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映画『傷物語 -こよみヴァンプ-』音楽スタッフが明かす主題歌レコーディング時のエピソード/インタビュー後編

『傷物語 -こよみヴァンプ-』監督の思いの丈と熱量がこもったオーダーを音楽で具現化|クレモンティーヌさん(歌唱)×神前 暁(MONACA)さん(作曲)×高田龍一(MONACA)さん(編曲)主題歌スタッフインタビュー【後編】

2016年から2017年にかけて展開された映画『傷物語』3部作。それらをひとつの作品として再構成したアニメ映画『傷物語 -こよみヴァンプ-』が、2024年1月12日(金)より絶賛公開中です。

本作は、西尾維新先生の小説を原作とし、2009年の『化物語』からスタートしたアニメ『〈物語〉シリーズ』のひとつで、主人公・阿良々木暦が怪異と関わる発端となったエピソードを描いています。

アニメイトタイムズでは、前後編に分け、本作の主題歌「étoile et toi [édition le noir]」を歌うシンガーのクレモンティーヌさん、作曲の神前 暁(MONACA)さん、編曲の高田龍一(MONACA)さんの鼎談をお届け。

後編となる今回は、レコーディング時のエピソードや、実際に主題歌が流れたときの感想などを語っていただきました。

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傷物語
高校二年生の阿良々木暦はある夜、伝説の吸血鬼であり、“怪異の王”キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと衝撃的な出会いを果たす。まばゆいほどに美しく。血も凍るほどに恐ろしく。四肢を失い、痛々しくも無残な伝説の吸血鬼。全ての〈物語〉はここから始まる―西尾維新による原作小説「傷物語」を、「Ⅰ鉄血篇」、「Ⅱ熱血篇」、「Ⅲ冷血篇」の全三部作として映像化。『〈物語〉シリーズ』、『魔法少女まどか☆マギカ』の総監督新房昭之とシャフトが送る、『化物語』で描かれた“怪異の物語”の原点がここに。作品名傷物語放送形態劇場版アニメシリーズ〈物語〉シリーズスケジュールI鉄血篇:2016年1月8日(金)II熱血篇:2016年8月19日(金)III冷血篇:2017年1月6日(金)キャスト阿良々木暦:神谷浩史キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード:坂本真綾羽川翼:堀江由衣忍野メメ:櫻井孝宏エピソード:入野自由ドラマツルギー:江原正士ギロチンカッター:大塚芳忠スタッフ原作:西尾維新「傷物語」(講談社BOX)総監督:新房昭之監督:尾石達也キャラクターデザイン:渡辺明夫 守岡英行音響監督:鶴岡陽太音楽:神前暁アニメーション制作:シャフト製作:アニプ...

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2016年から2017年にかけて展開された映画『傷物語』3部作。それらをひとつの作品として再構成したアニメ映画『傷物語-こよみヴァンプ-』が、2024年1月12日(金)より絶賛公開中です。本作は、西尾維新先生の小説を原作とし、2009年の『化物語』からスタートしたアニメ『〈物語〉シリーズ』のひとつで、主人公・阿良々木暦が怪異と関わる発端となったエピソードを描いています。今回は、本作の主題歌「étoileettoi[éditionlenoir]」を歌うシンガーのクレモンティーヌさん、作曲の神前暁(MONACA)さん、編曲の高田龍一(MONACA)さんにインタビューを実施!1本の映画として新たに生まれ変わった『傷物語』の印象や、劇伴&主題歌制作時のエピソードなどを、前後編に分けてたっぷりと語っていただきました。『傷物語-こよみヴァンプ-』は“フィルム・ノワール感”のある作品――映画『傷物語-こよみヴァンプ-』を制作すると聞いたときの率直な感想をお聞かせください。神前暁さん(以下、神前):元が3部作で、非常に長い大作だったので、どのような1本になるんだろうと興味がありました。すごく凝縮された1本の作品になることで、初めて観る方にも観やすいものになると思ったので、楽しみにしていました...

 

思いの丈と熱量がこもった尾石監督のオーダーとは?

――主題歌のレコーディング時のお話も伺えればと思います。事前に、クレモンティーヌさんと打ち合わせなどはしたのでしょうか?

神前 暁さん(以下、神前):事前にというよりは、スタジオで録りながら話していく感じでした。もちろん事前に音源はお送りしていますし、何より、もう2回歌ってもらっていますので。

――〈Ⅲ冷血篇〉では、大人と子供が歌うという形でキスショットを表現していたと思うのですが、今回は、キスショットと阿良々木暦という雰囲気が感じられました。

神前:まぁ、そういうことになるんでしょうね。男女ということと、男性のほうが若いというところなので。

高田龍一さん(以下、高田):ピアノの感じも、子供のボーカルのままであれば前のままで良かったんですが、やはりちょっと弾き方を変える必要が出てくるんです。なので、意外とデュエットは大変でした(笑)。

――今回の男性とのデュエットはいかがでしたか?

クレモンティーヌさん(以下、クレモンティーヌ):若い男性とのデュオということで、(シンガーを)いろいろ探したんですが、実はこの曲を歌っているのは、私の息子なんです。普段彼はラップをやっていて、彼にとっては初めてのプロとのレコーディングだったし、私も息子がああいうふうに歌うのを知らなかったので、なるほど、こういう風に表現するんだと思いました。みなさんが「それでいいよ」と言ってくれたので、私にとっても新しい経験になりました(笑)。

――レコーディングはフランスで行われたとのことですが、その思い出はありますか?

神前:最初、息子さんは緊張されていたと思うんですが、だんだん打ち解けていきました。とてもアットホームなスタジオだったんですよね。

クレモンティーヌ:大雨の中でしたよね(笑)。

高田:スタジオなんですが、まるでご自宅の収録スタジオに招いていただいたような自然な雰囲気で、ゆっくり時間をかけて録っていけたような感じがします。

それにmeg rockさんもいましたので、みんながそれぞれの観点から、こうじゃないか、ああじゃないかって率直に言い合える環境で、いろんなことが自然発生的に起こるようなレコーディングだったんです。誰かひとりが主導権を握るのではなくて、その場のみんなで作り上げていっているように僕は感じました。

――クレモンティーヌさんは、いかがでしたか?

クレモンティーヌ:コロナ明けということもあって、すごく久しぶりに日本からクリエイターの方が来てくれたんです。そうやってものづくりをするのが本当に久しぶりだったので、こんなだったなって思いました(笑)。日本人のクリエイターはすごくプロフェッショナルで、皆さん本当に素晴らしいので、それを思い出させてくれたレコーディングでもありました。

――ちなみに、海外でレコーディングした感じは音にも乗るのでしょうか? 楽器ではないのであまり影響しないのかもしれないですが。

高田:電圧とか…?

神前:湿度が違うというのはありますよね。ただ、このスタジオに関しては、かなりウォームな感じだったので、何か温かい音の感じはしました。やはりフランスまで行って、みんなで作った意味はあったと思います。それまではデータのやり取りで作っていたので。

――映画では、この曲に行くまでの前奏があって、それによって前編でお話に出ていた「怪奇っぽさ」につながったのかな?と思ったのですが。

神前:あれはもう完全に尾石監督のオーダー通りなんですけども……。

――オーダーはどんな感じだったのですか?

神前:大ヒット曲を期待してコンサートに行ったら、全然知らない曲が流れてもやもやして……みたいな?(笑)

高田:「どうなっているんだろう?」っていう(笑)。

神前:「何だこれは?」って思っているうちに知っている旋律が出てきて、「これ――!」って盛り上がる観客、みたいなイメージだそうです。

――面白いですけど、確かにそんな感じでしたね。

神前:あと、「バッドエンドの重苦しい雰囲気」とメモにありますね。尾石監督のオーダーは、いつも非常に細かいというか、思いの丈、熱量がすごいんです。なのでそれを僕らは具現化するだけなんです。

――専門的なことではなく、思いなんですね。

神前:はい。思いの丈です。それを音にしていく感じになります。

(C)西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
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