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『ゴールデンカムイ』TVアニメ第四期EDテーマ担当・THE SPELLBOUND インタビュー

TVアニメ『ゴールデンカムイ』第四期のエンディングを飾る「すべてがそこにありますように。」に込めた思いをTHE SPELLBOUND 中野雅之さん、小林祐介さんが語る|「運命や絆のような、普遍的なテーマを表現したいと中野さんと話していました」

現在放送中のTVアニメ『ゴールデンカムイ』(原作:野田サトル)第四期のエンディングを飾るTHE SPELLBOUNDの「すべてがそこにありますように。」。

THE SPELLBOUNDは、BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之さんとTHE NOVEMBERSの小林祐介さんによって、2020年に結成されたロックバンドだ。「すべてがそこにありますように。」はTHE SPELLBOUNDにとって初のアニメタイアップとなる。作品に寄り添いながらも、己の哲学、魂を込め、純度の高い音楽を生み出した。

4月中旬、中野さん、小林さんにこれまでの歩みや、「すべてがそこにありますように。」についての話をうかがった。

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魂の込もった音楽を

――アニメイトタイムズには初登場となりますので、まずはTHE SPELLBOUNDの結成までの道のりをおうかがいさせてください。

中野雅之さん(以下、中野):バンドという括りに限らず「新しい音楽を作りたい、自分の音楽を作りたい」という気持ちがだんだんと高まっていたときがあって。日常的にプロデュース・ワークという形でさまざまな人と音楽制作をやってきたのですが、その中で自分の音楽を出す場所が欲しいなと思って、Twitterでボーカリストを募集したのがきっかけです。

――そこで最初に立候補したのが小林さんなのですね。

小林祐介さん(以下、小林):はい。たまたま携帯を見ていたときに中野さんのツイートが目に入ってきたんです。多くのことを考えるというよりも、衝動的に「やりたい、やるんだ」と感じて、中野さんに「立候補させてください」と連絡しました。そこからお会いして、やり取りがはじまりました。

――中野さんは、小林さんの歌声をどう分析されていたのでしょうか?

中野:今回募集する前から小林くんとは面識がありましたし、プライベートで会って食事をする機会も何度かありました。もちろん彼のTHE NOVEMBERSの音楽も聴いてきたわけで。世代も違いますし、同じテイストを持っている部分と、僕が持っていない感性を豊かに持っている人だなという印象がありました。

ただ、Twitterでいの一番に彼が手を挙げたのは意外でした。一緒に何かを作る時に良いことが起きるかどうかはやってみないとわからないところもあったので、しばらくは一緒の部屋で過ごして音楽の話をしたり、ちょっと音作りをしてみたり、という感じでした。その状況が半年から1年ほど続きましたね。あの期間はインターンのような感じで、様子を見させてもらっていましたね。

――中野さんは小林さんの立候補を意外だったとおっしゃっていましたが、それはどうしてです?

中野:彼はとても大事にしているバンドを持っていますし、僕はパーマネントに活動していくプロジェクトと考えていたので、彼が持っているものを壊さずに一緒にやっていくことができるのか?という思いもありました。もしかしたら一緒にできない可能性もあるなと思い、方向性を探りながら、慎重に考えていました。

――そのインターン期間を抜けたきっかけは何だったのでしょう。

中野:良い曲ができはじめたことですね。2人のクリエイターの価値観が合い始めた。それまでは「1+1は必ず2以上のものになる」と小林くんは考えていたと思うんですけど、僕はバンドという一つの意思から自然発生的に生まれてくるものを求めていたんです。

最初はそこの感覚に違いがあったと思うんです。どうして音楽を作るのか、僕と小林くんでやる理由。そこまで小難しい話をしていたつもりはなかったのですが、2人で音楽を作る理由を確かめていた1年だったと思うんですよね。

――その答えが出たタイミングだったと。

中野:そうですね。良い曲が出来た時に、これが進むべき道や手に入れたいものなんだなという感覚がありました。これをちゃんと世に出してみようと思ってから、バンドの名前などを決めましたね。ようやくそういう段階に入ったっていう。

