『ハコクの剣』神谷浩史さん、上村祐翔さんが語るリーディングライブの魅力「Kiramune Presents READING LIVEは声優という枠にしばられない、役者の新しいスタンダード」

Kiramune Presents READING LIVEこれからの10年

ーー今後の「Kiramune Presents READING LIVE」としての展望をお聞かせください。

上村：『ハコクの剣』というすごい作品をやった上で、今後を考えるのはなかなか難しいんですけど、僕が出演した3作品とは違うという意味でいうと、コメディ作品もやってみたいなと思っています。

笑いって、かなり難しいと思うんですよ。お客さんのリアクションあっての空気感が大切で、そういったことで大きく変化するものがコメディなのではないかと思っていますし、福井さんの脚本のふり幅のお話も聞いたので、ぜひコメディ作品もやってみたいです。

神谷：10年が一区切りと思いながらやらせていただいて、思い返すと、公演を重ねていくうちに10年までの助走と10年の結実の仕方が自分の中で見えたんですよ。

『作るカノジョと僕らのテ』（※12）も僕がある程度プロットを書いて、形にしていただいているんですけど、そこで早見沙織さんにゲストとして参加してもらったんです。

早見沙織さんを何でゲストとして呼んだかというと、福井さんに10年目の『ハコクの剣』の脚本を書いていただくにあたって、男性キャストだけでお願いするという縛りがあるよりは、女性キャストがいてもいいと思っていたんです。それで、もし福井さんのシナリオがより豊かなものになるのであれば、そういった縛りを作りたくなかったんですね。

でも、いきなり10年目で女性キャストを呼ぶと、違和感があるかもしれないと思いました。それで、その1年前の『作るカノジョと僕らのテ』に、早見沙織さんを中心として2チーム作って、両チームにキャストとして出てもらうというのを企画して、それであの作品ができあがりました。だから、これまでは10年目に向けての助走だったんです。僕はもうある程度やり切ったかなという感じはあるんですけど、僕はリーディングライブを中心になって回していこうという気持ちはさらさらないし、そういうつもりも実はあまりないんですよ。

リーディングライブはものすごく好きだし、スタッフ、キャストを含めて、もしかしたら僕が一番リーディングライブを見ているんじゃないかと思うぐらい関わっていて、僕がリーディングライブの一番のファンかもしれません。

だから、上村くんもそうだけど、この先いろんな人がやりたいものを持ち寄って、毎年決めていけたら、この先20年が見えるんじゃないかなと思っています。少なくとも福井さんは脚本を担当していただけるということが確定しているので……（笑）。どこかのタイミングで1年と考えると、そこまでは続けなくてはいけないなという気持ちですかね。

※12『作るカノジョと僕らのテ』：2020年上演作品。神谷さんはゴッホ役を演じた。

ーーありがとうございました！

[取材・文/宋莉淑（ソン・リスク）]