『陰の実力者になりたくて！ 2nd season』山下誠一郎さん×日高里菜さんインタビュー｜メアリーとの出会いによって、クレアの内面が明らかに！　舞台が変わっても“いつも通りで変わらないところ”がシド/シャドウの魅力

2022年10月から2023年2月にかけて放送されたアニメ『陰の実力者になりたくて！』。待望の2nd seasonが2023年10月4日（水）から放送開始となります！

「シャドウガーデン」の盟主・シャドウことシド・カゲノーは、姉・クレアに連れ出され「無法都市」を訪れることに。都市を治める三つの勢力「血の女王」「妖狐」「暴君」の
の争いに巻き込まれたクレアと、この街でも「陰の実力者」として暗躍せんと行動を始めるシャドウの運命やいかにーー？

一層の期待と注目が集まる2nd seasonの放送開始を記念し、シド・カゲノー／シャドウ役・山下誠一郎さんと、クレア・カゲノー役・日高里菜さんにインタビューを実施！

1期を振り返ってみての感想や、収録時のエピソード、2nd seasonの見どころなどを語っていただきました。

1期で印象深かったシーンはクレアがシドの首を絞めたシーン!?　山下さんにもしクレアのような姉がいたら……？

――1期を振り返ってみた感想と、印象深かったシーンをお聞かせください。

シド・カゲノー／シャドウ役・山下誠一郎さん（以下、山下）：きれいにまとまっていた1期だったかなと思います。20話という変則的な話数でしたが、1クールで描き切れなかったかもしれなかったところまで丁寧に『陰実』という作品を説明できたかなと。また、長く放送できたことで、よりたくさんの方に見ていただけたと思いますし、反響もおかげさまで大きくて、皆さんの間で『陰実』ムーブメントが確実に広がって、勢いが増していることを肌で感じることができて嬉しかったです。

僕的にはどのシーンも印象深かったんですが、特に「アイ・アム・アトミック」が話題になったときは印象に残りました。「何だ？　この（いい意味で）ヤバいアニメは？」と盛り上がって、スタッフさんたちの手腕のすごさも感じました。『陰実』は演じた時と、映像が完成した時で雰囲気がまったく違うことがよくあって。演出も含め、我々の芝居を活かしてくださっているなと思うと、スタッフの皆さんには感謝しかありません。

クレア・カゲノー役・日高里菜さん（以下、日高）：1期を振り返るとぜいたくだったなと。20話になったことで『陰実』の魅力を確実に伝えられたと思います。第1話から最後までずっと絵がきれいでしたし、登場するキャラの数が多いけれど、それぞれに見せ場が用意されていて、ファンの方にも満足いただけるシリーズになったかなと思っています。

印象深かったのはクレアがシドの首を絞めているところです。一つ間違えば逮捕されていてもおかしくないような（笑）。シーンの初めではまさか首を絞めているとはわからない演出も含めて、印象深かったです。

――クレアはシドを憎んでいるのかなと思ったらブラコンだったという（笑）。

日高：そうなんですよ。でもシドに厳しく接するのは心配しているからだとわかりますし、ちょっと残念さが感じられるのがむしろいいバランスだなと思います。

――全体的な面で、クレアを演じる時に意識された点はありますか？

日高：私はこれまでお姉さんキャラを演じる機会があまりなかったので、「ちょっと強くて、凛とした女の子を演じよう」という意識はありました。それに加えて、一生懸命過ぎて残念だったり、憎めないところもクレアの魅力だと思ったので、変にお姉さんの余裕感を出さずに、常に全力で、怒っている時も必死さが出るように演じていました。

