2期でも変わらず二人の間を流れるゆるやかな時間を堪能してほしい――『天官賜福 貮』日本語吹替版 謝憐役・神谷浩史さん&花城/三郎役・福山潤さんインタビュー|「俗物」ばかりな新キャラたちにも注目!?
中国で人気を博し、日本でも2021年に放送されたアニメ『天官賜福』(原作:墨香銅臭(モーシャントンシウ))。
待望の続編となる『天官賜福 貮』の日本語吹替版が1月より放送中です(日本語字幕版は2023年10月よりWOWOWにて放送)。
1期では、かつては仙楽国の太子だったが、飛昇し、神官となった謝憐(シエ・リェン)と、不思議な少年・三郎(サンラン)の二人が絆を深めていく様子がじっくりと描かれました。最終回で、天界と敵対する鬼・花城(ホワチョン)である三郎が「今度は真の姿で」と言い残して別れましたが、2期で再会することに。二人の運命の針が再び動き出します。
今回は、2期の放送を記念し、謝憐役の神谷浩史さんと、花城/三郎役の福山潤さんにインタビューを実施! 1期の振り返りや、2期の見どころなどをたっぷりと語っていただきました。
謝憐と三郎の関係性をじっくり丁寧に描いた1期。最終話の構成にビックリ!?
――まずは1期を振り返った感想をお聞かせください。
花城/三郎役・福山潤さん(以下、福山):やはり1期で印象的だったシーンを挙げるとすれば最終話になります。1期最終話は、果たして最終話と言っていいのだろうかと。
謝憐(シエ・リェン)役・神谷浩史さん(以下、神谷):ただ二人で会話していただけだもんね。
(一同爆笑)
福山:すごくカルチャーショックを受けました。日本のアニメの一般的な最終話は、続編があるような作品の場合は2期に繋がる構成であることが多いのですが、謝憐と花城が二人きりでゆったりしゃべっている穏やかな時間に、こんなに尺を割くという構成にとても驚きました。
僕個人の解釈としては、1期は謝憐と三郎の縁や関係性を見ていただくだけでなく、実際に観ている方が感じる時間も含めて、感じ取ってもらえるようにしているんだろうなと思っていたので、かなり思い切った、大胆なことをしているなと思いました。
今回の2期で物語が動いていくので、同様の方向で進んでいくのか、それとも切り口を変えてくるのかなと楽しみでしたが、ある種のイチャイチャが別の形で“花城タイム”に変わっていて。周りに人がいる中で花城と謝憐だけ時間の流れがゆったりしていて、二人で過ごしている時間を大切に描こうとしているのは2期でも変わっていませんでした。
神谷:確かにね。1期ではストーリー展開と同等なくらい、二人の関係に重きを置いていて。最初は「何なんだ!? この時間は?」と思いながら演じることもありました。でも次第に、ブロマンス的な要素も持ち合わせるこの作品は、この二人にスポットを当てて、二人の関係値を丁寧に描きながら、作品のストーリーが同等に扱われているんだなと理解して。「謝憐と三郎の関係を丁寧に描くことが大切なんだな」と気付きました。
1クールかけて、キャラの心情を大切に描いている作品が少ない中で、『天官賜福』はキャラ数は多いですが、謝憐と三郎の関係を丁寧に描いてくれて、それが2期でも変わっていないので、「こんなにこの二人にスポットを当てて、丁寧に心情を描いてくれるのはありがたいな」と思いながら収録しています。なので二人の関係性が1期で印象に残っています。
――1期の放送時にはどんな反響がありましたか?
福山:直接「『天官賜福』が好きです」という声もたくさんいただきましたし、普段アニメを見ないような世代のお父さんから「娘が好きなんです」と言われたことも何度かあって。その中でも「原作を原文で読みたいから、中国語を今、勉強しています」という娘さんが何人かいらっしゃったりもして。「この作品が文化の懸け橋になっているのだから、しっかり頑張っていかなくては」と一層気持ちも引き締まりました。
ご家族でご覧になっていただいているのかなとか、お父さん世代の方にまで知っていただいているんだなと、今まで僕がやっていた作品の視聴層やファン層の方とは違う方にも届いていると思って嬉しかったです。
――福山さん自身は中国語を学ぼうと思われたことは?
福山:中国の文化に興味はありますが、語学を今から学ぶのはさすがに無理かなと。ごあいさつと名前くらいは言えたほうがいいなと思いますが、「潤」の発音が難しすぎて挫折してしまいました(笑)。
神谷:視聴者の皆さんが中国語版と日本語吹替版を選択できるところが「日本のアニメとは違うんだな」という感覚で、海外の方でも日本語吹替版を選んでご覧になっていただいている方もたくさんいるんだなと感じます。
――吹替の作業をしていく中で、原音が中国語ということで意識した点はありますか?
神谷:実写の吹替の場合は、口の動きや表情に合わせて収録していきますが、アニメでは音声をカットして日本語をガッチリあてていくことでも成立してしまうので、原音のニュアンスよりは絵のニュアンスを大切にすることがあります。収録時に「原音ではこんな雰囲気で言っていると思いますが、アニメの絵の表情に合わせるならこっちのほうがいいと思います」と提案することもあります。