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花王アタック×TVアニメ『進撃の巨人』コラボの裏側【あのアニメコラボのウラガワ聞きました・連載第1回】

花王×TVアニメ『進撃の巨人』コラボ「調査兵団公式洗剤開発会議」の裏側|リヴァイ兵長の好きな匂いから作りたかった【あのアニメコラボのウラガワ聞きました・連載第1回】

最近、アニメやマンガとコラボレーションする企業が増えてきたなと思いませんか? 私たちが好きな作品が大企業とコラボするのは嬉しいものです。でも、あれってどうやってコラボが生まれているのでしょうか?

アニメイトタイムズでは、そんな疑問を解決するべく、“ファンフレンドリー”な企業にコラボのきっかけや、オリジナル商品開発の裏側をインタビューしていく企画【あのアニメコラボのウラガワ聞きました】をスタート!

連載第1回となる今回ご紹介するのは、花王の洗濯洗剤アタックとTVアニメ『進撃の巨人』がコラボした「調査兵団公式洗剤開発会議」です。ファン投票で選ばれた、リヴァイ兵長ビジュアルボトルのアタック第1弾は、あっという間に完売(2018年12月)。

そして現在は、追加生産分と第2弾が発売されている、大人気商品なのです。(2019年2月25日より発売中。数量限定)

このコラボレーションを企画した、花王ファブリックケア事業部の望月諭さんと、花王アタックのTwitter公式アカウント(@kao_attackjp)の中の人に、コラボのウラガワを聞きました!

花王アタック×『進撃の巨人』の悔いなき洗濯は、「ファンと一緒に作る」がテーマ

——花王では、2018年の7月からTVアニメ『進撃の巨人』とコラボレーションした「調査兵団公式洗剤開発会議」のキャンペーンを行っています。まずは、このコラボが始まったきっかけを教えてください。

望月諭さん(以下、望月): 「進撃の巨人」の副題が「Attack(アタック) on titan」である事に気が付いたんです。「あの日、担当者は気づいた……」のくだりですね。そしてそれをチームに提案したのですが「面白いからやろう!」とみんなが賛成してくれました。

花王アタックの中の人(以下、中の人):洗剤チームは、新しいチャレンジが好きな人が多く、またそれをやってみろという気風も強いんです。製作委員会も、面白がってくださって。

——では、企画の内容は製作委員会と一緒に?

望月:実は、製作委員会へ提案する前からチーム内で「ファンと一緒に商品を作ろう」をテーマにしていました。ファンの皆さんに喜んでもらうためにも、一緒に考えていく企画の方が面白いよねって。

製作委員会からバックアップをいただきながら、ファンの皆さんとメインに作っていこうと考えました。

中の人:いろんな企画案がありました。ファンの方と集まって「リヴァイ兵長が好きな香りを考えよう」会議をして、香料の開発チームが新しい香りを作るアイディアもありました。

香料だけでなく、洗剤の色もやろうと思えばオリジナルで開発することができます。赤とか。でも、そこから取りかかると、お届けするまでにあまりにも時間がかかってしまいます。

——時間が許せば、本当にオリジナルの洗剤を作るつもりだったんですね。

望月:はい。でもまずは、できるだけ早くファンの皆さんへお届けすることを優先し、いくつか種類のあるアタックの中から、「アタック抗菌 EXスーパークリアジェル抗菌EX」を選びました。

このアタックはボトルが大きく、ビジュアルデザインを目立たせることができます。

また、キャップにステッカーシールを貼れるため、リヴァイ兵長のカッコいいいセリフを、シールにしようと思ったんです。抗菌EXというのも、キレイ好きなリヴァイ兵長にぴったりだなと。

何と言っても、リヴァイ兵長の過去を描いたスピンオフ作品『進撃の巨人 悔いなき選択』の“選択”と“洗濯”がハマりましたね!

