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アニメ『AIの遺電子』岩中睦樹インタビュー【連載第4回】

自分が本当にAIになったかのように演じています│アニメ『AIの遺電子』ジェイ役・岩中睦樹さんインタビュー【連載第4回】

AIが高度に発達した世界にはどのような幸せがあり、どのような問題があるのか。ヒトとは、ヒューマノイドとは、AIとは――。

ヒト、ヒューマノイド、AIの共生と問題点をエンタメ性たっぷりに描きながら、技術進歩の只中にいる私たちに思考のきっかけを与えてくれるTVアニメ『AIの遺電子』。アニメイトタイムズでは、本作を盛り上げるリレーインタビューを連載中です。

連載第4回は、主人公・須堂光をサポートする医療診断AI・ジェイを演じる岩中睦樹さんが登場。AIでありながらどこか人情深い一面を持つジェイを、どのように捉え、どのように演じているのか伺いました。

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これは、私たちの未来の物語――。21世紀に始まったAIの圧倒的な進歩は、社会の発展に寄与する一方、高い知性を持つ機械を道具として使う是非を、人類に突きつけた。そして22世紀後半。人々は「産業AI」とは別格の存在として、人権を持った「ヒューマノイド」を当たり前に受け入れ、共に暮らしている。須堂光は、ヒューマノイドを治す新医科の医者として、ヒトとAIの共存がもたらす「新たな病」に向き合っていく。時に、裏の顔も使いながら……。作品名AIの遺電子放送形態TVアニメスケジュール2023年7月7日(金)〜2023年9月29日(金)MBS・TBSほか話数全12話キャスト須堂光:大塚剛央樋口リサ:宮本侑芽ジェイ:岩中睦樹カオル:高森奈津美スタッフ原作:山田胡瓜(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)監督:佐藤雄三シリーズ構成・脚本:金月龍之介キャラクターデザイン・総作画監督:土屋圭サブキャラクターデザイン:尾崎智美色彩設計:中内照美美術設定監修:矢内京子美術設定:田中涼美術ボード:河野羚撮影監督:畑中宏信(グラフィニカ)モニターグラフィックス:加藤道哉(サイクロングラフィックス)編集:塚常真理子音楽:大間々昂 田渕夏海音響監督:小泉紀介音響効果:山谷尚人(サウ...

あくまでもAI。感情を込めすぎないように

――放送されたばかりの第8話はリサとレオンに関するエピソードでした。感想はいかがでしたか?

岩中睦樹さん(以下、岩中):個人的にこれまでの話数でも特に印象深くて、鼻をすするのをずっとこらえていました。レオンの思いがとにかく切なくて……。レオンを演じる山村響さんと一緒にアフレコできたんですが、なんて素晴らしいお芝居なんだと感動したのを覚えています。

――レオンは第4話の時点で何か隠しているのかなと思いましたが……。

岩中:明るくて、面倒見もいいお姉さん的な彼女が、これほどまでにリサに深い想いを抱いていた。その葛藤を想像して胸が苦しくなりました。

――第8話は、ジェイが須堂に意見する場面もありましたね。

岩中:レオンとリサの関係まで分析していたことに驚きました。レオンの心境を察して、須堂にちゃんとわかってますかと念を押すんです。ここまで人間の感情に対する細かい気づかいができるとは思わなかったので、このシーンはとても印象に残っています。

第8話は冒頭のバレンタインのシーンも面白かったです。ジェイが勝手にリサの質問に答え、「ジェイには聞いてないっ」って怒られるという。あれはiPhoneを使っていてSiriが勝手に反応するようなものですよね(笑)。コミカルでいいシーンでした。

――ジェイに感情があるかどうかはさておき、感情は理解できていそうな印象です。

岩中:機械的に理解できるという感じだと思います。本当に優れたAIです。

――ジェイの第一印象はいかがでしたか?

岩中:今お話ししたように、優れたAIだなと思いました。あとは結構、人間くさい部分があるなと感じたんですが、あくまでもAIなので感情を込めすぎないように気をつけました。

――なるべく無機質に?

