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『白い砂のアクアトープ』沖縄出身ライターの感想レビュー

【忖度なし】沖縄完全再現だって!? 夏アニメ『白い砂のアクアトープ』を沖縄出身のオタクライターが現地民として素直な気持ちで観てみた感想

はいさ~い! オタクライターのタイラで~す!

みなさん沖縄好きですか~? この季節はきれいな海で泳いだり、南国の雰囲気のなかダラダラ過ごしたいですよね~。私も地元でのんびりと過ごしたいのですが、なかなかそんなわけにも行かず、自室で怪獣のソフビを眺めたり、深夜アニメを見る日々を過ごしています。

そんな深夜に、見覚えのある景色がテレビに写っているじゃないですか!

青い空、白い雲、綺麗な海、「斎場御嶽」の標識……。

「斎場御嶽(せーふぁーうたき)」の標識??

御嶽というのは沖縄で言う神社というか、パワースポット的な場所のことです。これまで沖縄風の町や景色をアニメで見たことがあるのですが「斎場御嶽」の標識まで描かれているのは初めてで驚きました。

こんな具体的に描くなんて一体何のアニメだ?

と思ったらP.A.WORKS制作の『白い砂のアクアトープ』だと判明。その細かなこだわりにも納得しました。

しかし、地方民ならわかると思うのですが、地元が舞台になると嬉しい反面、「現実はそうでもないんだけどね……」とか「そんな方言、今の若者は使わない!」とか思ったことってありませんか?

ということでこの記事では、閉館寸前の「ギリギリ水族館」を舞台に少女たちの青春を描いた『白い砂のアクアトープ』を、沖縄の離島に15年、アニメの舞台となる沖縄本島南部に3年間住んだ経験のある私が忖度なしレビューをしていきます。

アニメオタクとしての感想、そしてうちなーんちゅ(沖縄人)としての視点を交えてズバズバやっていきますよ!

各話ごとにアニメの冒頭からラストにかけて気になったことを書いていきます。ネタバレが多分に含まれますのでお気をつけを!

目次

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しょっぱなから沖縄感満載

第一話冒頭から、沖縄感満載ですね。というよりほぼ沖縄って感じですよね。この作品は離島にも取材に行っているようなので、舞台となる沖縄県南城市の道路や市街地を中心にこの物語の主人公の一人・くくるの家は離島の古民家という感じだと思います。

私、住んでいたので確かです。少なくとも見たことのある離島の風景ですね。

そして、鍵を握っていそうなキジムナーらしきキャラクターが登場! キジムナーとは沖縄版座敷わらしのようなもので、不思議ないたずらやちょっとした幸福を運んでくれたりするとかしないとか。

沖縄によくある木であるガジュマルの木(うねうねした大きな木)に住んでいるという噂もあります。実際は見たこと無いんですけどね。このキャラクターが要所要所に登場するので、なにか役割を持っているのかもしれません。

「沖縄方言」と地元民が感じる違和感

そして、予告でもあった「まくとぅそーけーなんくるないさー」というセリフ。

ここで浮上するのが「沖縄方言問題」ですよね。

実際に方言を話したり、聞いたことのある私達のような沖縄県民はどうしても俳優さんや声優さんの方言に敏感になってしまいがちです。

この部分でなんだか気恥ずかしくなってしまって、物語に集中できなくなってしまう場合が多いです。これはどんな映画やアニメを見ていても発生してしまう厄介な問題なんですよ。

しかも今回は、あくまで差し色での「沖縄キャラ」ではなくゴリゴリのうちなーんちゅたちの物語なのでそこがどうなるのか気になっているポイントでした。そこにも注目して見ていきたいところです!

第1ヒロイン? 発見

都会のワンルームマンションに少女が一人ポツンと立っています。この子が主人公のひとりである宮沢風花(以降風花)ちゃんのようですね。

なにか事情があって、所属していたアイドルグループをやめてしまったようです。一時はグループのセンターポジションにまで言ったようですが、「彼女のせいで」後輩にチャンスが回ってしまったよう。これからもっとヒロインの深堀りがあると思いますので、期待です。

アイドルをやめて地元に戻るようですが、この辺の会話が妙にリアルで胸が締め付けられましたね。夢やぶれて地元に戻るということは、かなりハードルが高いことなんですよ。

宮沢風花を励ます会を開くなんて言ってますが、よその家の成功の妬みなんかも含まれたカオスな会だと思われます。

「芸能界は水物だから、さっさと見切りつけて正解」

この言葉も風花にとっては辛いですよね。こういう狭い人間関係はやっぱり田舎特有のもの。これに違和感を持った若者は、遠くで何も縛られずに生きることを夢見るもんですよ。私もそうやって上京した一人ですからね……。

そうだ、沖縄

アイドルをやめたものの、地元に帰ることも躊躇してしまう風花。そこで沖縄旅行のポスターを目にし、弾丸ツアーを敢行! 良い行動力です。

あっという間に、沖縄に到着しますがこの那覇空港の再現度がまた凄まじい! 見ていて那覇空港特有の温度感まで感じましたね。旅行者を出迎える大きな水槽や、電光掲示板まで、細部までこだわりが見えます。

風花が乗るモノレール(正式名称ゆいレール)は、ちょっと低いところを走っているような気がしますが、車内の様子も完璧です。実はあのモノレール、途中でいろんな学校のテニス部がたくさん乗ってくるんですよね。

続いて沖縄の代名詞になりつつある観光名所の国際通り。最近では国際通りで満足するようじゃ沖縄旅行と言えないなんて声も聞きますね。裏道の細かなお店も完璧に再現されていました。あんなコテコテの占いの館もあることにはあります。

