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『響け!ユーフォニアム3』雨宮天が語る久石奏の変化【連載05】

奏なりに久美子を守ろうとしているのだと思う――『響け!ユーフォニアム3』雨宮天さんインタビュー|自分の感情を隠さずに真由に向き合う奏の姿を見て、彼女のことがより好きになった【連載第5回】

 

真由の登場によって、奏が久美子や夏紀のことをどう思っていたのかがより分かる!?

――8話以外の話数も含めて、今シリーズで特に印象深いエピソードやシーンなどを教えてください。

雨宮:特別に「ここ!」というよりも、全体を通して、真由との関係性がすごく印象的です。先ほどもお話ししたように、奏は好き嫌いがはっきりしているタイプではあるんですが、それにしても真由に対する態度は本当に露骨じゃないですか(笑)。

――普通に会話などはしていますが、「あなたが嫌いです」というオーラを放っているようにも見えます。

雨宮:他のみんなはわりと、真由に対してちゃんと良い子だと思って接しているし、面倒見も良いから後輩たちからは「ママ先輩」と慕われている中、奏だけはどんな時でもめちゃくちゃバチバチで。そんな奏の姿は、私も今期になって初めて見たんです。これまで、チクッとするようなことを言ったときは、ここまでちゃんと嫌いではなかったというか(笑)。

 

 
『誓いのフィナーレ』のときの夏紀先輩に対しても、別に彼女のことが嫌いだったわけではなくて。北宇治の(実力主義の)システムとか、自分の過去の経験から、夏紀のような(自分より下手な)先輩がいるとやりづらいみたいな気持ちだっただけで。別に夏紀自身のことが嫌いだったわけではないんですよね。あとは、奏があんまり好きじゃないというか、チクってするようなことを言う相手としては(月永)求君がいますが、彼は同学年だからまた少しアプローチが違ったりして。

真由に対しては、先輩だから一応丁寧な言葉を使うけれど、丁寧すぎて嫌味な感じ。そういうところを見られて、私はより奏が好きになりました。

――好きになったのですか?

雨宮:真由に対しての言い方は、嫌味ったらしいんですが、自分の感情はまったく隠していないじゃないですか。なので、嫌味っぽいけど全然陰湿ではない。同じユーフォ担当の仲間だからということもあるのかもしれませんが、ちゃんと近い距離感で人としての本質を見ようとしているというか、(真由の)雰囲気や言葉の柔らかさなどに惑わされず、ちゃんと本質を知ろうとしている。たぶん、奏なりに(黄前)久美子を守ろうとしているのだと思うんですよね。なので、私は今期の奏がすごく好きだなと思っています。

――2話の段階で、すでに真由に対して最大限の警戒をしている勘というか、観察眼の鋭さがすごいです。

雨宮:かなり早いうちから危険人物判定して、ずっと警戒していますよね。久美子も真由に対しては何か違和感はあるけれど、柔らかく気を遣って接しているのに、奏はガンガン行く(笑)。あれは、奏だからできることだと思います。

 

 

――先ほど、「久美子を守ろうとしているのだと思う」というお話もありましたが、今の奏にとって、久美子はどういう存在だと思いますか?

雨宮:『誓いのフィナーレ』での一件があって、自分の本音とか、奏が一番隠したかった、自分としてはカッコ悪い姿とかも久美子には見せているからこそ生まれた信頼関係もあるし。シンプルに演奏者としての尊敬ももちろんあると思っていて。久美子のことは、すごく好きで懐いていますよね。

お人好しなところも久美子の良いところだとは思いつつも、真由のペースに惑わされて、はっきりしないところには、少し苛立ちも感じているのかなと思います。今、奏が敵だと感じている真由に対して、久美子が気を遣って優しくしていることもきっと気に食わないんでしょうね(笑)。

――『アンコン編』で、3年の夏紀の教室に行ったシーンでも感じましたが、奏は久美子だけでなく、夏紀のことも絶対に好きですよね。

雨宮:ちょっとツンツンした感情表現をしちゃって、全然素直じゃないんですが、「絶対に好きでしょ」って分かりますよね(笑)。そういう猫ちゃんみたいなところも本当に可愛いです。

さっきも言った通り、奏がここまでバチバチに「嫌い!」みたいな態度を取る相手は真由が初めてです。真由が登場したおかげで、久美子や夏紀先輩のことを実はどれだけ好きなのかがより分かるんじゃないかなと思います。「本当に嫌な相手だったら、奏はこうなるんだぞ」って(笑)。

――では、奏の新たな一面が見られているわけですね。

雨宮:このシリーズでは、本当にいろいろな奏の魅力が出ていると思っています。ちょっと(演者としての)親バカもあるんですけど。

 

 

北宇治高校吹奏楽部の部員の中で、雨宮さんが強く共感できる人物は?

