音楽
ささきいさおデビュー60周年記念SPインタビュー【第3回】

夢に酔いたい人が多いんじゃないかな。それもちょっと理屈がある夢に――ささきいさおさんが語る、年齢や性別を超えてみんなに夢を見せてくれるアニソンの魅力│デビュー60周年記念スペシャルインタビュー【第3回】

作品の時代性の変化と共にアニソン界以外のシンガーも。これまでの積み重ねでアニソンが市民権を得ることに

――アニソン界の流れとして、アニソン歌手以外の方が歌うようになったことも大きいかなと思います。例えば、大ヒットした「CAT’S EYE」を歌われた杏里さんはシティポップ、ニューミュージックのシンガーでした。

ささき:それもありますが、作品自体がその時の時代性に合っていれば、テーマ曲も自然とそういう音楽を歌われている人が合いますよね。『銀河鉄道999』もTV版は僕が歌ったけど、劇場版はゴダイゴが歌っているし。僕自身、ゴダイゴの曲が合っているなと思いました。

主人公の星野鉄郎の描写や演出も子供っぽかったTV版よりも青年っぽくなったし。作品が変れば、主題歌も変わっていくのは自然の流れで、そう考えるといいタイミングでいい楽曲を歌わせてもらえたなと。ヒットしていなければ次がなかったと思うし、制約もなかったから、いい時代だったなと思います。

――今はゴールデンタイムのアニメは減りましたが、一方で『鬼滅の刃』の曲を歌っているLiSAさんがレコード大賞を受賞したり、ヒットチャートの上位に入ることは珍しい光景ではなくなりました。

ささき:僕らの時代はオリコンのチャートも、アニソンは一般チャートとは別扱いでしたからね。水木君とよく話すけど、「僕らが歌っている頃はテレビまんがでしたから」と。でも、アニソンを好きで聞いていた人たちがTVや音楽業界で働くようになって、アニソンの特番ができたり、歌番組にもアニソンを歌う人が出演するようになったことも大きいのかなと思います。

アニメが社会現象と呼ばれるようになり、アニソンも注目され、ヒットすると無視できなくなりますよね。いろいろな人たちの努力の積み重ねからアニソンが市民権を得られるようになったことは素晴らしいと思います。

違う世界へ誘ったり、夢を見せてくれるのがアニソンの魅力。世界中に広がっていることも実感

――たくさんの方に愛されているアニソンの魅力について、ささきさんはどのように考えますか?

ささき:夢に酔いたい人が多いんじゃないかな。それもちょっと理屈がある夢に。例えば『アナと雪の女王』がヒットした時は劇場でみんなが合唱したというけど、子供の時からアニメに慣れ親しんできて、カラオケの普及もあって、子供の頃から歌やアニソンを当たり前に歌っているんですよね。だから今の若い声優さんはすぐに演技できちゃうし、歌えちゃう。

そしてアニメには歌が不可欠であり、作品を思い出す時は歌も同時に思い出すくらい一心同体的な存在で。また同じアニメを見ていた人たちは年齢や性別を関係なく、一体になれるし、曲を聞いたり、歌うことで作品の世界に連れていってくれる、それがアニソンの魅力かなと思います。

――アニソンはもはや国民的なポピュラーソングになったと思います。

ささき:映像付きのポップスと言っていいのかもしれませんね。MVの制作に松本零士先生が関わったことで話題になったフランスのダフト・パンクが来日した時、松本先生と一緒にステージに出演したことがあって。その時に「これがアニメに共通する世界なんだ」と。楽曲と映像がマッチして1つの世界観を構築するという原点みたいなのも感じました。

彼らのように昔のアニメやアニソンに影響を受けた人たちが日本だけではなく、世界中でクリエイティブな活動をして、輪を広げていることも嬉しいです。

今の時代は録画やパッケージもあるので、放送されていなかったり、生まれる前の過去の作品を手に入れたり、見られる環境が整っていることもあるんでしょうね。僕らの時代は録画することなんてできなかったから、毎回リアルタイムで見るしかなくて。だから見逃さないように必死だったから、より記憶に残っているのかも。

今はテレビが絶対ではなくなって、ネットのみで配信されるアニメもあるわけで。先日お会いしたタケカワユキヒデさんも音楽を作って、ネットで配信していると聞いて。「やるんだったら教えるよ」と言われたけど、「今からは無理ですよ」って(笑)。

――今はアニソンシンガーを目指す方も増えています。必要な資質やアドバイスをお願いします。

ささき:今の時代、僕らとは違って、アニメやアニソンに慣れ親しんだり、歌っているし、上手な人もたくさんいますよね。アニソンに限らず、音楽業界でも若くてすごい才能を持った人が多くて。声優さんでも歌ったり、踊ったり、大きな会場でライブをされている方もいるし、トークもできたり、器用ですよね。実際にお芝居を聞いて、すごいと思う人も何人かいました。声優の養成所や専門学校にも、歌ったり、踊るカリキュラムもあるそうで、驚きですよね。

僕の時代は「歌手は人に教えたらダメ」と言われていました。教わる人はその歌手の人とは違うわけだし、教えることで型にハマってしまったり、弊害が出てくる可能性もあるから。以前、歌手になりたいと相談に来た人がいて、歌を聞いてみたらちょっと難しいかなと思って、正直に伝えたら「ささきさんはジャンルが違うから良さがわからないんです」と。それなら僕のところに来なきゃいいのに(笑)。

今はオーディションもあるし、ネットで発信するなどアピールする機会もあるので、なりたいと思って努力を続けていけばチャンスはあるし、誰もが資質を持っていると言っていいかもしれません。

でも実力だけではなく、運も必要なんですよね。アニソンはあくまでアニメが主体で、いい作品と出会えるのか、選ばれるかは運次第で。もちろん実力も必要だし、曲に合う、合わないとかもあるし。頑張ってくださいとしか、言いようがないですね(笑)。

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