10周年&連載小説がついに完結!『花咲くいろは』の魅力をぎゅぎゅっと解説!

10周年&連載小説がついに完結!『花咲くいろは』の魅力をぎゅぎゅっと解説!~四十万の女の人生論~

2つの「軸」で見る『花いろ』の魅力!

では、なぜ『花咲くいろは』はここまで話題となったのでしょう。

『花咲くいろは』という作品には、大きな軸が2つあります。まず1つ目は、先程もご紹介した「お仕事」というコンセプトです。なし崩し的に始まった「働く」ということを通して、主人公は様々な体験をしていきます。

そしてもう一つは「四十万家」のお話です。この作品には、主人公である緒花、その母である皐月、旅館の女将を務める祖母・スイ、この三人が登場します。

つまり「四十万一家の女性」が物語の軸の一つになっています。大まかなこの2つの軸が、『花咲くいろは』のテーマであり、魅力の元になっています!

「お仕事」と「モラトリアム」が尊い

中居仕事や、学校生活を通しての精細な感情表現や、リアルさが魅力の『花咲くいろは』。

自分で選んだ仕事じゃない上に、困難なこと、できないこと、理不尽なことは当たり前に襲ってきます。祖母であり、女将でもあるスイが甘やかすことも決してありません。そんな中奮闘していく主人公・緒花の葛藤や成長も見どころです。

そして「お仕事シリーズ」次回作である『SHIROBAKO』がアニメ制作という仕事を通して、自分自身の人生の方向性を探していく作品だとすると、『花咲くいろは』は仕事を通して自己を形成していく作品になっています。

誰もが体験したことのある、いわゆるモラトリアム期の中で緒花がアイデンティティを確立していく過程を、「仕事」を通して表現しています。

そういった共感しやすいポイントと詳細な表現がマッチして、さらに共鳴するのだと思います。

当時は主人公と年齢が近いのもあって、共に苦しんだり泣いた記憶があります。とにかく女将さんが厳しいんですよね。主人公は自分が力不足なのも重々承知で、それなのに優しくしてくれる中居の先輩や同期に今度は情けなくて泣いたり。他人との距離感が近すぎるような気もしました。

ですが女将さんや上司の厳しさは、緒花に対しての誠実さの現れなんですよね。若い頃に自分もそうやって、自己形成をし、必死に生き抜いてきた大人たちからの精一杯の応援だったわけです。私も完全にでは無いものの、少し成長した今『花咲くいろは』を観るとその側面も理解できます。

そしてあの当時、「厳しすぎる」「距離が近すぎる」なんて思っていたことが当たり前じゃなくなっているのも確かです。現在、職場だったり学校での友人や目上の人間との関係が希薄になりつつある世の中です。特にオンライン授業などで思うようにいかない学生達はそう感じる機会が多いのではないでしょうか?

この作品を通して、働くことや、「人と関わって生きていく」ということを再認識することができると思います。今、思い出すべきことを思い出させてくれるのが『花咲くいろは』なのではないでしょうか。

「四十万の女」3人の関係性が尊い

四十万家の親子3代の関係性が物語の太い軸になっており、主人公の目標や生き方にも影響していきます。主人公に影響を与える、それは即ち物語にも大きく関わるということです。

ストーリーの要所要所で、緒花は祖母や母親の言動から学び自分の生き方を選択してきます。とても仲が良いとは言えない3人の独特な関係性もまた魅力です。遺伝的な性格や、互いへの厳しさや憧れ、絆すべてが内包した家族の形になっています。

そして強く美しく生きる彼女たちがとにかくカッコいい。大好きです。劇中、物語終盤に3人でまともに話し合う場面で垣間見える雰囲気や、劇場版でフォーカスされる母・皐月のエピソード。『いつか咲く場所』でもこの3人が会話する場面がありますがどのシーンも尊い!

凛として、輝いている「四十万の女達」の生き方も大きな魅力の一つです!

新作ストーリーである『いつか咲く場所』は、前述の通り物語完結から7年後のお話です。祖母・スイセリフを借りればそんな四十万の女達も”7年”分歳を食っているわけです。物語的には7年分の、実際の時間で言えば10年分の変化と成長をこの3人は観せてくれます。祖母として人生の先輩として、まだまだ力強く娘と孫を導くスイ。ようやく旦那であり、娘の父親である故・松前綾人と向き直す決心をした母・皐月。祖母や母に憧れがむしゃらに頑張ってきて、今度は”自分にしかできないこと”を模索し始める緒花。

3人はより強く、たくましい女性になっていきます。さすが四十万の女。我々も同じく時が流れている。そしてまた年齢の近い主人公にリンクするのです。自分らしく何かをする、その何かを探す緒花の一喜一憂に読み手もしっかりと共感できる。私も絶賛人生迷い中なので緒花の気持ちが痛いほどわかります。そして勇気づけられるのです。

また緒花に向けた祖母・スイのセリフも私に刺さります。
今の時代は誰かを手本にしたってうまくいくとは限らない。失敗したり辛い目を見たって自分で考えて試して、時には周りに助けてもらって模索していくものだ。

とスイは語ります。自分が女将を目指して旅館を作ったあの頃とも、孫を迎え働く姿勢を見せ続けたあの頃とも違う世の中になっている。だからどうにか自分で前に進んでいってほしいと言うメッセージです。恥ずかしながら私も若者の端くれとして緒花とともにこのセリフが響きました。10年後の今だからこそ書ける、そして伝わるメッセージです。

あの頃も、そして今も私を突き動かしてくれるのは「四十万の女性たち」なのです。

『花咲くいろは』の魅力に触れよう!

『花咲くいろは』はここで紹介した見どころ以外にも、使われている楽曲や甘酸っぱい恋愛などまだまだ魅力に溢れています。 みなさんも是非自分だけの楽しみ方を見つけてみてください!

今の時代だからこそ再発見できること、今だからこそ感じられるメッセージがたくさん詰まった作品です。あなたの新しい春をこの作品で彩ってみてはいかがでしょうか。

[文/ヨウイチロウ]

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