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TVアニメ『将国のアルタイル』KENNさんが作中でグッとくる部分とは

TVアニメ『将国のアルタイル』キュロス役 KENNさんが作中でグッとくる部分とは/声優インタビュー

2017年7月より、MBS/TBSほか“アニメイズム”枠にて放送中のTVアニメ『将国のアルタイル』。原作は、カトウコウノ先生による「月刊少年シリウス」(講談社)にて連載中の人気コミックです。将軍(パシャ)と呼ばれる為政者たちの治める草原と砂漠の国・トルキエ将国を舞台に、犬鷲使いの少年将軍・マフムートが乱世に挑むエキゾティック英雄譚として、人気を博しています。

本稿では、主人公のマフムートと行動を共にするキュロス役のKENNさんにインタビューをお届け! 作品の見どころからキュロスというキャラクターの魅力など、たっぷりと語っていただきました。

トリッキーなキャラクターに挑戦してみたいという気持ちから受けたキュロス役
―――初めて原作を読んだ時の感想や、作品への印象をお聞かせください。

キュロス役・KENNさん(以下、KENN):オーディションの時に、初めてこの作品に触れさせていただきました。原作を読ませていただいて、この作品の世界観と美しい絵と引き込まれるようなシナリオとセリフに引き込まれ、食い入るようにマンガを読みましたね。それで、原作の中にあるいろいろなセリフを抜粋したオーディション原稿と照らし合わせながら、自分の中で役を作ってオーディションに臨んだんです。

―――オーディションを受けたのは、キュロスだけでしたか?

KENN:キュロスだけでした。

―――実は以前、マフムート役の村瀬歩さんへインタビューした際に、村瀬さんが気になるキャラクターは、キュロスだとお話されていました。

KENN:はい。

―――オーディションでは、村瀬さんもキュロス役を受けたようで、その時に村瀬さんはキュロスのイメージがなかなかわかなかったとお答えされていました。

KENN:村瀬くんと僕がやらせていただいているラジオ(Webラジオ「将国のアルタイル~トルキエ放送局~」)でも、そのことを村瀬くんが言っていましたね。僕はオーディションで好きなキャラクターを受けていいって言われて……。

―――そうだったんですね。

KENN:自分の中では、キュロスがすごく魅力的で演じたいと感じました。こういう掴みどころのないトリッキーなキャラクターに挑戦してみたいなという気持ちが強くて、事務所に「キュロスがやりたいです!」と言って、オーディションを受けさせて頂いたんです。

―――KENNさんはキュロスというキャラクターをすぐにイメージできましたか?

KENN:そうですね。僕の中では割とすぐにスッと自分の中に入ってきました。市長の息子なので良いお家柄なんですけど、キュロスは育ちが決していいわけではないんです。ちょっと斜に構えたような生き方をしてきています。

たぶん周りの同年代の普通に生きてきた人よりも、修羅場をくぐってきているというか、少し達観している部分があるのかなと思ったので、自分が感じている等身大の年齢よりも、ちょっと大人な感じでキャラクターを作ろうと思いました。そこから役作りの肉付けをしていった感じですね。

―――そうなんですね。

KENN:脚本もセリフも素晴らしいので、そこに引っ張られた部分も大きいかなと思います。例えば、マフムートに出会って、キュロスがマフムートを試すようなシーンがあるんですけど、キュロスは自分の中で、すごく熱い気持ち、まっすぐな気持ちがあるからこそ、マフムートについて行きたいと思うんじゃないかなと思います。ピュアな気持ちがなければ、そういう試すようなことすらしないで、ただ単に良くない世界の方へばっかり行っちゃうんじゃないかって思います。


キュロスは演じていても飽きない 魅力的なキャラクター

―――キュロスを演じるにあたって、心がけた点はありますか?

KENN:物理的な距離感や人との精神的な距離感も大事にしたいなと思いました。仲が良い人や初めて話す人、目上の人や同業者など、普段生きていく中で、僕たちも当たり前のように話し方や対応が変わっているんですけど、そういうリアルさも出せたらいいなと思いました。

キュロスはすごくキャラ立ちしていますけど(=個性を際立たせ、他との違いがはっきりしている)、その中にどこかリアリティを入れられないかなと思って。だから、ボソボソしゃべる時はかなり声のボリュームを落とすし、声を荒げる時はとても大きな声で言うし、そのコントラストもかなり強くしたいなと自分の中では意識しました。

―――キュロスは掴みどころがなくて、雰囲気のあるかっこいいキャラクターですよね。

KENN:そうですね!自分でかっこよくしたいなと思ってはやっていないので、それが客観的に見てかっこいいとアニメを見て思って頂けているのであれば、それはありがたいなと思います。

―――他の作品なんですが、飄々とした流浪の楽士というキャラクターをKENNさんが演じられていて、それがとてもかっこよかったんです。

KENN:ありがとうございます!