ここでガッツリと占い師の女性が沖縄訛りで話していますね。実は初見は……やっぱり恥ずかしかったです。やっぱり自分の友人や家族が話しているのとは違うんですよね。関西弁などに比べて関東では話者も少ないし、難しいし、仕方ないことではあります。

これは誤解しないでほしいのですが、声優のみなさんの方言の演技がダメということではなく、私自信があんなに良い声で方言を話された経験がないので、軽く脳がバグるんです。それは私達が話しているよりも混ざりけのない方言だからというのもあるのかもしれません。私達が話している方言は思った以上にいろんな方言がまざっていますよね(隣の町だけというだけでずいぶん違ったり)。

ただ、この記事を書くにあたってもう一度客観視してみると、かなり方言指導に力入れてるのがわかりました。友人の沖縄オタクもそこには唸っていましたね。

占い師に導かれ、那覇バスターミナルからゆっくりと南下していきます(注意:沖縄のバスは時間通りに来ません)。

風花が降りるバス停は、最終の停留所で私も高校生時代に乗るバスを間違えてあの車庫まで行ったことがあります。当時の友達のママに迎えに来てもらった思い出。

そして冒頭にも登場した、キジムナーの後を追い海へ。この朝日や砂の表現はかなりリアルです。沖縄本島のビーチは砂だけではなくサンゴの死骸だったり細かい砂利も混ざっていて独特です。山や川のない離島では全部が星砂みたいなビーチもありますよ。

沖縄っ娘、くくる登場!

THE沖縄の古民家という感じ! これは離島をイメージした赤瓦のお家ですね。本島にも残ってはいますが、空き家になっていたり古くなっていることが多いですね。

本作のもうひとりの主人公である海咲野くくる(以降くくる)の登場! 色白でかわいい! ベッドではなく畳に布団で寝ているところもグッド。私も中学までは祖父(おじい)と畳で寝てました。

細かい話ですが、沖縄の朝飯ってこんなしっかりしてますか? もっと適当な野菜炒めじゃなかったですか? 私の家だけでしょうか……?

朝からグルクンの唐揚げっていうのは意外とあります。運動会とかお盆の日とかね!

クラスメイトの照屋月美(以降うどんちゃん)仲村櫂(以降カイ)との掛け合いでくくるの設定をかんたんに紹介! 回想シーンで母子手帳×2が写っていましたが後々語られるのを待ちましょう。

ちなみにですが、一瞬描写されていた校舎が私の通っていた高校に似ている気がするんですよね。高校の同級生からも複数タレコミが来ておりました。なんという運命。

美しく不思議な「がまがま水族館」へようこそ!

ビーチで目覚めた風花は行く宛もなくトボトボ歩くばかり。その道中も完璧に再現されています。私の友人にあの辺で生まれ育った方がいるのですが、全国放送のアニメであの風景が映るだけでなんだか得も言われぬ気持ちになると言っていました。

道路や標識、家屋の壁の黒ずみなども同じでもはや引き気味でした(笑)。

観光名所もがっつり南部でどれも行ったことがあります。校外学習なんかで行く場所もありますよ。そして……

その中にがまがま水族館が!!

気合の入った水族館の風景。人が少なく寂しい様子だけれども、幻想的で良い水族館ですね。水槽の作画もかなりキレイでこだわりが見えます。魚たちを3DCGでヌルヌル泳がせて、サンゴや水の表現も丁寧で、風花とともに思わずウットリ。

そして魚たちに語りかける形で風花の設定を深堀り。回想のさなかに水族館での不思議な体験をする風花。

夢か現実か判断がつかないポワポワ状態のまま、ついにくくると風花が出会います。
水族館は不思議なところであり、古くからある場所やなにかゆかりがある地には不思議な存在(キジムナー)があるかもしれない、とくくるは言います。

そしてOPテーマへ。

OPにも沖縄要素感じられますね。沖縄民謡やポップスのようなメロディが要所要所にありますね。

あっという間の1話ですが、沖縄の不思議さと、しょっちゅうでてくるキジムナーみたいな部分をどう展開していくかも気になるところです。沖縄でも心霊やスピリチュアルなお話などは割と信じられていることもあります。

キジムナーや座敷わらしっぽい精霊の体験は身近に聞いたりしますが、こうやって堂々とフィクションで作られると帰ってファンタジーのような気がしてしまいます。

上記の理由もあり、個人的にはリアルなお仕事アニメに舵を切るなら、控えたほうが良いのかもと思ったり。この要素がこのアニメにどんな影響を与えるか楽しみなところです! 

本日の沖縄方言まとめ

・まくとぅそーけーなんくるないさ
「なんとかなるさ~」でおなじみだが、枕言葉が存在し「正しい行いや、やるべきことをしていれば、なんとかなる」というのが本来の意味らしい。意外と能天気で楽観的な言葉ではないことに驚きました。野球部のSNSのプロフィールなんかで見られることもある。若者はあまり言わない。

・あきさみよー
「びっくりした!」の意。いろんなバリエーションが存在し地域や個人によって言い方が変わったりする(あぎじゃび! あいや! とかもあると思う。複雑です)。こちらはオバさん中心に割と若い人でも言うことがある。

・わー、やさ
おじいの発言。一人称をわー、わんという。これも地域によっていろんなバリエーションあり。「やさ」は語尾に使ったり、返事にも使える。そうだよなど肯定の意。やしが、やさになど派生もあり。

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