映画
『映画デパプリ』村瀬亜季プロデューサーが作品に込めた願い

映画館が<ドリーミア>になることを目指して──大ヒット上映中『映画デリシャスパーティ♡プリキュア』村瀬亜季プロデューサーインタビュー「ケットシーを大好きな気持ちのまま、映画館を出てもらえるように」

毎週日曜 朝8時30分から、ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネットで放送中のTVアニメ、『プリキュア』シリーズ第19弾『デリシャスパーティ♡プリキュア』。

子どもたちに大人気『プリキュア』シリーズの映画最新作『映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』が、2022年9月23日(金・祝)より全国公開中です。

本作はケットシーが作ったお子さまランチのテーマパーク<ドリーミア>を舞台に、プリキュア・エナジー妖精たちの奇跡が丁寧に描かれています。ゆいのようなヒーローになりたいと願うコメコメの成長、一方で、ゆいは「ごはんは笑顔じゃどうにもならないのかな」と葛藤を露わにします。

映画公開にあたり、「『映画デパプリ』が、子どもたちにとって笑顔いっぱいの一皿になりますように…。そんな想いで、みんなの大好きが一つに集まったお子さまランチをメインディッシュに選びました」というコメントを寄せられていた村瀬亜季プロデューサー。

公開後の今だから明かせる制作秘話を村瀬プロデューサーにおうかがいしました。一部物語のネタバレを含んでいますので、気になる方は鑑賞後に読んで「デリシャスマイル~!」になってもらえたらと思います。

※一部物語のネタバレを含んでいます。ご注意ください。

 

みんなが幸せになれる、大好きが詰まったお子さまランチ

──『映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ!』公開3日間で動員数308,702名と好発進を記録しています。村瀬プロデューサーはこの反響をどのように受け止められていますか?

村瀬亜季プロデューサー(以下、村瀬):とても嬉しい気持ちでいっぱいです。いろいろな方から「子どもも大人も楽しんでるよ」という言葉をいただいています。

この作品で一番のポイントとなっているお子さまランチの魅力は、子どもと大人とだれでも楽しめるものである、ということ。私自身、そういう映画を作りたいと思っていました。この映画に携われて本当によかったと自分自身でも思っています。

──モチーフとなる「お子さまランチ」は村瀬プロデューサーのご提案だったんでしょうか。

村瀬:そうです。企画を立てる時に、「ごはんは笑顔」がテーマの『デリシャスパーティ♡プリキュア』なので、映画だけの特別なお料理を選びたいと思って。それで「お子さまランチをやりたいです」とテレビチームに提案させてもらいました。

幸いにもテレビのお話ではピックアップしない予定のお料理だったので、「そしたら映画でやらせていただきます」と。

──お子さまランチというと文字どおり一見“子ども向け”のイメージがありますが、大人にとっては懐かしいものでもありますよね。人によってさまざまな思い出があって。

村瀬:シナリオ作っている最中も「お子さまランチって人によって見え方が違うよね」という話がありました。

いろいろな考えや視点が出てきてしまうと、映画としてはぶれてしまうので悩んだところもあったのですが、“ひとによって違う”のもお子さまランチの魅力だと思っていました。

また、さまざまな年齢層の方が見られるというのもプリキュア映画の魅力。「どうにか整理して全部の視点を入れよう」と、力を注ぎました。

──私自身子どもと一緒に『プリキュア』シリーズを楽しませてもらっていますが、老若男女、すべての世代に向けてというのは、とても大変なことだと思います。

村瀬:そうですね。田中 仁さんにシナリオを上げていただいて、みんなで打ち合わせをしたのですが、スタッフであっても、それぞれ読む視点が違うんです。

どうしても自分が感情移入しやすいキャラクターでシナリオを読んでしまうので、話し合ってても、論点がずれてしまうことがあって「あれ?」となったことも(笑)。

──村瀬さんはプロデューサーとして、それを整理しなきゃいけないわけですもんね。

村瀬:そうなんですよね。ある時「もっと丁寧に整理しなきゃいけないな」と気づいて。

今回は『デパプリ』の単独映画なので、登場人物がそんなに多いわけではない。だったら「キャラクターたちそれぞれがお子さまランチに対してどう思っているかを、簡単にまとめましょう」ということになりました。

そこで、ゆいちゃん、コメコメ、今回出てくるゲストキャラクターのケットシー、ほかのキャラクターやお父さん・お母さんなどの大人たち、それぞれの考え・設定を細かく決めて。

すべてセリフにしているわけではないですが、スタッフの中の共通認識としてまとめていきましたね。

 

 

──映画の中ではゆいの幼少期の、お子さまランチにまつわるエピソードが描かれています。例えばゆいはお子さまランチに対して、どのような思いがあると考えられていたのでしょうか。

村瀬:ゆいは過去エピソードが出てくるので、結果的により深い意味でお子さまランチへの思い出がある子になったんですが……。

もともと、とにかく食べるのが大好きで「おいしく元気にみんなでごはんを食べよう」という子でもあったので、ゆいに関してはあまり難しく考えていなくて。

お子さまランチが大好きで、みんなと一緒に食べたい、と思っている子という共通認識でした。

──スタッフの中でも、いろいろな視点があるというお話がありました。村瀬さんご自身はどんな視点でシナリオをとらえてましたか?