中の人:ノベルティで洗濯桶を作ったのですが、他にも超大型巨人のロウソクや調査兵団のエンブレムをイメージした洗濯板などの案もありました。羽の部分が洗濯板の凹凸になっているような(笑)。

 

究極の選択「母のような眼差し」と「鋭い眼差し」のリヴァイ兵長

——そこからまずは、Twitterによるユーザー参加型の開発会議からスタートしました。第1回の会議は、リヴァイ兵長のデザイン投票です。

望月:「母のような眼差しで洗濯物を畳むリヴァイ」と「鋭い眼差しで洗剤の量を測るリヴァイ」の2つのビジュアルを、Twitterのリツイートといいねで選んでいただきました。

 

——リヴァイ兵長の割烹着、いいですよね。

望月:製作委員会には、洗濯をイメージさせつつも、いつものリヴァイ兵長とそうでない兵長の2パターンをお願いしたんです。いくつかデザイン案をいただき、割烹着を着ているデザインにまとまりました。

中の人:デザイン投票は、万を超える参加をいただいて、ものによっては合計10万票近くも。また、海外からの反響も多く、タイ語、中国語、英語、ポルトガル語、フランス語……などのリプライをいただいて。

日本限定販売であることが申し訳ないなと思いながらも、作品の人気の高さを、あらためて感じました。

 

——それはすごい……! 続いては、アイキャッチシールの「悔いなきセリフ」選択投票がありました。これらの投票結果は、調査兵団公式洗剤開発“生”会議として、ニコニコ生放送で発表、選ばれたビジュアルは「鋭い眼差しのリヴァイ兵長」でしたが、この結果は予想通りでしたか?

望月:違いました。本当のところ、僕たちは「母のような眼差しのリヴァイ兵長」が選ばれるだろうと思っていたんですよ。鋭い眼差しは見慣れているから、ファンの皆さんは違う雰囲気の兵長が見たいんじゃないかって。

でも、花王の中にも「ファンは絶対に鋭い眼差しのリヴァイを選ぶ」と予想していた人がいました。弊社の専務なのですが……。

——とっても偉い人ですね(笑)。

中の人:私たちにとっては、それこそ概念のような存在ですよ(笑)。

Twitterでたくさん投票をいただいたので、レポートにまとめて上司に報告したんです。すると、専務の耳にもコラボの話が入ったのですが、そこで実は『進撃の巨人』の愛読者であることが発覚いたしました……。

だからこそ「鋭い眼差しのリヴァイだろう。ファンの気持ちをわかってない」と指摘されました。

さらに、投票は「母のような眼差しで洗濯物を畳むリヴァイ」はRT、「鋭い眼差しのリヴァイ兵長」が「いいね」で投票だったんですが、「鋭い眼差しのリヴァイ兵長のほうが投票数が多くなるだろうから、拡散力を考えるとRTにしたほうがよかったのでは?」と、デジタル施策ならではのアドバイスもいただきましたね。

——もしかすると、専務さんはリヴァイ兵長ファンなのかもしれませんね(笑)。

望月:そうかもしれないです! さすがにあの意見には納得でしたね。過去の自分が悔やまれます……。

——その他にも望月さんは、エレン役の梶裕貴さんとミカサ役の石川由依さんとニコニコ生放送で共演されました。なかなか、サラリーマンとして貴重な体験かと思うのですが。

望月:とても緊張して大汗をかきましたが、梶さんと石川さんに助けていただきました。専務も見てくれたそうです。本当は、専務に出てほしかったんですけどね。

中の人:Twitterのフォロワーさんも、ニコ生を見てくださって。おかげさまで、発表もすごく盛り上がりました。

もしかして販売NG……?あらゆるところに潜んでいた『進撃の巨人』ファンに助けられた

——洗剤のキャップに貼るアイキャッチシールのセリフは、「全然なってない すべてやり直せ」が選ばれましたね。

望月:作品の中から、投票いただく候補のセリフを4つ選びましたが、この選択は大変でした。

洗濯洗剤なのに「すべてやり直せ」や「これはなんの汚れだ」とあったら、このコラボをご存じのないお客様が、驚いてしまうかもしれません。

そこで法務や消費者相談室の担当に相談をしたところ、作品を知っている担当者が「これは作品内に出てきたキャラクターの有名な言葉ですし商品のパッケージ構造上、問題ないのでは」と味方してくれました。

今思えば、担当者も『進撃の巨人』企画のファンだったのではないでしょうかね。

——ファンが多い!

