自分が本当にAIになったかのように演じています│アニメ『AIの遺電子』ジェイ役・岩中睦樹さんインタビュー【連載第4回】

考えさせられることが多かった「賢者スイッチ」

――アフレコは皆さんと一緒にできたんですか？

岩中：分散収録だったので、メインキャラクターの須堂たちとは第1話以降なかなか一緒に収録できませんでした。どちらかというと豪華なゲストの皆さんとご一緒することが多く、とても勉強になりました。

――先輩声優の中で、特に印象的だった方はいらっしゃいますか？

岩中：釘宮（理恵）さんの演じるポッポが素敵でした。ポッポはジェイと近いニュアンスを求められると思うんです。釘宮さんは絶妙なニュアンスをつけながら、かわいらしさもしっかり出されていて。この作品はAIやロボットに心があるのかどうか匂わせるようなところがありますよね？　ポッポが海を見て「キレイだね」というセリフを、心が芽生えたのか、あるいは……という塩梅で演じられていたのが、ただただすごかったです。

――かわいくて心もあるように見えるけど、ちゃんとAI感、ロボット感もあるという。

岩中：心なのか、プログラムなのか、お芝居からも考えさせられました。

――このほか特に印象に残っているエピソードはありますか？

岩中：第4話はゲームの話（AR恋愛ゲーム「ラブドリーム2」）も「賢者スイッチ」も、どちらも面白かったです。特に「賢者スイッチ」は考えさせられることが多くて。スイッチ1つで感情を制御できることがまずすごいなと思ったのと、少しずるいなと思ったんです。

普通、人間は誰かとお付き合いしたら別の人が気になってもグッとこらえますよね？　でも、ヒューマノイドはその感情をスイッチ1つで抑え込んでしまう。そこがずるいというか、ヒトとヒューマノイドは平等に共生していると言うけれど、平等じゃないないなと感じたんです。言い換えれば、そういう複雑な感情に振り回され、簡単に制御できないのがヒトであるということなのかなと。

――なるほど。たとえネガティブな感情でもそれと付き合わないといけないし、それを受け止め続けるのがヒトだと。

岩中：そう思いましたね。

――AR恋愛ゲームのほうはどんなところに惹かれました？

岩中：“男の子”って感じのエピソードで、とても明るくコミカルに描かれていましたが、こちらも考えることが多かったですね。このゲームができたら恋人なんていらないなと思いつつ（笑）、まず怖いなって思ったんです。改造データでゲームのキャラクターを現実の女の子にするなんて危険すぎるなって。

現実でもディープフェイク（AIによってある動画の顔や声などが入れ替えられたフェイク動画）が問題になっていますが、もしかするとその風刺でもあるのかなと思いました。まぁ、どちらにしても女の子は冷めますよね（笑）。

――（笑）。ちなみに、岩中さんは本作に登場するようなヒューマノイドとの共生は可能だと思いますか？

岩中：できると思います。ただ、そもそも僕らの世界にヒューマノイドが必要なのか少し疑問があって。今やお手伝いロボットがいろいろな場所にあり、技術の進歩ってすごいなと思うんですが、ヒトと変わらないヒューマノイドを誕生させる意味は正直あまり感じられないんです。自我や感情を持たせることでヒトと共感し合えるのかもしれませんけど、それはそれでヒューマノイドの苦しみも増えるし、社会問題も増えると思うので。ヒューマノイドが生まれたら受け入れる、でも積極的に作らなくてもいいのかなという立場です。

――ありがとうございます。では、第9話以降の注目ポイントを教えてください。

岩中：この先もオムニバス形式で物語が進んでいきますが、謎に包まれていた須堂の母親の話や須堂自身の話も描かれ、だんだんと核心に迫っていきます。リサ、MICHI、カオルたちの話も面白いので、最後まで物語を楽しんでください。

TVアニメ『AIの遺電子』作品情報

放送・配信情報

2023年7月7日よりMBS・TBS・BS-TBS ”アニメイズム”枠ほかにて放送中！

■放送情報
MBS：毎週金曜日 25:53～
TBS：毎週金曜日 25:53～
BS-TBS：毎週金曜日 26:30～
AT-X：毎週日曜日 23:30～
【リピート放送】毎週木曜日 29:30～ / 毎週日曜日 8:30～
RKK：毎週金曜日 26:23～

■配信情報
U-NEXT、アニメ放題、dアニメストアほか、各配信サイトでも配信中！

・7月7日より毎週金曜日26:25～配信開始
U-NEXT・アニメ放題

・7月11日より毎週火曜日24:00～配信開始
dアニメストア

・7月14日より毎週金曜日22:00以降順次配信開始
ABEMA・Amazon Prime Video・DMM TV・Hulu・FOD
バンダイチャンネル・ニコニコチャンネル・MBS動画イズム
TVer・Lemino・WOWOWオンデマンド・クランクイン！ビデオ
Google Play・J:COMオンデマンド・auスマートパスプレミアム
TELASA・milplus(みるプラス)・HAPPY！動画
　

イントロダクション

これは、私たちの未来の物語――。

21世紀に始まったAIの圧倒的な進歩は、社会の発展に寄与する一方、高い知性を持つ機械を道具として使う是非を、人類に突きつけた。

そして22世紀後半。
人々は「産業AI」とは別格の存在として、人権を持った「ヒューマノイド」を当たり前に受け入れ、共に暮らしている。

須堂光は、ヒューマノイドを治す新医科の医者として、ヒトとAIの共存がもたらす「新たな病」に向き合っていく。

時に、裏の顔も使いながら……。
　

キャスト

須堂光：大塚剛央
樋口リサ：宮本侑芽
ジェイ：岩中睦樹
カオル：高森奈津美
　

スタッフ

原作：山田胡瓜(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
監督：佐藤雄三
シリーズ構成・脚本：金月龍之介
キャラクターデザイン・総作画監督：土屋圭
サブキャラクターデザイン：尾崎智美
色彩設計：中内照美
美術設定監修：矢内京子
美術設定：田中涼
美術ボード：河野羚
撮影監督：畑中宏信(グラフィニカ)
モニターグラフィックス：加藤道哉(サイクロングラフィックス)
編集：塚常真理子
音楽：大間々昂、田渕夏海
音響監督：小泉紀介
音響効果：山谷尚人(サウンドボックス)
音楽プロデューサー：水田大介
音楽制作：日音
音響制作：Bit grooove promotion
アニメーション制作：マッドハウス
製作：AIの遺電子製作委員会2023
　