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『空色ユーティリティ』斉藤健吾監督インタビュー

『空色ユーティリティ』斉藤健吾監督インタビュー|年齢も学校も違う“3人”の関係性を想像して欲しいーーゆるくてかわいいゴルフアニメが、ここにあります!

目標はシリーズ化! やってみたいお話は「幻の白い鹿を探せ!」

ーータイトルにもなった「ユーティリティ」は、クラブの名前だそうですね。これはなぜなのでしょうか?

斉藤:タイトルを決めるときに脚本の望公太さんが、いくつかタイトル案を挙げてくださったんです。その中に「ユーティリティ」というタイトルがあって、それ良いね! というところから始まりました。

まず響きが柔らかい感じがあって良いなと。そしてユーティリティって呼ばれるクラブは「ウッド」と呼ばれるクラブと「アイアン」と呼ばれるクラブの中間のようなクラブで、すごく優しいクラブなんです。女性ゴルファーの方もよく使う必須アイテムと言ってもいいくらいのクラブになっていて、その語感の柔らかさもあいまって「ユーティリティ」というタイトルにしました。

「空色」は作品を通して僕が描いている青空のイメージを持ってきて『空色ユーティリティ』にしましょうということになりました。

最初は「ゴルフ」ってタイトルに入れたほうが、第一印象でゴルフってわかるし良いかなと思ったんですが、逆に「ユーティリティ」ってなんだろうって思った人や関心がある人が調べてくれたらそれで良いし、SNSなどでわからない用語を解説してくれる方などが出てくれば、コミュニティも広がりますし。

第1話でも主人公の美波がユーティリティクラブを使うんですが、あえてユーティリティクラブですとは言っていません。

ーーラストのシーンも『空色ユーティリティ』というタイトルに相応しい綺麗なシーンでした。

斉藤:ラストのシーンに行くまでになるべく「空」を描かないようにしていました。美波も地面ばっかり見てゴルフしてるんですけど、最後にようやく空を見上げてゴルフができるようになる。

実際にも初心者のうちはやっぱり地面とかボールに集中しちゃうんです。本当は飛んでいく玉は空に飛んでいくので、それをイメージしたほうが良い。

ーーなるほど。メインのキャラクターを3人にした理由などは?

斉藤:まず僕が描きたいと思った美波っていう主人公。彼女は学校が別に好きでも嫌いでもなくて、なんとなく通っている感じ。そこからゴルフというものに出会い、学校以外のコミュニティを楽しんでいく姿を描きたかったんです。

だからその展開に引っ張っていってくれるお姉さん2人を描きました。最初は1年生、2年生、3年生って順番に登場させようかなと思ったんですが、やはり僕は「年齢が違う友達がいる」っていう部分を描きたかったので、お姉さん2人にしました。

ーーそれはやはり監督の実体験にも基づいてますよね。

斉藤:そうですね。その楽しさを描ければと思います。自分が感じていることしか描けないと思うので。

ーーキャスト選びに関してはどのような思いがあったんでしょうか?

斉藤:特徴があってちょっとつまんなそうな、冷めた感情を持っているような声がいいなと思っていたので高木さんに決まりました。

そして、遥役の天海由梨奈さんは一発声を聞いたときに「あ、遥だ」と思って(笑)。

それから二人に合う彩花役の後藤彩佐さんが決まってという感じでした。

しかも、アフレコが始まってみたら、3人ともすごくはまり役だったんですよね。

アニメの放送と合わせて出演した声優陣と一緒にトークした様子も放送するんですが、彩花役の後藤さんが一番年下で経験もまだ浅いこともあってトークパートであたふたするんですよ(笑)。それを天海さんと高木さんが「こうやってやれば良いんだよ」って諭していて、「これだ! この関係性だ!」って(笑)。

ーー(爆笑)。

斉藤:立ち位置は逆なんだけど、これだこれ! って(笑)。まさにこの感じが観たかったんだよな! と思って創作意欲がまた湧き出してしまいましたね。

ーーキャラクターもみんなかわいくて、個性的でもっともっと見たくなりました。

斉藤:もしシリーズ化するのであれば、美波が主人公にした話も描けますし、もしスピンオフとかがあれば遥の競技ゴルフにフォーカスした話も描いてみたいし、また彩花はモデルをやっていたりもするので「インスタ女子・ゴルフ女子」みたいなお話も描けます。