岩中:そうですね。音響監督の小泉(紀介)さんも感情は消してくださいとおっしゃっていました。最初は少し人間っぽさを入れていたんですが、セリフの裏側にある感情や「何を思ってその言葉を発しているのか」というジェイの思考を完全に消してくださいと。それはすごく苦労したところですね。どうしてもセリフからジェイの感情や思考を感じ取ってしまうし、AIという役を演じるのは初めてだったので、それを消すのは大変でした。

――第5話で「情動系の調律」の話があったときは、冷めた須堂のほうがAIっぽく、それをたしなめるジェイのほうが人間っぽくもありましたよね。

岩中:そうなんです。須堂がはっきり「性格を無理やり変えちまうって話です」と言ったら、「その言い方は乱暴ですよ」と。この対比も面白いなと思いました。

――このシーンは情動系の調律を説明する結構長めのセリフがありました。

岩中:このシーンも大変でした。セリフ自体も長いですし、緻密な内容だったので、頭の中を整理しないといけないうえに、人間くささが乗ってしまわないよう一音一音はっきり喋らないといけないんです。本当に自分がAIになったみたいでした(笑)。

――普通に喋ると自然な抑揚があるものですが、ジェイは一音一音はっきり、フラットに演じる必要があるんですね。

岩中:フラットな調子で長いセリフを言うのは本当に大変で、確かテスト(リハーサル)で2、3回噛んでしまったんです。テストのあとは小泉さんがブースに入ってきて、役者陣にディレクションをするんですが、「ジェイはAIだから噛まないでね」と言われました(笑)。本番は噛まずに言えたのでよかったです。

――そんなジェイを演じる楽しさはどんなところにありますか?

岩中:すべての話数に出演しているわけではないんですが、登場すると説明であったり、アドバイスであったりと、だいたい俯瞰したセリフがあるんです。そういう役を演じる機会があまりなかったので、ジェイを演じること自体がとても楽しかったです。ただ、ジェイは状況を当たり前のように知っているので、僕自身も話数全体の流れや他のキャラクターの動向をしっかり追う必要があって。セリフ数が少なくても話数全体の把握やそのための予習はちゃんとするようにしました。

――では、ジェイと共に仕事をする須堂の印象はいかがですか?

岩中:最初は正直怖いなと思いました。いい人であることは間違いないんでしょうけど、特に第1話は冷めた印象が強かったので、この人は何を考えているんだろうって。でも、意外と感情的になるところもあれば、ちゃんと患者に寄り添うところもあって、人間らしい部分があるんだと思うようになりました。

第8話だとリサの手作りケーキを食べて、おいしいのかおいしくないのか言わず、うまくはぐらかしているところが面白かったです。リサにホワイトデーのお返しをしたときに、お店を聞かれて「その辺だよ」と返すのもカッコよくて。意外とそういうの(ケーキを手作りしたこと)を明かさないタイプなんだなと。自分も機会があったら真似したいです(笑)。

――(笑)。意外と茶目っ気がありますよね。

岩中:ケーキを作ったときに「術式完了」と言ったのも面白かったです。一見すると近寄りがたいタイプですが、実はお茶目なところがあっていいキャラクターだなと思います。

――リサについてはいかがでしょうか?

岩中:リサは大好きですね。めちゃくちゃかわいくないですか!?

――(笑)。かわいいです。

岩中:ヒトの須堂がクールなのに対して、ヒューマノイドのリサがとても明るいという対比が面白いなと思っていて、表情がころころ変わるところが特にいいなと思います。例えば、第2話の後半。ジェイに「ご機嫌斜め」と言われるくらいムスッとしていたのに、須堂が買ってきたお土産のケーキを見た瞬間、ぱあっと表情が明るくなるんです。でも、素直じゃないから慌てて渋い顔をする。リサらしいシーンだなと思いましたし、リサが大好きになりました。

 

(C)山田胡瓜(秋田書店)/AIの遺電子製作委員会2023
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