映画
『竜とそばかすの姫』細田守監督インタビュー|大ヒット記念!

『竜とそばかすの姫』大ヒット記念! 細田守監督インタビュー|ベルのデザインの秘密は? 今後の海外展開は? 周囲の反響は? 映画公開後だから話せたあれやこれ

この時代に公開することに意味があるのが映画

ーーヒットを受けてロングランも決まりましたね。

細田:コロナ禍がこんなに続くとは思っていませんでしたし、緊急事態制限下で、劇場の入場制限がかかるなど十分な状況とは言えない中で公開がスタートしたのですが、それでも多くの方に観てもらえている。

抑圧されていた女子高生が、インターネットの中に自由を求めて自らを表現していく、そんな姿が、みんなが苦しい思いをしている今の世の中とリンクしているんじゃないかなと思います。

作品っていうのは、時代の空気と切っても切り離せない密接な関係にあると思うんです。その状況の中で、いかに観客を癒やしたり楽しませたりできるかが重要であって、この時代に上映されることの意味や必然性、同時進行感を強く感じています。

ちなみに……

ーー最後に1つ、ファン目線の質問になってしまうんですけど……。細田監督の作品は、青春もの、インターネット、青い空と白い雲などの代名詞のようなものがあります。個人的には「桃」だと思っているんですが、毎回「桃」が登場するのはなぜなのでしょうか? ファンサービスだったり……?

細田:夏だからです。季節モノだからですよ(笑)。もし秋に公開される作品があるとしたら焼き芋とか出すと思います。冬だったら鏡餅とか。

ーーそうだったんですね! どこかのインタビューで、「桃は特別感があるから、そういう舞台装置としても使っている」とも仰っていましたね。

細田:桃は高級な果物で、異世界と通じるとも言われていますよね。お盆のときの仏壇に供えられるじゃないですか。他の果物よりも特権的な位置に置かれている。桃の香りと仏壇の線香の香りが混ざり合って、異世界へと誘っているかのようです。

『西遊記』でも水蜜桃は大事なアイテムとして描かれています。だから僕の作品では、異世界に入るタイミングで桃が出現すると思います。誰か気づいた人いますかね?

[インタビュー/石橋悠]

 

