![『ザ・マージナルサービス』監督・迫井政行&シリーズ構成・猪原健太 対談【連載最終回】](https://img2.animatetimes.com/2023/06/cd66b83783e62439436c65ff103d8222648c11dc7e81c3_12945301_0f7152a33c30f09330059e468f95a86a0d119903.jpeg)
自身の“離婚”をキャラクターに反映!? 大切なものを失わないと気付かないこと――『THE MARGINAL SERVICE』監督・迫井政行さん&シリーズ構成・猪原健太さん対談【連載最終回】
キャストの質問に回答! 中村さんの「映画ネタはどこから考えているのでしょうか?」への答えは?
――前回キャスト座談会を行いましたが、キャストの皆さんからいくつか質問をいただきましたのでお答えください。まずロビン・ティンバート役の中村悠一さんから「映画ネタをどこから考えだしているのか聞いてみたいですね。映画ネタありきでシナリオを作っているのか、シナリオに沿った映画ネタを探したのかを教えてほしいです」。
猪原:映画ネタありきというより、「次のお話どうしようかな?」と考えて無理やり絞り出したらそれしかなかったという感じです。最初に「ボルツとロビン」のお当番回を作ることと、その場所は決まっていて、場所が要塞だったら「『ザ・ロック』かな」みたいに引っ張ってきて。チョイスが古いのは許していただきたいですが(笑)。
――映画をたくさん見て、引き出しがないと、これだけのオマージュやネタを詰め込めないですよね。
猪原:そこが難しいところで、映画ファンは上には上がいるわけで、あまり声高に「オマージュです」とは言いたくなくて(笑)。元にはなっているけど、あくまで土台なので、そのまま出してしまっていいのかは悩んだところでもあります。
――気付いた人が「ニヤリ」してもらえれば?
猪原:むしろ気付かないでくださいという気持ちです(笑)。
――セオドア・トンプソン役の三木眞一郎さんからは「やり残したことはありませんか?」。
迫井:やり残したというより「もっとできそうだな」という気持ちはあります。本編の他に5分くらいのサブストーリーが配信されていました。猪原さんがシナリオを書かれていますが、キャラクターの心情などが更に掘り下げられていたり、本編を補完するような要素が入っていて。
もっと彼らの活躍を見たいなという気持ちになったし、彼らの日常的な部分も描けたらいいなとも思いました。今回組み込めなかったオカルトネタもまだたくさんあるので、やれたらおもしろそうですし。ただ今回のシリーズに関してはやり切れたかなと思っています。
猪原:僕はサメとゾンビができたのでやり残したことはありません。
――また中村さんからは「各キャラ、本当はこうしたかったというのはありますか?」。
猪原:セオドアは、最初はラスボスの予定でしたが、流れの中で変わっていきました。
迫井:今のキャラクターたちを見ていて、裏切り者がいなくて良かったというのはあります。こうしたかったというよりも、キャストさんのおかげでこちらが思っていた以上に魅力的なキャラクターになったと思います。
内山さんからペックの質問が! 初回アフレコの思い出も!?
――ペック・デズモント役の内山昂輝さんからは「ペックはどうしたら死んでしまうんですか?」
猪原:≪境界人≫は死ににくいという設定はありますが、病気で死ぬ可能性があって。風邪をひいたり、お腹をくだして死ぬとか、とあるお話しでは一度餓死しかけたこともありますし。死ぬときは死ぬという感じです(笑)。
迫井:物理的なダメージでは死なないというだけで。
猪原:ただ再生能力が高いだけで。でもペックが何であんなふうになったのかは覚えていなくて。あんなにギャーギャー言うキャラじゃなかったはずなのに。
迫井:僕は思った以上に活躍したなと思っています。
――内山さんだけでなく、キャストの皆さんが疑問に思われていたのは、「なぜペック役に内山さんをキャスティングされたのか」と。
迫井:僕も考えられなかったです(笑)。プロデューサーがキャスティングを考えたそうですが、ああいう感じのキャラクターをやったことがある方か、ドスが効いた感じとか全然違う感じの方かなと思っていました。
猪原:最初のアフレコをリモートで見学していましたが、今のペックになったのは2テイク目くらいだった気がします。1テイク目はもう少し落ち着いていて、そんなにさらっと変えちゃっていいんだと思いました。
迫井:でもいい感じになったなと。
猪原:でも今後、これでずっとやるのはツラくないのかな?とも(笑)。Blu-rayに収録されるドラマCDでずっとあれでしゃべり続けるのは申し訳ないなと思いました。
――内山さんのペックを聴き慣れてしまうともう他の人は考えられません。
迫井:そうかもしれない。内山さんには無理をしていただいたかもしれませんが、おかげでおもしろいものになりました。