―――これまで様々なキャラクターを演じてきたKENNさんですが、掴みどころがない飄々としたキャラクターというのもKENNさんの役者としての魅力のひとつなのかなと感じました。

KENN:そう言って頂けて嬉しいです。ただ、流浪の楽士に関しては、それまでああいったキャラクターはそんなにチャレンジしたことがなかったので、そういった意味でも挑戦してみたかったという気持ちがありました。それが自分的にはキュロスというキャラクターにとても魅力を感じたという部分にも繋がってくるんですけど……。

どちらの作品もファンタジーの世界観の戦記ものという部分では一緒だし、キュロスも飄々としていたり、掴みどころがなかったりするところもあるんですけど、ポイニキアの耳役(クラック)という役職があって、市長の息子だったりと、いろいろなバックボーンがあるので、そこの線に沿った上での飄々とした感じですね。

―――なるほど。

KENN:「こいつ、何を考えているんだかわかんねぇな」とか、「もしかしたら敵なの?」とか、ちょっとピリッとした危うさも入っていたり……。そうかと思えば、すごく仲間思いで少年らしい熱い部分も見せたりとか……。だから自分でキュロスを演じていても飽きないですね。

ある意味、自由度の高いキャラクターであるからこそ、きっちり演じないと掴みどころがなさすぎて「お前はいったい何なんだ?」とか「人間として、どういうこと?」ってなっちゃうのかなって。腹の底にはひとつ何かグッと力強いものがあった上で、その時その時思ったり、言ったり、やったりということが自分の中で大事にしているところかなと思います。

―――キュロスを演じるにあたって、共感できる部分はありますか?

KENN:もし自分が彼の立場だったら、共感できる部分はいっぱいあるなと思いましたね。ああいう生まれで、ああいう生活をしてきて、もし自分があのような状況になった場合、キュロスと同じことができるかどうかはわからないですけど、「キュロスの気持ちはすごくわかるな」っていう部分もあります。

―――逆に共感できない部分はありましたか?

KENN:えぇ~! どこだろう? (考えこみながら)共感できない部分……。

―――キュロスというキャラクターにすんなり入っていけたとお話されていましたから、共感できないという部分は思いつかないんでしょうね。

KENN:そうかもしれないですね。でも立場が上の人に対しても、サクサク物申すところはすごいなと思いますけど……。僕にはできないなと思っちゃいますね(笑)。

―――キュロスは生まれた環境や若さゆえの未熟さもあって、わかりにくいところもありますが、信念のある少年です。KENNさんがお仕事をする上で、大切にされていることは何でしょうか?

KENN:月並みな言い方になっちゃうかもしれないですけど、お客さんにどうやったら楽しんでいただけるのかなということは、常に考えてはいるつもりですね。ひとりでお仕事をしているわけではないので、いろんな方の気持ちや意見や考えというものがある。そこをどういうふうに相乗効果で良くしていけるかということなのかなと考えています。


様々な年代のキャストが参加するアフレコ収録現場

―――豪華キャスト陣も本作の見どころのひとつだと思いますが、アフレコ収録現場の雰囲気はどんな様子なのでしょうか?

KENN:雰囲気はとにかく良いですね。座長の村瀬くんが素敵にフレッシュでいて、作品をすごく愛していて、すごく勉強熱心なんです。収録現場でも、毎回原作を自分で持ってきていて、例えば先輩が「あそこのシーン、どうだっけ?」って言ったら、村瀬くんが「あ、ここですね」って言いながら原作を見せてくれたり、中心となって引っ張っていってくれています。

そういったムードの中で、先輩方も僕ら後輩のことをかわいがってくれていて、すごく現場が楽しいし、僕らも先輩の背中を見て、すごく勉強になるので、すごく恵まれた現場にいるなと思って、毎回収録現場へ来ています。それでいて、先輩方のみなさんはすごいお茶目なんですよ(笑)。

―――作品自体は戦争のお話というところもあって、ピリッとしたところもあるかと思いますけど……。

KENN:そう。そこは本番入ると、みなさんパキっと切り替えますよね。完璧! この前は大将軍(ビュラクパシャ)役の黒田崇矢さんとかとしゃべっていて、難しいイントネーションがあって、村瀬くんに対して黒田さんが「よくこんな難しいイントネーション言えるねぇ!俺なんか言えないよぉー」とか、和ませてくださったりとか……(笑)。一緒に楽しくしゃべったり、作品についてワイワイしたりしてくださっている感じですね。

―――メインキャストは同じくらいの年代の方なんでしょうか?

