実際はどんな神様!? 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』女神・男神大図鑑! #10|オラリオ最高の“鍛冶神”・ヘファイストス編
シリーズ累計発行部数が1200万部を突破した、大人気小説『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(原作:大森藤ノ イラスト:ヤスダスズヒト GA文庫/SBクリエイティブ刊/通称ダンまち)。
2022年7月22日より最新TVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 新章 迷宮篇』が放送中です!
盛り上がりを見せる『ダンまち』ですが、作品の鍵となる存在はやはり「個性豊かな神々」ではないでしょうか。
アニメイトタイムズでは、本作に登場する神々が、実際にはどんな神様なのか紹介する連載を実施中です。
実際に世界中で語り継がれている神話の神々との関連性や、劇中でのエピソード、ファミリアの情報などを解説!
第10回目はギリシア神話に登場する「神・ヘファイストス」。神々の事を知って、『ダンまち』をより楽しく鑑賞してみませんか!?
◆『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ 新章 迷宮篇』キャスト連載メールインタビューはこちら
北欧神話とは?
古代ギリシャ人から口伝えで紡がれてきた壮大な神と人間の物語。
口頭で語られていたのでエピソードやストーリーにハッキリとした輪郭が無く、話者や地域によってさまざまな解釈をされてきました。
人間臭い一面を持つ神々の挿話を楽しむ物語になっており、神と人間のエピソードも多く描かれています。
『ダンまち』も神様と民衆たちの距離が近く、神達の思惑によって物語の展開が変わっていくので「ギリシア神話」との類似性も感じられるはずです。
ヘラに捨てられた心優しい神・ヘファイストス
ヘファイストスはギリシア神話に登場する鍛冶の男神です。
神々の父・ゼウスとその正妻・ヘラの息子ですが、ヘラは「見た目が醜い」という理由で神々の住むオリュンポス山からヘファイストスを投げ捨ててしまいます。最終的にはオリュンポスの神々として活躍するヘファイストスですが、最初は理不尽な扱いを受けた捨て子だったのです。
瀕死の状態だったところを海の女神・テティスに助けられ、彼女によって育てられます。以後、シチリア島の地下工房に住んでひたすら鍛冶の腕を磨いていたそうです。
過酷な生い立ちでありながら、心優しく育ったヘファイストスは鍛冶で様々な物を作り、日頃の世話をしてくれた島の精霊たちに素晴らしい装飾品などを作って恩返ししていました。鍛冶の腕を見込まれたヘファイストスは、他にも神々の宮殿や武器、日常的に使うアイテムなども頼まれるようになるのです。
母親に黄金の玉座をプレゼント
ヘファイストスは、母親(ヘラ)の住むオリュンポスに向かった際に、母やその他の神に悪口や皮肉を言われて散々な目にあったことがあります。
基本的には温厚で誰にでも優しいヘファイストスですが、このときばかりは怒りをどうしても忘れることができず、とある策略を立てるのでした。それはヘラに素晴らしい出来の黄金の玉座をプレゼントすること。玉座を気に入ったヘラは早速腰を掛けます。
すると、その玉座から目に見えないヒモが発射され、ヘラの身動きを封じてしまうのです。
そのヒモはヘファイストスにしか解けないようになっており、彼は「自由になりたかったらオリュンポスで最も美しい神であるアプロディーテーを嫁に取らせろ」と迫ります。要求は見事通り、一度は捨てられたオリュンポスに自らの力で戻ってきたのでした。
ヘファイストスが作ったもの
ヘファイストスは精霊たちへの装飾品や、ヘラを騙した黄金の玉座だけではなく、ほかにも様々な物を作り神々に与えています。
お世話になった海の女神には装飾品と熱帯魚を作り、英雄・ヘラクレスには胸当てを作って与えました。
また本連載でも紹介したアポロン、アルテミスの2人には性能の良い矢を作っていつも与えていたそうです。
ギリシア神話で有名な人類最初の女性・パンドラもヘファイストスが粘土から作成しています。ヘファイストスは神々や世界にとって必要不可欠な存在だったのです。
名工たちの長 『ダンまち』におけるヘファイストス(CV:寺崎裕香)
『ダンまち』の世界で活躍するヘファイストスは、赤髪で眼帯を身に着けている女神。神話でのヘファイストスは男性で、親に醜いと言われていたのですが、本作ではクールで美しい女性として描かれています。
神話同様、鍛冶神であり、下界では『神の力(アルカナム)』を使うことができませんが、使用せずとも素晴らしい武具を作れるほどの実力の持ち主。その実力は非常に高く、ヘファイストス・ファミリア団長を務める椿・コルブランド(オラリオ最高の鍛冶師)を持ってしても敵わないほどです。
頑固で厳しい、職人気質な性格ですが、ファミリアメンバーを一人前の鍛冶師に育てる面倒見の良さも持っており、多くの人に慕われています。
ヘスティアたちとの関わり
ヘファイストスは眼帯を付けているのですが、これは、右目にコンプレックスを持っており、他の神々や眷族に見られた際に怯えられてしまったトラウマから来ています。そんな彼女の個性を受け入れたのがヘスティア・ファミリアの主神・ヘスティアで、彼女とは神友として現在も関係が続いています。
ヘスティアが下界に降りてきた当初から面倒を見ており、ヘスティアの最初の眷族であるベルに一級品の武器「ヘスティア・ナイフ」も作製しています。(ヘスティアは高額の負債を抱えた)このナイフはベルやヘスティア・ファミリアが使うことによって真価を発揮する武器であり、ヘファイストスの技術無くしては作れない代物です。
また、ヘスティア・ファミリアには元ヘファイストス・ファミリアのヴェルフが在籍しています。ベルに心を許したヴェルフは、アポロン・ファミリアとの戦争遊戯(ウォーゲーム)時にヘスティア・ファミリアに改宗(コンバージョン)しました。
ヴェルフには特別な才能があり、ウォーゲームも勝てる確率が低かったため、当初、ヘファイストスは止めましたが、ヴェルフの覚悟に根負けし改宗(コンバージョン)を許しています。彼とヘファイストスは師弟関係、眷族と主神という関係を超えた信頼や愛情も見える関係性として描かれています。
ヘファイストス・ファミリア メンバー紹介
椿・コルブランド(CV:生天目仁美)
38歳
ヘファイストス・ファミリア 団長
Lv.5
二つ名:単眼の巨師(キュクロプス)
種族:ハーフドワーフ(ヒューマン・ドワーフ)
極東出身で、ヒューマンとドワーフのハーフドワーフの女性冒険者。ヒューマンの血が濃いらしく、スタイル抜群な美女。
オラリオ内で最高の鍛冶師に与えられる称号「最上級鍛冶師(マスター・スミス)」を獲得しており、ステイタスもLv5と高い。
ロキ・ファミリアメンバーの武器なども担当し、幅広い支持を得ている。元ファミリアメンバーであるヴェルフ(現ヘスティア・ファミリア)とは良好な関係。
参考
「図説 ギリシア神話【英雄たちの世界】篇(松島 道也)(岡部 紘三)」河出書房新社
「ギリシア神話 -神々と英雄に出会う(西村 賀子)」中央公論新社
「図解 ギリシア神話 歴史がおもしろいシリーズ(松村 一男)」西東社