音楽
じん1stミニアルバム「アレゴリーズ」リリース記念インタビュー

アーティスト・クリエイター・じんさん1stミニアルバム「アレゴリーズ」リリース記念インタビュー|初となるご自身全曲歌唱のミニアルバムは“原点回帰かつ挑戦”の作品に

音楽活動だけではなく、小説やアニメ、マンガなどの原作も手掛け、活動10周年のメモリアルイヤーを迎えた、アーティスト・クリエイター・じんさんの1stミニアルバム「アレゴリーズ」が2022年2月16日(水)に発売!

本アルバムは歌の「寓話集」として、曲はそれぞれ、じんさんの想いや感じていたことを歌詞にした短編オムニバスとなっており、インスト3曲を含めた全9曲を収録。ミニアルバムながらもフルアルバムに匹敵するボリューム感と聴き応えのある1枚に仕上がっています。

サウンドはロック、アコースティック、オルタナティブなど多岐に渡りつつ、じんさんの音楽的なルーツであるアコースティックギター、フォークサウンドを軸とした構成。ご自身で全曲を歌う初めてのアルバムでもあり、生っぽい歌声によって、強めなフレーズさえも受け止めやすくリスニング感がよいミニアルバムにもなっています。

通常盤のほか、「VANGUARD」「後日譚」以外の4曲と新曲「GURU」を人工歌唱ソフト可不(KAFU)などが歌っているディスクが付属した初回限定盤A、過去にじんさんが他のアーティストやアニメのテーマ曲として提供した5曲をアコースティックセルフカバーしたディスクが付属する初回限定盤Bが登場。更に全形態、アニメイト完全数量生産限定盤があり、こちらには「GURU」をじんさんが歌唱したスペシャルディスクが付いてきます!

今回アニメイトタイムズでは、「原点回帰」かつ「挑戦」だったミニアルバムについて、じんさんに語っていただきました。

初の本人歌唱のミニアルバムは、じんさんの主観で感じたことを6編に紡いだ短編オムニバスの「寓話集」

――まずは、これまでの活動10周年を振り返った感想をお聞かせください。ご自身で歌ったり、楽曲を提供するといった音楽活動だけではなく、小説やアニメの脚本を書かれたりと幅広く活動されてきたので、あっという間に感じたのでは?

じんさん(以下、じん):「もう10年も経ったのか」という感覚です。創作を始めたのは19歳頃でしたが、まさかここまで続くとは思ってもいなかったので、皆さんに感謝しています。

スタートの時は(約)20年間で得たものを作品や楽曲として形にしてきましたが、今はそこから過ごしてきた10年で得たものを作品として残していけると思っています。他の人に似ていないエッジが立ったものを今後も作っていきたいです。

――ターニングポイントとなった出来事や作品はありますか?

じん:「カゲロウデイズ」ですね。当時は社会人として働きながら動画サイトに投稿していましたが、その中の1曲で、まさに人生を変えてくれました。

音楽家になりたいと思って、作曲家を募集している会社に履歴書や曲を送りましたが、採用してもらえず、社会や人間関係に悩んでいる中で、「カゲロウデイズ」を発表したらたくさんの方に視聴していただけて、そこから小説やコミック、アニメ(『メカクシティアクターズ』)にも展開が広がり、創作活動への道がぐっと広がりました。

 

――今回、ミニアルバム『アレゴリーズ』をリリースされましたが、初めてのミニアルバムというのは意外でした。

じん:『カゲロウプロジェクト』が長編とすれば、今回は短編オムニバスで、「ショートショートを集めて1冊にしました」というコンセプトになっています。今までとは違う手法で違うものを目指して作ったので、「1st」と銘打ちたかったんです。また本をモチーフにしているので、ミニアルバムというサイズ感でリリースしたいと思っていました。

――タイトルの由来を教えて下さい。

じん:意味は「寓話集」です。世界の童話集は世界観がバラバラですが魅力的で、星新一先生や乙一先生などの短編小説が好きなので、このミニアルバムも、多様な歌詞やメロディ、音楽ジャンルを用いながら、1曲1曲、自分の主観で感じたことを曲として残したいという想いがありました。各曲がそれぞれ感情的だったり、鮮烈だったりするので、それらを淡泊なタイトルでまとめようという意図もあります。

――楽曲の世界観やサウンド感は多岐に渡りますし、歌詞も見慣れない言葉が多く並んでいて、その語彙力や知識量に圧倒されました。多彩に活動されているじんさんならではの作品に感じます。

じん:この10年間で、小説や脚本を書かせていただく中で、「お金を払っていただくものなので恥じないものにしたい」と一生懸命悩んで、考えながらやってきました。その経験が今回の楽曲のテーマの選び方や歌詞の書き方、言葉の組み合わせ方に活きていると思いますし、この10年がなければ、今回の表現の選び方はできなかったと思います。

