にも観ていただける劇場アニメだと思っているので、まっさらな気持ちで劇場に来ていただければ楽しめると思います。


──メインビジュアルにもなっている衝撃的なナツの姿を初めて見た時の感想はいかがでしたか?

柿原:アフレコ後に取材があって、その時に映画のメインビジュアルを初めて見てビックリしました(笑)。ドラゴンみたいになっているし、角生えているし……。

──台本を読んだ時にナツがこのような姿になることは想像できていたと思うのですが、想像していたものと比べて衝撃は強かったですか?

柿原:想像通りではありませんでした。本当にこの後どうなっちゃうんだろうっていう気持ちで、随分と重い運命を背負っているなと思いました。でも、重い運命を背負っているナツの表の顔が明るいとバックボーンが引き立つと思うので、とことん重くして欲しいし、とことん普段は明るく演じようと思いました。


──コミカライズを読まないでアフレコに挑まれているそうですが、今回の台本の中ではイメージが難しいところもあったと思います。そういうシーンは監督に聞かれたりするんですか?

柿原:ト書きに書いてあったことが分からなくても、感情の流れのまま「ナツはこういう風に言うんじゃないのかな」と考えて、一度まず声を入れてみますね。人に聞いてしまうと「まだ自分の役になってないのかな」と思ったり、自分がナツを演じているならとやかく言われたくないっていう気持ちもあるので。


──それはナツ以外のキャラクターでもそうですか?

柿原:長年やらせて貰っている役とか、自分が色付けしてきた役とかはそう思いますね。「カッキーにしかできないよね」って言われる役も多くて、「この役はカッキーの方が分かっているからね」って言われるのが1番役者として嬉しいです。だから、生半可なことはできませんし、誰でもできる役にはしたくないと思っています。


──ナツは柿原さんの声優人生の中でどんな立ち位置になっていますか?

柿原:僕は本当に役に恵まれているんですよ。1番最初に主役を演じた作品がロボットアニメ(『天元突破グレンラガン』2007年放送。柿原さんはシモン役で出演)で、脚本が劇団☆新感線の中島かずきさんだったので、舞台をやっている様な感じと、お芝居の大切な物を教わりました。

次に主役を演じたのが『FAIRY TAIL』です。役者陣も同世代の奴らが多くて、他の作品で主役をやっている人たちが一同に会した作品でした。そういう方たちと巡り合って、お芝居の核になる部分が出来上がったのが『FAIRY TAIL』のナツかなと思います。ナツに出会わなかったら地声で芝居することを知れなかったかもしれませんし、ナツに出会ったことで役者としての幅が広がったなと思いますね。真島先生がナツのことを成長させてくれるから、「俺も負けてられないな」っていう気持ちにさせてもらえますね。

このままだと早く終わっちゃうから飲みに行こう
──新キャラクターの中で印象的なキャラクターはいましたか?

柿原:ザッシュが印象的でしたね。ザッシュを演じている斉藤次郎さんとはアフレコでお会いして、本当に紳士的でカッコいい方でした。でも演じられているザッシュが渋くて嫌な奴で、斉藤さんもとことん嫌な奴を演じるので、僕もナツの感情として腹が立ってきたんです(笑)。それでテストから本気で演じていたら、次郎さんもテストから本気で演じて下さって、先輩の本気を見ましたね。あと、アフレコが終わって飲みに行った時に、次郎さんから「最高に楽しい現場だった」って言っていただいたので、是非、劇場版でザッシュの本気をみなさんにも観ていただきたいです。


──アフレコではではどのようなお話をされたんですか?

柿原:アフレコ自体はめちゃくちゃ早く終わってしまったんですよ。アフレコ現場で一緒だった次郎さんも僕も佐藤(聡美)さんも一発OKが多かったんです。やっぱりセリフに想いを乗せている分、何回もやり直ししたくないんですよ。「一発で決めてやる」くらいの気持ちでやっていたので、お話する間も無く終わってしまいました。唯一話をしたとしたら「このままだと早く終わっちゃうから飲みに行こう」っていう事だったので、飲みの席で演技のお話などしましたね。


──では最後に映画を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。

柿原:テレビで観られるTVアニメはタダですが、劇場にお金を払って見に来て下さるなんて、こんなにありがたいことはありません。そんな方々のために必死で作品を作って下さるスタッフの方がいて、その方たちに負けない様に演者も命を吹き込んでいます。是非、劇場まで足を運んで観ていただけるとありがたいです。これが最後になりたくないですし、もう一本くらい劇場版を作りたいなと役者もスタッフも思っていると思うので、お力添えをよろしくお願いします。劇場で会いましょう!

『劇場版FAIRY TAIL –DRAGON CRY-』作品情報
5月6日(土)全国公開
配給:ギャガ

キャスト:柿原徹也 平野 綾 釘宮理恵 中村悠一 大原さやか 佐藤聡美 堀江由衣 古川 慎 悠木 碧 斉藤次郎

原作:「FAIRY TAIL」真島ヒロ(講談社「週刊少年マガジン」連載)
監督:南川達馬
脚本:米村正二
キャラクターデザイン・総作画監督:山田裕子 
音楽:高梨康治
音響監督:はたしょう二
制作:A-1 Pictures
製作:劇場版フェアリーテイルDC製作委員会

【STORY】
人間たちに葬られたドラゴンたちの怒りが宿る杖・竜の涙(ドラゴンクライ)・・・。妖精の尻尾(フェアリーテイル)は、奪われた杖を取り戻し、世界を守ることが出来るのか――!?

 フィオーレ王国の神殿に奉られた魔法の杖・竜の涙。世界を滅ぼすほどの力を秘めるというこの杖が、王国の反逆者ザッシュによって奪われ、ステラ王国の国王・アニムスの手に渡ってしまう。

竜の涙奪還の依頼を受けた魔導士ギルド・妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツ、ルーシィ、ハッピー、グレイ、エルザ、ウェンディ、シャルルは、ザッシュを追ってステラ王国へと潜入する。そして竜の涙を巡る攻防の中で、彼らはアニムスに仕える魔術師・ソーニャと出会うが・・・。竜の涙を我が物としようとするアニムスの狙いとは!?国を救いたいと願うソーニャの秘密とは!? 様々な思惑が交錯する中、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は世界の危機に立ち向かう!! 

そして、壮絶な闘いの中で、ナツの本能が目を覚ます――!?

>>映画『劇場版フェアリーテイル –DRAGON CRY–』公式サイト
>>映画『劇場版フェアリーテイル –DRAGON CRY–』公式ツイッター(@FAIRYTAIL_DC)

(C)真島ヒロ・講談社/劇場版フェアリーテイルDC製作委員会
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