
『魔王2099』第6話振り返り|伝説の勇者が、錆びた剣一本で最新鋭の現代装備に挑むロマンがたまらない。実は木ノ原は肉体労働担当なのか?
現在放送中の、ファンタジア文庫で刊行中の紫大悟先生のライトノベルを原作としたアニメ『魔王2099』。究極の発展を遂げた未来都市・新宿に蘇った、500年前に滅びたとされる伝説の魔王・ベルトールの活躍が見どころとなっている作品です。
今回も引き続き、第6話の内容を振り返っていきたいと思います。
なお、本記事は『魔王2099』第6話までのネタバレを含んだ内容となっておりますので、第6話をご覧になった上でご一読ください。
第5話 振り返り記事はこちら
唯一無二の存在になりたいマルキュスにとって、あまりにもメリットが多い不死炉計画
第5話で、奮戦虚しくもマルキュスに捕らえられてしまったマキナ。これまで視聴者として、ベルトールと高橋サイドの視点を見ていたので、マルキュスの口から告げられた不死炉についての真実は概ね予想できていた内容でしたが、別行動だったマキナにとっては、唐突に衝撃の事実を突きつけられた形に。
ここでのマキナは終始マルキュスに対して完全にブチ切れており、これまで見せたことのない鬼のような表情をしていて「これはこれで良いな……」と自分の中のマルキュスがちょっと目覚めかけていました。マキナに自分を薪にするのか問い詰められた時の「はぁい」という気の抜けたマルキュスの返事が面白くて個人的にお気に入りです。
一方でマルキュスが不死炉を作ったのは、純粋にエネルギーが必要だっただけではなく、自分以外の不死を排除するのにちょうどよかったという側面もありそう。もし不死たちが現在まで残っていれば、ベルトールが復活した際に再び配下としてその元へと集まるのは明白ですから、ベルトールが不在の間に先に不死を始末しておけば、ベルトールが復活しても孤立せざるを得なくなります。
最終的に自分以外の不死をすべて薪にしてしまえば、残ったマルキュスは唯一無二の不死となれますし、その上でベルトールの邪魔をしつつ、新宿という巨大都市のエネルギー源を掌握できるわけですから、世界支配を目論むマルキュスにとっては一石三鳥くらいのメリットがあったと言えそうです。
一方、そんなマキナを助けるため、地下を目指すベルトールとグラムの前に立ちはだかったのは、マルキュスの右腕ともいえる木ノ原でした。相変わらず意識高そうなビジネス用語を妙にクセの強い発音で連呼するのは面白いですが、その強さは本物。日本刀を使って戦う居合スタイルが、もうとにかくスタイリッシュでカッコいいです。
見た目はバリバリ仕事できそうなキャリアウーマンなので、頭の良さで今の地位に上り詰めたと思っていましたが、どちらかというとマルキュスが評価していたのは腕っぷしの方の可能性が高くなってきた気がします。
あと以前に登場した巨大ロボットに近いタイプの第四世代型マギノ・ギアも良かったのですが、変身ヒーローチックになった白霞(ゼロベース)もまたカッコいい。マルキュスは悪人ではあるんですが、美的なセンスにかけてはなかなかいい趣味をしているように感じるので、話したら意外と仲良くなれるかもしれないとちょっと思いました。
圧倒的な性能の不利を、己の経験でカバーするグラムのベテランっぷりが際立つ
「勇者の戦い」というタイトルに偽りなく、なんといっても第6話はグラムと木ノ原の戦いが大きな見どころになっていました。
最新第五世代型のマギノ・ギアである白霞(ゼロベース)を身にまとう木ノ原に対し、グラムの武器は錆びた剣一本のみ。元々自分は、最新の装備にベテランが旧式の装備で挑むって構図にめちゃくちゃロマンを感じるタイプなので、装備の性能差をグラムが500年以上の戦いの経験の差で埋めながら戦う今回の構図は、最高に燃えましたね。
高速かつ激しく動き回る木ノ原に対して、グラムは常に最小限の動きで攻撃に対処していて、二人の戦闘スタイルの違いやベテランとしてのグラムの余裕のようなものも感じさせます。そこから最終的に錆びていた聖剣《イクサソルデ》が本当の輝きを取り戻す流れは、すべてを投げ出しかけていたグラム自身が、ようやく勇者としての自分を取り戻したことも表現しているようで、テーマ的にもアツい展開になっていました。
魔王と違い、「勇者」って自称するものではなく他者から与えられる評価だと思いますし、「勇者」という伝説の復活には、それを求める誰かの存在が必要だったというのは、非常に納得できます。
その後、増援のマギノ・ギア部隊がやってくるところでは、マギノ・ギアが着地する直前に脚部のブースターの向きを変えて減速するという細かい描写が入っていて、制作陣のこだわりを今回も感じました。絶対に好きな人がやっている……!
