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『キラッとプリ☆チャン』シリーズ構成・脚本 兵頭一歩ロングインタビュー

『キラッとプリ☆チャン』シリーズ構成・脚本 兵頭一歩さんに聞く、やりがいに溢れたプリ☆チャンとの3年間|語っても語りつくせないほどのエピソードがある――【インタビュー】

今年5月、TVアニメ『キラッとプリ☆チャン』の最終話が放映され、約3年、全153話に及んだ歴史に幕を下ろしました。7月23日(金)には、シーズン3の第127話から第138話を収録した『キラッとプリ☆チャン シーズン3 Blu-ray&DVD BOX3』が発売!

アニメイトタイムズでは『キラッとプリ☆チャン』の楽曲を手掛けられた松井さんに続いて、シリーズ構成・脚本を務めた兵頭一歩さんにオンラインでお話をうかがいました。

兵頭さんは『キラッとプリ☆チャン』をはじめ、『トニカクカワイイ』『機動戦士ガンダムAGE』などのシリーズ構成や脚本を手掛けられています。それぞれの作品に並々ならぬ情熱と愛情を注いできた兵頭さんですが、その中でも『キラッとプリ☆チャン』は特別な作品だったと言います。『キラッとプリ☆チャン』での歩みを振り返りながら、自身の仕事観・キャリアについても教えてくれました。

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「いちばんの『プリ☆チャン』マニアであると思ってます」

――『プリ☆チャン』が最終回を迎えられ、Twitterに「全てを出し切ったような、やり残したことがまだたくさんあるような、今はそんな気持ちです」と綴られていましたが、改めて今のお気持ちはいかがですか?

兵頭一歩さん(以下、兵頭):「ああ、ついに終わっちゃったんだな」と。やりがいに溢れた3年間でしたから。それこそTwitterにも書きましたけれど、いろいろな想いがあります。脚本の作業自体は去年いっぱいで終わっていたので、オンエアーが終わったときには、現場を離れてから随分と時間が経った状態でした。今さら言ってもどうすることもできないのに、オンエアー直前までは「本当にあれでよかったのか」とずっと心配でした(苦笑)。『プリ☆チャン』に限らず、他の作品でもいつも思うことではあるんですけどね。

でも自分はいちばんの『プリ☆チャン』マニアであるとも思っているので、結局は普通に楽しんで観ていました。もともとアニメが好きでこの業界に入っているので、自分の書いたものが映像になって放送されることは他に代えがたい感動があります。こと『プリ☆チャン』は3年間やってきて、キャラクターにめちゃくちゃ入れ込んで作業してきたので、誇張ではなくダダ泣きしながら観ていました。それこそ「ああ(萌黄)えもと(赤城)あんながいつも通りだ」ってだけで泣けてくる(笑)。

――それだけ思いが強かったという。でもさりげない日常シーンってグッとくるものがありますよね。書いていた立場であればなおさらで。

兵頭:『プリ☆チャン』のキャラクターには、本当に自分の子どものような愛情と言うか、担任したクラスの生徒たちのような愛着があるんですよね。みらいたちがいるクラスを3年間受け持って、いよいよ卒業となったらそりゃ泣くよね、っていう。

――実際に最終回では(桃山)みらいたちが高校生になるという描写がありましたしね。

兵頭:最初、最終回では進級した姿を見せるのではなく卒業式にしようと思っていました。学園モノの最終回のような雰囲気で、感動的にしっとり終わりたいなという気持ちがあったんですけど、スタッフの皆さんから「やっぱり最後はプリ☆チャンらしく賑やかに終わらないと!」と言われて「確かにな」と思い直しました。実際にロケットで打ち上げられるのはやりすぎかもしれないとも思ったんですけど(笑)、でもプリ☆チャンらしいといえばらしいですよね。

――終わり方というのは特に悩まれる部分かと思います。最終話の最後のミラクルスターの楽曲についてもかなりお話合いをされたのでしょうか?

