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『エネアド』にハマった人にオススメ『災禍の神は願わない』をご紹介

『ENNEAD』(エネアド)にハマった人に読んでほしい! 尾羊 英先生による漫画『災禍の神は願わない』をご紹介── 軍神セトと兄王オシリスの絆と運命が絡み合うエジプト神話を描く

 

エジプト神話について知ろう

『エネアド』や『災禍の神は願わない』でエジプト神話に興味を持った人も多いでしょう。諸説ありますがエジプト神話について少しご紹介しますので、参考にしてみてください。

 

 

エジプト神話とは

はるか昔、紀元前3000年頃から栄えていた古代エジプト王朝。人々は、太陽、風、水、土などの自然を神として敬い、ナイル川に沿った広大な地域でさまざまな神話が誕生しました。

太陽や月、動物や植物などさまざまなものが守護者として崇められ、それにより多くの神と神話も生まれますが、王朝の滅亡が繰り返されるうちに神々の位置づけも変化していきました。故に、エジプト神話の伝承は多様で矛盾も多く、それもまた魅力のひとつ。唯一であるはずの創造神でさえも複数存在していました。

神話体系は、「ヘリオポリス神話」「ヘルモポリス神話」「メンフィス神話」「テーベ神話」の4つに大別することができます。

『エネアド』は主にヘリオポリス神話、そして本記事でご紹介している『災禍の神は願わない』はヘリオポリス神話をベースにヘルモポリス神話の要素も取り入れられているようです。

 

4つのエジプト神話

★へリオポリス神話
主神:太陽神アトゥム
はじまりの海であるヌンから創造神アトゥムが自らの意思で誕生し、ヘリオポリス九柱神(エネアド)と呼ばれるアトゥムの子孫たちが生まれます。アトゥムはのちに太陽神ラーと習合し、アトゥム・ラーとなります。

★ヘルモポリス神話
主神:知恵の神トート(トト)
原初の水から出現した4男神(カエル)と4女神(ヘビ)により天地が創造されました。この8神は「オグドアド」と総称され、トートはオグドアドの主であり、創造主。ラーはオグドアドの生んだ卵から誕生したとされています。

★メンフィス神話
主神:創造神プタハ
天地が存在する前にプタハが自らの意思で誕生。オグドアドは、創造神プタハを構成するものと考え、プタハはヌンであり、アトゥムであり、すべての源である豊穣の神とされています。

★テーベ神話
主神:戦いの神モントゥ 太陽神アメン
ファラオによってモントゥ神は「帝国の神」に位置づけられます。さらにオグドアドの1柱であったアメンが「帝国の神」に習合され、ラーと習合。プタハとも同化、全能神となっています。

 

エジプトの神々の物語を尾羊先生の漫画とともにご紹介

エジプト創世神話のなかの一部をご紹介します。尾羊先生がとても分かりやすく漫画で解説してくださっています。コミックスでも「トート先生のエジプト神話講座」など、さまざまな逸話が紹介されていますので、ぜひエジプト神話の世界にたっぷり浸ってください!

 

 

ヘリオポリス神話の九柱の神々(エネアド)

創造神アトゥム(ラー)は大気の神シューと湿気の女神テフヌトを生みだします。シューとテフヌトは愛し交わり、天空の女神ヌトと大地の神ゲブが生まれました。ヌトとゲブは情熱的に愛し合い片時も離れないため、シュウはヌトを高く持ち上げ引き離しました。これにより太陽の通り道と人間の生活する空間が確保されるも、愛妻ヌトと引き離されたゲブは地面に伏せて悲嘆にくれました。

ヌトは引き離される前に妊娠していましたが、太陽神ラーはヌトに一年のうちどの日にも出産することを禁じたので、知恵のある神トートが月から十分な光を盗みとり、暦にない余分な5日を創り出しました。(月が満ちたり欠けたりするのはこのせいだとされています。)

