
ΛrlequiΩ(アルルカン)「血ヲ通ワセロ、ソノ命全テニ。」が、2025年の今、生まれた理由とは。そして彼らのルーツにある漫画・アニメカルチャーとは──暁(Vo)、來堵(Gt)、奈緒(Gt)、祥平(Ba)にインタビュー
2025年2月26日(水)、ΛrlequiΩのNEW SINGLE「血ヲ通ワセロ、ソノ命全テニ。」がリリースされる。そして、3月1日(土)千葉LOOK を皮切りに LIVE TOUR「ひとりにはなれない僕ら」が開幕。その前にはアニメイト池袋本店でのインストアイベントも開催予定だ。
ビジュアル系ロックバンドとして独自の世界観を築き上げてきた彼ら。その音の創作の根底には、アニメ・漫画の影響が色濃く息づいているという。では、彼らはどのように作品からインスピレーションを受け、それを音楽へと昇華しているのか。最新曲「血ヲ通ワセロ、ソノ命全テニ。」について、そしてアニメ・漫画についての話を暁(Vo)、來堵(Gt)、奈緒(Gt)、祥平(Ba)に聞いた。
バンド名は『からくりサーカス』から
──アニメイトタイムズは初登場となるので、自己紹介からお願いできればと思うのですが……皆さんアニメ好きということで、今日はアニメのお話もお聞かせいただきたく思っています!
暁(Vocal):暁です。哲学やバトル系のアニメが好きです。よろしくお願いします。
來堵(Guitar):來堵です。学生時代からアニメが好きで、いろいろな作品を観てきました。その影響もあって、作曲のインスピレーションをアニメから得ることが多いです。
奈緒(Guitar):奈緒です。『遊☆戯☆王』が好きです。特に東映版に思い入れがあります。
祥平(Bass):祥平です。アニメは幅広く嗜んでいるつもりでいます。劇伴からも影響を受けることが多く、曲作りにも反映しています。特にガンダムシリーズが好きで、澤野弘之さんの音楽もよく聴いています。また、藤田和日郎先生の作品はほとんど読んで育ってきました。そもそも、「アルルカン」というバンド名は『からくりサーカス』の「あるるかん」から取ったものなんです。
──『からくりサーカス』からだったとは知りませんでした!
祥平:小学生の頃から『からくりサーカス』が好きで、バンド名を決めるときに「意味よりも響きやインパクトを重視したい」とずっと思っていて。漫画を読んでいたときもそうだったのですが「あるるかん」という言葉は、一度聞いたら忘れられない印象があったので、最初はそこからつけました。
──アルルカンの音楽性についても、ぜひ伺いたいです。
奈緒:プロフィール上の言葉で言うと「切なさと激しさの融合」ですね。ざっくり言うと、ボーカルがすごくアイコニックで……。
暁:ちょっとやめてよ(笑)。
──(笑)。「切なさと激しさ」に重きを置いた理由はなんだったのでしょう?
暁:僕は、もともと音楽が好きで始めたわけではなく、言いたいことを表現したくて音楽をやるようになりました。「これが嫌だ」「これはしんどい」という感情を音に乗せたい。その想いが、アルルカンの音楽の出発点になっています。
アニメや漫画の主人公の感情が揺れ動くシーンが好きなんですが、そういう感情の起伏が、楽曲の「激しさ」や「重さ」、そして「切なさ」につながっているのかもしれません。
──そのアウトプットの方法が「音楽」だったのは、今振り返るとなぜだったと思いますか。
暁:テレビで見たJanne Da Arcがきっかけかもしれません。元々はW-inds.やKICK THE CAN CREWを聴いていて、Janne Da Arcをきっかけに、バンドに惹かれるようになって。最初は単純に「かっこいい兄ちゃんがバンドやってる!」くらいのライトな印象でした。でも、そこからビジュアル系の世界に触れて、「こんな音楽があるんだ!」と衝撃を受けました。
あまりに知らない世界だったので、最初はちょっと抵抗があったんですね。3次元の男性が街では見かけない格好でステージにいて、ああ、こんな世界があるんだなと。でもどんどんと惹かれていって、実際に自分がやるならこういうことをやりたいな、と思うようになりました。
奈緒:僕の音楽の入り口はクラシックでした。最初はフルートを習っていたんですが、ある時「ギターってかっこいいな」と思って始めたのがきっかけですね。J-POPにハマったのは小学生の頃で、『鋼の錬金術師』のオープニングだったポルノグラフィティの「メリッサ」を聴いたのが大きかったです。そこから「CDで音楽を聴いてみたいな」と思うようになって、どんどん音楽にのめり込んでいきました。
大人になってから、自然と「この曲、どこかで聴いたことあるな」と感じることが多くて。そうやって遡っていくうちに、自分の中にJ-POPやアニメソングが深く根付いていったんだと思います。切ないメロディーや綺麗な旋律が好きなのも、そこから影響を受けているのかなと。特に『クレヨンしんちゃん』の3代目エンディングテーマ「DO-して」(桜っ子クラブさくら組♥加藤紀子&さくら組)って曲が好きで……ご存知ですか?
