舞台「文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳」植田圭輔さん・田淵累生さん 対談インタビュー|二人は相棒のようで相棒じゃない!? 思った以上に子供っぽい十五歳の彼ら
植田「僕は太宰 治を相棒と思わないことにしています」
――「文スト」といえば異能アクションバトルですが、アクションシーンでの見どころを教えてください。
植田:僕が演じる中也は訳があって、今回は両手をずっとポケットにしまったまま戦うので足技をするか攻撃を避けることしかできませんが、そこは非常に大事なポイントになっています。
でも、人間ってジャンプをしたり蹴りをしたりするときに絶対手を使っているんです。今回は手が使えないので、バランスの取り方とかがとにかくすごく難しくて。アクションシーンの稽古は、いつもよりめちゃくちゃしんどかったです。
自分が意識していないだけで、こんなにも手でバランスを取っていたんだと実感しました。そこが、これまでの舞台とは違うところかもしれません。
田淵:僕の場合はその逆で、体を使うというよりも頭や口を使うことが多いのでアクションシーンもほとんど参加しているようでしていないような場面が多いです。なので、ヤンキーものと探偵ものが融合した舞台になっているような気がします。
――そんなアクションシーンを含め、お二人が感じる1番の見どころはどこでしょう?
田淵:僕は、出会いによって成長していく二人の姿です。
植田:最後のシーンと言ってしまったら面白くもないしネタバレだしなぁ……。
田淵:ネタバレになっちゃいますね(笑)。
植田:個人的なところをいうと、序盤で「羊」のリーダー感がすごく出せる瞬間です。それは舞台ならではだと思いますし、自分もここを肝にしようと振り付けで感じたパートでした。
スタッフさんが作品のことをすごく考えてくださっているので、とても動きやすくて。その場面のキャラクターの心情や世界観、関係性に合った振り付けになっているので、そういう部分はすごく心強いです。
――また、先ほど田淵さんがおっしゃったように出会いによって成長していく太宰と中也も見どころです。せっかくお二人が揃っているので、お互いの役柄についてお伺いしたいのですが、まず田淵さんから見て、植田さん演じる15歳の中也はどう感じていますか?
田淵:もうすでに完成されています!
植田:あはははは(笑)。
田淵:僕自身、中原中也と芝居しているような感じです。
植田:それはすごく嬉しい……!
田淵:反応そのものが本当に15歳の中也なんです。僕はまだ探りながらセリフを言うことが多いんですけど、ちょっとニュアンス変えてセリフを言うと、植田さんの口調も変わって返ってくるので、ちゃんと相手の言葉を聞いて反応してくださるのがすごくありがたいことですし、本当にすごいなと思いました。
植田:中也からすると、(太宰は)ずっと腹立たしい存在ですね。
一同:(笑)。
植田:どの時間軸でも変わらずに腹立つ男(笑)。出会った頃からそうだったんだなと思ったり、今回のほうがより不完全な太宰 治や中原中也だったりするので、「こういう一面もあるんだ」「何を考えているのか分からない」「その件に関しては激しく同意できる」など、心の部分が現在軸の2人の関係値よりも揺れ動いているような気がします。
そういうところはすごく人間らしさを感じますし、死にたがっていた太宰が少し生きてみたくなった理由が、中也自身はよく分かっていなくても、中也から影響を受けている瞬間も垣間見えているので、そういう意味ではお互いにとっての“青春”になっているように感じます。
あと、僕は太宰 治を相棒と思わないことにしています。
――お! それはなぜでしょう?
植田:相棒になったつもりが一度もないので(笑)。
一同:(笑)。
植田:たぶん、客観的に見たらどう見ても相棒に感じると思いますが、中原中也本人が太宰 治を相棒だという感覚を持ってしまうとバランスが変わってしまうの思うので、僕は相棒だと思わないことを大事にしています。
――それは今回の舞台からですか? それとも最初から思っていたことなのでしょうか?
植田:『文ステ』が立ち上がった最初の頃から思っていました。
田淵:僕も相棒というより、太宰にとって中也はおもちゃに近いような感じがします。でも、中也には負の感情だとしても感情が動かされている部分があって、だからこそ作中でああいう態度や素ぶりを見せるのかな、と。
もしかしたら好きなのかもしれないですし嫌いかもしれない。同じ土台に立てるような遊び相手でもあるのかな、といろいろな面を感じます。