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『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』野原しんのすけ役・小林由美子さんインタビュー

『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』野原しんのすけ役・小林由美子さんインタビュー|些細なシーンやセリフに散りばめられている家族の絆

2019年4月19日(金)に、シリーズ27作目となる映画クレヨンしんちゃんの最新作、『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』が大ヒット公開です。

今回は野原一家のひろしとみさえが、いまさら初の新婚旅行を楽しむためにオーストラリア最後の秘境、グレートババァブリーフ島へ! しかし、この島に昔から住む仮面族の「伝説の花婿」にひろしが選ばれてしまい、さらわれてしまったのです。

果たして、しんのすけとみさえは、ひろしを奪還することができるのか。そして大冒険の先に野原一家が見つけたものとは……!? 今回は「野原一家」の原点に戻る、笑いあり涙ありの内容となっております。

そんな本作の野原しんのすけ役・小林由美子さんにインタビューを実施しました。小林さんは「映画クレヨンしんちゃん」シリーズは今回が初参加です。

改めて、初回アフレコのエピソードやしんちゃん役に対する想いと愛情、そして映画の注目ポイントなどをたっぷりと語っていただきました。ぜひ最後までご覧ください。

▲ポスタービジュアル

▲ポスタービジュアル

目次

『クレヨンしんちゃん』をもっと多くの方に見てもらいたい

──7月の放送からしんのすけのバトンを引き継ぎ、今回が映画初参加となる小林さん。改めて、しんのすけの役が決まったときの感想をお聞かせください。

小林由美子さん(以下、小林):子供から大人まで幅広い世代の方に長く愛されてきたキャラクターを引き継ぐということで、初めて参加するアフレコの1週間以上前から眠れない日々が続き、ずっとしんちゃんのセリフを言わないと落ち着かない状態でした。

でも、実際にアフレコ現場に行ったとき、ひまわり役のこおろぎさとみさんが開口一番、「待ってたよ〜! ようこそ〜!」と抱きしめてくださったんです。

こおろぎさとみさんは、デビュー当時からお世話になり気にかけてくださっていたのですが、その時に久しぶりにお会いして、そのように言ってくださったのが本当に涙が出るほど嬉しくて。

ほかのキャストさんやスタッフの皆さんも、私が変に肩に力が入らないように暖かい雰囲気を作ってくださって、「私はこの日のことを一生忘れない!」と強く思いました。

──ほかのキャストさん、スタッフさんの心と愛情を感じる素敵なエピソードですね。

小林:はい。たぶん、(自分の顔が)すごく強張っていたんだと思います(笑) 当日、アフレコが始まる1時間前に早く着いちゃいまして、ずっとソワソワしていました。

──しんのすけ役としての、初回のアフレコはいかがでしたか?

小林:緊張で声が出なかったらどうしようと思っていました(笑)

皆さんが本当に『クレヨンしんちゃん』という作品を愛し、“良い作品を作っていこう”という心意気を雰囲気から感じましたので、もちろん緊張もありましたが、“とにかく楽しんで演じよう!”と。

皆さんが暖かい雰囲気を作ってくださったおかげで、アフレコはすごく楽しくやらせていただき、今でも本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

また、毎回脚本がすごく面白いので、お芝居では、皆さんとのかけあいを純粋に楽しむことができました。

──実際にしんのすけを演じられて、何か感じたことはありましたか?

小林:しんちゃんを勉強するたび、心から尊敬している先輩・矢島(晶子)さんが、普通では思いつかないような天才的なひらめきでしんちゃん演じていたんだなと感じています。しかも、それが27年も続いていて、その間の積み上げが、作品の人気につながっているのを感じています。

もちろん、矢島さんが努力をなさった上でのことだと思いますが、本当に天才な方だと思います。自分で演じてみると、「どうすれば、しんちゃんらしい芝居ができるんだろう!?」と感じることばかりです。矢島さんには、本当に頭が上がりません。

──小林さん自身、どのように演じようと思いアフレコに挑まれたのでしょうか?