1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。

この記事をかいた人

石橋悠
1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。

担当記事

関連記事
【そろそろBLのこと知ってみませんか?】いまさら聞けない商業BLの世界!「アニメイト編集部BL塾」開校【前編】
近年盛り上がりが急激に加速している「ボーイズラブ(通称、BL)」。20年以上前は秘匿性の高かったジャンルが、過渡期を迎えていた。ところが、アニメイトタイムズ編集部員の石橋さんはほとんどBLに触れてこなかった様子。BLの知識はほぼないに等しい。アニメイト社員ともあろうものが、このままでは波に乗り遅れてしまう。やばい、やばすぎる。……ということで、「アニメイトタイムズ編集部員にBLのアレコレソレを教えて!」と急遽助っ人を要請。「アニメイト編集部BL塾」と題して、BL塾の開校に踏み切った。今回の企画では、BL通のライター・阿部裕華が先生役となり、BLの世界をいちから初心者の方に向けてご案内。BLを知りたい! もっと深く知りたい! と思っている読者のみなさんは、石橋さんとともに生徒気分でお楽しみを。※BL事情は諸説あるため、本企画には個人的見解も含まれています。※一部、R-18の作品も紹介しています。<登場人物>●阿部裕華フリーのライター。本企画の助っ人。石橋さんの飲み友達。BL愛好歴15年。『好きなものは好きだからしょうがない‼』に衝撃を受け、BLへ沼落ち。黒髪メガネ受けが登場する商業BLマンガは一通りチェックする。今回の先生役。●石橋悠アニメイトタイ...
関連記事
「田村ゆかり BIRTHDAY LIVE 2018」に王国民歴10年の編集者と初参加ライターで参戦してみた
「ゆかりん(田村ゆかりさん)が2018年2月24日、25日、27日に武蔵野の森総合スポーツプラザで、「田村ゆかりBIRTHDAY♡LIVE2018*Tricolore♡Plaisir*」を開催するんです。その名の通り、バースデーライブ。せっかくの機会。非常に貴重なライブなので、取材してください」アニメイトタイムズの編集者・石橋さんから、上記のメッセージが届いたのは2月中旬のこと。スケジュールを確認した結果、25日・27日なら取材可能だった。彼にそのまま伝えると「参加するなら27日が圧倒的にオススメです」とキッパリ。その理由を聞いてみると、田村ゆかりさんが誕生日当日にライブを行うのは5年振りということらしい。「2度とないこの日のライブにこれまでにないレポートを書いてほしい」これが僕に課せられたミッションだ。「当日は横で解説お願いしますよ?」(川野)「いや、それは無理です(即答)。僕は3日間全て客席にいるので」(石橋)なるほど。アニメイトタイムズの編集担当・石橋さんは生粋の王国民(田村ゆかりさんのファン)だった。こんな贅沢な時間を取材席で淡々と見つめることはできないと。1人のファンとして声を熱を届けたい。応援したいという大人の判断である。「僕は初心者の目線としてラ...
関連記事
祝『ヒプノシスマイク』1周年大特集! 第1弾「世界観&ハマる理由編」|ご新規さんもゴリゴリのヘッズも読んでほしい『ヒプマイ』が素晴らしい理由
8月26日に行われたライブも大盛況のうちに幕を閉じ、話題沸騰中の『ヒプノシスマイク』。声優とラップという異色の組み合わせで、新たなムーブメントを巻き起こしている『ヒプノシスマイク』が、9月2日で1周年を迎えました!アニメイトタイムズでは、1周年を記念して『ヒプノシスマイク』を大特集! 全5回に渡って、世界観やキャラクターについて掘り下げていきます。第1回となる今回は、「世界観」と「ハマる人が続出している理由」について。ヒップホップとアニメ漬けの生活を送ってきた編集部員・石橋が解説していきます。「ちょっと乗り遅れちゃったな〜」「もうちょっと詳しく知りたいな」「ここで復習しておきたい!」と思っているヘッズのみなさんはぜひご覧ください!なお、本企画は石橋の個人的見解も盛り盛りでお届けしますので、ご了承ください。そもそも『ヒプノシスマイク』って何ですか?まずは『ヒプノシスマイク』という作品そのものについて語っていきましょう。『ヒプノシスマイク』は2017年9月4日に発表されたキングレコードのEVILLINERECORDSによる音楽原作のCD企画です。木村昴さん、浅沼晋太郎さん、速水奨さん、白井悠介さんといった人気声優をキャスティングし、キャラク...
もっと見る
関連記事
『絶望放送』や『下ラジ』を作った構成Tこと構成作家・田原弘毅さんに聞く「ラジオの作り方」──連載第1回「苦情も来ないようなラジオは誰も聴いてないんですよ!」
 ラジオってどうやって作られているのでしょう? 何気なく「パーソナリティが話しているのを録音して配信、生放送したもの」というイメージがありますが、実際のところ、素人からするとブラックボックスな部分が多いような気がします。どんな仕組みでできているのか、気になりませんか? そんな「ラジオの作り方」をお伝えする企画がスタートです。私たちを導いてくれるのは構成Tこと、構成作家・田原弘毅さん。『ぱにらじだっしゅ!』『さよなら絶望放送』『下ネタという概念が存在しない退屈なラジオ』などの伝説的なラジオをアニメイトTV、アニメイトタイムズで数多く制作してきた田原さんと、愉快なゲストをお招きして「ラジオの作り方」についてレクチャーしてもらいます。 さらに、今回の企画の集大成として、アニメイトタイムズ新米編集者・石橋が田原さんと共にラジオを作ります! しかし、聴くのは好きでも作るのはズブの素人である石橋。果たして、ラジオを作ることはできるのでしょうか? 連載第1回となる今回は、ラジオのプロデューサーをしているフロンティアワークスの寺田純一さんをお招きし、ラジオ作りの裏側を聞きながら、これから目指すアニメイトタイムズラジオのヒント...
関連記事
『すずめの戸締まり』新海誠監督インタビュー|神木隆之介さんへのオファーは一度断れながらも電話で直談判!? 10年たった今だからこそ描く東日本大震災への想い
また新海誠監督の最新作がやってきます。まるで4年に一度のオリンピックを楽しみにするように、3年に一度のお祭りのような感覚で新海監督の作品を心待ちにしている自分がいます。それは、読者のみなさんも同じではないでしょうか。『すずめの戸締まり』はその期待を良い意味で裏切ってくれるはずです。だって、新海監督の作品ですから。公式サイトやTwitterで事前にアナウンスされているように、本作『すずめの戸締まり』は、地震をモチーフにしている、花澤香菜さんや神木隆之介さんが出演する、監督史上最大規模の作品、といった気になる情報がいくつか散見されます。新海監督はどういった経緯で『すずめの戸締まり』の制作に踏み切ったのでしょうか。本稿では、映画公開を直前に控えた新海監督に行ったインタビューの模様をお届けします。監督の言葉の端々に隠されたヒントを読み解いていきましょう。おすすめ記事寂しい風景が増えた日本ーー試写で作品を拝見させていただきました。待望の新作ということでワクワクしております。新海誠監督(以下、新海):3年ぶりになってしまい申し訳ありません。観客のみなさんがどう思っているのか気になっています。ーー新海監督の作品では珍しいロードム...

こちらもチェック!

『竜とそばかすの姫』細田守インタビュー|【アニメスタジオの今と未来・番外編】
『竜とそばかすの姫』細田守インタビュー|【アニメスタジオの今と未来・番外編】

『竜とそばかすの姫』齋藤優一郎インタビュー|【アニメスタジオの今と未来・連載第3回】
『竜とそばかすの姫』齋藤優一郎インタビュー|【アニメスタジオの今と未来・連載第3回】

アニメ映画『竜とそばかすの姫』作品情報

ストーリー

自然豊かな高知の村に住む17歳の女子高校生・すずは、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。

<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。

数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。

やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探し(アンベイル)。<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。

現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる。

もうひとつの現実。もうひとりの自分。もう、ひとりじゃない。

スタッフ

■監督・脚本・原作:細田守
1967年、富山県出身。1991年に東映動画(現・東映アニメーション)へ入社し、アニメーターを経て演出(監督)になる。1999年に『劇場版デジモンアドベンチャー』で映画監督としてデビューを果たす。

その後、フリーとなり、『時をかける少女』(06)、『サマーウォーズ』(09)を監督し、国内外で注目を集める。11年、プロデューサーの齋藤優一郎と共に、自身のアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」を設立し、『おおかみこどもの雨と雪』(12)、『バケモノの子』(15)でともに監督・脚本・原作を手がけた。

最新作『未来のミライ』(監督・脚本・原作)は第71回カンヌ国際映画祭・監督週間に選出され、第91回米国アカデミー賞の長編アニメーション映画賞や第76回ゴールデングローブ賞のアニメーション映画賞にノミネートされ、第46回アニー賞では最優秀インディペンデント・アニメーション映画賞を受賞した。

■企画・制作:スタジオ地図
■製作幹事:スタジオ地図有限責任事業組合(LLP)・日本テレビ放送網 共同幹事

公式サイト
スタジオ地図公式Twitter
ムビチケ購入者限定キャンペーンサイト

おすすめタグ
あわせて読みたい

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング