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映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』関俊彦&木内秀信が実写的な芝居で作り上げた、鬼太郎の父と水木の空気感/インタビュー

求められたのは“昭和30年代の白黒映画”のテイスト――映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』関俊彦さん&木内秀信さんインタビュー|アニメーション的なデフォルメを払い、実写に近い芝居で作り上げた鬼太郎の父と水木の空気感

関さん、木内さんが幼少期から触れてきた『ゲゲゲの鬼太郎』の魅力とは?

――水木しげるさんの作品について、思い出がありましたらお聞かせください。

関:もちろん、『ゲゲゲの鬼太郎』も大好きで観ていたんですが、実写『悪魔くん』(※4)、『河童の三平 妖怪大作戦』(※5)が強烈な印象として残っています。『悪魔くん』は白黒作品で、魔法陣の前で呪文を唱えるところが印象的でした。また、悪魔くんの役を演じていた子が、後に夢中になって観ていた実写の『ジャイアントロボ』(※6)の主役の草間大作少年だったので、そんなところも面白かったですね。

『河童の三平 妖怪大作戦』も白黒作品で、主題歌を強烈に覚えています。あの作品も主役の三平くんとお付きの従者の方は、お二人とも実写『仮面の忍者赤影』(※7)のドラマに青影と白影として出ていて、子ども心に「ここでも共演なんだ!」とか「どこかで見たな? そうか、あの作品と一緒の人か!」と、不思議な気持ちやワクワクした気持ちで観て、面白い発見をしていましたね。

 

 
木内:僕は『ゲゲゲの鬼太郎』が一番で、TVアニメ第2期ぐらいから観ていて、第1期の白黒作品も再放送で観ていました。僕としては、けっこうおどろおどろしい、暗い『ゲゲゲの鬼太郎』という印象が残っています。あとは熊倉一雄さんの歌う主題歌がすごく怖かったです。

関:強烈ですよね。

木内:大人になった今観ると、ちょっとポップな感じもしますが、子どもの頃に観た時は、ヒーロー的な要素よりも妖怪寄りだったので、子ども心にすごく怖かった印象があります。

※4:1966年~1967年に放送された水木しげる原作の特撮作品。
※5:1968年~1969年に放送された水木しげる原作の特撮作品。
※6:1967年~1968年に放送された東映制作・横山光輝原作の特撮作品。
※7:1967年~1968年に放送された東映制作・横山光輝原作の特撮作品。

――TVアニメ第1期、第2期は、今回の作品に近い雰囲気がありますよね。

木内:そうですね。今回の作品も僕が懐かしいと感じた『ゲゲゲの鬼太郎』の世界なので、入りやすかったです。

 

――お二人が感じる『ゲゲゲの鬼太郎』の魅力、世代を超えてこれほど長く、多くの人から愛される理由を教えてください。

関:子どもの時に僕が夢中になっていたのは、勧善懲悪のヒーローものとしての『ゲゲゲの鬼太郎』です。「ちょっと待って、鬼太郎は幽霊族だよね? 何で人間の味方をして、人間ではない同族とも言える妖怪を懲らしめるの?」というところに驚き、とても刺激を受けたんじゃないかと思います。

なおかつ、自分のクラスの中に、隣の机にいてもいいぐらいのフレンドリーな関係、それができるのが鬼太郎という少年。砂かけばばあや、子泣きじじいや、ねずみ男と仲良くなるのはちょっと怖いけれど、鬼太郎くんだったら友だちになれる。鬼太郎という人はそういうフレンドリーさを持っていたからなんじゃないかな。

あとは、闇の世界のキャラクターがヒーローになるという、「ダークヒーローもの」の先がけ的な存在なのかな。後に『デビルマン』(※8)や『ドロロンえん魔くん』(※9)といった闇の世界の人間がヒーローとして立っている作品が出てきますが、鬼太郎や悪魔くんなど、水木先生の作品がその先がけなのかもしれません。そういうところも含めて、他のヒーローものにはない魅力があったんじゃないかなと思います。

※8:1972年~1973年に『週刊少年マガジン』(講談社)で連載された永井豪原作の作品。
※9:1973年~1974年に『週刊少年サンデー』(小学館)で連載された永井豪とダイナミックプロによる作品

 

 

――関さんが『ゲゲゲの鬼太郎』という作品に触れたのは何歳頃ですか。

関:僕が4、5歳の頃にTVアニメ第1期の白黒の『ゲゲゲの鬼太郎』があったのかな。その第1期の作品は何となく覚えていて、それからすぐ第2期にカラーになりました。カラーになったのは6、7歳の時だったので、そこからはちゃんと覚えているという感じですね。

――子どもの頃、『ゲゲゲの鬼太郎』という作品に惹きつけられたのはどんなところだったんでしょうか。

関:子どもの頃に戻って、「どう面白い? お前、これ面白いのか?」と聞いてみたいですね。やっぱりそこは基本的には“怖い物見たさ”なんだと思います。水木先生の持っている作品の魅力の一番大きいところは、子どもの怖い物見たさ。あとは未知のものへの興味と冒険心。それにやっぱり惹かれてしまうんじゃないかな。子どもはちょっと知りたがりで、そしてどこかで背伸びしたいんですよね。

 

 

――木内さんはいかがですか。

木内:僕はTVアニメ第2期から入って、まだ小さかったというのもあるんですが、妖怪ものなのでちょっと怖かったです。最初に水木先生の作品に触れたのは、『日本妖怪大全集』という妖怪の百科事典があって、そこから入ったんですよね。子どもの頃に「お化けは怖いから、早く寝なさい」「お化けが来るよ」「鬼に食べられちゃうよ」とか、親のだまし文句で「妖怪」が使われていたので、それが主役のアニメということで、ちょっと怖いと感じながら観ていました。

例えば『ウルトラマン』(※10)という作品は、ウルトラマンも好きだけど、昔は怪獣カードが流行っていて、子どもたちは怪獣を集めるのが好きでしたよね。今はポケモン(『ポケットモンスター』※11)をみなさんが集めるのと同じです。

『ゲゲゲの鬼太郎』は妖怪がたくさん出てくるし、しかも幽霊族の鬼太郎が主役です。人間の汚いところや社会的な話も少年鬼太郎からの目線でいろいろと教えてくれたので、道徳の勉強にもなりました(笑)。僕ら世代の人たちがそういう目で見ていた『ゲゲゲの鬼太郎』は教育的にも良くて、そういうことで受け継がれてきて、その子どもが見て、そのまた子どもが見て……という感じでずっと愛されているんじゃないかなと思います。

※10:1966年~1967年に放送されたTBS・円谷プロダクション制作の特撮作品。
※11:株式会社ポケモン(発売当初は任天堂)から発売されているゲームソフトシリーズやTVアニメなどのメディアミックス作品。

 

(C)映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」製作委員会
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