音楽
声優・楠木ともり 2nd EP『Forced Shutdown』インタビュー

声優・楠木ともり 2nd EP『Forced Shutdown』インタビュー|サウンド面、そしてボーカルも聴きどころ満載

 

サウンド面、そしてボーカルも聴きどころ満載の「Forced Shutdown」

――2nd EP『Forced Shutdown』には、デビュー作と同じく、ブックレットにセルフライナーノーツが掲載されるそうなので、そちらも参考にしてほしいのですが、タイトル曲の「Forced Shutdown」は、どんな思いで作った曲なのでしょうか?

楠木:このコロナ禍を経験して、SNSなど人と会わずにつながるということに世間がポジティブになってきたことに対して、私は少し疑問もあって……。自分を見つけるために、自分を守るために“つながらない”という選択肢を取ることもいいのではないか、という気持ちがあり、作った曲です。

 

 

――つながりやすくなりすぎたゆえに窮屈になっている感じもしますしね。あえて“つながらない”で、自分を保つというのも大事な気がします。何か不安定な感じは、歌詞だけでなく曲としても表現されている感じがしていて、変拍子だったり、奇抜なアレンジがとてもカッコ良かったです。編曲の重永亮介さんにはどんな要望を出したのでしょう?

楠木:1st EPの『ハミダシモノ』はバンドサウンドを主体にしたいと思っていたのですが、今回のEPはそこには囚われずに、いろいろな構成にしようと思いました。だから「Forced Shutdown」も打ち込み要素であったり、不思議な雰囲気にしたいというお話はしました。

――とは言っても、バンドの音も際立っていますよね。

楠木:今回は「バンド」というより、音の一つの要素としてギターやベースやドラムがあるような印象でした。だからか皆さん弾きづらそうにしていて。アレンジをされた重永さんご本人も、ものすごく苦戦されていました。間奏のマーチングっぽいドラムのスネアも演奏が難しそうで。楽器隊の皆さまには「ありがとうございます…!」という気持ちです。

――重永さんは、どこに苦労していたのですか?

楠木:ピアノとその他のインストゥルメンタルを担当されているんですけど、Bメロのピヤ~~っていう音は何パターンも録っていました。

――ちょっとツンと痛い感じがする音が良かったです。詞ともすごくリンクしたアレンジのような気がしました。

楠木:アレンジの打合せをした際に、こういう経緯があって、こういう言葉を歌っていますと全部話すことが出来たのでで。そこも汲み取ってアレンジをしてくださったからかと思います。

――ちなみに、音録りは全部見ていたのですか?

楠木:はい! 丸1日ずっと一緒に見ていました。「アカトキ」や「バニラ」も楽器録りは全部参加していました。やっぱり参加していると楽しいですし、聞いてくださるんですよ。「この音はどっちが良いですか?」や「このイメージで合っていますか?」って。そうしてリアルタイムで相談しながら作っていけるのがすごく良くて。

――「Forced Shutdown」のオケ録りで印象的だったことはありますか?

楠木: 途中で特殊なアナログのオルガンをつないで、それを切ったり上げたりして欲しいと重永さんに言っていただけて。、イメージを膨らませながら、ちょっとだけ楽器に参加しているんですよ。楽器に触らせて頂けただけでも楽しかったです。

――SEもたくさん入っていましたよね。ガシャンという音も印象的でした。

楠木:重永さんが鍵でドアを閉める音などをマイクで録ってくださって。そこに鍵がぶつかるチャリンという音も意図せずに入ったらしいです。今回は一人で家にこもるというイメージもあるので、そういう意味でも合っていると思います。

他にもカセットが止まっていく音は、私がどうしても入れたいとお伝えしました。

――ボーカルはウィスパーで歌っているけど、それでも何か心が叫んでいるような感じもあって、すごく面白いし、絶妙だなと思いました。

楠木:いろいろなキャラソンを歌っているうちに、自分の声がどう聴こえるのか少しずつ分かってきて。歌唱力より質感を重視して、このフレーズがどう聴こえてほしいかというのを考えながら歌っているんです。一見シンプルで、「ハミダシモノ」と比べるとニュアンスも少なめに聴こえるかもしれないですが、よく聴くとエッジの効いた歌い方をしていて、表情もころころ変わるので、ぜひ良い音響で聴いていただきたいです。ハイレゾ音源も出ますので!

今回はレコーディング前にプリプロをして、どういう歌い方をするか重永さんと相談しながら決めて、計画性を持ってレコーディングができたのも良かったと思います。

――これは「sketchbook」にも言えることですが、コーラスもすごく良くて、今後も武器になりますね。

楠木:自分のハスキーめな声がコーラス向きだと、今少し思っているんです。「sketchbook」のレコーディングで実感したんですけど、この曲はコーラスが多いので、コーラスで遊んでみると面白いかもと思って。息で余韻を残したり、逆にプツッと切ってみたり、ハスキーなノイズを多めにしたり、いろいろなことをしていたんです。「sketchbook」のレコーディングのほうが先だったので、それを「Forced Shutdown」にも活かすことができました。

――「Forced Shutdown」のMVの世界観も良かったですね。

楠木:今回は自由演技で、「セットの中にあるアイテムで好きなものを使ってください」とも言って頂きました。、いろいろ模索しながらですけど、曲を表現する動きができたのかなと思っています。

――イメージ映像も差し込まれていて、曲の世界観をブーストするようなMVでした。

楠木:曲がカオティックなので、見ている人の想像が膨らむような描写をたくさん入れたいとお伝えしたら、想像以上に素敵なものを作って下さいました。

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