声優
TVアニメ『転スラ』オープニング主題歌第二弾「メグルモノ」寺島拓篤さんインタビュー

TVアニメ『転生したらスライムだった件』オープニング主題歌第二弾「メグルモノ」寺島拓篤さんインタビュー|収録は曲すべて『転スラ』をイメージ! シングルに込めた想いと挑戦とは?

寺島拓篤さんのニューシングル「メグルモノ」が2月27日発売! 前作「Nameless Story」に続き、TVアニメ『転生したらスライムだった件』(以下、転スラ)のオープニング主題歌第二弾であり、カップリング含めて3曲すべて『転スラ』をイメージしたものになっています。

そんな気になる新曲のほか、昨年末の『おれパラ』を振り返りつつ、作詞で関わっているアノ話題のユニット、King&Rogueoneについても語っていただきました!

2017年の反省を踏まえ、新機軸を打ち出した『おれパラ』は達成感いっぱい

――まずせっかくなので、昨年末に行われた『おれパラ』を振り返っていただけますか?

寺島拓篤さん(以下、寺島):自分の中ですごくやり切った感がある『おれパラ』でした。2017年の『おれパラ』は10周年だったこともあって、準備もしっかりして臨んだけど、終わってから反省点も多くて。

2018年はそれを踏まえた1年を過ごして挑んだので、終わった瞬間に「やったぞ!」という達成感もあったし、楽しかったです。

――新オープニングや新エンディングなど、11年目、リスタートの年として新機軸が様々な点で見られた気がします。

寺島:それは起こるべくして起こった新陳代謝だと思うし、僕ら自身も意識していました。

だから見てくださったお客さんにとっても新鮮かつ刺激的だったと思うし、僕らも公演ごとに新たな発見がありましたね。毎公演後の反省会でも「こうしたほうがいいよね」という意見も積極的に出ていました。

お客さんと一緒に作り上げてきた『おれパラ』だからこそ、あの4公演で成長できたと思うし、それが実感できたことも楽しかったです。

――4公演目の両国国技館2日目にはサプライズがたくさんあって、客席もざわざわしていました(笑)。

寺島:ざわつき過ぎて、静かになった瞬間があって、あれはびっくりしました(笑)。特に僕と鈴村(健一)さんが作詞を担当した、新しい謎のユニット、King&Rogueoneが登場した時は驚いてましたね。

最後が森久保(祥太郎)さんだと思って、ペンライトを森久保さんの色に変えていたお客さんがしばらく変えられないほど、きょとんとしてて(笑)。

パフォーマンスに関してはビジュアルのゴリゴリのカッコよさと曲のやわらかさとのギャップがおもしろかったですね。

――1曲目の「King&Rogueone」の歌詞はメガネしてる人あるあるだし。

寺島:鈴村さんのセンスが光りますよね。1番の老眼に関する歌詞はバンドメンバーも「染みるなあ」と言ってたし、リハを見ていた森久保さんも泣けるなと(笑)。

2番のラップパートは僕が担当して、共作の形で作詞させていただきましたが普段やらないような作詞方法だったので新鮮なモノづくりをさせてもらいました。

――2曲目の60~70年代のアメリカンポップス風の「Catch your eyes」が個人的にハマりました。

寺島:僕も曲を聴いた瞬間に「めっちゃ、いいじゃん!」って思いました。

ライブ曲も欲しいよねというところから決まったみたいで、僕も歌詞を書くうえで、みんなとコール&レスポンスできる部分があったらいいなと思って、「L・O・V・E」を入れたり。

またサビでみんなに簡単に歌ってもらえるフレーズを入れることで、サプライズで披露しても1曲が終わる頃には、みんなで1つになれていたらいいなと。

「King&Rogueone」があるある系の歌詞だったので、この曲はとにかく目に関する単語をひたすら入れようと。こんなに目について考えたことは初めてというくらい。単語を探す作業は楽しかったです。

 

新曲「メグルモノ」を『おれパラ』で初披露した意味と得たもの

――もう1つのサプライズとして、新曲「メグルモノ」も初披露されましたね。

寺島:『転スラ』の新しいオープニング曲ですが、アニメで流れるのに先駆けて歌わせてもらいました。

「メグルモノ」は「King&Rogueone」と違って、みんなで作るような曲ではなかったので、制作段階からどうやってステージで表現したらいいのか、悩みました。

でもリハで、「この曲はステージだけで完結できるようにしないとお客さんに染みていかないのかな」と気付いて。だから本番では間奏も含めて、ステージだけでどれだけ表現できるかに集中してやりました。

