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夏アニメ『逃げ上手の若君』戸谷菊之介が語る吹雪が心の中に持っているもの

時行の「逃げる」才能を見たときに、吹雪はすごくテンションが上がったんだと思います|TVアニメ『逃げ上手の若君』連載第9回:吹雪役・戸谷菊之介さんインタビュー

『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』を手掛けた人気作家・松井優征先生が描く歴史スペクタクル漫画『逃げ上手の若君』がTVアニメ化。2024年7月よりTOKYO MX・BS11ほかにて放送中です。

本作の主人公は、信頼していた幕臣・足利尊氏の謀反によってすべてを失った北条時行。時行は逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で仲間と出会い、訪れる困難を「逃げて」「生きて」乗り越えていきます。

アニメイトタイムズでは、本作の魅力を深掘りする連載インタビューを実施! 第9回目は吹雪役・戸谷菊之介さんにお話を聞きました。冷静に見えて、実は心のなかでは熱い気持ちを持っている吹雪。時行の「逃げる才能」を見たときも吹雪は気持ちが高揚していたのではと、戸谷さんは語ってくれました。

 

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逃げ上手の若君
時は西暦1333年、武士による日本統治の礎を築いた鎌倉幕府は、信頼していた幕臣・足利高氏の謀反によって滅亡する。全てを失い、絶望の淵へと叩き落とされた幕府の正統後継者・北条時行は、神を名乗る神官・諏訪頼重の手引きで燃え落ちる鎌倉を脱出するのだった…。逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で、信頼できる仲間と出会い、鎌倉奪還の力を蓄えていく時行。時代が移ろう大きなうねりを、「戦って」「死ぬ」武士の生き様とは反対に「逃げて」「生きる」ことで乗り越えていく。英雄ひしめく乱世で繰り広げられる、時行の天下を取り戻す鬼ごっこの行方は―――。作品名逃げ上手の若君放送形態TVアニメスケジュール2024年7月6日(土)〜2024年9月28日(土)TOKYOMX・BS11ほか話数全12話キャスト北条時行:結川あさき雫:矢野妃菜喜弧次郎:日野まり亜也子:鈴代紗弓風間玄蕃:悠木碧吹雪:戸谷菊之介諏訪頼重:中村悠一足利高氏:小西克幸小笠原貞宗:青山穣諏訪盛高:石黒史剛市河助房:山本高広瘴奸:東地宏樹スタッフ原作:松井優征(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)監督:山﨑雄太シリーズ構成:冨田頼子キャラクターデザイン:西谷泰史副監督:川上雄介プロップデザイン:よごいぬサブキャラクタ...

 

前回はこちら

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「もっと心の熱を込めて」

――第九回では、吹雪の教えと策によって時行が格上の瘴奸に勝利します。その後、吹雪は逃若党の一員となりました。

吹雪役・戸谷菊之介さん(以下、戸谷):第九回のラストで時行の正体を知った吹雪が、原石を見つけたと高揚するじゃないですか。あそこで「あっ、吹雪ってこういう感じで心が熱くなるんだ」と彼のことを理解できた気がしたんです。ふだんは冷静でクールだけれど、心のなかでは常に熱い気持ちを吹雪は持っているんですよね。あのシーンは、音響監督の藤田さんからも「もっと心の熱を込めて」というディレクションがありました。何度もリテイクを重ねてすごくいいテイクが録れたと思うので、印象深いシーンになりましたね。

 

 

――吹雪は強者とにらんだ腐乱との戦いを望むなど、少し好戦的な面も見られました。

戸谷:ですね。彼はきちんと訓練をしていて、恐らく自分の強さを俯瞰して見ることもできるんだと思います。実際に実力があって、大人とも互角に渡り合える強さと賢さを持っていて、「この相手だったら、自分も太刀打ちができる」という分析もできるからこそ、強いと思った腐乱との戦いを望んだんだと思います。

――「心の熱を込めて」というお話もありましたが、その他、演じるうえでどのようなディレクションがありましたか?

戸谷:時行に策を授けるときは、「淡々と喋ってください」と言われたことが印象に残っています。時行の才能にテンションが上がっているかもしれないけれど、彼はそれを表には出さずに教えるんです。

一方で、時行の正体を知ったときのモノローグやご飯を前にしたときは、「分かりやすくテンションが上がっているように」といったディレクションがありました。吹雪は心の中の熱量は常に一緒なんだけど、アウトプットするとき、しないときがあるんですよね。

――心の中では熱いという微妙なニュアンスを声のお芝居で表現するのは難しそうです。

戸谷:実際に、結構リテイクをしました。

 

 

――今回の連載ではみなさんが口を揃えて、丁寧に収録する現場だったとお話されています。

戸谷:そうですね。とても音にこだわり、力を入れてくださる現場だったと思います。テイクを重ねたのは僕自身に足りない部分もあったからだと思いますが、結果的にすごくいいお芝居ができたと感じています。時間をかけて丁寧に収録していただけて、ありがたかったですね。

 

先輩方があそこまでやっているなら、僕もやってやろうと思いまして

――弧次郎役の日野まりさんは、和気あいあいとしているところもあったけど、収録しているときはすごく集中していたとお話されていました。

戸谷:本当にそうでしたね。アフレコが始まるとスイッチが入って、集中して演じていました。

―― 一方で、逃若党のメンバーとご飯に行ったときは、戸谷さんがあんなにもボケる人だと思ってなくて、驚いたとおっしゃられていました。

戸谷:いやー、バレてしまいましたね(笑)。実はそうなんです。アフレコのときは緊張もしていましたし、吹雪としてちゃんとしなきゃいけないという気持ちがあったのですが、一度外に出たら素が出てしまうと言いますか。僕はもともとボケたい人間なので(笑)。

 

 

――なるほど(笑)。そういう意味では、ギャグシーンを演じるときは楽しかった?

戸谷:めちゃくちゃ楽しかったですね。どういう組み立てをしてボケるか考えてから現場入りしていました。それでも現場で、「もっとやってください」と求められることもあって。

例えば第九回で時行の正体を知って、粟を吹き出すシーン。あそこは「すごく汚くやってください」と言われました。そのディレクションを受けて、とんでもない勢いで「ぶー」とやったんです。やれることはマイク前に残してきましたので、オンエアがどうなっているのか、今は楽しみですね。

――時行役の結川あさきさんは、ギャグシーンに関しては「笑わせたら勝ち!」みたいな気持ちでみなさんがアドリブを入れていた気がするとおっしゃられていました。戸谷さんもそんな感じだった?

戸谷:ですね(笑)。吹雪が登場したのは第七回からなんですけど、それまでの話数の音声データをいただけたんです。それを聞いたとき、武将を演じる先輩方がかなりふざけているなと思いました(笑)。ここまでやっていいなら僕もやってやろうと思い、振り切ってボケた記憶があります。

 

 

(C)松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
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