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TVシリーズ『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』中村豪希インタビュー

ひとりでできることの限界を痛感した作品──『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』美術監督 中村豪希さんインタビュー

映画三部作『ベルセルク 黄金時代篇』の公開から10年。TVシリーズ『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』として、鷹の団の、あの輝かしい時代が再び幕を開けた!

原作は言わずとしれた三浦建太郎による同名コミック。2022年6月時点で全世界累計発行部数5,000万部(紙+電子)突破する、世界で愛され続けるダークファンタジーが、STUDIO4℃による鮮烈な映像表現でアニメーションとして描き出される。メモリアルエディションでは映画版では描かれなかった「夢のかがり火」など原作珠玉の名シーンが追加されていく。毎週土曜日24:30~好評放送中だ。

アニメイトタイムズでは、かつての制作秘話、新規シーンへのこだわりなど作品に込めた想いをスタッフ&キャストが語り明かす連載インタビューを実施。第8回は、美しくも妖しくも堅牢なる『ベルセルク』の世界を描き出した美術監督のひとり、中村豪希さんインタビュー(後編)をお届けする。

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ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION
己の剣だけを信じてきた。友も家族も帰る故郷もない──孤独な剣士ガッツは、百年戦争に揺れる地を傭兵として渡り歩いていた。身の丈を超える長大な剣を自在に操り、強大な敵をいとも簡単に倒すガッツ。そんな彼に目をつけたのが、傭兵集団“鷹の団”を率いるグリフィス。美しい姿からは想像もつかない統率力を持ち、大いなる野望を秘めたグリフィスは、自らの夢を叶えるためにガッツを決闘で制し、鷹の団に引き入れる。数々の激戦を共にくぐり抜けるうちに、信頼で結ばれていく仲間たち。なかでもグリフィスとガッツの絆は、今や特別なものとなっていた。やがて鷹の団はミッドランド王国の正規軍にのし上がるが、それはグリフィスの目指す頂点へのはじめの一歩にすぎなかった。一方ガッツは、グリフィスの「夢」に取り込まれ剣を振り回すだけの人生に疑問を抱き始める。だが、ガッツはまだ知らない。果てなき夢が二人に与えた、恐るべき宿命を──。作品名ベルセルク黄金時代篇MEMORIALEDITION放送形態TVアニメシリーズベルセルクスケジュール2022年10月1日(土)~2022年12月24日(土)TOKYOMXほか話数全13話キャストガッツ:岩永洋昭グリフィス:櫻井孝宏キャスカ:行成とあジュドー:梶裕貴リッケルト...

できるだけ想定している時代のままのギミックを残すようにしています

──映画三部作の制作当時の思い出を教えてください。

中村豪希さん(以下、中村):思い出深いのは、やっぱり原作者の三浦(建太郎)さんがスタジオにいらっしゃった時のことですね。初期の設定は、鉛筆で描いて色は絵の具を使っていたんですが、三浦さんと編集の方が僕のその様子を見て、「(CGチームのデスクに比べて)こっちは馴染みがあるな」とか言ってらして。それから三浦さんも使っていたという資料本を見て編集の方が「これ、いいですよね。でも、この本を見て、こだわりが強くなりすぎて描くのが遅くなったんだよなあ」などと話したのをよく覚えています。三浦さんとは歳も近かったこともあって、気さくに話しかけていただいて、とても楽しかったです。

「ベルセルク・ラジオ」の取材で、キャストの行成(とあ)さんと櫻井(孝宏)さんが現場にいらしたこともありましたね。「プレゼント用に何でも良いから何かください!」と言われて、こんなんでいいのかな?と思いながら、使い古しの筆をお渡しした記憶も。思い返すと、いろいろありましたね。

それから個人的には、この三部作のあとに自分の会社を法人化したので、フリーランスとして美術監督を務めたのは『ベルセルク』三部作が最後の作品になりました。

──制作の過程で、とくに大変だったことと言えば?

中村:ミッドランドのお城の中のダンスホールの造形をフル3Dで組んでもらったり、ドルドレイ要塞の合戦の場では全景360度の美術をつくってCGに貼り込んでもらったり、当時としてはいろいろなチャレンジをしました。特にドルドレイ要塞のBGのサイズとして指定されたのが、3メートル×10メートルもの大きさの画像データだったので、クラッときましたね(笑)。早朝と昼、夕方の3つバージョンの360度美術を描いて、CGIの坂本拓馬さんに切り出してもらって。何度か途中でパソコンが固まって、データが飛んだりして泣きたくなることもありました。そんな時には、固まったパソコン画面の写真を撮って、その写真を見ながら雲を並べ直して……。マシンのスペックとの戦いでもありました。

そんなやりとりを重ねながら構築していったわけですが、百人斬りのシーンなどはキャラを3Dで動かさなければならない部分なので、3Dレイアウトから細かいディテールを作らなくてはならなかったので、普段、自分がお世話になっている背景会社にお願いしたりしました。かつて『剣風伝奇ベルセルク』を一緒につくった先輩も懐かしいなと喜んで手がけてくださいました。竹田悠介さんのBambooさんとうちと新林希文さんのチームとで手分けして作れたことも、少しずつ絵に個性が出て、良いアクセントになっているかなとも思いますね。

──後半の新規シーンとしては、第7話の酒場のシーンなどがありますね。

中村:ガッツとジュドーの良いシーンですね。別のシーンですでに登場している酒場なので、設定は元からあるものを使っていますが、時間軸が異なりますからBGは新たに作っています。

──ちなみに中村さんは、中世ヨーロッパをモチーフとした美術背景を担当されることが多いように感じますが、もともと得意分野だったのでしょうか?

中村:特に意識があったわけではないのですが、これまでに関わった作品が中世ヨーロッパ系が多かったことで、持っている資料も多くなっていきましたね。自分がいた会社(小林プロダクション)も自然系やファンタジー系を手がけることが多かったですし、『ベルセルク』などに携わったことで、そのイメージが強くなったのかなと思います。なので、その後『ガンダム』シリーズに携わったときには、いろんな方から「中村さん、SFもやるんですか!?」と言われて驚かれたものです(笑)。何でも描けなきゃ仕事にならないよね⁉︎って思いますけど、とはいえ中世ヨーロッパを描くのは好きなので、何度描いても飽きませんね。

(C)三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/BERSERK FILM PARTNERS
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