ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2018年編】|『HUGっと!プリキュア』「フレーフレー私!」は今でも私にとっての合言葉
家族と言えば……
ハグプリをキッカケに、「自分事」とプリキュアシリーズを捉えるようになった私は、過去のプリキュアシリーズを見るようになり、インタビューなどもあさるように。
アニメイトタイムズの編集部に遊びに行ったときにそんな話をポロッとしたところ、プリキュアシリーズの取材のお話をいただけるようになりました。いつの歳でも「なんでもできる! なんでもなれる!」としみじみ感じました。そういう意味で、本当に人生が変わった作品です。
プリキュアシリーズの取材は全て心に残っているのですが、特に印象深かったのは『ふたりはプリキュア』総集編発売時のインタビューです。本名陽子さん&ゆかなさん、西尾大介監督、鷲尾天プロデューサーにお話を聞くことができました。
西尾監督は、『ふたりはプリキュア』の「当時は(自分を)追い詰めながら」、言葉を選んでいたといいます。
「僕は片親で育ったんですが、母親が家族愛をテーマにしたドラマを見ながら“家族みんなが揃ってることが一番幸せというけど、じゃあうちはどうなんだ”ってよく言ってたんです。僕はその母親の感覚が正しいと思っていたんですね。片親の子ども、血の繋がっていない家族もいる。使い方によっては違和感や誤解を与えてしまうんです。それはずっと思っていたことでした。(中略)決して子どもたちを下に見ているわけではないんですけど、子どもは本当によく見てくれるんですね。そういった関係性がある中で、子どもに嘘をつきたくないんですよ。僕の母親が言ってたような愚痴の……本当の意味を伝えないとダメだと。そこに蓋をして、通りの良い美辞麗句でやって押しつけになっていくのは嫌だなぁと。自分たちの誠実さ、真心をなんとか伝える方法を考えて、見つけて、流されない言い方の状態で伝えないと子どもに失礼だと思っていました」
また、西尾監督、鷲尾プロデューサーは“女の子らしさ”“男の子らしさ”という言葉も使わないように気を付けていたそうです。改めてハグプリを見て、西尾監督たちの信念が受け継がれていることを実感しました。
なんでもなれる 可能性は無限大
冒頭にも書きましたが、ハグプリには初の(公式)男の子プリキュアが登場し、プリキュアの歴史を一新させました。もともとジェンダーレスな思考を持っていたアンリくんは“なんでもなれる”を叶えた象徴のような眩しい存在です。
さらに、第48話「なんでもできる!なんでもなれる!フレフレわたし!」では、メインキャラクターだけでなく様々な人たちまでプリキュアに変身します。性別は関係ないのです。西尾監督、鷲尾プロデューサーの信念が受け継がれてきたプリキュアシリーズだからこそできた展開でしょう。
ちなみに放送時、我が子や周りの友だちは「男の子がプリキュアになれる」ことに対して何も疑問も抱いていない様子でした(実際、幼稚園には「プリキュアになりたい」男の子もいました)。
また、出産シーンは女児向けアニメでは珍しくとてもリアルで、SNSではざわついていましたが、少なからずわが子は抵抗なく観ていました。そして「出産ってこんなに大変だったの?」と質問され、出産にまつわる会話を改めてすることができました。会話が広がったという意味でもハグプリに感謝しています。
会話といえば、幼稚園では「ハグプリでプリキュアにハマった」というお母さんとプリキュア談義で盛り上がったことをキッカケに仲が深まり、今では良き “ママ友”になりました。身近に話せる友だちが少しずつ増え、気持ちが変わっていったように思います。
本来「育児はつらいものじゃなくて楽しいもの」であり、周りの人の手をかりながら「みんな(もっというと社会全体)でするもの」。ハグプリのお話にはそれが散りばめられていたように感じます。ハグプリは私にさまざまな気付きを与えてくれました。