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庵野秀明監督も登壇した『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション【PROGRAM3】」トークショーレポート

憧れの森雪からの「庵野くん」呼びにあの庵野監督がメロメロに!? 「『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション【PROGRAM3】」トークショーレポート

『宇宙戦艦ヤマト』放送50周年記念セレクション【PROGRAM3】」の上映会とトークショーが、2025年1月10日に、東京・新宿ピカデリーで開催されました。

アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の放送50周年記念して行われた、庵野秀明監督がチョイスした名エピソードを上映するセレクション上映。その最終段となるプログラム3の上映初日に新宿ピカデリーで行われたトークショーは、50周年企画のプロデューサーを務める庵野秀明監督が司会を務め、森雪役の麻上洋子さん、『宇宙戦艦ヤマト2199』のコミカライズを手がけたむらかわみちおさんの3名が登壇して行われました。

 

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宇宙戦艦ヤマト
西暦2199年。 地球は謎の星間国家ガミラスの攻撃を受け滅亡の危機に瀕していた。遊星爆弾による放射能汚染は地表全土に広がり、地下都市に逃れた人類を刻々と蝕みつつあった。地球防衛軍も敗退し希望の全てを失った時、惑星イスカンダルの女王スターシャからのメッセージが届く。イスカンダルには地球の滅亡を救う放射能除去装置コスモクリーナーDがあるという。イスカンダルの技術「波動エンジン」を搭載した宇宙戦艦ヤマトは、人類の夢と希望をのせ14万8千光年の彼方へと旅立っていく。作品名宇宙戦艦ヤマト放送形態TVアニメスケジュール1974年10月6日~1975年3月30日日本テレビほか話数全26話キャスト沖田十三:納谷悟朗古代進:富山敬島大介:仲村秀生森雪:麻上洋子(一龍斎春水)真田志郎:青野武徳川彦左衛門・佐渡酒造:永井一郎アナライザー:緒方賢一デスラー:伊武雅之スターシャ:平井道子ナレーター:木村幌スタッフ企画・原案・プロデューサー:西崎義展監督・設定デザイン:松本零士音楽:宮川泰SF設定:豊田有恒メカニックデザイン:松本零士 スタジオぬえ監修:山本暎一 舛田利雄 豊田有恒キャラクターデザイン:岡迫亘弘主題歌OP:「宇宙戦艦ヤマト」ささきいさおED:「真赤なスカーフ...

 

麻上さんは庵野監督にとっての憧れの存在

まずトークショーがスタートするなり「憧れなんですよ」と、麻上さんの大ファンであることを告白する庵野監督。大の『ヤマト』ファンとしても知られる庵野監督ですが、同時にヒロインの森雪を演じた麻上さんのファンでもあるそうで、まだビデオがなかった当時は、雑音が入らないようにTVチューナー付きのカセットデッキに音だけを録音し、何度も麻上さんの声を聞き直していたそう。加えて「滅多に緊張しないんですけど、今日は緊張しています」と憧れの人を前にした心境も明かします。

 

 
そんな麻上さんは、『ヤマト』について、「もう本当に、私がド新人の時に始まった番組で、やっぱり一番印象に残っているのは第1回目の収録です。当時って、自分の声がどのように録音されて、どのように出ているのか、録画できないので放送されるまで聞けなかったんです。それでダビング室に毎回入り浸っていて……」と振り返り、自分の声や、どのように音が入っているかを知るため、『ヤマト』の音響監督を務めた田代敦巳さんのところに行き、毎回ダビングを見学しに行っていたのだとか。

 

 
場面ごとの『ヤマト』の選曲は、その田代さんが主に担当されていたそうで、「いい曲付けですよね。僕の選曲は田代さんに育ててもらいました。この業界、『ヤマト』の影響って本当に大きくて、僕と同じから10年下ぐらいまでは、ほぼ『ヤマト』世代で埋まっていると思います」と庵野監督。麻上さんも、松本零士さんとパーティで一緒になった際、『ヤマト』の影響で宇宙開発の研究に携わることになったという人たちから何人も挨拶されたそうで、その影響力の大きさが改めて語られます。

 

 
また、当時の『ヤマト』のアフレコには、ほとんど絵や色がついていなかったと麻上さんが振り返ると、実際に当時のスケジュール表を見たという庵野監督は、「これは無理だ」と思ったという、制作環境の厳しさに言及。それを裏付けるかように、『ヤマト』の名物プロデューサーとして知られる西崎義展さんが、自前のハーレーに乗って大阪までフィルムを運んでいる時、大雪で足止めを食らって立ち往生したというエピソードが、むらかわさんによって紹介されます。

さらにむらかわさんは、「『ヤマト』って4月に企画が動いて、5月の連休明けにはお話と設定が全部変わってしまって、立ち上がり直したのは7月なので、(放送まで)3ヶ月くらいで作ってるんですよ。多分、普通のアニメならありえないスケジュール……」とその厳しさ語るも、「いや、全然ありました。むしろそれが普通。今はもうちょっと緩やかになっているとは思いますけど」と庵野監督からすぐに訂正が入ると、「恐ろしい話が出ました」と返し、客席の爆笑を誘う一幕もありました。

 

