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映画『モービウス』日本語吹き替え版モービウス役・中村悠一インタビュー

映画『モービウス』日本語吹き替え版モービウス役・中村悠一さんインタビュー|医師でありヴィランである「人間臭さ」が魅力

「実写吹き替え」と「アニメ」の相違点、アフレコの難しさ

ーー演じる上で意識されたことはありますか?

中村:今回は演技のディレクションがハッキリとしていました。

ダークな雰囲気を濃く作品として表現したいから、軽口を叩いたり冗談っぽいセリフでも明るくなりすぎない様に、雰囲気が変わらないようにしてくださいと。

ジャレッド・レトさんの演技としてはウィスパーな声や息づかいをされていて、病弱なモービウスの表現をしていると思うのですが、吹き替えではそうではなく、モービウスの弱い部分は別の表現をしたいと考えていたみたいです。

ーー最近の中村さんが演じるキャラは強いキャラが多い印象で、今回のような病弱なシーンがあるキャラクターは珍しいのでは? と思ったのですが。

中村:そうですね。演じている人は健康体なので、どういう風に演じると病弱な感じに聞こえるのか、どういう呼吸なのかなと色々考えながらお芝居に取り組みました。

アニメの場合はセリフの途中で呼吸を多めにして、息が浅いと思われるような表現を織り込む事もできるんです。

吹き替えの場合、元の俳優さんの演技があるので自由に息を入れたりすることができないんですよね。もともと入っている呼吸の部分に伝えたいニュアンスを入れたり、喋り口調で表現する形になってくるので難しいです。

彼の人間臭さが魅力です

ーーキャラクターとしての「モービウス」という人物の好きな所はありますか?

中村:「人間臭い」ところですね。力を得たからそれを使って正義を行うのではない。彼の場合は力を求める理由が「健康になりたい」じゃないですか(笑)。

キャプテン・アメリカだったら国のために戦うという大義があるし、スパイダーマンは強化された体で街の悪党を懲らしめるという力の使い方をするんですが、モービウスはそういうつもりで強くなったわけではないんですよね。

たまに街のゴロツキを懲らしめるシーンもありますけど、全体を見るとモービウスから仕掛ける戦闘シーンって無いんです。そこからも彼の性格がにじみ出てるように思います。

ーー確かに。親友役として登場するマイロとモービウスは正反対ですね。

中村:マイロは力を得てやりたいことが明確にあります。体が健康になって力を得たからそれを使う。

でも、モービウスが健康になってやったことは「病院に行く」ですからね(笑)

自分が医師として見ていた患者を診察しに行くんです。心配というか気にかけてる感じが人間臭いですよね。

ーーでは、最後に中村さん的『モービウス』オススメポイントをお聞かせください。

中村:今回モービウスのキャラクターを紹介するような映画になっているのではないかなと思います。また親友や気になる異性などの関係性も示しています。ただ、彼がデメリットと引き換えに能力や健康体を手に入れて、これからどの方向に歩んでいくのかを見せていなんですよね。こんなに明確な回答が出ない映画はなかなかないと思います。彼がこの能力と共に得たものは一体何なのか、そこに注目してみてほしいです。

[インタビュー/石橋悠 取材・文/ヨウイチロウ]

 

1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。

この記事をかいた人

石橋悠
1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。

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映画『モービウス』作品情報

生きるため、<血への渇望>という大きな代償を抱えたモービウス。
彼がこの世界にもたらす、破壊と衝撃とは――。

2022年4月1日(金)全国の映画館にて公開!

 
天才医師マイケル・モービウス(ジャレッド・レト)。彼は幼いころから血液の難病を患っていた。同じ病に苦しみ、同じ病棟で兄弟のように育った親友のマイロ(マット・スミス)のためにも、一日も早く、治療法を見つけ出したいという強い思いからマイケルは実験的な治療を自らに施す。それはコウモリの血清を投与するという危険すぎる治療法だった。彼の身体は激変――。全身から力がみなぎり隆起した筋肉で覆われ、超人的なスピードと飛行能力、さらには周囲の状況を瞬時に感知するレーダー能力を手にする。しかしその代償は、抑えきれない<血への渇望>だった。まるで血に飢えたコウモリのように、自らをコントロールするために人工血液を飲み、薄れゆく人間としての意識を保つマイケルの前に、生きるためにその血清を投与してほしいと親友マイロが現れる。懇願するマイロを「危険すぎる、人間ではいられなくなる」と拒み続けるマイケル。しかし NY の街では、次々と全身の血が抜かれた殺人事件が頻発する――。







 
原題:MORBIUS
US公開日:4月1日(金)

監督:ダニエル・エスピノーサ
脚本:マット・サザマ、バーク・シャープレス

出演:ジャレッド・レト、マット・スミス、アドリア・アルホナ、ジャレッド・ハリス、アル・マドリガル、タイリース・ギブソン

日本語吹替版声優:中村悠一(モービウス)、杉田智和(マイロ)、小林ゆう(マルティーヌ)、楠大典(ストラウド)、田村睦心(少年時代のモービウス)、松本沙羅(少年時代のマイロ)

 
オフィシャルサイト:https://www.morbius-movie.jp
オフィシャル Twitter:https://twitter.com/morbiusmoviejp
オフィシャル Instagram:https://www.instagram.com/morbiusmoviejp/
オフィシャル Facebook:https://www.facebook.com/MorbiusMovieJP/

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