――まさに「はじまり」となったのですね。お話を聞いていて聞いてみたいなと思ったのですが、中野さんの思う良い曲の定義とはどんなものなのでしょうか。

中野:あ〜……それを言語化するのはすごく難しいですね。同じおたまじゃくし(音符)で出来た音楽でも心を揺さぶるものと、そうでないものがあるので、そこに何が込められているのか、ということでしょうか。特にボーカルはその人の内面や哲学まで、なんとなく声の中に宿ってくるものなので。

そういうもの全体を捉えて「良い音楽だな」と感じることが多いので、スタイルやジャンルに関わらず、僕は“何かが込もっている音楽”を聴くのが好きですね。

魂の入ってないデモも、故意に魂を注入しようとしていないのに滲み出てでしまっているものなども制作の過程においてはあります。でもその中で、良いものを掴んだ感触があったときに「これは良い曲なんじゃないか」「みんなに聴いてもらいたいな」という気持ちが芽生えてくるんですよね。

――曲を作るために全てのエネルギーを注いでいるのですね。

中野:そうですね。ただ、僕らみたいな人間にとってそれは日常です。凄い努力して歯を食いしばって血が滲むような努力をしてというより、毎日毎日少しづつ悩んだり、答えを見つけたりしながら時間が過ぎていきます。

――小林さんにとっての中野さんの存在は言葉にするとどのようなものですか? きっと、そのインターン期間の中で関係性に変化もあったと思うのですが。

小林:僕にとって、BOOM BOOM SATELLITESは自分の青春の中ですごく大きな存在だったんです。それは音楽ファンとしても、いちミュージシャンとしても。
尊敬する人である中野さんとやり取りが始まって、最初は中野さんが言うように、「1+1は2」になるはずだって即物的なものを期待していたり、中野さんの手によってどんな音楽ができるんだろうって、子供みたいなワクワクもあったんですよね。そういった無邪気さではじまったところがあったんですけど、物事はそんなに単純じゃなくて。

エネルギーをどれだけ込めて頑張るかという部分や、喜びや感動を持って音を出すこと、声を出すこと、言葉を紡ぐことができているか。一生懸命生きているのか。一見シンプルなことが、その都度形を変えて壁としてぶつかってくるんです。中野さんと会うたびに、曲を作るたびにチャレンジや気付きが多かった。そうした中で実際に僕がデモを作った時に……言語化しにくいのですが、何かが宿った気がする、と感じた瞬間があったんです。そこで、僕も中野さんも「いい曲ができる気がする」と。

そこから時間を重ねるたびにいろいろなものを掴んでいきました。僕にとって中野さんは師匠でもありますし、お兄さんのような存在なのですが、それと同時に、自分がバンドのパートナーとして胸を張って立っていられるか、一緒に山を登っていけるようなエネルギー、進んでいく意思を発揮できるかが今の僕の課題だなと。どんどん良い方向に行っていると僕は思っていますし、引き続きTHE SPELLBOUNDを良くしていければなと。

――現在も課題を感じられているのですか?

小林:もちろん。でもそれは普遍的なことだと思っています。音楽家に限らず、一生懸命生きること、人生をどうやって楽しむのか、どうやって誰かを楽しませるのか、相手を楽しませることによって、自分も喜びを分かち合えるんじゃないか……とか。そういったものを生きる上での大事なものとして捉えています。だから一生続く課題のような気もするし、でも、何かを掴みかけているようなワクワクもあります。

――THE SPELLBOUNDに参加するということは、小林さんにとってすごく大きなことだったのですね。

小林:そうですね、言葉を選ばずに言うと……THE SPELLBOUNDを始めていなければ、今THE NOVEMBERSができてないかもしれない。それくらい大きな存在です。

中野さんに連絡を取ったのも、その時の自分なりに「もっと良くなりたい」「変わりたい」という思いや、救いを求める気持ちや期待が根本にあった気がするんですよ。そこから、これは簡単な事じゃないぞという期間を経て、ことの本質に辿り着くヒントをここ数年のTHE SPELLBOUND、中野さんとの時間のおかげで掴んだような気がします。

それがTHE NOVEMBERSにもすごく良い影響を与えられているんですよ。だから、THE SPELLBOUNDがあっての今というのが正直なところです。

(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
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