麻上さんのアーティストデビュー曲を、森雪のキャラソンとして堪能していた

当時の声優業界を振り返る話題では、「私は声優業界って全然知らなかったんですけど、漫画の『リボンの騎士』が好きで、自分で声を入れたかったんですね。実際にアニメになった時、その時の私の中のイメージとは違っていて、それなら“自分で声を入れてみたい”と思ったんです」と、声優の道を目指したきっかけを明かしていた麻上さん。

一方、当時の声優は、“お芝居”は好きでもアニメ自体が好きな人はほとんどいなかったそうで、雪の絵とセリフを見た時には「この絵が1番好きで、このアニメが動いたら1番嬉しいのは、声優の中で私だ」と思い、自分を奮起させていたと語ります。

そんな麻上さんの演技について、庵野監督は「雪は笑い方がすごく特徴的でいいんです。23話で古代と写真をとったあと、一度笑ってからいつものセリフを言うんですけど、そこの笑い方が、誰にも真似できない不思議な笑いなんですよ」と魅力を力説。

実は庵野監督にとっては、森雪は初めて“好き”という感情を抱いた、“初恋の相手“のような存在でもあるそうで、麻上さんが西崎プロデューサーから「雪は“くん”の言い方がいい」と褒められたエピソードを明かすと、「分かってらっしゃいますね!」と力強く同意。さらにその麻上さんから「庵野くん」と呼ばれて喜びを隠しきれなくなるなど、すっかり『ヤマト』ファンモード全開で、客席の笑いや拍手を何度も誘っていました。

 

 
忘れられない思い出として麻上さんが語っていたのが、『ヤマト』のイベントで声優陣が勢揃いで船に乗った時の出来事。それまで怖いイメージを抱いていた沖田十三役の納谷悟朗さんが、集まった『ヤマト』ファンの子どもたちを前にニコニコしながら「こんなに喜んでもらえるのか」と嬉しそうな笑みを浮かべていたことに触れ、庵野監督たちを驚かせていました。

また、イベント中に自身のアーティストデビュー曲である「哀しみのサテン人形(ドール)」が流れると、気恥ずかしさで思わず耳を塞ごうとする麻上さんの姿も。これにむらかわさんが「この曲、81年の曲なんですけど、74年版の森雪の声にすごく似てるんですよ。この頃はキャラソンとかがない時代だったので、“森雪が歌ってる!”って布団の中で悶えてました」と熱弁すると、庵野監督も「そう、似てるんです。森雪っぽいんですよ」と食い気味に同意し、完全な麻上さんのファン同士のトークで大盛り上がりします。

 

 
そのむらかわさんは様々な『ヤマト』に関連した企画の音頭も取られているようで、『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』、『ヤマトよ永遠に』、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』の3本の4Kリマスターや、日本コロムビアからリリースされているサントラ「YAMATO SOUND ALMANAC」の欠品分の再プレスは、今も実現の可能性は十分にあるそうで、最終的に実現するかどうかはファンの応援の声がどれだけ届くかにかかっていることが明かされます。

さらに、当時テレビランドで掲載されていた、聖悠紀先生によるコミカライズの単行本化も順調に進行しているものの、散逸した原稿がまだ完全には揃っていないようで、「原稿をお持ちの方がいれば、我々当てに連絡をしてほしい」というファンへのメッセージも送っていました。

その後には、「去年は漫画家なのに1ページも漫画を書かなかったという、とんでもなく恥ずかしい思いをしておりますので、 今年はたくさん漫画を書いていけたらと思っています」とむらかわさん、「今日は当時の少年少女たち、あと両サイドの少年たちとも(笑)、こんな場を共有することができて、本当に嬉しいです。こんな幸せがまたずっと続くよう願っています」と、麻上さんがそれぞれ挨拶。

最後は庵野監督が、「僕が古代くんで一番好きなカットって、最終話でデスラー砲が撃たれた時に森雪の遺体を抱えてかばっているシーンなんです。脚本だと、森雪が死んだ時、古代も自決しようとするみたいなことが書かれていて、もしかするとあの瞬間は艦長代理の職を捨てて、森雪を守るためだけに動いていたのかもしれない。それくらい本当に細かいところまで作られているのが『ヤマト』の凄いところで、50年経っても人気が残っている最大の要因だと思っています。メカもいいんですけど、『ヤマト』の中心ってやっぱりドラマなんですよね。それを演じてくださった麻上さんと今日色々お話ができて、本当に幸せでした。ありがとうございました」と、感慨深げに語りながら、トークショーを締めくくりました。

 

 

『宇宙戦艦ヤマト』作品紹介

西暦2199年、人類は滅亡の危機にあった。地球侵略を企てる異星人国家ガミラスの攻撃により、海は蒸発し、地表は放射能に汚染されていく。

そんな中、イスカンダル星より放射能除去装置・コスモクリーナーの情報がもたらされる。人類はメッセージと共に送られてきた波動エンジンの設計図を基に、第2次世界大戦の戦艦「大和」を宇宙戦艦として再建造し、14万8000光年離れたイスカンダルを目指し旅立つ。人類滅亡の日まであと1年。ヤマトはコスモクリーナーを受け取り無事に地球へと帰り着けるのだろうか……。

第一作となるTVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト』からはじまり、その後も数多くのTVシリーズ・劇場用映画・実写映画が製作され、今なお新作が製作されている『宇宙戦艦ヤマト』は多くの人に愛されているSFアニメの金字塔である。

(C)東北新社/著作総監修 西﨑彰司

 

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