――ステージでもまず第一弾のオープニング主題歌「Nameless Story」を歌った後だったので、まったく違った雰囲気にも驚いて。

寺島:同じ作品のテーマ曲だけど、全然違う表現でいこうと思っていました。

実は新たにオープニング曲を作るというのは決まっていなくて、ずっと「Nameless Story」で行くと思っていたんです。ありがたいお話だなと思いつつ、前作で出し切った感があったので、「何をやればいいんだろう?」と。

とりあえずアニメでどこまで描かれるのか、台本をいただいて、今後の展開のお話を聞いて、もっとシリアスに寄せた曲にしていいのかなって。

また曲はコンペで決めましたが、Arte Refactの桑原聖さんが作曲、酒井拓也さんが編曲のあのイントロを聴いた瞬間に「絶対、これじゃん!」と決めました。

でもアニメのテーマ曲のイントロでこんなにピアノで尺を使うのはどうだろう? という意見もあって。最終的には、この曲で『転スラ』の後半戦を見せると考えた時、むしろイントロもこれくらいしっかり作ってないとダメだろうと。

あのピアノを土台にしてもっと盛り上がったバージョンのイントロも作ってみたけど、「違うな。やっぱりピアノだけのほうがいい」という結論になりました。

――イントロのあの美しく神秘的な調べに加え、初披露ということで『おれパラ』のお客さんも緊張感と聴き逃すまいとみんなが集中している姿はあまり見たことがない光景でした。

寺島:だからこそ、できた空気感かもしれませんね。「メグルモノ」という楽曲にとって、あのライブはすごく大きな意味があったと思うんです。

僕の出番の最後の曲でもあり、みんなもっと盛り上がりたいと思っているところに新曲かつシリアスというのは挑戦的だと思いましたが、やってよかったと思いました。

今後ライブでパフォーマンスしていくうえで覚悟が決まったし、かなり完成度も上げられたかなと思っています。

――『おれパラ』後、年が明けて、『転スラ』の新オープニング映像と共に曲が流れましたね。

寺島:曲を作った後、今後の展開のどのシーンを映像に入れるのかなとワクワクしていました。

「Nameless Story」のオープニング映像では随分先に登場するキャラもいたりして、ビックリしましたが(笑)、今回は楽曲の音の部分を拾ってくださった演出になっていたし、オープニングの盛り上がりや、歌詞で表現したい世界観もピックアップしてくださって。

すごく大切にしてくださったんだなとうれしいやら、そわそわするやら(笑)。

――『転スラ』の前半の第1クールは順風満帆に進んできましたが、後半の第二クールからは魔王達や予期せぬ出来事にも遭遇したり、厳しく、ツライ局面も想像できるので、曲のシリアスさはピッタリだなと。

寺島:原作を先の先まで読んでいるから自然とこうなったというか。アニメだけご覧になっている方にはどうこの曲が映るのか、想像がつかなくて。

楽曲だけ見れば「Nameless Story」の派手さに比べると、おとなしく感じるかもしれないけど、これからのアニメの展開をご覧になって楽しんでいただけたら。

「メグルモノ」のテーマは「自立と共存」

――「Nameless Story」では作品に寄り添いつつ、「大人になる」というテーマを柱に作詞されましたが、今回は?

寺島:前回は「自立」をテーマにしましたが、今回は「自立と共存」がテーマです。

『転スラ』でリムルがいろいろな人と出会っていく中で、誰かと一緒に歩んでいくということも作品の大切な要素になっているのかなと思ったんです。

お互いの個があるからこそ、共存できるし、それが社会形成につながっていくわけで、「Nameless Story」の一歩先に進んだ歌詞にしたいなって。

誰しも自分を中心に周りに人がいるけど、逆に誰かにとっての自分はサブキャラなわけで。「Nameless Story」で自分が主人公だと胸を張った以上、誰かにとってはサブキャラであるからこそできることがあるんじゃないかなって。

サビの「誰もが等しく希望という種を持った」がまさしくそうで、誰もが持っている種をどのように芽吹いて、何を咲かせるのかは人それぞれ。

上に見過ぎるのでもなく、下に見るのでもなく、みんなそれぞれ役割があるからこそ共存できるんじゃないかという部分をテーマにしたかったし、それが一番クリアな社会につながっていくんじゃないかと思っているんです。

――曲中にも登場するタイトルの由来は?

