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「はねバド!」TVアニメ化に感じた確かな手応え|P対談【前編】

「はねバド!」TVアニメ化に感じた確かな手応え|プロデューサー対談【前編】

高校生の羽咲綾乃たちがバドミントンに熱い青春を燃やすTVアニメ「はねバド!」(濱田浩輔さん原作、講談社『good!アフタヌーン』連載中)が好評放送中! そんな注目作「はねバド!」のキャストやスタッフの座談会企画をお送りしていますが、第2弾は東宝の細井駿介さんとライデンフィルムの新家朋人さんに先行上映会直後にお集まりいただいた、Wプロデューサー対談を前後編に渡ってお届けします。

前編の今回は「はねバド!」アニメ化の経緯と、映像や音などリアルさで話題になったアニメの制作秘話について語っていただきました。

 
原作4巻で企画書に着手。ライデンフィルムも初のスポーツものに挑戦!
――「はねバド!」がアニメ化された経緯を教えてください。

東宝 細井駿介さん(以下、細井):元々、原作の濱田浩輔先生が『週刊少年ジャンプ』で連載されていた『パジャマな彼女。』が好きだったんです。映像的な表現をする作家さんだなと思って気になっていました。

その後、『パジャマな彼女。』の連載終了後、『good!アフタヌーン』で「はねバド!」の連載が始まって、ずっと追いかけていました。連載開始から単行本の数巻は、バドミントンを題材にしつつ、競技のことだけでなく、キャラクターに寄り添って色々なことをやろうとしている面白い作品だなと思って読んでいましたが、原作コミックスの4巻あたりからキャラクターの変化に沿って熱いスポ根の要素が増えていき、本格派なスポーツ作品として舵を切ったなと、より注目するようになりました。

その頃に企画書を書き始めたんですが、5~6巻でインターハイ予選が始まり、ストーリー的にも絵的にもどんどん面白くなっていくのを見て、「原作でも充分に面白いけど、アニメにした時にすごい伸びしろがあるんじゃないか?」と思うようになりました。その後、更に企画書を詰めていき、ライデンフィルムさんに制作の相談をした時に「ウチにずっとバドミントンをやっていた男がいるんです」と新家さんを紹介してもらいました。

確か初めてお会いしたのは3年前くらいでしたよね?

ライデンフィルム 新家朋人さん(以下、新家):そうですね。まず僕がバドミントンをやっていたのと、スポーツもののアニメに挑戦してみたいなと思っていたので、すぐにやりたいと思いました。加えて、会社も設立6年目を迎えるので、看板になる作品を作りたいと思っていました。監督についても、そのタイミングで江崎慎平という優秀なクリエイターをアテンドできたので、勝負タイトルとしてやってみようと思ったんです。



細井:みんなで一緒に2015年のインターハイを見に行きましたよね。その年のインターハイは、先日、世界ランキング1位にもなった山口茜選手が高校3年生の時の大会で、3連覇を果たした大会でした。

――では制作も順調に進捗して。

細井:それが紆余曲折もありまして。最終的に、僕が今の会社に移ることになってから、具体的に企画が動き始めました。新家さんをだいぶお待たせすることになってしまいましたが……。

新家:その間、シリーズ構成の岸本卓さんやキャラクターデザインの木村智さんなどスタッフをそろえる期間ができたので、結果としていいメンバーで臨むことができたので良かったと思います。


日本のバドミントン界の躍進は追い風
――バドミントンは、リオ・オリンピックでの高橋・松友ペアの優勝や、先日の国別対抗戦で女子が優勝、男子が準優勝などかなり注目されるスポーツになったのでいいタイミングだったと思います。

細井:日本のバドミントン界は、若い才能の育成に非常に熱心に取り組んでいて、それが実り始めたのが今なんだそうです。

新家:先日の国別対抗戦もキー局の放送媒体で放送されていて、バドミントン大会の中継が民放で連日放送されるようになるとは思ってもいませんでした。

細井:リオの結果もあったので、これから昇り調子の競技だとは思っていましたが、まさかオンエアが始まるこのタイミングで男女共これだけの成果が出て注目を集めるようになるとは。選手やそれを支えている方々に勝手に感謝しています。

――新家さんはスポーツものに挑戦したかったとおっしゃっていましたが、バドミントンはアニメ化するのが難しいことも経験者だからこそわかっていたのでは?

新家:一番大変なスポーツを選んでしまいました(笑)。数あるスポーツの中でも特にアニメ化・映像化するのに苦労する競技だと思います。野球など対峙する間があるスポーツは作画しやすいけど、バドミントンは基本的には動きっぱなしなので、そこをどう描くかはスタッフ一同で考えて望んでいます。あとは熱意で乗り切れたらと。


難しかった濃密な原作の取捨選択。構成決定までにも凄い期間が!?
――アニメ化にあたって、原作サイドにはどのような形でお話をされたのでしょうか?