小林:「みんなの知ってるしんちゃんに、できる限り私が近づこう」という気持ちがありました。

作品を知れば知るほど、「『クレヨンしんちゃん』って、こんなにも魅力的な作品だったんだ!」と強く感じています。子供のときには観ていても大人になると『クレヨンしんちゃん』を観なくなる方も多いとは思いますが、もっとたくさんの方に『クレヨンしんちゃん』を知ってほしい、観てほしい。

心からそう思っていますし、そんな気持ちが強くなっています。

──2018年夏に、野原しんのすけ役を担当されてから約10ヵ月が過ぎました。心境の変化など、感想をお聞かせください。

小林:アフレコの現場では、相変わらずずっとソワソワしていているような感じです(笑)

でも、先輩たちがどのようなボールでも打ち返してくれたり、「こんなボールを投げてきてくれるんだ!」と思うようなワクワク感があったり、アフレコはすごく楽しくやらせていただいています。

初回のアフレコから今まで、そのようなワクワク感や刺激をたくさん味わわせていただいています。それを楽しみにしている自分もいるので、「アフレコが楽しい」と強く感じているのが、心境の変化なのかなと。

最初は緊張が「ドーンッ」とのしかかりましたが、いまは緊張と楽しさと同じくらいになりました。

生で声をあてる事の難しさ

──今回が小林さん初の映画参加となりますが、率直な感想をお聞かせください。

小林:今回初めて映画に参加させていただいて、イベントで“着ぐるみ”のしんちゃんにあわせて生で声をあてるという体験を初めてしました。生で演じるという経験があまりなかったものですから、もっとアドリブ力を鍛錬しなければいけないなと気付かされた感じです。

着ぐるみに声を当てるアドリブが上手にできることで、スタジオ収録中の掛け合い中にあるアドリブにも生かすことができれば良いなとも思ってます。毎回反省点が多いので、もっと勉強しなければならないなと日々感じています。

──確かに、着ぐるみを通してのやり取りは想像以上に難しそうです……。

小林:過去の着ぐるみのしんちゃんの映像を見たのですが、「なんでこんなアドリブが返せるの!?」というシーンばかりでした。着ぐるみと声が一体化していく面白さは、映画の現場ならではの経験だと思っています。

──映画を拝見させていただきましたが、いろいろな“オマージュ”が散りばめられているように感じました。

小林:そうですね。元ネタを知っていればより楽しめるのではないかと思います。特に、お父さんお母さん世代の方は、絶対引っかかるだろうなというオマージュがたくさん出てきます。

子供たちはおそらく今後、元ネタを知ることになるでしょう(笑) 元ネタになっている作品はこれから先も受け継がれていく作品ですので、大きくなってから見返してもらえたら嬉しいです。

もちろん、知らない方でもアクションシーンだけで十分楽しめるので、ジェットコースターに乗ったような気持ちで、大勢の子供たちにたくさん笑っていただけたらこれ以上嬉しいことはありません。


大塚芳忠さんたちが演じる「仮面族」の会話は解読できる!

──アクションといえば、仮面族と世界中のトレジャーハンターとの間で、ひろし(伝説の花婿)の争奪戦が繰り広げられます。言葉での意思疎通ができない仮面族とのやり取りはいかがでしたか?

小林:作中では、仮面族が未知の言葉を話していますが、台本だとすべてのセリフが文字に起こされているんです。なので、仮面族がどんな内容を話しているかが、分かり本当に面白かったです。

たとえば、「ムコング」という言葉が「花婿」の意味であったりと、どこか日本語的な言葉がたくさん出てくるのはそのせいなんです。何度も観ると仮面族が何を言っているのか、分かるのではと思います。なので、ぜひ何回も観ていただいて、皆さんに“仮面族の言葉辞書”を作っていただきたいです。

「この言葉はこういう意味なのでしょうか?」と公式Twitterなどに送っていただいて、それを1冊の辞書にできればいいなと目論んでおります(笑)

一同:(笑)

小林:それほど、仮面族の言葉が本当に面白く、文字に起こしたらさらにその面白さが実感できると思うんです。アフレコの時も、テストなのにちょっと笑っちゃったり、言葉の面白さに引っ張られてしまうこともありました。

──そんな仮面族を取りまとめる長役を大塚芳忠さんが担当されています。

小林:はい。ベテランの声優さんが良い声ですごくド真面目にやってくださるのが、嬉しくもあり面白くもあって(笑) かけあいもすごく楽しくやらせていただきました。

仮面族が話す言葉の中に、「なんだ猫か!」という意味で「タマコロケ」という言葉が出てくるのです。現場では、「ああじゃない」「こうじゃない」と、いろんな表現の「タマコロケ」を仮面族の方々が演じていていたんです。短い一言ですが、すごくこだわりを持った一言なんです。