兵頭:ライブをたくさんやってきたシリーズなので、「最後はどの曲で終わるべき?」とかなり話し合いました。卒業式で終わりたいと思っていたときは、シーズン3後半のエンディングだった「One Heart」をイメージしていたんですが、それで終わってしまうと――語弊があるかもしれませんが、やはり“普通のアニメ”っぽい気がしますよね。『プリ☆チャン』らしさを考えると「キラッとスタート」じゃないかと監督をはじめ皆さんおっしゃって、最終的には「すべてが詰まってるあそこからまたはじめよう」と。

――「キラッとスタート」ははじまりの曲でもあるので、それで終わるのがまたニクい演出だなといち視聴者として感じていました。

兵頭:「キラッとスタート」の最後の歌詞は<魔法より素敵なライブがはじまるよ>で、最後なのに<はじまるよ>で終わるのがすごく良いなって。

最終回(153話)サブタイトルは「キラッとプリ☆チャンやってみよう!」だったんですけど、最初の案では第1話と同じ「やってみた」だったんです。でも監督が「最終回でアニメは終わるけど、みらいたちの物語は終わりにはしたくない」と。それは最終回に限らず、ずっと言われていたことでした。その思いを知るまでは、キャラクターの描き方で監督と時々意見が食い違うことがあったんですよ。というのも、自分はシリーズを構成する立場として、キャラクターをきちんと成長させて、一人ひとりの物語をシリーズの中で完結させたいという思いが強かったんです。

でも監督は「それだと『プリ☆チャン』の物語が完全に終わってしまうような気がする」「ずっと変わらない日常が続いて行く感じが欲しい」と。そういう監督の思いを知ってはじめて自分も考え方が変わって「なるほど、終わらせたいと思うのは書き手のエゴかもしれない」と思うようになりました。

言われてみれば、プリティーシリーズは一つのシリーズが終わってからもプリティーオールフレンズがあったり、ライブがあったりと、確かにキャラクターたちがずっと生き続けるシリーズなんですよね。ファンの方々に、ずっと愛してもらえる。そういう意味で、監督の考え方は極めて真っ当だったんだなと思います。

――エンディングに向けた話し合いというのは常にされていたんですか?

兵頭:エンディングに限らず、いつもめちゃくちゃ話し合ってましたね。定例となっていた毎週金曜日には、いつも8時間くらい打ち合わせしてました。以前は「電車がもうなくなるから終わろう」だったんですけけど、リモート会議になってからはステイホームの寂しさも手伝って、永遠に終わらなくなってしまいました(笑)。大声をあげてもいないのに、毎回声がかれるくらいで。エンディングについて話し合うようになったのは、シリーズ中盤に入った時くらいからです。ことあるごとに「どういうエンディングになるんですかね」「どうするべきですかね?」と話すようになりました。

話題が出始めたころの自分は「〇〇になりたいって夢を決めて、みんなそれに向かって歩んで行く!という最終回がふさわしいんじゃないんですかね」と言っていたんです。そうしたら、タカラトミーアーツの大庭(晋一郎)さんが「それぞれの進路を一つに決め込むようなことはしたくない」と。「アニメを見てくれる小さい子どもたちは、これから人生を歩んでいくところなんだから、いろいろな可能性があなたたちにはあるんだということを伝えたい」とおっしゃったんですね。ものすごく納得できる意見で、ずっと印象に残りました。

最終回、みらいがだいあに「夢はやっぱりデザイナー?」と聞かれる場面があります。そこで「夢は一つきりじゃないから!」と答えるみらいがいるんですが、それは大庭さんの意見に感動した自分からのアンサーとして、ずっと言わせたいと思っていたセリフでもありました。

――それぞれの意見をすり合わせながらの物語づくりだったんですね。

兵頭:もちろん自分のやりたいこともあるので、食い違うところは常に話し合ってきました。中でもメルティックスターの描き方については結構話し合ったように思います。たとえば初期のミラクル☆キラッツや、シーズン2のだいあのことに関しては「ですよね!」と最初から意見はかみ合っていました。あまりいい言葉ではないんですけど“陰キャ”へのフォーカスの合い具合がリアルだとよく言われていた自分たちですから(笑)。「主役になる勇気が出ない子たちの気持ちは分かりすぎる」と (笑)。だからその真逆の立場にいるメルティックについては「(自分たちではない)憧れの対象」になるわけで、そういう意味でのすり合わせが必要だったのかもしれません。シーズン3後半で描かれたあんなとさらの関係性については紛糾しましたね。ただ、めるに関してはちょっと違ったアプローチでイメージを共有していきました。

――というのは?

兵頭:メルティックというカテゴリーの中でめるは異質なんですよね。動かしやすいキャラなんですけど、だからこそ自分なんかはビビって自重してしまうことがありました。しかしシーズン1の第32話「気になるウワサ追ってみた!」で『プリパラ』の森脇(真琴)監督に絵コンテを担当していただいたとき、めるがびっくりするような動き(ムーヴ)をやりはじめて(笑)。絵コンテを見て「すごい! さすが森脇監督だな」と感動したんですが、映像が出来上がるとなんと絵コンテの絵のまんまが再現されていました。