また今回も引き続き、グラムとベルトールの関係性の深さが光っていたのも忘れられないポイント。
グラムが自信満々に「(木ノ原との勝負を)楽勝じゃないか」と口にした時に「剣の腕ならアルネス最強」と認めるベルトール、ベルトールがマルキュスに負けると予想する木ノ原に「あの男は強い」と断言して勝利を保証するグラムという構図は、まさにこの二人の関係性が分かるシーンだったかなと。
ただ、ベルトールはグラムの強さに「剣の腕なら」と範囲を限定し、グラムの方もベルトールの切り札に「あれを見たら誰だって絶望を抱く」とどこか他人事な言いまわしで(実際自分は勝っているわけですし)、相手の強さを認めた上で「それでも自分の方が強い」と二人とも思ってそうなのが面白い部分です。このあたり、どっちが強いかで口論したら喧嘩になりそうな気がします。
そしてCパート、不死炉に落下していくマキナをベルトールが救うシーンは、第2話で描かれたマキナの過去をなぞる構図になっていたのもまた良かった。これでマキナのベルトールへの崇拝はますます高まったことでしょう(これ以上はどうなるのか想像するとちょっと怖いですけど)。
次回はそのベルトールと、マルキュスの対決がついに描かれそうな予感。不死炉を巡るエピソードも、いよいよクライマックスに突入しそうです。
作品概要
あらすじ
統合歴2099年―――
不死の王国を統べていた、伝説の魔王・ベルトールが迎えてから500年―――魔王再臨の刻、来たれり。
サイバーパンクシティ『新宿市』。天を貫く超高層ビル群、宙を錯綜する極彩色のネオン光―――
魔導工学の技術革新によって栄光ある発展を遂げた、究極の未来都市。
魔王が降り立った世界は、かつての絶対支配者を置き去りに、驚愕の進化を果たしていた―――。
巨大都市国家が手にした、華々しい繁栄。
しかし……その裏に隠されていたのは―――恐るべき“闇”だった。
輝かしくも荒んだ“新たな世界”を再び支配すべく、魔王は未来を躍動する!
キャスト
ベルトール=ベルベット・ベールシュバルト:日野聡
マキナ=ソレージュ:伊藤美来
高橋:菱川花菜
グラム:浪川大輔
マルキュス:松風雅也
木ノ原:伊藤静
放送情報
2024年10月12日(土)24:00~ ON AIR
TOKYO MX、群馬テレビ、とちぎテレビ、BS11:10月12日より毎週土曜24:00~放送
毎日放送:10月12日より毎週土曜27:08~放送
中京テレビ:10月15日より毎週火曜26:19~放送
AT-X:10月13日より毎週日曜日22:30~放送
※放送日時は編成の都合等により変更となる場合がございます。予めご了承ください。
配信情報
dアニメストア、ABEMAにて地上波同時・最速配信決定!
10月12日(土)より毎週土曜24:00~
その他サイトも順次配信予定