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今、アニメ製作会社を立ち上げる意味とは――李衡達さん、稲垣亮祐さん、斉藤健吾さん、Yostar Picturesの舵を握る3人にインタビュー

『アズールレーン』『アークナイツ』など、中国で開発されたゲームを、次々と日本国内でヒットさせているゲーム運営会社Yostar。2020年1月には、そのYostarがアニメ制作を行う会社である「YostarPictures」を設立し、大きな話題を呼びました。

今回は、YostarPicturesの代表である李衡達さん(Yostar代表も兼任)、共に取締役を務める稲垣亮祐さん(アルバクロウ代表、『異能バトルは日常系のなかで』プロデューサーなど)、斉藤健吾さん(『SSSS.GRIDMAN』総作画監督など)の御三方に、YostarPicturesの設立の経緯や今後の展望から、中国のゲーム・アニメ市場の現状など、様々なお話を聞くことができたインタビューの模様をお届けします。

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YostarPicturesを作ったのは、アニメーターに話を聞いてもらうため

――まず、YostarPicturesを設立した経緯について教えてください。

李:一番大きな理由としては、スマホゲームを運営していくうえで、大規模イベントの際などに、さらに盛り上げるためのプラスアルファの要素が欲しかったんです。

例えば Twitter のリツイートキャンペーンとか、他にも手段はいろいろあるとは思うのですが、新しい PV を公開するのが一番パンチが強いだろうと。ただ、ゲームの素材だけだと限界がありますし、それならアニメの PV を作るしかない。けど、昨今のアニメの制作状況から鑑みると、すぐに動かせるラインがないというのが実情です。

たまに手を上げてくれる会社さんもいますが、やはり外部と連携が取るのは限度がありますし、我々が理想としたクオリティのものは作れない可能性が高い。それなら、一本の製作ラインを社内に置くことを前提としてスタートしました。

――新しいイベントに合わせてPVを作ってくれと言われても、急にスケジュールを確保できないと。

李:そうですね。新しいイベントなら新しいキャラクターも追加されるわけですが、それをさらにアニメ用に描き起こそうとすると、かなりの時間を要します。例えばイベントが3ヶ月間後に始まるとして、それに合わせて3ヶ月でPVの製作をお願いするというのは、なかなかハードルが高いわけです。ただ、社内のラインであれば、ある程度融通は効くでしょうと。

――アニメ会社の手が開かないというのはアニメーターが足らないということも一つの原因なっているのかなと思うんですが、どのように人材を募集されているのでしょうか?

李:それは会社を設立した理由でもあります。人手不足という問題もありますが、そもそもアニメーターさんは個人事業主で個性豊かな方が多いので、自分のような見ず知らずの人間が直接話をしても、なかなか話だ通らないだろうと考えました。なので、もともと業界の中でキャリアを積んでいる方々(稲垣さんや斉藤さん)を窓口にすることで、我々の理念を理解してもらうというやり方を取る必要があるだろうと。

――稲垣さんと斉藤さんは、どういった経緯で Yostar Pictures に入社されたのでしょうか。

稲垣亮祐さん(以下、稲垣):自分は「ALBACROW」という自分の会社を3年ぐらい前に立ち上げて、そちらでは基本は僕と斉藤が以前からお世話になっている、トリガーさんの仕事を受けることが多かったのですが、Yostarさんから『アークナイツ』のPVのお話を頂いたことが、李社長と知り合ったきっかけになりました。

そこから交流が始まったのですが、しばらくしてアニメスタジオを立ち上げたいという話が出てきました。我々としてもYostarさんは、他のメーカーさんとは少し違うという印象があったくらい大変よくして頂いていて、いい雰囲気の中で製作ができるのではと感じていましたから、「ぜひ一緒にやりましょう」ということになったんです。

――他のメーカーさんと違ったというのは、具体的にはどういったところが?

稲垣:これは多分、何の仕事をしていても同じだと思うのですが、やっぱり会社さんによっては、上から「(自分たちは)クライアントだぞ!」みたいな感じの雰囲気で来られるところもあるんです。その点、Yostarさんはクリエイターのことを気遣って頂いていて、監修の出し方とか進捗の確認に関してもストレスなくできたんです。これって結構珍しいことで。

アニメーターさんって個人事業主なので、会議にそういう高圧的な態度で来られると、その場でもう降りるみたいな流れになってしまうこともあって(笑)。なので会議にアニメーターさんを連れて来なかったりするんですけど、やっぱり本来はアニメーターさんに直接いてもらった方が打ち合わせもスムーズなんですよね。斉藤はそういう(いきなり降板する)タイプではないですけど、Yostarさんとの会議だったらそれはないだろうという安心があったので、最初の会議から斉藤にも出席してもらって、Yostarさん側のアートディレクターさんも含めて、最初からいい雰囲気で作品作りができましたね。

――となると、斉藤さんもその時に同じような流れで?

斉藤健吾さん(以下、斉藤):そうですね。PV を作っている時、こういう話(アニメスタジオ設立)が立ち上がってきているよっていう話を車の中で聞いて……(笑)

稲垣:結構連れまわしていましたからね(笑)。そんな中で、すごい気に入っていただけているよっていう話は斉藤にもしていたので、斉藤も乗り気になってくれて。

――斉藤さんは、Yostarさんとのやりとりはどのような印象を受けましたか?

斉藤:自分たちのやりたいようにやらせてもらえたという印象が強いですね。アクションパートのイメージを固めるためのコンテ的なものを会議で直接スクリーンに出して、すぐにもっとこうしよう、ああしようというレスポンスを頂いて。その意見を聞いてから、その場ですぐに直したりもできたので、やりとりがすごく早くてやりやすかったです。

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