「あ、ここまでやっていいんだ」といい意味でのショックを受けましたし、そこでめるのキャラクター性を一段階上にあげてもらったような気がしました。

あんなの話に戻ると、第36話「100点めざしてみましたわ!」で、成績が下がってしまったことで、お母さんから“プリ☆チャン禁止”にされてしまい、あんなが(お母さんを説得するためにも)頑張るシーンの“頑張り方”についても話し合いました。監督のアイデアとしてはお裁縫などの地道なことで頑張るというイメージで一貫していました。

――実際、第36話のラストでは、家庭科で作った巾着をお母さんにプレゼントして、仲違いが収束するという内容でしたよね。

兵頭:そうです。でも、あんなの場合、そういった庶民的なものではなく、セレブな頑張り方をするイメージが自分の中にはあったんです。しかしそれでいて実は地味な努力も似合う子なんだよ、と示していただいたおかげで、最終的に自分のあんな像をアップデートすることができました。

リングマリィ、アリスやイブ、その他のキャラに関してもすごくたくさんの裏話があるんですが、本当に長くなってしまうのでそれはまたの機会に(笑)。あ、でも一人だけ。「もう監督に任せます!」と自分が言ってしまったのはめが兄ぃさんです(笑)。

――めが兄ぃ(笑)。

兵頭:監督はめが兄ぃさんにこだわりがあるそうで。ある日「めが兄ぃさんって実はマスコットなんですよ」って話を突然聞いて「え、そうなんですか?」と。

そうですか、じゃあ任せます!と(笑)。

――Twitterに、第45話「アンジュさんのホンネ聞いてみた!」の展開について、博史池畠監督と脚本の福田裕子さん、兵頭さんのやり取りを書かれていましたが、あれは本当にあのようなやりとりをしながらだったんですか?

兵頭:あのまんまです(笑)。『プリ☆チャン』は各話を担当していただいた脚本家のみなさん全員曲者ぞろいなのですが(笑)、中でもマインドの部分で池畠監督と福田さんはシンクロすることが多かったように思います。それがいちばん表れたのが、あの45話。「タンス!? マジですか!?」って(笑)。本当に絵になるとは思ってなかったです。そういった奇抜なアイデアが出てくるのが池畠監督。そこに対して「おいおい」とツッコむのが自分。心から「良いですね!」と同意してしまうのが福田さんなんです(笑)。あのやりとりは、数ある『プリ☆チャン』の現場エピソードの中でも、もっとも象徴的なものの一つですね。池畠監督のチームならではのエピソードです。

――お話をおうかがいしていると、話し合いの中でいろいろな方の意見を引き出しながら物語を作られていったとのこと。その意見を引き出す作業というのは、シリーズ構成・脚本の方の役割でもあるのでしょうか。

兵頭:監督や現場によって千差万別、さまざまです。たとえば監督にはいろいろなタイプの方がいらっしゃって、事前に物語のプランをびっしりメモ書きにして来られる方もいれば、森脇監督のようにマンガのようなものを描いてイメージを伝えられる方もいます。池畠監督の場合は――監督の良いところでもあるし、やりにくいところでもあるんですけど(笑)、明確に「このキャラクターはこういう感じです!」というものが、文章などで出てくることは一切ないんです。「今回のキャラクターはどうしましょう?」と、直接のやりとりの中で明らかにさせて行くのがデフォルトです。「この子はこういうシチュエーションでは、どういうことを言うキャラクターなんですか?」などと聞きながら、監督の考えを引き出して、深堀りして、言語化するのが自分の役割なんです。その辺は付き合いも長いので心得たものです(笑)

絵的なデザインに関しては、池畠監督が打ち合わせ中に落書きのような感じでキャラクターのラフを描くことも。シーズン3では「茶釜松らいあはこんな感じ」「コンクリ(糸満)さんは頭が四角でこんな感じ」とか。「(らいあは)まんま狸じゃないですか!」とかツッコまれながら(笑)。

――そこは池畠監督と兵頭さんの信頼関係、兵頭さんのお人柄あってこそというか。シリーズ構成、脚本のお仕事ってものすごく多岐に渡っているんだなとお話を聞きながら思いました。

兵頭:脚本はアニメ制作でいちばん最初の作業になるなので、まったく何もない状態から何かを出さなきゃいけない。だから最初の企画会議や構成会議では、言ってしまえばシリーズ構成は書記なんです。打ち合わせを受けて「じゃあ次の打ち合わせに向けて、たたき台作ってきますね」って感じで。とにかく何か形にしたものを出さなきゃいけない。

打ち合わせで何となくまとまったな、と思ったものを自宅に持ち帰ってみると「あれ? 全然一貫性がない」って(笑)。

 

(C)T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京 / PCH3製作委員会
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