――『陰実』の女性キャラは、クレアを含めて、みんなちょっと残念なところがあるような？

日高：そこがかわいいですよね。（アフレコ以前に）初めて『陰実』の台本を読んだ時、この作品はギャグなのかシリアスなのかわからなくて。でも第1話を見たら、ギャグとしておもしろくて。なので、スタッフさんに「これはギャグですよね？」と尋ねたら「はい」と。それを聞いて、私の楽しみ方は間違っていなかったんだって（笑）。みんなが大真面目にやることでおもしろくなって、それが『陰実』の魅力だから、あまり狙いすぎてもいけないなと。

山下：ギャグだと思って演じると、途端に崩れてお笑いになってしまうので、そこを見誤ってはいけないというのはあります。

――シドとクレアの姉妹関係について、どう思われますか？　

日高：（山下さんのほうを向いて）こんな姉はどうですか？

山下：う～ん……首絞めか～、と思ったけど……。

日高：首絞めのことだけクローズアップされても（笑）。

山下：クレアはかわいいですよね。特にこの2nd seasonに入って、クレアの内面がすごく見えるので。シドはかよわい弟を演じているだけですが、僕にクレアみたいなお姉ちゃんがいたら何でも許せそう。逆に僕が護身術を学べば、プロレスごっこで治まるし（笑）。

でもやっぱり、クレアは引っ張ってくれるし、おちゃめな一面もあるので、素敵な女の子だなと思います。それに、七陰たちは濃いキャラクターが多いので、クレアが真っ当に見えて、魅力が際立つんですよね。現実的なモノの見方をするし、努力もするし、ちゃんと将来のことを考えていたりして。厳しさもシドのことを考えてのことと思うと芯がしっかりしていて素敵だなと思います。首は鍛えれば何とかなるので（笑）。

日高：受け入れてくれるんだ？（笑）

クレアにとってはシドがあえてダメな弟を演じているからこそ心配してしまうだけで。「もしシドが、クレアが認められる強い男性だと知った時、どうなるのかな？」と気になります。でもシドが強い人だとわかったら寂しがるでしょうね。「シドには私がいなきゃダメだから」というところに自分の存在意義を感じている部分もある気がするし。だけど「シドよりも、強くならなきゃ」ともっと頑張るようになって、いい関係になるかも。

山下：僕もシドが自立してしまった時のクレアを見てみたい気がする。

日高：私には兄がいますが、兄から干渉されすぎるのは嫌だなと思いつつ、もし私に妹や弟がいたら絶対に心配すると思うし、いろいろ声をかけてしまうと思います。

山下：じゃあクレアに共感しながら演じられたということ？

日高：そうですね。

――実際に姉弟での掛け合いをされた感想は？

日高：1期の第1話から一緒だったよね。

山下：短い尺の中に言葉が詰まっているシーンが多かったので、けんけんがくがくでしたね。あとこれは『陰実』あるあるですが、スタジオにブースが2つあって、離れて同時に収録することができるので、通常だったら声が被ってしまうので別々に録らなければいけないシーンも、同時に掛け合いをしていいテイクが録れるんです。なので、1回の掛け合いで瞬間的に出てきたお互いの良いところを引き出してもらえた気がします。

日高：山下さんは本当に器用な方だなと。シドとシャドウの2つの顔があって、しかもモノローグもあるので、すごく難しいと思うんです。しかも単純にどっちモードでやればいいというのではなく、それぞれの中でまた細分化されていて。それを山下さんは自身で考えて、ちゃんと提示されているし、ディレクションに対してもいいバランスでやられていて。2nd seasonで近くで一緒にやれるようになって、生のお芝居を見て、更にすごさを実感できました。

山下：やめてやめて！　日高さんこそ、『陰実』までお姉ちゃん役をあまり演じたことがないとおっしゃっていましたが、第1話からいいお姉ちゃんのお芝居で完璧だなと思いました。これから日高さんがお姉ちゃん役を演じる機会もあると思いますが、今回、新しい日高さんの表現に立ち会えていることが嬉しいです。また、2nd seasonで登場する新キャラのメアリーとの掛け合いを通して、シドも知らないクレアの一面が見られるのも楽しみです。