“怖い”を全力でやりきるのも結構難しいんです――秋アニメ『見える子ちゃん』四谷みこ役・雨宮天さんインタビュー(前編)│ホラーやコメディだけじゃない、何度見ても心温まるお話にも注目
こんなにいろいろなパターンの“怖い”を演じたのは初めて
――この作品の特徴であり面白さのひとつが、主人公のみこが怖がって逃げるわけではなく、“見えるけどスルーする”ところです。そんなみこの印象はいかがですか?
雨宮:めちゃくちゃ友達思いで、根がすごくいい子だなと思いました。化け物をスルーするのは自分のためでもあるんですが、意外と人のためでもあるんですよ。友達が化け物にぶつからないようにするとか、なんとかして回避させてあげたりとか。
あと、普段は表情が大きく変わらないローテンションの子なのに、化け物が見えた時は心の中がすごくおしゃべりになるんです。そのギャップも好きなところであり、演じるにあたってすごく難しかったところでもありますね。
――普通のセリフとモノローグでのテンション感がかなり違いますよね。どのようなことを意識して演じたのか教えて下さい。
雨宮:普段はローテンションの低いトーンで喋っているのもあって、モノローグをどのぐらい(のテンションで)やっていいのか悩みました。あまり派手にやりすぎると、みこから外れちゃうかな? とかいろいろ思って。でも、「怖がっているところは思いっきりやって大丈夫です」と第1話のアフレコの時にディレクションいただき、そこからは思いっきりやるようになりました。
ただ、“怖い”を全力でやりきるのも結構難しいんです。“怖い”といってもいろいろあるじゃないですか。「ちょっとひそめた“怖い”」とか「自分を落ち着かせようとしながらも出ちゃう“怖い”」、「思いっきり『ひぃぃ〜〜!!!』って出す“怖い”」とか。こんなにいろいろなパターンで恐怖を演じることは今までなかったので、恐怖の勉強にもなっていますね。
――今までもホラー寄りの作品に出演されたことはあると思いますが、そこでは純粋に悲鳴をあげたり怖がったりが多かった?
雨宮:そうですね。割と素直に出すというか、(みこのように)「耐えよう」みたいなのはあまりなかったと思います。それに、恐怖だけがそんなに続くことはなかったですから。
――ちなみに、もし化け物が目の前に現れたら、みこのように“見えていないふりをする”ことはできそうですか?
雨宮:いや、絶対にできないですね。化け物が遠くにいて、徐々に近づいてくるのならまだわかりますけど、『見える子ちゃん』は急に出てくることもあるじゃないですか。特に私はビビリなので、結構しっかり声を出しちゃうと思います(笑)。
――普通そうですよね。だからこそ、怖いけどスルーするのが面白いわけで。
雨宮:モノローグでは(恐怖を)すごく出すんですけど、それをやりながらも耐えている瞬間の息もアドリブもやったりするんですよ。その息のアドリブをどのくらいつけるかの加減も難しくて……。
出し過ぎちゃうと化け物にバレるし、視聴者に(恐怖を)伝えるためには息を乗せた方がいいですし。「小さいけど震えている息」とか、普段とは違う息のアドリブをやっています。