KENN:キャラクターが多いから、その時々によってメインで出ている人が違ってくるので……。マフムート役の村瀬くんとか、ザガノス役の古川くんよりも僕が少し年上ですね。

最近のお話では、バヤジット役の内山(昂輝)さん、イスマイル役の岡本(信彦)くん、オルハン役の(島﨑)信長くんが参加していますね。このお話でここの場所にいる時は、このキャストの方々と一緒、という感じですね。

僕は5話からの出演で、主にポイニキアのお話では、コンスタンティノス役の興津(和幸)さんとかも参加しているので、年齢は様々かなと思います。

―――そうですね。エピソードによって、キャストが変わってきますよね。

KENN:基本マストなのは、マフムート、キュロス、アビリガ(CV:諏訪部順一さん)ぐらいかな。となると、年齢的には大先輩・諏訪部さん→俺→村瀬くんみたいな。そういう順番になりますね。


読み始めると、止まらない! 作品の魅力とは?

―――特に印象に残っているシーンはありますか?

KENN:自分はキュロス視点でお芝居をやらせていただいているので、そういう意味で一番印象に残っているのは、崖のシーン(第5話「燈台の都」)です。あそこの部分は演じていて、役者魂に火が付いたというか、すごく演じていて充実したシーンでしたね。

実はあそこはオーディションでもやったシーンなんですよ。オーディションでは、ひとりでやっていて、(マフムート役の)相手が誰かも知らない状況でした。

―――そうでしたか。

KENN:なので、「このシーンが本番、マフムート役の村瀬くんと一緒にできるんだ!」と、また新たな気持ちで臨めたなという部分があるので、すごく印象に残ったなと思っています。

そして僕がひとりの読者として原作を読ませていただいた中で、すごくドキっとした部分があって。マフムートくんは正義感が強くて、国を何とかしたいと思って、正義のもとに、まっすぐな気持ちでいろいろとやっていくじゃないですか。でもそれは違う方向から見たら、「君のやっていることって、ただ戦争したいだけのすごく好戦的な人に見えるよ」とか、「えぇっ? そこでそう見えてたの?」と、いろいろな発見があるんです。

―――そうですね。

KENN:人って、考え方や受け取り方や立場によって、全然違うものになったりとか、そういうふうに映ってしまうんだなと感じました。

そんな感じで、マフムートくんが実際ショックだったのと同じように、自分も読んでいて、「えぇ~? マフムートはこんなにいいことをしているのに、そういうこと言うの?」とか理不尽に感じたりして。そういうのをリアルに描いている作品だなと思います。「悪いやつをやっつけて、わ~い!」というだけのお話じゃなくて、人の数だけ正義があるという部分がすごく勉強にもなるし、グッとくる部分だなと思っています。

例えば、コンスタンティノス副市長とレレデリク(CV:小林ゆうさん)のやり取りの時も。ああいうシーンって、副市長のモノローグだけで終わることもできるじゃないですか。

だけど、それだけじゃ終わらないのを見ると、良い意味で読者を裏切るところがゾクッとして、「しびれるなぁ~!」って……。そこでキャラクターがより生きてくるんですよね。

―――そうですね。

KENN:アポロドロス市長(CV:谷昌樹さん)もそうですよ。ただの自己防衛が強いヤツなのかなと思いきや、ちゃんと市民のことを考えているわけですよ。そういった市長の思いについては、キュロスは知らないわけですけどね。

本当にキャラクターがたくさんいるのに、ひとりひとりがそこの世界に生きている。それでいて、みんながみんな魅力的なキャラクターっていうのが成立しているのがこの作品のすごいところだなって思いますし、読み始めると、止まらないですね。

―――今後の見どころをお聞かせください。

KENN:まだマフムートくんの旅は始まったばっかりで、今は訳あって状況は芳しくありませんけど、彼が今後どうなっていくんだろうというのも気になるところです。今一緒に行動しているキャラクターの決着もそうですけど、いわゆるルメリアナの戦いがどういうふうに決着するのかというのも見どころのひとつですね。