寺島:イントロからインスピレーションを得たんですけど、まず雨音のような水滴が跳ねる音の印象を受けて、水滴とスライムってすごく似ているなと。

水滴は雨になって、川になって、海に流れて、雲になって、また山に降って……と巡っていって。

また人間の三上悟が命を落として転生したのがスライムであり、あの世界を巡って社会を形成していくという様子が似ているなと思ったんです。

それぞれ立場が違っても、いろいろなものが巡り巡って、この世界を作っているので、最初にキーワードとして一番描きたい「巡る」という言葉が浮かんできました。

それに加えて、もっと作品に寄り添うためにどうしたらいいか考えた時、キャラクター達が作中で得ていくユニークスキルの「クラウモノ」や「ウエルモノ」などの「~モノ」をつければ、印象的なタイトルになると思って「メグルモノ」になりました。

やっぱり自分の楽曲というより、作品のタイアップであることが大事であり、原作ファンの方やアニメをご覧になってくださった方が「これが『転スラ』の主題歌なんだ」とわかるものにしたいなという想いも強くて。だからこのタイトルをすごく気に入っています。

 

芯に迫った言葉を選び、ファンタジーと現実の「二律背反」を表現

――「名前のない物語を終える時」は前作とのつながり、「青い灯火」はリムルを想像させますね。あと「生き抜け」や「焦燥や後悔を飲み込みながら」など苦く、厳しい言葉も印象的で。

寺島:リアリティのある言葉というか、芯に迫ったものを使っています。よりシリアスに見せるうえで、もっとピンポイントに言葉を選んだほうがいいなという気持ちがあって。

今回の歌詞は壮大に見せたくて、詩的な表現をたくさんしながらも、1個イメージがぱっとすぐに浮かぶ言葉遣いもしています。「生き抜け」はちょっと重いかなと思いつつ、書きましたが、誰の声かわからないけど、頭に響く声が聴こえた瞬間に、またひとつ自分の中に立ち上がらなきゃいけないエネルギーが湧いてくるのかなと。

それは作中でリムルの頭の中で聴こえる大賢者の声もイメージしつつ、誰の声かわからないけど確実にみんなの心に響く何かの声によって力強く生きてほしいという願いもあって。

僕自身も不安や焦りは常に持っているけど、それでも人生は進んでいくし、その歩みは自分の意志と足で進めなきゃいけない。そう思った時に、こういったピンポイントな感情面の言葉も入れてみたいなと思ったんです。

――サビ頭の「We will find the way」の「will」にも意味があるように聴こえました。

寺島:「will」は、未来形を表わす以外に、「意志」も意味する言葉です。考えて入れたわけではなく、英文的に未来を表わす言葉として使っているんですけど、後々考えてみると未来も自分で踏み出したり、つかみにいかないと確かなものは得られないわけで。

意志とつながってラッキー! と思いました(笑)。

――全体的にファンタジー感もありながら、現実を生きるリアリティと前に進んでいく力強さがある歌詞ですね。

寺島:ファンタジーと反対に位置するリアル。それはリアルの世界に生きていた三上が、ファンタジー世界に転生してリアルな生き方で生き抜いていくことにも繋がっています。

まさに歌詞にある「二律背反(アンビバレンス)」なんですよね。矛盾しているように見えるものも実は背中合わせで、巡り巡ってくるんだよと思って、言葉選びをしました。

――サウンドはイントロで印象的なピアノの音色は優しいけど、ストリングスは繊細な音色から激しく強弱があり、打ち込みは強く、とカオス感があっておもしろいなと。

寺島:音で広い世界が表現されているところがArte Refactのすごさですよね。ディレクターさんから「今度の曲はArte Refact(※1)でいこうと思う」と提案を受けて。しかも絶対的な自信と共に(笑)。

また一緒にラジオをやっている羽多野渉君にArteさんに作ってもらうことを話したら「Arteだったら間違いない」と言われてここでもかと(笑)。

僕自身はArteさんの曲にそれほど多く触れたことはなかったんですけど、期待して待っていたら素晴らしい曲が上がってきて。強さと繊細さが同居する複雑な曲なのにちゃんと心に届きました。2番の終わりの間奏の作り込みとか未体験な音作りにも驚きましたね。


※1:Arte Refact
ゲームやアニメ作品の楽曲を手がけるクリエイター集団。これまでにも、『THE IDOLM@STER SideM』『ラブライブ!サンシャイン!!』『キラッとプリ☆チャン』など、人気作品の楽曲を数多く担当している。