──何気ない言葉でも、深いバックボーンがあるのですね。

小林:そうなんです! 実際に、仮面族の言葉がこの世にあるような感じで噛み砕いてくださっているので、同じ言葉でも込められている意味が違います。

中には、仮面族の皆さんの凄さが分かるアドリブもあるので、ぜひ注目してご覧ください。見るたびに違った楽しみ方ができるはずです。

そして、皆さんからの仮面族のマイライブラリーをお待ちしております(笑)

悠木碧さん、島﨑信長さんが演じるキャラクターも魅力的

──また、今回の映画には、悠木碧さん、島﨑信長さんら若手声優陣も出演されています。共演されていかがでしたか?

小林:「悠木碧さんと島﨑信長さんが、こんなにも意外な役で出演されるのは、『クレヨンしんちゃん』しかいない、『クレヨンしんちゃん』すごいでしょ!?」とお伝えしたいです(笑)

一同:(笑)

小林:碧ちゃんが演じる役柄は明かされていませんが、本当に演技が可愛くて乙女。もうキュンキュンしちゃうほど、最後には碧ちゃんが演じている役が好きになります。この役ができるのは碧ちゃんしかいません。

そして、信長さんはスピンオフ作品ができてもおかしくない爪痕を残しまして……(笑)

──(笑) 信長さん演じるイケメントレジャーハンター「イケメン」は、爪痕をしっかり残していかれましたね。

小林:「エンディングまで爪痕を残してる!」と思いました(笑)

お二人が演じるキャラクターの出番自体は少ないのかもしれませんが、その分、凝縮された爪痕を残しているのでぜひ注目してもらいたいところです。

母ちゃん(みさえ)の言葉に家族の絆が凝縮されている

──今回の映画は家族の絆や愛情がたっぷり詰まった「野原一家の誕生物語」です。小林さん自身が好きなシーン、良いなと思ったシーンはありますか?

小林:たくさんありますが、私がジワ〜ッときたのは、母ちゃん(みさえ)独白のシーンです。親のネガティブな部分を、子供に聞かせないように配慮する姿、吐き出した後はひとつ強くなって子供の元に戻ってくるシーンは本当にお見それしました。

そのシーンを演じているならはしみきさんの背中がまたカッコよくて記憶に残っています。ならはしさんの背中を後ろで見ていたのですが、本当に母ちゃんだなと。「ならはしさんは、みさえとしてしんちゃんの母ちゃんとして、作品に向き合ってきたんだな」と強く感じました。

このシーンを見ると、ならはしさんの背中を思い出すので、何度見てもすごく胸に響きます。

──そのシーンでは、しんのすけがみさえの様子を心配そうに伺っている姿も印象的でした。

小林:「ちょっと様子がおかしいな?」と子供なりに感じたのだと思います。いつもおちゃらけたしんちゃんは影を潜めて、母ちゃんと父ちゃんを信じている深い絆を見せることができたのかな、と思います。

私、みさえの「私たちがこれから過ごす時間と今まで過ごしてきた時間はそんなものじゃないから」というセリフが大好きなんです。

まさに家族の絆はこういった時間で育まれていくもので、その言葉に家族の絆が凝縮されているんだなと感じますし、みさえじゃなければ言えない言葉だと思います。


──個人的な感想なのですが、映画の冒頭、しんのすけが積もった雪の上を走る最初のシーンで一気に引き込まれました。そこにも“家族”の姿が垣間見えているような気がします。

小林:そこのシーンは冒頭なので、雪の上を“よいしょよいしょ”と走るシーンをどのように表現すればいいのか悩みました。

やんちゃになりすぎず、素朴感のような冬のワンシーンのようにするためにはどうすればいいのかとても悩んで演じたシーンでしたので、そのように言っていただけて嬉しいです。

──“家族の姿”があちこちに散りばめられていますよね。しんのすけがひまわりのオムツを替えるところは微笑ましいシーンでした。

小林:しんちゃんの手際が良くてびっくりしました(笑) 普段からやっているんだなと思わせられる、日常が垣間見えるシーンですよね。

子供たちには、いろいろなアクションやギャグでお腹抱えて何も考えずに笑ってほしいですし、その隣でお父さんお母さんがいろいろ考えながらジ〜ンと見てくれている。そんな様子が劇場でたくさん見ることができたら、本当に嬉しいなと思います。

──大人から見ても胸に響くシーンもあれば、つい笑ってしまう面白いシーンもあり、その絶妙なバランスも見どころなのではないかと思います。

小林:そうですね。ひろしの歌と踊りのシーンはもう本当に面白いです。アフレコの時は音が入っていなくて絵も完全にできていない状態でしたが、完成品を見て「こんなに面白いシーンだったんだ!」と感じました。そして、まさかのみさえのアンサーソングが……!(笑)

一同:(笑)

──ひろしとみさえが歌う曲が流れた瞬間、テンションが上がりましたね!