村瀬:どうだろう……でもやはり、自分と、自分の等身そのものでしょうか。私自身も成人はしてますが、今でもお子さまランチってすごく素敵だなと思っているんです。

今、改めて見ても好きなものばかりなんですよね。大人の立場で見たときに「きっと皆さんも好きだろうな」と思いました。

また、お子さんたちに思いを寄せて考えても「お子さまランチ」って大好きなものがいっぱいの素敵なプレートだなと思いますし、ちょっと大きくなって(お子さまランチを)食べなくなった子でも本心では食べたいと思うものだなって。

親御さんたちも「大きくすくすく育ってほしいな」という願いを込められて、お子さまランチを作られたり、注文したりされていると思います。

想像ではあるのですが、お子さまランチや、おまけにつくおもちゃなどを楽しんでいるお子さんたちを見て、見守る大人の皆さんも幸せな気持ちになるんじゃないかなと。

だから私自身も「ひとつの視点」というより、スタッフ陣の話を総括しながら、いろいろな視点でお子さまランチを捉えていました。

 

 

お子さまランチの写真を見て「テーマパークのようだな」と

──本作はテーマーパーク<ドリーミア>が舞台です。テーマパークを舞台にした理由をお聞かせ下さい。

村瀬:実は深い意味はなくて(笑)。

──意外です!

村瀬:お子さまランチの写真をいろいろ調べてた時に「ああ、テーマパークだ」と思ったんです。丸いお皿に、お城のてっぺんみたいな感じに旗がどーんと立っているという、その形状がテーマパークのようだなって。これを舞台にしたらモチーフをきちんと描けるし、いいんじゃないかなと思い、企画の段階から入れていました。もう直感的に、という感じです(笑)。

──今、旗のお話がありましたが、ゆいのお子さまランチがおむすびというのが、『デパプリ』らしいなと思っていました。

村瀬:ゆいは、おむすびしかないな、と(笑)。4人のプリキュアを立たせるという意味でも、米、パン、麺、デザート、和洋折衷を盛り込めるのはお子さまランチならではだな、と。それぞれのキャラクターに関連している代表的な食べ物を4つ選んで映画の中で描いています。

 

 

──本作の監督は座古明史さんが務められています。座古監督は初代『ふたりはプリキュア』から『プリキュア』シリーズに携わられていますが、今回オファーした理由について教えてください。

村瀬:ひとことで表すなら「運命」です(笑)。座古監督は東映アニメーション所属ということもあり、他の作品との兼ね合いなど、いろいろな検討が必要ではあったのですが……。

もともと、最初の企画の段階では王道のプリキュア映画をイメージしていたんです。笑顔あり、ぐっとくるところもあり、楽しいシーンもあり、アクションもあり。エナジー妖精たちが変身することも決めていたので、映画ならではの深みを加えつつも、バランス良く、安心してお任せできる方として、座古監督のお名前があがりました。私としては「もしお願いできるならぜひ」と。

私は『HUGっと!プリキュア』のテレビシリーズでアシスタントプロデューサーとして入っていたので、座古監督とは1年以上ご一緒させていただいていたんです。人となりも大信頼していますし、『HUGっと!プリキュア』とはまた違うシリーズで座古さんの演出を見たいなという気持ちもありました。

──座古監督とのやりとりで印象的だったことはありますか?

村瀬:『HUGっと!プリキュア』の時から、座古監督は芯を通される方という印象がありました。私の企画書の段階だと、いろいろなものがお子さまランチのようにギュッと詰め込まれていて……と言うと聞こえは良いですが、実際はてんこ盛り状態(笑)。

いろいろな要素が散りばめられている中だったんですけど、その企画書を見て「すごく素敵です」という言葉と共に「この要素を上手くまとめたいね」と寄り添ってくれました。

シナリオの中でも軸となるドラマをすごく重視して下さる方なので、脚本家の田中さんも「座古さんだからできる物語だと思ったので、そういうシナリオを用意しました」とおっしゃってくださいました。私も「本当にそうだな」と。

楽しいもの、かわいいもの、ちょっぴり切ないもの。いろいろなものが詰め込まれているんですけど、深いところに1本の芯がしっかり張られている。頭と真ん中と終わり、そのつながりを大事にされていて、「さすがだな」と改めて思いました。

──短い時間にぎゅっと物語が詰まっていて。ジェットコースターのような感覚というか。でも大切な場面では、ゆっくりと時間が流れていて。

村瀬:うんうん。本当に映画は盛りだくさんの内容になりました。シナリオを読んでいた自分でも、完成した映画を見て「情報量多いっ!」と思ったくらいです(笑)。

 

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