マンガ・ラノベ
ライブ公演『ぼくの地球を守って』レポート|30年の記憶と記録

唯一無二の傑作漫画“ぼく地球”が音楽、朗読、歌、映像で蘇る 「ぼくの地球を守って LIVE 〜BRIDGE of LIGHT〜」公演レポート

30年ぶりにあの番組が復活!

ここからは第2部。1993年に放送されたアニメのラジオ番組「MOON WAVE」のスペシャル版がスタート。当時パーソナリティーを務めていた速水さんと白鳥さん、そして冬馬さんと篠原さんがゲストで加わり、30年ぶりに番組が始まった。

今回のライブ公演で、速水さんはキャーの生態に新たな発見があったと大興奮。白鳥さん、冬馬さん、篠原さんも楽屋でキャーの話で盛り上がっていたのだとか。

懐かしいジングルで始まったのは、リスナーからのお便りを紹介する「月基地へようこそ」のコーナー。

“素敵な出会い”について、冬馬さんは昨年開催された東京タワーとのイベントでの素敵な出会いのエピソードを披露。篠原さんも参加されたものの、残念ながらピアノ・チェロ・ハープによるスペシャルライブは聴けなかったとのこと。けれども、今こうしてオーケストラと一緒に朗読ができる、この“素敵な巡り合わせ”に感謝の気持ちを述べられた。

さらに、夫婦で『ぼく地球』ファンという方からのメッセージも。「亜梨子が大好きだという妻のためにサプライズプレゼントとして妻の名前を呼んでほしい」という旦那さまからのお願いに快く応える白鳥さん。心がほんわかするような展開に、会場から大きな拍手が沸き起こった。

帰結していく作品テーマ

ここからは後半戦がスタート。
『三日月の寝台』MVに続いて始まったのは、朗読コーナー。

母星消滅という事態に、感情を露わにする木蓮と紫苑。地球を守るために世界をコントロールしようとする輪に“あなた自身にも未来がある”と説得する亜梨子。交錯する前世と現世に、声優陣の芝居にも拍車がかかり、『ぼく地球』の世界へ誰もが飲み込まれていく。

「気持ちは歌に。歌は空気に。愛は光に。」

木蓮の父、ロジオンが教えてくれたその言葉は、木蓮から亜梨子へ。そして子供たちへ。
BRIDGE of LIGHT “光の橋”が架かった瞬間、その想いは受け継がれていく——。

地球の美しい自然や生き物の映像と共に、胸いっぱいにゆっくりと広がる何者にも代え難い愛しさ。しがらみから解放された木蓮や紫苑、亜梨子と輪もきっと同じ気持ちだったのではないかと想像しながら、その心地よさに身を委ねる。

再び生演奏へ。
『夢見る時を地球へ』で、全ての思いは青い地球へと還ってくる。ぼく地球管弦楽団による情感たっぷりの演奏の最後に、亜梨子が言う。

「帰ろう。あるがまま受け止めてくれる地球へ。未来へ。」

1991年の東京から想った未来は、2023年の今だったのかもしれない。
未来の今、地球は私たち人間のあるがままを受け止めてくれている。そんな地球を、私たちは守っていかなければならないーー。作品の根幹であるその事を、この先ずっと、『夢見る時を地球へ』の旋律を耳にするたびに、自らに問いかけるのかもしれない。

気持ちが昂ったところで、アカペラで歌い始めたのはSEIKAさん。
アニメ「ぼくの地球を守って」のテーマソングとして発表された楽曲『時の記憶』は、それに寄り添ったアニメーション映像の秀逸さもあって、ぼく地球ファンの間では伝説的な歌である。30年間愛され続け、聴き継がれてきた歌だ。

涙腺崩壊。一言でそれしかない。
SEIKAさんの歌声が亜梨子の、輪の、木蓮の、紫苑の、他の全ての登場人物たちの想いをなぞり、全てのぼく地球ファンの感情を鎮めていった。

そして客席では金色のリングライトが、紫苑が還りたかった故郷の象徴である“稲穂の海”のように、美しく揺れていた。

その景色を見た瞬間、第2部「MOON WAVE SPECIAL」での冬馬さんの言葉が頭の中に響いてきた。一過性のものが多い今の時代、30年もひとつの作品に愛を注ぐのは本当にすごいことだと…。それだけの魅力が、説得力が、言葉では語り尽くせぬものが、「ぼくの地球を守って」にはあると、改めて深く実感した瞬間だった。

ただ懐かしさをなぞるだけではなく、作品が語る未来を、そして受け継いでいくべき想いを、音楽、朗読、歌、映像をそれぞれの持つ力を集約させて丁寧に表現されていたステージだった。

原作漫画・アニメを通ってきた方は勿論のこと、まだ作品に触れたことがないという方も、『ぼく地球』の魅力深い世界に触れるきっかけとして、「ぼくの地球を守って LIVE 〜BRIDGE of LIGHT〜」を是非ご鑑賞頂きたい。

現在、3月12日(日)昼・夜公演のアーカイブが配信中だ。アーカイブ配信のみのお楽しみとして、コンサート映像とスクリーン映像が選択できるマルチアングル機能も用意されている。会場で鑑賞された方も、本公演の為に制作された見応え十分のスクリーン映像をじっくりお楽しみ頂くことができるこの機会を、ぜひお見逃しなく!

(撮影:片岡祥)

セットリスト

<Part1>
01. 1991 TOKYO
02.おおいなる光~宇宙からの音楽(メッセージ)〜 
03.時の雫
04.あ・ぶ・な・い Bubble Gum Boy〜輪〜
05.無邪気なノック
06.インフィニティ
07.覚醒(めざ)め
08.Prologue〜金色の時 流れて〜
09.こぼれた想い
10.ムーン・パラダイス
11.透明な未来
12.悲しみの香り
13.夢のすみか

<Part2>
14.MOON WAVE SPECIAL
 〜三日月の寝台〜for MOON WAVE
15.三日月の寝台
16.READING DRAMA
〜 傷ついた翼を
〜 胸の痛みと翼に乗せて
〜 遠い日の歌
〜 月環蝕
〜 恋かもしれない
〜 流れてゆくのは…
17.Bridge of Light
18.夢見る時を地球へ
19.時の記憶
20.ノスタルジア
21.GREEN 〜緑のささやき

「ぼくの地球を守って LIVE 〜BRIDGE of LIGHT〜」配信サイト
https://www.tv-asahi.co.jp/douga_mv/bokutama_live/index.html

「ぼくの地球を守って LIVE 〜BRIDGE of LIGHT〜」公式サイト
https://www.chara-ani.com/shop/bokutama_live/

©日渡早紀/白泉社
©日渡早紀・白泉社(花とゆめ)/フライングドッグ/Production I.G

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