ゴルフっていうテーマでもいろんな描き方ができるんだなって考えながら作っていましたね。

ーーこのまま美波が上達していく姿だけでも面白そうです。

斉藤:そうですね。逆にゴルフ関係ない話も描いていいだろうし。なんか、ゴルフ場に行って鹿を探す話とかやりたいです。

ーーやっぱりいるんですね(笑)。

斉藤:「幻の白い鹿を探せ!」という話とかやりたいです(笑)。その回はゴルフそっちのけで(笑)。

ーー面白そう(笑)。

斉藤:仕事から帰ってきて、何も考えずにゆったりと見れるアニメを目指したかったので。そういう実体験も含めてゴルフって楽しいんですよね。昨日も行きましたけど鹿いたよ?

ーー(爆笑)。

斉藤:「鹿、草食ってんじゃ~ん!」って(笑)。しかも全然逃げないんですよね。慣れちゃってるのかな。あと猿もいますね。猿はちょっと怖いんですけど。

ーー荷物とか取りそうです(笑)。

斉藤:他にもカラスはすごいですよ。鞄の中から食べ物を取ったりしますからね! 気をつけてくださいって注意書きなんかもありますし。

競技ゴルフのお話だったらそういうのは描かないですから(笑)。でも、「あー! 鹿いる!」とかそういうスキマが楽しかったりするんですよ。

本編でもカエルがカップの中にいるシーンがあるんですけど、あれも僕の実体験で(笑)。雨の日に友達とゴルフ行ったときに「うわあ! カエルいますよぉー! カメラカメラ!」とかおじさん2人ではしゃいでいました(笑)。

ーー(爆笑)。童心に帰れるのはいいところですね! それではそろそろお時間なので、最後に監督的『空色ユーティリティ』の注目ポイントを1点挙げていただけますか?

斉藤:「3人の関係性」に注目して、その関係性を想像して欲しいと思っています。描きやすいようにキャラクターデザインもシンプルにしていて、3人の関係性を色々想像して、視聴者みんなで膨らませてくれたら良いなと思いますね。

もちろんこれからシリーズ化ができればと思っていますが、会社のスケジュールなどもありがたいことに詰まっている事もあるので、少しづつ。例えば5分アニメで始めてみたりするのもいいかもしれません。

あとは、ゴルフ業界とのコラボレーションもしたいですね。ゴルウェアもそうですし、オリジナルのグリップとかシャフトとかも作ってみたいです。

ーー先程おっしゃってた初心者講習会なども考えていますか?

斉藤:イベントも開催したいです。ゴルフ場を貸し切って声優さんを含めてのイベントも楽しそうですよね。ゴルフ初心者向けの番組をYouTubeで声優さんたちと協力してやってみたりとかもいいですね。

ーーいいですね! しかし、本当にゴルフがお好きなんですね(笑)。

斉藤:そうですね(笑)。僕自身が、何か自分が持ってることと仕事をかけ合わせることができればなといつも思っているので、そういうところが発進なのかなと思います。

[インタビュー/石橋悠]

 

1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。

この記事をかいた人

石橋悠
1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。

担当記事

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TVアニメ『空色ユーティリティ』作品情報

 

PV

 

TV放送

TOKYO MX:12月31日(金)19:30~20:00

 

イントロダクション

普段と違う早起きした朝、クラブと一緒にわくわくした気持ちをゴルフバッグに詰めて、今日も一日を始めよう。

主人公の美波はゴルフを始めて間もない初心者。遥と彩花はそんな美波を見守りつつ、それぞれのスタンスでゴルフを楽しみ、その楽しさを美波に伝えていく。

学校も違えば本来好みも違う三人。だけどその三人がゴルフを通じて、それぞれの世界をもっと色鮮やかに変えていく。これはそんな物語の1ページ―

 

スタッフ

監督・演出・作画監督:斉藤 健吾
脚本:望 公太
絵コンテ:雨宮 哲
製作:Yostar Pictures

 

キャスト

美波:高木美佑
遥:天海由梨奈
彩花:後藤彩佐

 
公式サイト

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