小林:あの歌のチョイスはぴったりですよね(笑) みなさんが知っている歌なので楽しめますし、私世代に引っかかる曲なので「こんなにぴったりな曲があったんだ!」と驚きました。

さらに、ひろしとみさえの歌う曲が組み合わさるとアンサーソングになるなんて(笑) 私世代としては本当にニヤニヤが止まりません。そのシーンもぜひぜひ注目していただきたいと思います。

また、歌が盛り込まれていたり、踊りがあったりするのは、大人だけでなく子供たちも一緒に楽しく観ていただけるシーンです。

──歌といえば、あいみょんさん書き下ろしの主題歌「ハルノヒ」も素敵ですね。

小林:もう本当に素敵です。あいみょんさんがしんちゃんのことを大好きだとお伺いしていましたが、そのすべての気持ちがこの曲に込められているように感じました。

歌が「北千住駅のプラットホーム♪」から始まるので、「あれ? なんで北千住なのかな?」と疑問に思っていたんです。

あるとき、ひろしがみさえにプロポーズした場所が北千住なんですと、あいみょんさんがおっしゃっていたのをお聞きしまして。本当に好きでいてくださっているだな、だからこそ名曲が生まれるんだなと感じました。

映画の最後にその曲が流れ、さらにフルバージョンで聴くとすごくジ〜ンときます。この映画のために書き下ろしてくださったことが本当にありがたい気持ちでいっぱいです。


──いろいろとたくさんお話ししていただきありがとうございました。最後になりますが、映画を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いいたします。

小林:今回のテーマは“絆”です。家族や友達、ペットとの絆など、それぞれ皆さんがお持ちになっている絆があると思います。

自分が持っている絆を感じつつ、『クレヨンしんちゃん』の映画でも感じ取ってみてください。そして、ご覧いただいた後に優しい気持ちになっていただけたら幸いです。

また、子供たちにはとにかく何も考えずに笑っていただき、「面白かったー!」と言っていただけたらこれ以上幸せなことはありません。

映画を純粋に楽しんでいただけたらとても嬉しく思います。

──ありがとうございました!

[取材・文・写真/福室美綺]

『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』作品情報

4月19日(金)全国東宝系にてロードショーだゾ!!

 

あらすじ

オーストラリアの秘境“グレートババァブリーフ島”でいまさら初の新婚旅行を満喫中の野原一家。

その夜突然ひろしが消えた。

探しに出かけたしんのすけたちが見たものは、仮面族の村で行われていたド派手な結婚式に参列する、花婿姿のひろし!

宝欲しくば、花婿贈れ、天の指輪輝くとき……

その島には、50年に一度、金環日食の日にお姫様に花婿を差し出すことで、ご褒美としてお宝が得られるという伝説があった。その花婿に選ばれてしまったのが、ひろしだったのだ。

まさかの“ひろし”=お宝のカギ!!

仮面族VS世界中のトレジャーハンターVS野原一家の超熾烈な三つ巴のひろし争奪戦がぼっ発!!! 果たして、しんのすけたちは、ひろしを奪還し、無事に春日部に帰ることができるのか⁉

大冒険の先に、野原一家が見つけたものとは…!?

スタッフ&キャスト

原作:臼井儀人(らくだ社)/「月刊まんがタウン」(双葉社)連載中/テレビ朝日系列で放送中
監督:橋本昌和
脚本:うえのきみこ、水野宗徳
製作:シンエイ動画・テレビ朝日・ADKエモーションズ・双葉社
声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ 他
声の特別出演:木南晴夏(インディ・ジュンコ役)、小島よしお(小島よしお役)、ぺこ・りゅうちぇる(ぺこ・りゅうちぇる役)
主題歌:あいみょん「ハルノヒ」(unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン)
公開日:2019年4月19日(金)

公式サイト





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