アニメ映画『バブル』シン役・宮野真守さんインタビュー｜「監督の中にある純粋さやピュアさがふんだんに表れている作品」

『進撃の巨人』『甲鉄城のカバネリ』などで注目される荒木哲郎監督の長編アニメ『バブル』が2022年5月13日より全国公開！

荒木監督のほか、脚本は『魔法少女まどか☆マギカ』などを手掛けた虚淵 玄さん、キャラクターデザイン原案は『DEATH NOTE』などを描いたマンガ家の小畑 健さん、音楽は澤野弘之さん、アニメ制作は『SPY×FAMILY』のWIT STUDIOという豪華チームが集結！

降泡現象により、重力が崩壊した東京で、バトルクールに明け暮れる少年、ヒビキ。ある日、無軌道なプレイで重力が歪む海に落下したヒビキは、突然現れた言葉を知らない謎の少女、ウタに助けられる。共に過ごしていく中でお互いに興味を持ち、距離を縮めていく2人。しかし東京に再び未曾有の危機が訪れ、2人の隠された過去が明らかに。SF的な壮大なスケール感の中、「ボーイ・ミーツ・ガール」と青春など描いた、かつてないかつてないエモーショナルでロマンティックなアニメ作品になっています。

キャスト陣も主役のヒビキ役を志尊 淳さん、ヒロインのウタ役はエンディングテーマも担当するりりあ。さん、マコト役に広瀬アリスさんが担当。そして宮野真守さん、梶 裕貴さん、畠山 祐さん、千本木彩花さんなど荒木監督作品でおなじみの声優陣も参加！

本作の劇場公開を記念して、シン役を演じる宮野真守さんに見どころや制作秘話、荒木監督とのエピソードなど語っていただきました。

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未知の存在である謎の少女とのラブストーリーと大切な人のために奔走する姿にぐっとくる

シン役　宮野真守さん（以下、宮野）：お話をいただいた時、荒木（哲郎）監督と素晴らしい制作陣で作る壮大な企画だとお聞きして、すごく胸が高鳴りました。荒木監督、小畑 健先生、虚淵 玄さんは、僕にとってターニングポイントになった作品を作られた方たちなので、特別な感情が湧き上がりましたし、参加できる喜びをかみしめていました。

今作は、ピュアで純粋なラブストーリー。また、不思議だけどリアリティが融合されたおもしろさがあります。そして、ウタという謎の少女とはまさに『未知との遭遇』で、こういう描き方をするんだなと。僕も過去に未知との存在と対話してきた人間ですが（笑）、今までとは違うものを見せてもらったという感動がありました。その中で根底に流れるピュアなラブストーリー、大切な人のために奔走していく少年たちの姿は胸にくるものがあるなと思いながら、作品に触れました。

完成した映像を見た時は絵の美しさが際立っているなと。特にアップになった時の美しさはすごくて、ついドキっとさせられました。息をのむ瞬間もあって、のめり込むポイントがたくさんありました。

ーー荒木監督らしいアクションもふんだんに盛り込まれています。

宮野：もちろんアクションの激しさも見どころの1つですが、戦闘の激しさではなく、目まぐるしく動くアクションという新たな方向性を見せてもらいました。スポーツを取り入れて見せていくのがおもしろくて、パルクールの動きもリアルで、きっとすごく細かくモデリングされているんだろうなと。

例えば船上で練習している時の動きもめちゃめちゃリアルだし、泡を使ったアクションもアニメならではのエンタメ感もあって。リアルとファンタジーがうまく融合しているから、もし現実にあの泡があったら、自分にもできるんじゃないかなと錯覚しちゃうんですよね（笑）。そこにも没入感があるなと思いました。

荒木監督は少年性と繊細さを持ち合わせつつ、作品愛にあふれた人

ーー宮野さんから見た荒木監督はどんな方ですか？

宮野：監督デビュー作の『DEATH NOTE』に夜神 月（ライト）役として出演させていただいて、僕自身もまだ経験不足で、アニメがどのように作られているのかも詳しくなかったんですけど、『DEATH NOTE』のチームはとてもファミリー感があって、荒木監督や音響監督、プロデューサーといろいろ話して、スタッフとキャストが親密になって作っている空気感を味わせてもらえたし、特別な時間でした。

荒木監督は一見、寡黙そうですが、とてもオチャメで（笑）。アニメやエンタメ、ファンタジーを作っていく上での少年性を持ちながらも、それを映像作品の演出に反映させる繊細さもあって。

ーーこれまでの荒木監督の作品の印象や感じた特徴は？

宮野：『DEATH NOTE』の時から色づかいも印象的でした。監督独特の色合いで魅せる表現や演出があって、心情ともリンクしていて。『黒塚 KUROZUKA』でご一緒した時、「全体の温度感を大切にしている」というお話をお聞きして、「なるほどな」と。

物語の中でも視聴者側が温度を感じられるように、どう映像で表現するか、そして温度感は色合いだけでなく、物語の熱量、起承転結のエネルギー量の見せ方も考えられているんですよね。それがシリーズ全体にも及んでいて、『DEATH NOTE』や『黒塚 KUROZUKA』はシリアスな話だけど、ふとホッとできるコミカルな話数が挟まっていたり。今回、ご一緒させていただいた『バブル』でも独特の色づかいや温度感、体温を感じられて、唯一無二の演出をされる方だなと改めて思いました。

またキャラクターや作品にとことんまで寄り添って、愛していて。『DEATH NOTE』では監督が月の一番の味方でいて。それがすごく嬉しかったし、自分の作品にこれほど愛情を注がれている方なんだなと感じていました。

ただ殺伐とした作品でご一緒することが多かったので（笑）、今回ピュアで美しい物語を見させていただいたので、新たな発見がありました。「監督の内面はこんなにかわいいんだ。でも普段の監督、めっちゃかわいいからな」と（笑）。アフレコの中で言葉を交わした時も、ずっと作りたかった世界観を、しっかり時間をかけて作り上げてきたことがわかったし、監督の中にある純粋さやピュアさがふんだんに表れている作品だなと思いました。