――実は『おれパラ』で初披露した時、その間奏のところで、客席に背を向け、指揮者のようなパフォーマンスをした姿が印象に残っていて。

寺島:こうしようと決めていたわけではなく、コンテンポラリーダンスのように作品の一部に自分を没入させようと思った時、ここは正面を向くよりもバンドやステージの装飾に同化しようと思ったんです。

そうしたらああいう動きになって。意識して出たものではなかったので、僕自身もおもしろかったです。

――いつもライブで歌う時は常に客席を意識されていた寺島さんだったので余計に新鮮さを感じました。

寺島:今までにない感覚だったけど気持ちよくて。今後ライブでやる時、どう変化するのかはまったくわかりませんが、現時点であれが出たのは新鮮でした。

――また『おれパラ』後のブログで、「すげえ難しい曲だなコレ」と頭を抱えていたと書かれていましたね。

寺島:そもそも自分の声の特徴から突っ走って勢いで歌う曲のほうが合っているのかなと思っていたんですよね。

「Nameless Story」の時も今までやらなかった濃いめの表現をしてみようという挑戦もありましたが、カップリングの「calm」を歌った時も自分ではバラードは苦手だと思っていたんです。

でも、スタッフさんが僕のバラードをほめてくれたことが自信になって、ドラマチックな表現がもっとできるのかもしれないという発見がありました。

「メグルモノ」はこの楽曲が持つ世界観や作品感を強く出しやすい曲だったし、むしろ出さないとうまくのらないなと思ったので、表現の部分では細かく考えながら録って、それがいい形でライブでもドラマチックにできたんです。

難しかったけど、歌ってみたらおもしろかったし、作品作りをしている手ごたえを感じられました。

 

MVのテーマは「リアルをファンタジーに」、ジャケ写撮影は命がけ!?

――MVは背景のCGはポップでかわいく、ファンタジックな映像になっています。

寺島:「Nameless Story」のテーマは「ファンタジーをリアルに」だったけど、今回は「リアルをファンタジーに」で。前回は実際の場所(ロケ)で撮影したけど、今回はCG合成のスタジオ撮影でした。

イメージ画は見させていただきましたが、完成図が想像つかないままグリーンバックで撮影でしたね。回転台にのっての撮影では目が回って大変でした(笑)。

CGを使ったMVは今までもあったけど、また違った形で、仕上がったものを見てビックリしました。スタッフさんからは「イメージは『2001年宇宙の旅』のイメージだね」と言われて、映画を見たら確かに……(笑)。

不思議かつ壮大な映像で、後半にいけばいくほど、僕が世界に入っていっている感じになっておもしろかったです。自然をCGで作ったのが前作と逆転の発想で、それもリアルと仮想を巡り巡っているので、「メグルモノ」らしい映像になったと思います。

大変だったのはMV撮影よりもジャケット撮影で、MVとは逆にリアルに存在するものをリアルな場所に行って撮影するという感じで。朝早く、屏風ヶ浦に行って、僕も崖っぷちに立っての撮影だったけど、カメラマンさんも崖っぷちだったので心配で。

寒かったし、これこそ合成でよかったんじゃないかと思ったけど、完成したものを見て、この質感はCGじゃ出ないだろうから意味があったなと思えたし、衣装も背景に溶け込むようなグレーに統一して自然に溶け込んでいることも意味があったんだなと。

ケルティックな音とファンタジーが融合した「あしおとマーチング」

――ではカップリングのお話を。まず「あしおとマーチング」は1曲目と対照的にのんびりした雰囲気ですね。

寺島:『おれパラ』と制作期間が重なっていたこともあって、何を書こうかよりもどんな曲にしようかのほうを先行しました。

今回、作品がファンタジックな世界ということもあり、普段できないケルティックな音もいいなと思ったんです。僕もそういう音楽が好きだし、ファンタジックな世界に合うケルトサウンドで日常っぽい曲をお願いしたら、ディレクターさんがmarbleの菊池達也さん(※2)がピッタリだと。

曲を聴いたらちょっとマーチングっぽいリズム感が、『転スラ』のあるキャラと合致するなと思って、イメージして書いてみました。


※2:marbleの菊池達也さん
音楽ユニット・marbleのギター、ベース、ボーカル担当。ゲームやアニメの楽曲にも多く携わっている。TVアニメ『ひだまりスケッチ』シリーズや、TVアニメ『侵略!イカ娘』などの楽曲を担当。