──すみません、勉強不足で知らずなのですが……。
奈緒:いえいえ、すごく昔の曲なので。めっちゃ歌謡曲なんです。多分、僕らの親世代が「おお!」ってなる曲だと思います。平成の曲ではあるんですけど、昭和のテイストが盛り込まれている曲というのも、僕のルーツにあると思います。もし良かったら、皆さん聴いてみてください(笑)。
──私も聴いてみます! 來堵さんのルーツはどうでしょうか。
來堵:僕は最初、普通にJ-POPや浜崎あゆみ、globeが好きでよく聴いていました。でも、ある時テレビで黒夢の「少年」のCMを見て、「なんだこのかっこいい人は!?」と衝撃を受けたんです。そこで清春さんに出会ったことが、バンドのルーツとなりました。
その後『池袋ウエストゲートパーク』の主題歌だったSADSの「忘却の空」を聴いて深掘りしていったら、「あの時のあの人(清春)だった!」ってなって。そこから、日本のロックにどっぷりハマりましたね。それまでは洋楽志向だったんです。当時、周りではヒップホップが流行っていたこともあって、Linkin ParkやLimp Bizkitなどのミクスチャー系をよく聴いていました。でも、黒夢やSADSを知ったことで「日本にもこんなに尖った音楽があるんだ!」と気づいて、それ以来、日本の音楽もしっかり聴くようになりましたね。
祥平:僕は楽器を始める前から、映画やアニメ、ゲームのサウンドトラックをよく聴いていました。特に、シーンごとに音楽が持つ役割があることに魅力を感じていて、それが自分の中で強く残っていたんです。楽器を弾き始めるまでも、生活の中に音楽が根付いていましたね。
──では、ベースを始めたのは?
祥平:完全にノリですね(笑)。
暁:いいね(笑)。
祥平:中学の頃、友だちの間でバンドが流行り始めて、「ギターは難しそうだし、ドラムも無理だし……じゃあベースかな?」って感じで選びました。でも、たまたま父親もベースを弾いていたので、家に楽器があったのは大きかったですね。父に何かを教えてもらうということはありませんでしたが、練習する環境が整っていたので、自然とのめり込んでいきました。
──こうしてお話を聞くと、皆さんの音楽のルーツは本当にバラバラですね。
暁:不思議ですよね(笑)。
──先ほど暁さんが話されていた「心の揺れ動き」を表現するには、ヴィジュアル系というスタイルが合っていたということでしょうか?
暁: 実際にやってみて、やっぱりそう感じました。最初は単純に「かっこいいな」と思っていたんです。それこそアニメや漫画のキャラのように、TシャツとGパンという格好じゃない。見た目も違うし、ヴィジュアル系って、言葉や音楽に込める感情の振れ幅が大きいんですよね。J-POPだとあまり歌われないような、尖っていることを表現できるのが魅力だと思います。
──これまでの楽曲を聴いていても、「ヴィジュアル系」という枠に収まらない、多彩なジャンルに挑戦されている印象があります。
暁: そこはやはり、メンバーの音楽的ルーツがそれぞれ違うことも大きいですね。いろいろなバックグラウンドを持っているからこそ、ジャンルを固定せず、自由に混ぜ合わせることができる。それがバンドの面白さでもあるし、近年は特にそういう「冒険」をしてますね。
──その冒険心が強まったきっかけは?
暁: すごく平たく言うと、単純に「同じことばかりやっていても面白くないな」と思ったからですね。カテゴライズされてると分かりやすいじゃないですか。例えば、バトルもの、とか。確かに「ヴィジュアル系」という言葉があることで、僕らの音楽を見つけてもらいやすいところはあって。それを表現するのも楽しいんですけど、もっと本来、いろいろな音楽を聴いてたよねって。
でも、その枠の中だけで活動していると、どうしても表現の幅が狭まってしまう。僕ら自身、もともといろんな音楽を聴いて育ってきたので、もっと広い視点で「自分たちにしかできないことをやろう」と思うようになりました。














