細井:原作ファンの方ならおわかりいただけると思いますが、序盤の構成を原作から大きく変えています。アニメ化の話を講談社さんに持ち込んだ5~6巻の頃は、作品がキャラクターの内面の部分が複雑化してきているタイミングで、そこをしっかりひも解いてアニメにしないといけないのではと感じていました。

漫画や小説であれば自分のペースで読み返すことができますが、アニメは見だしたら基本的にはノンストップで時間が流れていくものなので、一度の視聴でしっかりと理解をしてもらうために構成の整理も必要だと思っている旨も含めて、講談社さんにプレゼンさせていただき、許諾をいただきました。

――また原作サイドからオーダーはありましたか?

細井:基本的にはアニメスタッフにお任せをいただいていました。もちろん打ち合わせにライツの作品ご担当の方や、編集さんにも出席されていますが、今の原作がやろうとしていることが、同じところを目指していると思ってくださったたようで、僕らの提案を基本的には尊重していただく形で、シナリオ作業が進んでいきました。

色々なアイデアもいただきましたし、「このシーンはこういうつもりで描いていたんです」という思考の助けになる材料もたくさんいただいて、協力し合って今の構成を作っていきました。

新家:そういった原作さんのスタンスは、江崎監督からすれば「北風と太陽」で、「自由にやっていいよ」と言われると、その分、頑張らなきゃとプレッシャーも大きいと言ってました(笑)。

細井:原作者の濱田先生もアニメの出来に凄く喜んでくださっているようで、ホッとしています。

――「はねバド!」はキャラの数も多く、それぞれバックグランドを抱えているので、限られた話数の中で、どこまで描けるかがポイントになると思います。

細井:その取捨選択は大変でしたね。シリーズ構成だけでもかなり長い期間かかりました。最初は原作通りに並べていったオーソドックスなところから始まって、今の原作の持っているいいところを最大限に引き出して、そこにたどり着くための展開のひも解き方をかなり丁寧にやりました。

新家:どこを切り取るかで見えてくるものが全然違う作品になると思います。今回は原作5~6巻の雰囲気が中心ですが、今連載されている全国大会編を中心にアニメをスタートさせようとすればまた違ったアニメになる気がします。絵柄やお話などいろいろな解釈の幅があって、それが魅力であり、おもしろい作品だなと思います。


こだわったのはバドミントンのリアリティと女子高生の日常生活のリアルさと青春
――アニメ化するにあたって心がけたことは?

新家:まずバドミントンのシーンにリアリティがあることはもちろんですが、一方で普通の女子高生がバドミントンをやっているんだと感じてもらえるように日常の部分もしっかり描こうと思いました。また、この作品の一番の魅力は、負けていくキャラクターたちの選択を肯定してあげている、背中を押してあげているところだと思います。そういう部分にも説得力がある表現ができるようにと思って作っています。

――アニメでも女子高生というのは多感な時期であるということと、彼女たちがコンプレックスなどに悩む姿などもしっかり描かれていますね。

細井:そうですね。作中でコーチの立花も言っていますが、ちょっとしたことでガラっと変わっていくのが綾乃やなぎさたちの世代の特徴で、かつ魅力的な部分だと思います。原作にもそんな要素がたくさん詰まっていると思います。

――3話まで見させていただきましたが、かなり熱くて。みんな、青春してますね。

細井:3話までは青春度合いが強いですね。スクールドラマみたいな感じの。ここからキャラクターの内面にどんどん踏み込んでいく形になるので、これまでとは違う印象も出てくると思います。そこにもぜひ注目してほしいですね。


第一弾PVは業界でも話題に! 新家さんが衝撃を受けた反響のひと言とは?
――リアリティといえば、バドミントンの描写も細かいですね。公式サイトで披露された映像を見た時点で驚きました。

細井:ティザーPVの反響は大きかったですよね。

――シャトルを打った時の乾いた音やシューズがきしむ音、シャトルの羽や回転など細かくて。でもハードルを上げてしまったのではとキャストさんも心配してました(笑)。

細井:あの映像でハードルがかなり上がってしまいましたよね。他のクリエイターさんからライデンフィルムさんへの反響も結構あったんじゃないですか?

新家:ありましたね。今まで自分が携わった作品の中で一番分かり易くリアクション頂いていると思います。この方向性で頑張っていこうと思えました。

細井:実はこれまでのライデンフィルムさんの手がけた作品で主力を担っていた方々が集結しているんですよね。



――自分もバドミントン経験者ですが、きれいなシャトルの他、練習で使うボロシャトル、シャトルケースなども現実そのままで。こだわり過ぎでは?(笑)

細井:ボロシャトルはCGのモデルを作っているんですか?