――歌詞の世界観にも独自性を感じましたし、他のアーティストでは歌えない、ご自身でしか歌えない曲のような気がします。

じん:そうかもしれないです。ボーカロイドを使ったり、楽曲提供をする時は、歌い手との相性や声に宿る哲学にふさわしいものでありたいと思いながら作っていますが、今回は自分が歌うので、テーマもパーソナルなものを選べました。

中には「この歌詞を歌ってください」とは頼めないものもあります。例えば、収録曲の「消えろ」に、「消えろ」という歌詞がありますが、人には言わせたくないですよね。自分が責任を負うからこそ言える言葉にも今回は挑戦できたかなと思っています。

――強い表現でも、じんさんの歌声の生っぽさや温かみが受け入れやすく感じさせる理由の1つに感じました。

じん:そう感じてもらえたなら嬉しいです。怒りなどの感情を歌詞で表現していても、叫び散らして歌うわけではないですし、どの曲も僕の中では優しい曲だと思っています。強い言葉を使う時というのは、嫌われる覚悟を持ちながら大事なことを言わなくてはいけない瞬間だと思っているので、誰かを裏切ったり、傷つける曲ではないんです。とはいえ、今回は悲しみの感情を歌った曲が多いかもしれません。

ボーカロイドなどを使用して緻密に作るよりも、情念が必要になってくる曲を作りたい、むしろ作らなければいけないと思ったとき、「自分で歌うしかないんじゃないか」と考え、自分が歌うアルバムを作ることになりました。実際に歌ってみて、心への届き方が違うと思ったので、これまでの僕の曲を聴いてくださった方にもその違いや感じ方を楽しんでいただきたいです。

フォーク、アコギを軸にしたサウンドは「原点回帰」かつ「挑戦」

――アコースティックギターやピアノなどの生音が印象的に使われている気がしました。

じん:過去の作品と比べて、エレキギターを使っている割合が少ないですね。2015~2016年の頃から、曲を作る時にアンプラグドな状況を好むようになり、エレキギターで打ち込み的に作るというよりも、アコギを弾きながら作ることが多くなりました。

今作の「消えろ」や「VANGUARD」、「後日譚」もアコースティックの弾き語りから生まれて、今の形になりました。

このミニアルバムはフォークロック的な楽曲が多いのですが、僕がザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」や中島みゆきさん、吉田拓郎さんなどフォークに影響を受けていることが大きいと思います。アコギと歌の組み合わせは、心にあるものを苛烈に表現できる手段であり、弾き語りも魂や生き様をありのままに吐き出す一番苛烈なジャンルだと思っているんです。なので、フォークこそが自分が表現したいものを表現するためのジャンルじゃないかと思いましたし、僕の声のニュアンスがアコギに似合うようになってきたのかもしれません。一時期、辛い時にひたすらアコギをかき鳴らして1人で歌っている時期もありましたから。

僕は北海道の田舎町の出身なんですけど、母親がフォークギター同好会で活動していたので、よく家の中でフォークを子守歌代わりに流していました。その中で強烈に刺さったのがザ・フォーククルセダーズ、イルカさんで、中島さんにはすさまじい情念を感じたことを覚えています。それが音楽として普通だと思っていましたが、その後、ザ・フーや筋肉少女帯、THE BACK HORNに憧れて、緻密な物語を作るという別ベクトルでの表現方法を目指すようになったんです。

10年経って、僕の音楽のルーツであるフォークという手法で今作を作っているのは原点回帰なのかもしれません。けれど「VANGUARD」ではヨーロッパっぽいのにカントリー調のビートがあったりと、ただの回顧ではなく、今にふさわしいものにしたいという挑戦でもあります。

70年代から90年代までの音楽変遷はリアルタイムで体験できていない時代もありますが、魂がのっている音やメロディにすごく感化されたんです。もちろん海外だけではなく、八木節や歌謡曲など日本独自の音楽にも触れてきて、それらのエッセンスも入れながら作れたかなと思います。

――打ち込みも使っていたり、ジャズやロックなどと融合したクロスオーバーなアプローチもされているのに、どこか懐かしさを感じたのは、フォークという芯があったからなのかと納得できました。

じん:母親にも「懐かしさを感じる」と言われました(笑)。「後日譚」のBメロの「今日もまた痛んだ心が死んでいった 口をついた『こんなもんだろう』」について「メロディラインと歌詞の乗り方がすごいフォークだな。ちょっと古いね」と(笑)。僕の心のジレンマを書いた曲が時代や年齢を超えて伝わったのかな、と手応えも感じました。

僕は作品を子供に向けて作りたいという想いがあるんです。中学生の頃、居場所が見つけられず、悩んでいた自分が「こういう曲を聴きたかった」と思うような曲を作りたいという明確な指標があります。今、学生の人だけではなく、僕と同世代の人も子供の顔になって聴いてもらえる、それがフォークじゃないかなと思いますし、このミニアルバムを作ったことで改めてフォークっていいなと思いました。

自分の源流を再確認する旅でもありましたが、やっぱり1作ではたどり着けませんね。まだこの旅は続きそうです。

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