――奏目線ではなく、雨宮さん自身としては、黒江真由という人物にどのような印象を持っていますか?

雨宮:もし、私も部活で同じパートだったりしたら、奏みたいに思いっきり敵対心をむき出しにしちゃうかも、とは思うんですけど(笑)。少し俯瞰で見ると、真由自身、たぶん悪い人ではないんだろうなって。別に、彼女の中に悪意があってとか、人を嫌な気持ちにさせようとか思っているわけじゃない。全然、悪い人ではないんだけれど、ちょっと人の感情に疎いのかなという印象です。「人の気持ちを考えていない」とかではないけれど、ちょっと分からないというか……。

――少しセンサーが壊れている?

雨宮:そうです、そうです。自分なりに人のことを考えているけれど、ちょっとずれていたり、キャッチすべき気持ちをキャッチできていなかったり。そういう少しのズレなんだろうなとは思います。でも、たぶん私は全然仲良くなれないでしょうね(笑)。

 

 

――では、雨宮さんが北宇治高校吹奏楽部の部員だったとしたら、真由とは逆に、一緒にいて特に楽しそうだなと思ったり、共感できるポイントが多かったりするのは誰ですか?

雨宮:楽しそうな相手と共感できそうな相手はそれぞれ違っていて。

まず共感できるのは、(高坂)麗奈ですね。彼女は自分に対してすごくストイックで、自分が頑張ってきたり、いろいろなことを乗り越えてきたからこそ、できないときに言い訳をしてしまう人のことが、甘えているように見えちゃうし、それに対して指摘もしちゃう。そういうところが、特に後輩たちからは怖がられたりしているんですが、「それ分かる、分かるよ」という気持ちになることもあって(笑)。今でこそ私も少しは丸くなりましたが、そういう方向の考え方をしがちなところはあるので、すごく共感できますね。

それに麗奈は、頑張る人を認めてもくれるじゃないですか。ちゃんと良いパフォーマンスをした人がいたら、それが後輩であっても「(頑張ってくれて)ありがとう」と頭を下げて伝えたりもできる。そういうところもすごく良い先輩だなと思うし、私は応援しています。

 

――では、楽しそうだなと思う相手は?

雨宮:私がもし吹奏楽部に入ったら、すごく懐きそうだなと思うのは、ミドリ(川島緑輝)先輩です。特に求君に対してのママ感が良いですよね。私けっこう、面倒見が良い人に甘えたいタイプなので、ミドリ先輩はすごく甘えさせてくれそうだなって。それに、必要なときには怒ってくれるじゃないですか。しかも怒り方が可愛い。(緑輝の真似をしながら)「こら! 求君!」みたいに、可愛く怒られたいです(笑)。

――では最後に、『響け!ユーフォニアム』が大好きな読者の皆さんに向けて、第9話以降の見どころも含めたメッセージをお願いします。

雨宮:ここまでですでに、本当にいろいろなことがあった今回のシリーズですが、この先も、何を言ってもネタバレになりそうなくらい、お話がどんどん展開していきます。8話の時点で不穏な雰囲気ですが、こんなもんじゃないみたいな(笑)。この後も、いろいろな出来事が起こりますし、まだあまり迫り切れていない真由の本質的なところにも、ちゃんと迫っていきます。ますますドキドキハラハラしながら、ぜひ最後まで見守っていただきたいです。

 

 
[取材&文・丸本大輔]

 

作品概要

響け!ユーフォニアム3

あらすじ

高校3年生になり、部員90人超となった北宇治高校吹奏楽部の部長に就任した、黄前久美子。久美子たち3年生にとっては最後となる吹奏楽コンクールを控え、練習にも熱が入る。悲願の「全国大会金賞」は達成できるのか? 部長として踏み出した久美子、高校生活最後の熱い青春を描く!

キャスト

黄前久美子:黒沢ともよ
加藤葉月:朝井彩加
川島緑輝:豊田萌絵
高坂麗奈:安済知佳
黒江真由:戸松遥
塚本秀一:石谷春貴
釜屋つばめ:大橋彩香
久石奏:雨宮天
鈴木美玲:七瀬彩夏
鈴木さつき:久野美咲
月永求:土屋神葉
剣崎梨々花:杉浦しおり
釜屋すずめ:夏川椎菜
上石弥生:松田彩音
針谷佳穂:寺澤百花
義井沙里:陶山恵実里
滝昇:櫻井孝宏

(C)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

 

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