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ツンデレヒロイン大流行の立役者・釘宮理恵の魅力【推し声優語らせてください・連載第4回】

ツンデレヒロイン大流行の立役者! 可愛いキャラクターだけでなく少年ボイスもおすすめな釘宮理恵さんの魅力【推し声優語らせてください・連載第4回】

ネーナ・トリニティ(「機動戦士ガンダム00」)

 
ガンダムシリーズのファンとしては、『機動戦士ガンダム00』のネーナ・トリニティも印象深いキャラクター。元々ネーナ・トリニティは、主人公である刹那・F・セイエイらと同じ、紛争根絶を目的とする組織・ソレスタルビーイングの一員であり、ユニオン・人革連・AEUの連合軍によりおいつめられた刹那たちを救う美味しい役どころで登場。戦闘後には刹那に興味をもっていきなりキスをするなど、ヒロインとしての活躍を期待されたキャラクターでした。

しかし、ヴェーダによって作られたデザインベイビーであるネーナは、善悪の価値観が子供のそのもので、ソレスタルビーイングとして任務を終えた帰路、登場人物の一人であるルイス・ハレヴィが参加するパーティ現場に遭遇。自身がソレスタルビーイングのために危険な任務をこなしているにも関わらず、平和にパーティを過ごしていることが気に食わないというだけの理由で、パーティ会場を攻撃し、ルイスの両親を含めた人々を殺害するという凶行を犯します。この事件によって両親と片手を失ったルイスは、恋人だった沙慈・クロスロードに別れを告げ、ガンダムへの復讐を果たすために、治安維持部隊・アロウズに入隊する悲劇へと繋がっていくことになります。

そんな悪役的なポジションでもありながら、ネーナはガンダムシリーズのヒロインの中でも高い人気を誇るという特異なキャラクターでもありました。ガンダムのオールスターゲームに何度も登場しており、『スーパーロボット大戦』シリーズのアプリである『スーパーロボット大戦X-Ω』(現在は配信終了)では、ネーナを主役に据えたイベントシナリオが実施されるほど(このシナリオでは、『聖戦士ダンバイン』の世界へと転生したネーナが改心するという、驚きの展開が描かれました)。

それ以外にも、パイロットとして登場し、様々な歴代ガンダムに乗り換え可能な『Gジェネレーション』シリーズでは、ゴッドガンダムなどの特定の機体に登場した際のみに聞ける特殊な専用音声が多数収録されていたり、2vs2の対戦アクション『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』シリーズでは、プレイアブルキャラクターとナビゲーション役の両方で参戦という破格の待遇を受けており、いかに高い人気をもっているかが伺いしれます。

作中で描かれたネーナは、その境遇には同情できる部分はあるにせよ、お世辞にも好感がもてる点があるとはいい難い行動ばかりだったのは間違いないです。にも関わらず人気キャラクターとなったのは、高河ゆん先生がデザインされた可愛らしい外見と、釘宮さんの声による影響が非常に大きかったと推測できます。

ネーナを演じている際の釘宮さんの演技は、かわいさがとくに強く強調されており、そこから不意に見せる無邪気故の残虐さのギャップが凄まじい。最終的にネーナは、ルイスに両親の仇として討たれる因果応報の結末を迎えることになるのですが、その際の断末魔の叫びは強烈なインパクトがあり、釘宮さんの声優としての凄みをネーナで改めて実感したという視聴者も多いのではないでしょうか。

アルフォンス・エルリック(鋼の錬金術師)

 
ヒロイン役のイメージが強い釘宮さんですが、幼い少年役も得意としており、女性アニメファンからの人気が高い声優さんでもあります。やはりその筆頭にも挙げられるのが、日本の漫画・アニメ史に残る傑作『鋼の錬金術師』(ハガレン)のアルフォンス・エルリック役でしょう。

『ハガレン』は、2度のTVアニメ化がなされており、ほぼキャストは一新されているのですが、エド役の朴璐美さん、マース・ヒューズ役の藤原啓治さんと並んで、釘宮さんは2つのTVアニメの両方でキャスティングされている数少ない一人で、『ハガレン』で初めて釘宮さんを知ったというアニメファンも非常に多いと思います。

アルフォンス(アル)は、兄のエドワード・エルリック(エド)と並ぶ『鋼の錬金術師』の主人公の一人であり、幼い頃に亡くなった母親を蘇らせるため、禁忌である人体錬成を行おうとし、対価として自身の肉体を失ってしまいます。兄であるエドが、咄嗟に自身の右腕を代償にアルの魂を鎧に定着させたことでアル自身の存在こそ失われなかったものの、エドは失われたアルの肉体を取り戻すために国家錬金術師となり、『鋼の錬金術師』の物語が動き出すことになります。

アルは14歳ながら、1歳年上の兄のエドよりも精神的に成熟しており、温厚で人当たりのいい好青年。その反面、鎧の身体を生かした格闘術を得意としており、エドをして「喧嘩であいつに勝てたことがない」と言わしめるほどで、戦闘シーンではエドにも引けをとらない頼もしい姿を見せてくれます。とくに『FULLMETAL ALCHEMIST』終盤でのプライド&キンブリーとの戦いは、仲間を見捨てない心の強さ、鎧の身体と賢者の石の性質をフルに活かしてのクレバーな戦い方、凄まじいアクション作画と、アルの魅力がふんだんに詰まった屈指の名シーンとなっていました。

一方、エドと喧嘩になった際には自分の感情を抑えきれなかったり、褒められることに弱かったり、年相応の子供らしい面を時折覗かせるのも個人的なお気に入りポイント。常に鎧甲冑の姿なので、見た目はかなりいかついのですが、そこから釘宮さんのちょっとハスキーな少年ボイスが発せられるギャップも魅力。ギャグシーンでは目が点のようになったり、場面に応じてコロコロと表情が変化するので、鎧でありながら感情表現が豊かで、エルリック兄弟のやりとりは見ていて癒やされるものが多いです。

アルといえば、鎧で声が少し籠もっているように発せられるのも特徴的ですが、アフレコの初期ではエフェクトでの加工ではなく、空き缶を使って声の反響を表現していたという逸話も有名です。我々がよく知るアルのあの声が産まれるまでには、釘宮さんを始めとした制作陣の多くの試行錯誤があったであろうことが伺い知れます。

おすすめキャラクターはまだまだいる!

これまで、数えきれないほど多くの魅力的なキャラクターを演じてこられた釘宮さん。今回紹介できたのはたった4人なので、「あのキャラがいないのはどうしてだ!」という想いを抱かれた方も多いかと思います。(ツンデレヒロインが三度の飯より大好きな筆者にとっても、『灼眼のシャナ』のシャナ、『とらドラ!』の逢坂大河、『ハヤテのごとく!』の三千院ナギ、『THE IDOLM@STER』の水瀬伊織、『緋弾のアリア』の神崎・H・アリア、『楽園追放』のアンジェラ・バルザックと、思い入れのあるキャラクターを挙げればキリがなくなるほど)

釘宮さんが演じるキャラクターの多くに共通するのが、“ツン”から“デレ”への落差にも代表されるギャップの魅力であり、それを最大限に表現することができる演技幅の広さこそが、釘宮さんの声優としての凄さと言えるのではないでしょうか。

[文・米澤崇史]

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◆連載第1回・野島健児さん
◆連載第2回・花澤香菜さん
◆連載第3回・石川由依さん

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