その5日間でヌトは冥界の神オシリス、ホルス(※)、再生の女神イシス、破壊の神セト、葬送の女神ネフティスを生み出しました。アトゥム、シュー、テフヌト、ヌト、ゲブ、オシリス、イシス、セト、ネフティスの九柱の神々は「エネアド」と呼ばれます。(9の数字は「無限」「全部」を象徴する数字としてエジプトでは神聖視されていました。)

(※)ここでいうホルスは、オシリスとイシスの間に生まれた天空の神ホルスと同一視されています。ホルスはファラオ時代のエジプトで最も偉大で、多様化した神のひとつ。時間に束縛されず四次元の世界で自由に行動し、同時にあらゆる年齢を持つことができます。よって、オシリスの弟にしてその息子であり、セトの兄にしてその甥でもあります。古代人たちは、他の神々においても人間の基準を超えた関係を作り上げています。

 

王弟セトの出生についての紹介漫画

 

引き離されたセトの両親ヌトとゲブ

 

太陽神ラーの「太陽の船」

ラーは「太陽の船」に乗り、昼は天高く昇り、日暮れに死を迎え、冥界を通って再生する船旅を毎日繰り返します。ラーと神々が乗り込んだ船を大蛇アポピスが襲撃しますが、これにセトが対抗し、ラーを守りながら毎日アポピスを倒します。

太陽が出るのはセトの活躍によるもの。ホルスとセトの戦いでラーがセトの味方につきたかったのは、このように太陽の運行でセトの力に頼っていたから。ホルス優勢のなか、80年も戦いが続いたのにはこうした背景もあるようです。

アポピスはアトゥムよりも先に混沌の海ヌンから生まれたとする伝説も残っています。世界を無秩序に戻したいために破壊を行おうとするとも言われています。

 

 

冥界の神オシリスと再生の女神イシス

豊穣の神オシリスはエジプトの王として国を治めていました。ある夜、弟セトの妻ネフティスがオシリスに「わが夫セトには種がなく息子を授けられない」とささやき結ばれます。これにより生まれたのがアヌビスです。

元々、兄を妬んでいたセトは、妻の不貞を目にし侮辱の言葉を聞かされ、オシリスへの憎しみがさらに膨らみます。セトはオシリスの体に合わせた棺を作り、オシリスを閉じ込めてナイル川に流しました。その棺を妻のイシスが見つけますが、セトがオシリスの骸をバラバラにしてしまいます。

妹のネフティスとともにイシスは断片を集め、アヌビスの術によってオシリスはミイラとなります。オシリスは復活しますが性器だけは見つからず。イシスは魔法で性器を再生し、息子ホルスを身籠もります。そしてオシリスは冥界の王として君臨します。

 

豊穣神オシリス(のちの冥王)についての解説

 

天空の神ホルスと破壊の神セトの戦い

父オシリスが、叔父のセトにより殺されたことを知ったホルスは王位に就くセトに戦いを挑みます。王位継承権をめぐるホルスとセトの戦いはエジプト神話のなかでも特に広く知られています。

セトとホルスはカバになって潜水対決をしています。イシスの援護でホルスが優勢となるも、ふとイシスがセトに同情してしまいセトが危機を免れます。これを裏切りと逆上したホルスはイシスの首をはねますが、トートの叡智により再生。

ホルスはセトによって目を奪われ、愛と美の女神ハトホルが愛するホルスの目を治します。(ホルスはこのあともまたセトに目やられてしまい、今度はトートが癒やしています。)

石船の競争などを経て、80年にわたる長い戦いはホルスが勝利をおさめ、王座奪還に成功しています。この戦いで、ホルスがセトの睾丸を痛めつけたため、セトはそれきり子種を失ってしまったそうです。

 

 

ホルスとセトの戦い関連の紹介漫画

天空神ホルスの目(ウジャト眼)

 

ホルスを抱いたつもりが孕まされたセトのお話(レタスの事件)

 

参考文献:『図説エジプト神話物語』(原書房)
     『図説エジプトの神々事典』(河出書房新社)
     『全部わかる世界の神々と神話』(成美堂出版)

 

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