望月:販売に関しても、ファンに助けられています。メーカーが作った商品は、ドラッグストアやスーパーなどの販売店さんに協力いただいて、お客様にお届けします。

コラボ洗剤の第1弾は、バイヤーさんが『進撃の巨人』のファンだったんです。

「調査兵団の公式洗剤を発売するんですが」と提案したところ、『進撃の巨人』が人気なことを知っていて取り扱ってくれたんです。

そして「進撃の巨人企画をやりたい」と、おっしゃってくださって。

世の中に商品はたくさんありますが、お店の棚に置いていただける数は限られています。だから、バイヤーさんに注目していただけるのはとても重要なんです。

——作ったのも売ったのも買ったのもファンだったんですね……! これはもう、大成功だと思われたのでは?

中の人:Twitterで大きく反響いただきましたし、Amazonさんでも予約分はすぐに売り切れてしまいました。

しかし花王としては、ここまでお客様と一緒に商品を作ることは初めて。そんな不安もある中、初回に用意した数量は売り切れ、嬉しい反面、少なすぎたなと……。

ファンの皆さんから「近くで売っていません」とリプライをいただき、期待に応えきれなかったことが、当時は辛かったです。

——花王アタック中の人さんは、ファンの声が直接届く立場ですから、なおさらですよね。

中の人:私がツイートするときは、体温を持って接することを大事にしています。#悔いなき洗濯の企画の場合だと「半分会社の人間、半分ファン」としてフォロワーさんとお話をしていくスタンスです。

難しい立場ではありますが、ファンの方やお客様と同じ目線で話をすることを、とても大切にし、できる限りお客様に寄り添いたいと思っています。

すべてにお返事はできませんが、リプライには目を通していますし、できるだけ対応するようにしています。本気で、私も熱を持って取り組んでいます。

ますます、『進撃の巨人』が好きになりました

——2018年12月10日に発売された第1弾に続き、追加生産ともうひとつのデザイン「母のような眼差しで洗濯物を畳むリヴァイ兵長」ボトルの販売が決定しました。

望月:多くのファンの皆さんから、ご要望をいただいた結果です。やっぱり、「両方ほしい」の声が大きかったんです。「どっちもだ」が、悔いなき選択ということだったんだなと。

前回ご購入できなかった方、もちろんリピートしたいという皆さん全員に、お届けできたらと思っています。「取り扱いたい」という声もいただき、販売店さんも増えました。

——最後に、今回のコラボは楽しかったですか?

中の人:楽しかったです。僕らは、作品を使わせていただく側ですし、深く理解し、愛を持って接しなくてはいけないと思っていて。それを、ずっと考えながらの企画でした。

『進撃の巨人』と『アタック』それぞれの良さが共鳴できて、今回のような形にできたんじゃないかなと思います、なによりも『進撃の巨人』という作品の懐の深さが生んだ企画だと思います。いいコラボができたんじゃないかなと思います。

望月:僕は1月から部署が異動となり、この企画から離れることになりましたが、ファンの皆さんには、ぜひこの企画を応援し続けてほしいです。

アタックは歴史が長い分、昔ながらの定番というイメージが強くなかなか若い方に興味を持っていただく機会が少ないのではと思っています。今回の進撃の巨人コラボをきっかけに、興味を持って使っていただけたら嬉しいです。

編集後記

「このコラボレーションで、進撃の巨人がますます好きになりました」とお話していた、望月さんと花王アタックの中の人さん。

アタックを買ったファンはもちろんのこと、花王のみなさん、バイヤーさんに至るまで。ファンとファンがつながる不思議で素敵な企画となったことが、成功の鍵だったようです。

テーマ通り、まさに「ファンと一緒に作る」コラボレーションでした。

次回はどのようなコラボに会えるのでしょうか? 今後の連載もお楽しみに。

[企画・取材/マチコマキ]

■「アタックon titan 悔いなき洗濯キャンペーン 〜調査兵団公式洗剤開発会議〜」特設サイト
■アタック公式Twitter

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