――『転スラ』はバトルシーンも見どころですが、リムル達のほんわかした日常シーンも魅力的で、そんな側面を描いているように聴こえます。

寺島:そうなんです。『転スラ』はいろいろな面がリアリティを持って描かれていて、戦いや交渉などシリアスな面がある一方で、こういったのんびりした面も大切な作品なんです。

そこを描きたいなと思ったし、『転スラ』だからこそできた広げ方かなと思います。1曲目とのギャップに驚かれる人もいるかもしれないけど、作品でつながっていることで納得してもらえるかなと。

――歌詞を見ると、都会などにいると孤独感を感じる時もあるけど、雑踏や街の音の一部を自分も形成しているんだと思うと一人じゃないんだと思わせてくれます。

寺島:「メグルモノ」とも共通項があって、自分が世界の一部でありつつ、その世界の主人公でもあることという矛盾的なものがこの曲にも含まれていて。

意識したわけではなく、自然にそうなっていたことに書き終わった後に気付きました。

――シングルの発売は2月末ですが、春っぽい雰囲気でお出かけしたくなるような。

寺島:ちょっとテンポは速めですけど、元気いっぱい散歩している曲なので確かに春っぽさはありますね。これを聴いて、春の暖かな日には散歩してもらいたいですね。

目に映るものがいつもと同じものでも自分の気分で変わって見えることもあるし、そんな新鮮さを毎日見つけられた楽しいし。

僕、いまだに発売時期を気にしたことがないから季節っぽい曲がほとんどないんですよね。今度から少し意識して作ったほうがいいのかなと最近思うようになりました(笑)。

――あと途中でクラップと足踏みする音も楽しいですね。

寺島:デモを聴いた時、歩けば勝手に足音がして、それがどんどん広がっていって、みんなも同じ音を奏でていて、最終的にはみんなで世界の音を奏でているんだというふうにイメージが膨らんでいって。だからあのリズムが楽しいですよね。

ライブでみんなと一緒に何かできたらおもしろいと思うし、やってほしいとスタッフさんも言っていたので(笑)。

この曲では音からイメージしたかわいげのある言葉選びをしていて、普段の自分では書かないような言葉を放り込んでいるので、自然に体をのせて楽しんでいただけたら嬉しいです。

本格的なラップナンバー「SE」は孤独感があるキャラをイメージ

――3曲目の「SE」では本格的なラップナンバーでカッコいいですね。

寺島:「あしおとマーチング」同様にどういう曲をやろうかを先行して、ラップをやろうと。

でも冷静に考えたらラップに精通しているわけでもなく、部分的にラップが入っているものはやったことがあるけど、ラップを主体にした楽曲作りはしたことがなくて。

実際、楽曲が到着してからもどう歌詞を作ったらいいんだろうと悩みました。

デモの時点でガイドみたいなものは入れてくださっていたんですけど、それに沿ってやっていくのは意味がないなと思って、まず歌メロのサビとDメロを先に作ってから書きたいことのフックを作ろうと思いました。

そして書いているうちに『転スラ』のあのキャラのことを書こうと行き着いてからはサクサク出てきました。

――歌詞を見ると結構、孤独感が包まれた内容ですよね。

寺島:そうなんです。ある種、現代人が抱えるネットとリアルのギャップの怖さや不安や悲しさも描いています。

これまで悲しさを書いたことはあまりなかったけど、ラップで語りかけるような、ひとり言のようなものだからこそ言葉がいっぱい出てきたのかもしれません。

普段から韻を踏むとか、1番と2番で共通の言葉を使うとか、何かと何かを結びつけることはやってきたので、言葉は割と自然に出てきたけど、どうハメるか、どういうフレージングで、どういうグルーヴ感で行くのか難しかったけど、考える作業は楽しかったです。

――でも最後は絶望で終わらないところが寺島さんらしいなと。

寺島:「それもありか」という終わり方で。しんどいばかりだと僕もしんどくなっちゃうので、最後に救いがほしいな、自分の中に活路があったらいいなと思って。

不安を感じたり、弱い自分も自分なんだから受け入れていこうと。それを受け入れられたら前に進めるのかなと、悩みの先も提示できたらいいですね。

――タイトルの由来は?