新家:ボロもCGで作ってもらいました。ただ、実際はあまり登場頻度がなく、やり過ぎました(笑)。序盤は日常の練習シーンを拾っているので、より日常感や部活感が描ければいいなと思って、地味な部分にもこだわっています。


バドミントンシーンの繊細かつリアルな描写はロトスコも取り入れて制作
――試合もまだ部分的にしか登場していませんが、がっつり試合を描くとなるとあのリアリティとスピード感をキープするのは大変そうですね。

新家:大変ですね(笑)。

細井:プレーヤーにコンテ通りにプレーしてもらったものを撮影し、それをロトスコープ(モデルの動きを撮影したものをトレースしてアニメ化する手法)に近い形で参考として使用して制作していますが、あれは作業的に楽になるものなんですか? それともより作業量が増えて大変なものなんですか?視聴者の方々も、この作品のバドミントンシーンがどう作られていて、それがどんなカロリーなのか気になってると思います。

新家:一長一短ですね。ロトスコを使うと動きを考える手間や間違いがなくなるので助かりますが、作画枚数自体は増えます。ただ、スポーツものの作品は多少プレーヤーごとにクセはありますが、基本的には型のある動きの組み合わせになるので、前半話数でちゃんとしたものを作っていくと、後半話数で参考にしたり、流用できたりするので、全体的には大きなメリットがあると考えて制作しています。

――スマッシュやネット際に落とすドロップショットを打つ時の肘や手首の動きまで繊細に描かれているのはすごいですね。

新家:不自然な動きになると見ている方にも本気で作っていないと思われてしまうので、妥協せずに作っています。


効果音は生音から更に映像に合わせて調整し、通常のアニメの4倍のデータ量に
――リアリティを支えている音もどう作られているのか気になります。

新家:音響監督の若林和弘さんを始め、音響スタッフの皆さんにかなりこだわり強くやっていただいています。実際にインターハイや高校に音を収録しに行っていただいています。ただそのまま生の音を使っているわけではなく、それを元に説得力がある音を作っていただいています。

細井:実際に体育館で録った音をそのまま使ってしまうと、その時に聴いた時の臨場感と違うことが結構あるようです。実際に聴いた時の音に近づけるために、ただ録った音だけを使うのではなく、色々な手を加えているようです。

――すごく手間と時間をかけた音作りをされているんですね。

細井:音響効果のデータ量が通常のアニメの4倍もある、というのはビックリしました。普通は1.3GBくらいのデータ量らしいんですが、この作品は5.6GBもあるようで(笑)。細かい動きが非常に多い競技なので、間違いが無いように、新家さんたちにも頑張っていただいて、ダビングの時点でオールカラーで取り組んでいます。

新家:みんながいい意味でこだわって、熱くなってくれているので、それに応えられるように頑張っています。

細井:今の深夜テレビアニメだと、ダビング時点で色が付いていることはなかなかないんです。最初の話数はちょっと付いているかな、くらいで。

新家:音響さんもそこまで求めてこないですよね。不十分な素材だった場合もこちらの事情を汲んでもらうことが多いですけど、今回の場合は、プロの仕事をするからプロの仕事を求められるという緊張感があります。


人と人の縁が繋がって最強の布陣に
――今回のスタッフ組みの決め手を教えてください。

新家:今のスタッフが一番最初の段階で決まっていたわけではなく、人とのご縁の中で繋がっていった感じです。江崎さんに監督をお願いすることだけが決まっていて、江崎さんには『モンスターストライク』の劇場版を、「はねバド!」が動き出す前にやっていただきました。

その時にシリーズ構成をやっていただいたのが岸本卓さんで、実際に組んでやってみたらすごくウマが合って、次回作も一緒にやりたいですねと。木村さんに関しては、ライデンフィルムで最初にやったTVシリーズの『テラフォーマーズ』で総作画監督をやってもらっていたり、『アルスラーン戦記』でもメインスタッフにも入ってもらったりということもあって、ライデンフィルムが力を入れるタイトルなのでぜひやってほしいと。言ってみれば僕やライデンフィルムの作品の良いとこどり、仲間たちが次々に集まって、結果として今の一番いい形になっています。

細井:その中でも音響は悩みましたよね。『ばらかもん』という作品で若林さんのお仕事を実際に経験して、音作りへのこだわりが必要な作品であれば若林さんしかいないと自分の頭の中では思っていたんですが、ダビング時にオールカラーでの作業を求められる方なので、果たしてそれに応えられるのか、という不安もあって。

新家:でも江崎監督にその話をしたところ、やるならぜひ若林さんでというお話もいただいたので。

細井:江崎監督は元々、若林さんがジブリ作品をやられていた頃から尊敬されていたみたいですね。

――では次回はキャスト陣の決定についてお話をうかがいしますので、よろしくお願いします。

[後編へ続く]

(C)2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
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