そして、行く先々で新たな出会いと事件があって、そこで彼らがどういう選択をして、どういう関わり方をしていくのかも見ていて楽しいと思うので、ぜひ僕らと一緒に冒険していただけたらなと思います。

―――本作を楽しみにしているファンのみなさんへメッセージをお願いします。

KENN:今回『将国のアルタイル』がアニメ化になって、僕自身も素敵な作品に出会えましたし、原作は原作ですごく素敵な魅力があるし、アニメはアニメでまた違った魅力があるので、それぞれの魅力を楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。原作とアニメと若干違う部分があると思うんですけど、そこも楽しめるポイントのひとつだと思うので、「原作とアニメの両方を合わせて楽しんでいただけるのがベストかな」と思っております。今後とも『将国のアルタイル』をみんなで楽しみながら、頑張っていきたいと思いますので、ぜひぜひ応援してください。宜しくお願いいたします!

―――ありがとうございました。

[インタビュー・文/宋 莉淑(ソン・リスク) 撮影/鳥谷部宏平]

 
TVアニメ『将国のアルタイル』作品情報

【イントロダクション】
犬鷲使いの少年将軍(パシャ)、乱世に挑む!二大国家を揺るがすエキゾティック英雄譚! カトウコトノ原作、「月刊少年シリウス」(講談社)で好評連載中のコミック「将国のアルタイル」。その独創的な世界感描写と洗練されたキャラクター設定で、人気を博す意欲作が2017年、待望のテレビアニメーションとなって登場する。監督には「機動戦士ガンダムUC」や「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」で知られる古橋一浩、アニメーション制作は「この世界の片隅に」「ユーリ!!! on ICE」のMAPPA と、強力な布陣で、一級エンターテインメント作品に挑む!

ここではない世界、いまではない時代。 将軍と呼ばれる為政者たちの治める 草原と砂漠の国・トルキエ将国。12年前、隣国・バルトライン帝国との戦争で母を失ったマフムートは、平和な国にしたいと希い、トルキエ史上最年少で将軍となった。しかし、交易で得た巨万の富をもって安寧を取り戻したトルキエに対して、再び帝国の侵略が始まる。犬鷲・イスカンダルを相棒に国家間に渦巻く陰謀と策略を切り裂かんと動くマフムートは、いかにして自分の国を平和へと導くのか?―――理想と現実の狭間で彼のとる行動とは…?

【放送情報】
MBS 7月7日より毎週金曜26:25~
TBS 7月7日より毎週金曜26:27~
BS-TBS 7月8日より毎週土曜24:30~
新潟放送(BSN)7月19日より毎週水曜26時20分~
※放送時間は変更になる可能性がございます。

【スタッフ】
原作:カトウコトノ(講談社「月刊少年シリウス」連載)
監督:古橋一浩
シリーズ構成:高木 登
キャラクターデザイン・総作画監督:菅野利之
副監督:いがりたかし
美術設定:成田偉保(KUSANAGI)
美術監督:小倉一男(KUSANAGI)
プロップデザイン:新妻大輔
アクション作監:神谷智大
色彩設計:佐々木 梓
撮影監督:大山佳久
編集:廣瀬清志 (editz)
3Dディレクター:石神亮一
音響監督:木村絵理子
音楽:川﨑 龍
アニメーション制作:MAPPA
製作:将国のアルタイル製作委員会
オープニングテーマ:シド『螺旋のユメ』(Ki/oon Music)
エンディングテーマ:Flower『たいようの哀悼歌(エレジー)』(Sony Music Associated Records)

【声優】
マフムート:村瀬 歩
ザガノス:古川 慎
キュロス:KENN
アビリガ:諏訪部順一
スレイマン:小西克幸
カリル:緒方賢一
ルイ:津田健次郎
レレデリク:小林ゆう
グララット:櫻井孝宏
ルチオ:小野大輔
ブレガ:山路和弘
バラバン:中井和哉
バヤジット:内山昂輝
アイシェ:茅野愛衣
オルハン:島﨑信長
イスマイル:岡本信彦
イブラヒム:佐藤拓也
シャラ:日笠陽子

>>TVアニメ『将国のアルタイル』公式サイト
>>TVアニメ『将国のアルタイル』公式Twitter(@pj_altair)

(C)カトウコトノ・講談社/将国のアルタイル製作委員会
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