寺島:最初、言葉を置いていく時にラップの言葉って効果音みたいだなと思って。

また日常にある孤独の音も表現したいなと思って、このタイトルにしたけど、その後、ダブルミーニング、トリプルミーニング的に「S」と「E」と表現できることがたくさんあるなと気が付いて、そこから言葉を選んでいきました。

高まる創作意欲とモチーベーションを作品作りやライブにつなげたい

――2019年の音楽活動の抱負をお聞かせください。

寺島:このシングルリリース以外は今のところ、何も決まっていなくて。もちろんライブもしたいし、ライブができるならCDも出したいし、またタイアップさせてくれるならやらせてもらいたい。正直、やりたいことはいっぱいあります。

いろいろなことを表現したい意欲が高まっているし、今後も持続していく気がするので、音楽活動をもっともっと楽しめそうだなと思っています。

6月の『ランティス祭り2019』にも出演するし、作品系のライブもたくさんあるし、音楽に寄り添ったチェックポイントは既に決まっているからモチベーションが高まっているのかもしれません。もっと音楽制作したいですね。

――最後に皆さんへメッセージをお願いします。

寺島:第1シリーズに続いて『転スラ』のオープニング曲を第一弾に引き続き担当させていただくということで、作品にすごく寄り添った形で作らせていただきました。

原作を読み返してみて改めておもしろい作品だなと思ったし、アニメから入った方には原作も、原作からファンの方にはアニメも見ていただきたいです。

そうすることで、何倍も楽曲を楽しんでいただける相互関係のある曲を作っているつもりです。

カップリングも『転スラ』のイメージを膨らませたものなので、どのキャラのことを歌ったのかなと想像しながらアニメと一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。

[取材・文/永井和幸]

CDリリース情報

TVアニメ『転生したらスライムだった件』オープニング主題歌 第二弾
9thシングル「メグルモノ」
2019年2月27日発売!

★アニメイト特典はL判ブロマイド(アーティスト写真使用)!

【初回限定盤(CD+DVD)】
LACM-34838/¥1,800(税抜)


 
【通常盤(CD)】
LACM-14838/¥1,300(税抜)
アニメイトオンラインショップでの購入はコチラ

【収録内容】
[CD]
1:メグルモノ
作詞:寺島拓篤 作曲:桑原聖(Arte Refact) 編曲:酒井拓也(Arte Refact)
2:あしおとマーチング
作詞:寺島拓篤 作曲・編曲:菊池達也
3:SE
作詞:寺島拓篤 作曲:青木隆多 編曲:TEAM WHIM
4:メグルモノ (Instrumental)
5:あしおとマーチング (Instrumental)
6:SE (Instrumental)

[DVD] ※初回限定盤のみ
メグルモノ (Music Clip)

発売元・販売元:株式会社バンダイナムコアーツ

鈴村健一、寺島拓篤が歌詞提供をしている新星ユニット『King&Rogueone』シングル発売決定!

King&Rogueone「King&Rogueone」
2019年4月3日発売

★アニメイト特典はポストカード!

【初回限定盤(CD+DVD)】
LACM-34839 / ¥1,800(税抜)
アニメイトオンラインショップでの購入はコチラ

【通常盤(CD)】
LACM-14839 / ¥1,200(税抜)
アニメイトオンラインショップでの購入はコチラ

【収録内容】
[CD]
1.King&Rogueone
Lyric:鈴村健一 㻾ap Lyric:寺島拓篤 Music:小倉しんこう Arrange:小倉しんこう、梅原 新
2.Catch your eyes
Lyric:寺島拓篤 Music & Arrange:田中明仁
3.King&Rogueone(Off Vocal)
4.Catch your eyes(Off Vocal)

[DVD]※初回限定盤のみ
King&Rogueone(Music Clip)

発売元・販売元:株式会社バンダイナムコアーツ

寺島拓篤(てらしま たくま)プロフィール

石川県出身の12月20日生まれ。アクセルワン所属。
TVアニメ『創聖のアクエリオン』アポロ役で華々しいデビューをかざり、2011年、TVアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%』一十木音也役やTVアニメ『セイクリッドセブン』丹童子アルマ役などの主役をはじめ、多数のアニメ・ゲーム作品の声をあてる人気の男性声優の一人。

数々のキャラクターソングを歌いこなす歌唱力の高さと、G.Addictオリジナルアニメーション企画『グラール騎士団(グラールナイツ)』のメインキャスト梶裕貴・阿部敦・寺島拓篤・堀江一眞の4人がユニット)として魅せたライブパフォーマンスも業界屈指。

寺島拓篤ランティスレーベル
TVアニメ『転生したらスライムだった件』公式サイト
TVアニメ『転生したらスライムだった件』公式Twitter(@ten_sura_anime)

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